地底へ通じる縦穴の下、渡る者のない橋の上。
「おーい、パルスィ」
「何よ、また来たの? ――って」
「がおー」
いつもの飲んだくれた声にパルスィは振り返って、あんぐり口を開いた。
勇儀が熊だった。正確に言えば熊の着ぐるみであるが。
「なによその巫山戯た格好」
「見りゃわかるだろう。熊だよ」
「なんで熊なのよ」
「そりゃ星熊だからねえ」
意味が解らない。
「地上で流行ってるらしいんだよ」
「それが?」
「そう、こうやって熊になってね。がおー」
「がおーじゃないわよ」
「求婚するだよ」
「……は?」
球根? キュウコン?
勇儀は炎じゃなく格闘タイプだろう。
「好きな相手のところに、熊の姿で出向くんだよ」
「――いやだから意味が」
「《貴女を食べたいです》って意思表示らしいね。もちろん性的な意味で」
「死ね馬鹿滅べそして埋まれ」
とりあえず臑を蹴飛ばした。勇儀は呵々と笑った。
効果は今ひとつのようだ。ノーマル技は格闘タイプには効果が薄いのだ。
「というわけだよ、パルスィ。がおー」
「百獣戦隊に帰れケダモノ」
「パルスィのために気高い雄叫びをあげようじゃないか」
「要らないっての」
「ガガガッ、ガガガ、ガオガイ――」
「ガオ違いじゃないの!」
杯を奪い取って殴った。角がいい音をたてた。
「――――――ッ」
勇儀が涙目になってうずくまった。角を攻撃されると途端にこんにゃくみたいな奴になる勇儀である。
「やっぱり駄目かね……。この方法での求婚の成功率は9%らしい、⑨婚だけに」
「何よそれ。気合いが足りないわね、勇儀のくせに」
って、何を言っているのだ自分は。ノリで口が滑った。
「そうだね、成功率は単なる目安だ、あとは勇気で補えばいい!」
「勇儀だけに?」
「というわけでパルスィ、お前さんとフュージョンしたい……一万二千年前から愛してるよ」
「勇儀……」
「お前さんと出会ったときから私の地獄に勇者王が絶えないんだ」
勇儀の瞳がパルスィの緑の眼を真っ直ぐに見つめた。
吸い込まれそうな、そのどこまでも真摯な瞳――。
そこから放たれるのは、ファイナルフュージョン承認の要請だった。
もちろん性的な意味で。
「パルスィ――」
「勇儀……」
「承認してくれるかい? ガオ、ガイ、」
ガッ。
全力で角を杯で殴った。
勇儀の意識は光になり、スパイラルドリルが橋に突き刺さって動かなくなった。
ちょっとときめいてしまったことは秘密にしなければならない、と熊を見下ろしてパルスィは思った。
>求婚するだよ
この喋り方に素で吹いたwwww
ξ・∀・)ガオ、ガイ(ガッ!
パルスィが可愛い、それだけで、幸せなんだと思うんだ・・・!
やはり悪態をつきながら蹴飛ばすパルスィは可愛い。
Pixivだかで見た白熊勇儀思い出した
勇者王多すぎるだろw
タイトルが特に秀逸
で笑わないわけが無かったww
勇パルいいね