Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

故意の病

2010/02/26 03:25:21
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 あの人と出会ったのは三日前。唐突に体の奥深くへと入り込み、私の心を熱くさせた。あの人の事を想うと、顔も火照り鼓動もドキドキと高まる。    
 これが、恋の病なのかしら……?。

「大丈夫ですかさとり様……?」
「ええ、大丈夫よお燐」
 
 だるそうに寝ている私を、お燐は心配そうに見下ろす。三日前から、私はずっとベットで、あの人と共に過ごしている。ふわふわと昇天しそうな、心地よい一時だった。

(本当に大丈夫ですかさとり様……?)

 あの人の声だ。自分から入って来た癖に、勝手なのね。

「だから大丈夫だって言ってるでしょ」
 
 私の声に、お燐はビクッとする。
 あの人の声は、第三の目を持つ私じゃないと聞えないんだった。

「さとり様……」

 お燐は心配そうにしながら、私に一礼をして部屋から出て行った。
 大丈夫、そう私は言ったが、この病は思ったよりも重症のようだ。あの方の事を考えただけで、汗はダラダラ、体もダルイ。本当に、罪なお人ね。

(もうさとり様のそんな姿を、私は見ていられません……)

「ふふっ本当に勝手なのね、私をこんなにしたのは貴方なのよ?」

(だけど……)

 心配するなと、もう一度言おうとすると、今度はお空が私の部屋へと駆け込んできた。そして私の姿を見るや否や、そのままの勢いで飛び込んでくる。

「さとり様! お燐から聞きましたよ! 死んじゃうんですか!?」

 お空の顔は涙で濡れていた。何を勘違いしてるのだろうかこの子は……。
 私はお空の頭を、そっと撫でてあげる。

「大丈夫よお空。こんな事で私が死ぬ訳無いじゃない」

 だけど、お空は泣き止まなかった。しばらく私の胸を濡らした後、

「そうだ! ちょっと待っててくださいさとり様!」

 と頭上に豆電球を浮かべ、ここから去っていった。

「本当に、みんな心配性なんだから……」

(すいませんさとり様、自分の所為で……)

 貴方に罪は無いわよ。これは仕方ない事なんですから。

「大丈夫、少し眠ればまた元気になるわよ」

 そう言って私は、またあの人と共に眠る事にする……。





(さとり様……、さとり様!)

 あら、何かしら。夢の中にまで入ってくるなんて、しょうがない人ね。

(三日間と短い期間でしたが、貴方と出会えて楽しかったです)

 私も楽しかったわよ。体は火照ってダルかったけど。貴方の心が読めて本当に楽しかったわ。

(でも、これでお別れです。本当に、ありがとうございました……)

 ……何言ってるの? 私に気を使ってくれるなら大丈夫よ。眠ればきっと元気になるんだから。

(駄目ですよさとり様。私が一緒に居ては、貴方はずっとこのままです)

 そんな事、気にしなくていいわよ。私が少し我慢すれば、それでいいだけでいいのだから。

(本当に優しい方です貴方は。嫌われ者の私を受け入れてくれる方なんて、さとり様しかいません……)

 嫌われ者の心は、なんとなくわかるのよね。一緒に居たいのにそれが出来ない。そんな寂しい気持ちとか、心が読めるから、わかっちゃうのよね。

(最後に一緒に居られたのが、貴方で本当に良かった)

 最後なんて言わなくて良いわよ。貴方が私から居なくなるって、死ぬってことじゃない……。

(お燐ちゃんやお空ちゃんに、元気な姿を見せてやってください。それでは、さようならさとり様)

 死んじゃ駄目よっ!

(最後に一言、私は女ですよ)
 
え? 性別あったの貴方?




「ハッ!」

 目覚めたとき、あの人はもう私の中には居なかった。心の声が聞えなくなった……。
 そして、私の火照りはもう消えていた。体からダルさも消え、スッキリとしていた。
 いま思えば、あれは恋ではなく友達としての想いだったのかも知れない。嫌われる辛さを、知るもの同士の。
 そう私が考えていると、部屋のドアが勢いよく開かれた。

「「さとり様、料理作って来ましたよ!」」

 部屋に入ってきたのはお燐とお空だった。私の事を心配して、おかゆを作ってくれたようだ。

「ありがとうお空、お燐」

 二人の作ってくれたおかゆは、とても暖かくて、美味しかった。元気そうに食べる私の姿を見て、二人の顔も緩みだす。
 だけどあの人は消えてしまった。他人にとってはちっぽけな存在の、あの人が。  

「友達として、お墓を作ってあげようかしらね」

 ボソリと呟くと、二人は不思議そうに私を見つめた。そうよね、わかるわけないわよね。嫌われたあの人と会話できるのは、私だけだったのだから。
        /二二ヽ
         | ウ |
         | イ  | 
         | ル  |
         | ス .|
         | 之  |
       __| 墓  |__
       / └──┘ \
      |´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ソ
     ソ::::::::::::::::::::::::::::::::ソソ
    / ソ ̄|;;;;;;;lll;;;;;;;| ̄ソ \
   |´ ̄ ̄ |. [廿] .|´ ̄ ̄.|
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こいし「にが~いお薬、飲みたく無かっただけでしょ(σ・∀・)σ」
さとり「空気読みなさい(#^ω^)」
ムラサキ
コメント



1.ずわいがに削除
読めたww

しかしこれなら何かを食べる時にもその食物の声が聞こえてしまうんじゃあなかろうか
……なんて恐ろしい能力だッ
2.ぺ・四潤削除
さとり様! 滋養がある聞いてこれ作って来ました!!
つ【白魚の躍り食い】

誤字です。
(最後に一緒に入れたのが、貴方で本当に良かった)居られた
3.名前が無い程度の能力削除
南無
4.奇声を発する程度の能力削除
まさかのそれですかwwwww
滋養のある物…マムシドリンク?
5.ムラサキ削除
ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございます
>ずわいがにさん
魚とか恐ろしくて捌けないですよ……
>ぺ・四潤さん
誤字指摘本当にありがとうございます。修正しました。
【白魚の躍り食い】とか魚の悲鳴でさとりん気絶しちゃう!
>3さん
南無三――z!
>奇声を発する程度の能力さん
興奮するさとりんもありですよね
6.名前が無い程度の能力削除
読めなかった俺はコーヒーを盛大に吹いた