紅魔館の庭で、パンダが笹を食んでいた。
「どういうことなの、美鈴」
「拾ったんです」
思いっきり剣呑な視線で問いかけた咲夜に、美鈴は真顔で答えた。
「この幻想郷のどこにジャイアントパンダがいるっていうの」
「ここにいます」
「そうじゃなくて」
「拾ったんです、門の前で」
はむはむ。パンダは平和に笹を囓っている。
咲夜はため息をついた。
「拾ったものは仕方ないとして、どうする気、それを」
「飼っていいですか」
「永遠亭に送りつけてきなさい」
あそこなら笹の葉には困らないだろう。
「そんな、こんなに可愛いのに!」
「それはまぁ、否定しないけれど」
はぐはぐ。パンダは平和に笹を咀嚼している。
「ここは小熊館です、咲夜さん」
「紅魔館よ、美鈴」
「似たようなものです」
「そうかもしれないわね」
なにしろ主が先日から熊である。
「パンダは大熊猫と書きます」
「高橋由伸じゃなくて?」
「それは虚弱な方です。こっちは丈夫です」
美鈴に肩を叩かれて、パンダはこちらを振り向いた。
可愛かった。
「あ熊の棲む館なので、大熊猫が居てもいいと思うんです」
「うちは動物園じゃないのよ」
「それを言ったら咲夜さんだって犬――あナイフ止めて痛いです痛いです」
気がついたら3本ぐらい刺さっていた。頭に。
「でもね、美鈴」
「はい?」
「パンダは竹林で暮らしている方がきっと幸せよ」
「咲夜さん――」
「だから、貴女がパンダになりなさい」
「なんでですか!?」
「こんなこともあろうかと用意しておきましたー」
こあ熊が現れた。どこから取り出したのかパンダの着ぐるみを持って。
そしてパンダは2匹になった。
「で、このパンダはどこから来たのかしら」
「やっぱり迷いの竹林からじゃないですか?」
咲夜とこあ熊が見下ろす中、相変わらずパンダは呑気に笹を食っている。
「ちょっと、そこのあんた!」
と、門の方から馬鹿の声。門番がパンダなので侵入者ウェルカム状態である。
飛び込んできたのはチルノだった。こあ熊に体当たりしてチルノは止まる。
「大ちゃんをどこにやったのよう!」
「し、知りませんよー」
「答えないならしゃべらせるまでよう! アイシクルフォール!」
目の前のこあ熊には当たらなかった。Easyだった。
「うぉ~い、勇儀やぁい」
今度は飲んだくれた声。2人目の侵入者は伊吹萃香である。
「何のご用ですか」
「んにゃ、勇儀の奴が約束の場所に現れなくてさ。探してるんだよ」
ぐびり、と伊吹瓢を傾けて、酒臭い息を吐きながら萃香は言う。
「見ておりませんわ」
「そうかい。ところでそこのパンダはなんだい?」
「さあ」
肩を竦めた咲夜に、「ふうん?」と萃香はパンダに目を細めた。
「おりんー? どこー?」
千客万来である。3人目はもうひとりの馬鹿だった。
霊烏路空はきょろきょろと視線を彷徨わせながら飛んでくる。
「おお、いつぞやのバカラス。お前さんも誰か探してるのかい?」
「んにゅ、お燐がいなくなっちゃった……」
しょんぼりと肩を竦めた空に、「んー?」と萃香はもう一度パンダを振り返った。
パンダはやっぱり笹を食っている。
「おーい、そこの馬鹿」
「だれがばかよう!」
「お前さんはなんでここにいるんだい」
「大ちゃんがいないのよう」
チルノの答えに、萃香は伊吹瓢を傾けて、ぷはぁ、と息を吐いた。
「どうしたんですか」
「いやなに――まさかそんなはずはないとは思うんだけどねえ」
萃香はそう言って、パンダに歩み寄ると、その額に触れた。
額のもふもふな毛の中に、星状の痣と僅かな隆起があった。
萃香は黙って杯に酒を注いでパンダに差し出す。パンダはそれを嬉々として舐め始めた。
「……なんてこったい」
「うにゅ?」
「あによう?」
「おいそこの馬鹿たち、誰を探してるって?」
「お燐ー」
「大ちゃーん」
パンダが顔を上げ、きょろきょろと視線を見回した。
「謎は全て解けちまったよ」
「……どういうことです?」
「つまり、こういうことだ」
萃香は咲夜からナイフを受け取って、土の上に文字を刻んだ。
大 妖精
星 熊 勇儀
火焔 猫 燐
「つまりこれは……フュージョンなんだよ!」
「な、なんですってー!?」
ノリのいいメイドだった。
「つまり、犯人は――霊烏路空、あんただ!」
「うにゅ、バレてしまっては仕方ない!」
鴉もノリが良かった。
「うにゅー、汚物は消毒だー!」
第124季、紅魔館は核の炎に包まれた。
いつの間にかタグ変わってるしww
浅木原先生の次回作にご期待ください!
大熊猫が可哀想なほどに
じゃねえよバカw
と、言っていたコメの皆さんが爆発した
と、言った俺も爆発したw
な、なんだってー!
「ふざけるなぁぁ!」って気持ちと、「素晴らしい……!」って気持ちがフュージョンしてるよ…
>おお、いつぞやのバカラス
超人キンタマンの相方フイタ