夜12時。
美容と健康のために1日9時間睡眠を心がけているさとりは、当然ベッドの中にいた。
すると、なにやら枕元に人の気配。
目を覚ますと、枕元にこいしが3人立っていた。
「お姉ちゃん、ただいま」
「ねえ、一緒に何かして遊ぼう?」
「それとも夜の茶会にする?」
何の前触れもなしに妹が増殖したというこの事態を前に、さとりは布団を深く被った。
正直、妹は何人いても困らないが、睡眠時間が9時間を切ると困るのである。
ハリのあるプニプニほっぺから弾力がなくなると、万一卵を投げつけられたとき撥ね返せなくなってしまう。
これは由々しき事態だ。全力で阻止せねばならん。
「私は眠いんです。遊ぶのはまた明日で」
そう答えると、1人のこいしが布団をめくろうとした。
溜め込んだ暖かい空気が逃げ出し、さとりは思わず布団にしがみつくが、そこで残り2人のこいしが布団とさとりを引き剥がした。
「えー、せっかく私が帰ってきたんだよ?」
「地上の面白い話、色々持って帰ってきたんだよ?」
「お姉ちゃんも妖怪なんだから、少しくらい夜更かししようよぉ」
3人の妹にほっぺを乱れ突きされ、ご機嫌ななめなさとり。
とうとう、布団を取り返すと手足の指でしっかり四隅を持ってベッドに張り付いた。
「私は寝るんです。ほっぺの弾力を守る為、地霊殿の未来を守る為にも」
「ほっぺの弾力ぐらい別にいいじゃん」
「よくありません。今の私のほっぺ弾力度は『ぷにっ☆』ですが、これが『ぷ……に……?』まで落ちたら地霊殿は蒸発します」
「もう蒸発してもいいから遊んでよ」
「貴方達3人で見ざる聞かざる言わざるごっこして遊びなさい。私は寝ます」
「こ、この布団虫め!」
抗議の声に耳を貸さず、さとりはすやすやと眠りについた。
これはもう起こすのは無理だな、とこいし達は断定した。
そこで、さとりの眠るベッドの前で
「見ざる!」
1人が目を押さえ、
(言わざる!)
1人が口を押さえ、
「着飾る!」
1人が小林幸子化した。
ドレスアップは一晩中続いた。
◇ ◇ ◇
翌朝、さとりが起きるとこいしは3人ともいなかった。
お燐に行方を聞いてみると
「なんだか、幻想郷一派手な衣装を手に入れるんだって、どこかに出かけましたよ」
って感じらしい。
この上ない本末転倒、さとりは頭を抱えた。
◆ ◆ ◆
夜12時。
結局こいしは帰ってこず、やっぱりさとりはベッドの中にいた。
すると、なにやら枕元に人の気配。
目を覚ますと、枕元にこいしが5人立っていた。
1人が太陽の搭と通天閣を足して2で割った感じのメイド服を着ていた。
「ただいま、お姉ちゃん」
「衣装の調達に手間取って帰りが遅くなっちゃった」
「お姉ちゃんが気に入ると思ってこれにしたんだけど、どう?」
「ねえ、一緒に温かい紅茶飲もうよ」
「それとも一緒に一日巫女さん体験に行く?」
なぜかまた2人増えていたが、さとりは慌てず騒がず布団を深く被った。
妹は3人でも5人でもオールオッケーホゥ、なのだが睡眠時間が9時間を切るとリアリー困る。
ハリのあるプニプニほっぺから弾力がなくなると、万一隕石が落ちてきたとき撥ね返せなくなってしまう。
これは由々しき事態だ。何を犠牲にしても阻止せねばならん。
「私は眠いんです。こいしコレクション略してこいコレもまた明日で」
そう答えると、1人のこいしが布団をめくろうとした。
さとりは思わず布団にしがみつくが、そこで別な2人のこいしが布団とさとりを引き剥がした。
さらに残った2人がさとりの脇の下から腕を通し、ベッドから引き摺りおろした。
「えー、せっかく今風の格好して帰ってきたんだよ?」
「そうだよ、後で寸法合わせてもらったら、お姉ちゃんにも着てもらうんだから」
「お揃いの服着て、一緒にヨットレースに出場するって約束したじゃない」
「そうだ、今のうちにお姉ちゃんの体のサイズを測って置こう」
「そうしよう、お姉ちゃんも付き合って」
5人の妹にメジャーを巻きつけられ押し当てられ、ご機嫌ななめなさとり。
とうとう、1人のこいしから服を剥ぎ取ると、それを布団がわりにベッドに飛び込んだ。
「私は寝るんです。スリーサイズという個人情報を守る為、地霊殿の未来を守る為にも」
「お姉ちゃん、服返してよ。寒いよ」
「私だって寒いんです。貴方が布団をはがしてしまったから」
「何で靴下まて持って行くのさ。へくちっ」
「枕に巻くと血行にいいんですよ」
「こ、この健康マニアめ!」
抗議の声に耳を貸さず、さとりはすやすやと眠りについた。
これはもう服を取り返すのは無理だな、とこいし達は断定した。
服を持っていかれ、えぐえぐするこいしに対して、
「そう気を落とさないで」
1人が右靴下を差し出し、
「そうよ。貴方はよくやったわ」
1人が左靴下を差し出し、
「明日になればお姉ちゃんも返してくれるよ」
1人が帽子を差し出し、
「そしたら、みんなで海底のハマグリごっこして遊ぼう?ね?」
1人が猫耳バンドを差し出した。
誰も、まともな衣服を貸す者はいなかった。
◇ ◇ ◇
翌朝、さとりが起きるとこいしは5人ともいなかった。
お燐に行方を聞いてみると
「なんだか、1人が猫化した反動で野生に帰っちゃって、他の4人が探しに行きましたよ」
って感じらしい。
何やってるの貴方達、さとりは頭を抱えた。
◆ ◆ ◆
夜12時。
結局こいしが元に戻ったという知らせは来ず、そしてさとりはベッドの中にいた。
すると、なにやら枕元に群集の気配。
目を覚ますと、枕元にこいしが7人立っていた。
1人が猫化したこいし(どうにか服を着せたらしい)の首に付けられた首輪に繋がったリードを握っていた。
「ただいま、お姉ちゃん」
「いやー、大変だったよ。ねこいし追いかけ回してたら、命蓮寺に逃げこんじゃってさ」
「尼さんを押し倒すし、船長さんに飛び掛るし、小さな大将さんを舐めるし、もう空前絶後の大騒動」
「棚の間の小さな隙間に逃げ込んで、上半身はまって出られなくなったところを捕まえたんだよ」
「それで、ねこいしが散らかしたところを大掃除していたら、帰りが遅くなっちゃった」
「ねこいし、もう勝手に逃げちゃ駄目だよ」
「にゃー」
なぜかさらに2人増えていたが、さとりはいつものことだと布団を深く被った。
妹は3人でも5人でも7人でもウェルカムなのだが、睡眠時間が9時間を切るとマンマミーヤ。
ハリのあるプニプニほっぺから弾力がなくなると、万一非想天則がライダーキックしてきたとき撥ね返せなくなってしまう。
これは由々しき事態だ。何が何でも阻止せねばならん。
「私は眠いんです。明日になったら」
そう答えると、リードを引きちぎってねこいしがさとりの布団の中、さらにパジャマの中に突入した。
「な、ちょッ、実力行使はやめなさい!」
「にゃー」
やめなさいと言ってやめるねこいしではない。
その程度の猫ならば、命蓮寺は半壊しなかっただろう。
「今だ、ねこいしに続けーッ」
「突撃ー!」
この機会を逃す手があるか、と残りのこいし達も行動に出た。
1人のこいしが突撃ラッパを吹き鳴らし、後の5人がいっせいにさとりに飛びかかった。
4人で四肢をつかみ、1人が布団を引き剥がす。アタック担当はねこいし。
「お姉ちゃん、一緒にお茶飲もうよ」
「それより、ヒルズ族ごっこしようよ」
「いやいや、じめじめシイタケごっこしようよ」
「そんなことより、巫女さんボーリングしようよ」
「そんなのつまらないよ。アミーゴやろうよ、アミーゴ」
「えー、地獄極楽メロドラごっこする約束はー?」
「にゃーん」
自分のいないところで勝手に話が進み、自分は四肢をぐいぐい引っ張られるだけ。つまり、ご機嫌ななめなさとり。
とうとう、『素敵忍法変わり身の術』でお燐を犠牲にし、妹の罠から脱出するとベッドからこいしを追い出して布団に篭もった。
「私は寝るんです。お燐の犠牲を無駄にしない為、地霊殿の未来を守る為にも」
「卑怯よお姉ちゃん!忍術を使うなんて!」
「貴方のそれは分身の術のようにも見えるのですが」
「違うもん!大体、どこで学んだのさ!」
「この前、側溝に落ちていました」
「こ、このお姉ちゃニック忍者め!」
抗議の声に耳を貸さず、さとりはすやすやと眠りについた。
これはもう打つ手はないでござるな、とこいし達は断定した。
そこで、お燐にじゃれついて離れないねこいしを引き剥がそうとしながら、
「ねこいし、駄目だよ。お姉ちゃん以外にじゃれついちゃいけません」
1人が無理やり引き剥がそうとするが微動だにせず、
「ほーら、猫じゃらしだよ、こっちおいでー」
1人が猫じゃらしをフリフリさせても見向きもされず、
「分かった、ここは発想の転換だ!」
1人がお燐の方を移動させるがそれでもピッタリねこいしは付いてきて、
「もう知らない!」
1人がグレて、
「でも、ねこいしになら舐められてもいいかも」
1人がデレて、
「そうだ、これを取ったらどうかな」
1人が、頭の猫耳バンドを取ると、
「はっ、今まで私は何を……?」
ねこいしは普通のこいしに戻った。
◇ ◇ ◇
翌朝、さとりが起きるとこいしは7人ともいなかった。
お燐に行方を聞いてみると
「あたい、もうお嫁にいけない」
と、えぐえぐ。
お燐にアタックしたのはねこいしなんだ、そう全てねこいしのせいだ、さとりはそう自分に言い聞かせた。
◆ ◆ ◆
夜12時。
行方不明のこいし軍団に関する目撃情報は集まらず、しかしさとりはベッドの中にいた。
すると、なにやら枕元に人の気配。
目を覚ますと、枕元にこいしが40人立っていた。
と思いきや、1人はこいしの服を着たメルランだった。
「ただいま、お姉ちゃん」
「今日はみんなで自分探しの旅に行ってきたの」
「牧場体験してきたんだよ」
「漁師体験もしてきたの」
「紅魔館でエイリアン迎撃体験もしてきたの」
「ルナサ姉さんとリリカ、今頃何してるかしら」
「それで分かったの。私はこいしちゃんなんだって」
人数増加はまだしも、自分探しの旅で他人を見つけてきたこいし達、さとりはかける言葉が見つからず布団を深く被った。
妹が39人でもトランペッターがいても問題ないだが、睡眠時間が9時間を切るとテリブル問題。
ハリのあるプニプニほっぺから弾力がなくなると、万一プリズムリバー家の次女がやってきたとき弾力で負けてしまう。
これは由々しき事態だ。敵が目の前にいる今、ここが正念場である。
「私は眠いんです。貴方は自分を探す前にウォーリーを探しなさい。この前、誰にも見つけてもらえなくてデパートの隅で膝を抱えていましたよ」
そう答えると、"赤と白のしましまおじさんを探せ"の本をめくるような動作で、さとりの布団をめくった。
抵抗するさとりに、こいし39人が人海戦術で襲い掛かった。突撃ラッパはメルラン担当。
「そんな放浪おじさんはどうでもいいんだよ」
「お姉ちゃん、今日こそ遊んでくれるよね」
「40人もいるんだから、学園ごっこできるよ!」
「生徒役は私達がやるから、お姉ちゃんは先生役ね!」
「3年B組、さとり先生!」
39人に突かれ揉まれ、ご機嫌ななめなさとり。
ハイなまま、こいしから布団を取り返した。彼女の人生最大の馬鹿力だった。
「私は寝るんです。過酷な生存競争を生き残る為、地霊殿の未来を守る為にも」
「お姉ちゃん、それは布団じゃないわ、黒板よ」
「はっ」
なんと、さとりが取り返したのは布団のような黒板だった。
気がつくとチョークまで持っている。ベッドはいつのまにか教卓になり、算数の教科書が置かれている。
なんという無意識。
目の前には40人の生徒達が、セーラー服姿でジッとさとりを見つめている。どの子にも期待の輝きが灯っている。
だが、さとりは数学には弱い。数式を見ただけで頭がポンとなる。
「えーと、何から始めれば……」
テンパるさとりに、
「先生、繰り上がりのある足し算が分かりません」
「先生、ラグランジュの乗数法が分かりません」
「先生、お燐が何で『お嫁に行けない』とえぐえぐしてるのか分かりません」
「先生、メルランちゃんが私の弁当勝手に食べちゃいました」
「先生、授業やめてスポーツ大会しましょうよ」
「先生、もう開会式はじめちゃっていいですか?」
「宣誓、私達こいしちゃんズは清く正しく美しく正々堂々と戦います」
容赦のないこいし軍。
課外授業は一晩続いた。
◇ ◇ ◇
翌朝、こいし軍団は下校の時間と称して39人まとめてどこかに去って行った。
残ったメルランに行方を聞いてみると
「おうちが恋しくなったんだって」
って感じらしい。
貴方の家はどこなのよ、さとりは頭を抱えた。
◆ ◆ ◆
夜12時。
どうせ今夜も増えて帰ってくるんだろうと、諦め気味でさとりはベッドの中にいた。
すると、なにやら枕元に人の気配。
目を覚ますと、枕元にこいしが99人立っていた。
もうメルランはいなかった。
「ただいま、お姉ちゃん」
「学園物やるからには、全校生集めないとね」
「だから、960人くらい集めようとしたんだけどね」
「途中でカンストしちゃったから、99人が限界だったの」
「今、百の位を拡張工事してるからちょっと待ってね」
「でね、その待ち時間の間、一緒に遊ぼう」
「何して遊ぶ? 101匹の猫ちゃんごっこする?」
「1匹足りないよ?」
「お燐もいるから大丈夫よ」
さとりは目を瞑り、耳を塞ぎ、布団を深く被り、通販で買ったプラズマバリアをベッド周辺に張った。
妹が99人でも101匹でも問題にゃいだが、睡眠時間が9時間を切るとゲームオーバー。
ハリのあるプニプニほっぺから弾力がなくなると、万一映画界からスカウトが来たとき撥ね返せなくなってしまう。
これは由々しき事態だ。さとりは、カメラに映ると魂が抜かれると信じ込んでいる。
「私は眠いんです。今日はきちんと540分、ぐっすりしっとり寝させてもらいます」
そう答えると、こいし達はベッドを下から担ぎあげ、そのまま動き出した。
プラズマバリアは、何の役にも立たないまま部屋の片隅に丸めて捨てられた。
「わっしょい、わっしょい!」
「皆の衆、どいたどいた」
「お姉ちゃん神輿のお通りだ!」
「ふっくらほっぺ大明神のお通りだ!」
「さあさあ道を開けんしゃい!」
「ええじゃないか! ええじゃないか!」
「たまには遊んでくれてもええじゃないか!」
何の騒ぎだ、とペット達が集まってくる。お燐に至ってはスケッチブックにこの様子を模写している。
99人に担ぎあげられ、ベッドのアップダウンに船酔い気分のさとり。
大変なことになる前に、ベッドから飛び下りると電光石火でこたつの中に飛び込んだ。
「私は寝るんです。ハリウッドの手から逃れる為、地霊殿の未来を守る為にも」
「お姉ちゃん! こたつの中で寝ると風邪ひくよ!」
「例え風邪をひいても、私には守らなければならないほっぺがあるんです」
「そんなこといいから出てきてよ。みんな見てるよ」
「羞恥プレイは慣れています」
「こ、このこたつむりめ!」
抗議の声に耳を貸さず、さとりはすやすやと眠りについた。
これはもう救出不可だな、とこいし達は諦めた。
そこで、今からさとりが風邪をひいた時のために緊急会議、
「風邪を引いた時って、何がいいんだっけ?」
「梅干しを額に乗せるとか」
「ネギを首にまくとか」
「巫女さんを枕にするといいって聞いたよ」
「スクワット1000回すると元気になるらしいよ」
「むしろ、私達がお姉ちゃんの体内で風邪菌やっつければいいんじゃない?」
「あ、それ名案かも」
会議は一晩中続いた。
◇ ◇ ◇
翌朝、さとりがこたつから這い出ると、こいし達は残らずどこかに去っていた。
お燐に行方を聞いてみると
「あたい、さとり様の絵を描いたんですよ。上手いでしょ?」
と、ぺたんこ裸婦画を見せつけられた。
服はどこいった、さとりは頭を抱えた。
◆ ◆ ◆
夜9時。
今日もこいしは帰ってこなかった。さとりはベッドで寝ようとすると、既に誰か寝ている。
布団をめくってみると、そこで寝ていたのはなんと自分だった。
「ちょ、なんですか貴方は、いきなり」
「こっちの台詞です。なんで私のベッドで寝てるんですか」
「私のベッドだからです」
「いや、これは私のベッドなんですけど。というか勝手に増えないですが」
「話し合いは明日にしましょう。私は寝ます」
「なら私も寝ます」
今来た方のさとりも、ベッドに潜り込んだ。
1人用のベッドだから、2人で寝るには狭かった。
◆ ◆ ◆
夜12時。
ほっぺのプニッを守るためさとり2人はベッドの中にいた。
すると、なにやら枕元に人の気配。
目を覚ますと、さらにさとりが枕元に立っていた。
「あの、私はどこで寝れば……?」
「いや、もうベッドは定員です。こたつで寝てください」
「こたつも私でいっぱいでした」
「……なんでこんなに増えてるのですか?」
「ひょっとして、今晩の夕飯では?」
「夕飯、と言うと……」
さとり達は思い出した。
今晩の夕飯は、珍しく旧地獄街道の屋台で食べた。
そうそう、焼き肉屋『地獄のウォーターメロン・伊吹』という店だった。
そこで、店長萃香一押しの、緑色のキノコの丸焼きをサービスしてもらった。
そうだそうだ、確か6個ほど。
「今、この地霊殿には何人の私がいますか?」
「数えたら7人でした」
なるほど、キノコを噛んだ時、エクステンド音がしたのは今思えば納得がいく。
これは明日には地霊殿拡張工事の必要がある、そうオリジナルさとりが思っていた、ちょうどその時。
『お姉ちゃん、ただいまー!』
もの凄い地響きと共に、999人のこいしが窓から、ドアから、床から、天井から寝室に崩れこんだ。
急激に人口密度が増していく。室内にさとりは3人。こいしは、数える気にもなれない。
「お姉ちゃん、拡張工事終わったよ! 999人だよ!」
「わー、お姉ちゃんも増えた!」
「でも全然少ないよ。もっと増えようよ」
「毛玉妖怪をケンケンパで踏み続ければ、自然と増えるよ!」
「やっててとても楽しいから、明日一緒にやろうよ」
「じゃあ、今日は何して遊ぼうか。学園物もできるよ」
「えー、おやつにしようよ。せっかく健康にいいお茶っ葉買ってきたのに」
「こんな人数じゃ全然足りないわよ」
「そんなことよりシム地霊殿ごっこしようよ」
「じゃあ、お姉ちゃんが主ね。私達がそれ以外」
室内はてんやわんやの大騒ぎ。
これはたまらん、とさとりは布団を深く被った。
「私は寝るんです。何人になろうと、睡眠時間は1人あたり9時間確保なんです」
「そうはさせないよ。 みんな、突撃ー!」
『お姉ちゃーん!』
20人くらいがさとり達の布団を引っ剥がし、そして全員でさとりに向かって飛び込んだ。
日々、睡眠時間をガリガリ削られたさとりに、もうこいし999人を撥ね返すだけのほっぺのプニッはなかった。
◆ ◆ ◆
999人のこいしの突撃ダイブに耐えかねて、ベッドは粉砕、床は崩壊、地霊殿は崩落した。
瓦礫の中、あまりプニプニしなくなっていたほっぺを突かれ揉まれながら、さとりは悟った。
やっぱり妹ウェルカムは7人くらいで止めておくべきだった、と。
赤と緑と青の風船も追加しとこうぜ
取り敢えず俺が一組ひきとってやらう
レベル的には最早死ぬ寸前だなw
なんか嬉しくなるカオスですね。
まさかとは思いますが、その「こいしちゃん」とは、あなたの無意識下の存在にすぎないのではないでしょうか。
もしそうだとすれば、あなた自身が分裂病であることにほぼ間違いないと思います。
皆から衣装を分けて貰ったこいしの姿がマニアックだとか、シリーズによっては999ってカンストしてね?
増えるんだろうと思わせておいて1人しか帰ってこなかったこいしと
なんか良い感じになって終わりなフラグだと勝手に想像してたら
まさかの大群でかえって来て吹いた
つぎは「8」を横にするんですね、わかります
あ、後、靴下にねこみみバンドのこいしちゃんは私がお持ち帰りしました
動くキノコを追いかけて穴に落ちたり
毛玉にB(バースト)ダッシュで突撃したり
亀の甲羅に向こう脛と弁慶の泣き所をダブルヒットさせたりして残機をどんどこ減らしていって下さる筈。
多分、おそらく、きっと。
勝手に持ち帰らないでください。
また、フラッシュ撮影はご遠慮ください。
>01
元ネタ調べました。
知っていたはずなのに、いざって時に思い出せない不思議!
>02
もって行かないで。返して。
そっちで増えたら困るから。収拾つかないから。
>03
ぷにっ☆
>04
レッドゾーンですね。
VIP患者席へどうぞ。
>05
誤変換が生んだネタでしたw
>06
そういうお年頃なのでsだから持ってかないで
>07
もう一踏ん張り、さあ
>08
ゾンビフェアリーなら死んでもぷにぷにしてるさ、きっと
>09
知らなかったので調べてみました。
今度書店で探してみようかしら。
>10
旦那、第3者の米にレスするのはアウトですぜ。
>11
たぶんカンストしてるw
でも前にあたしが作ったゲームは、残機が7桁ありました。
>12
そこら辺は裏切らないこいしちゃん。
>13
せめて有限であってほしいものです。
>14
だから勝手に持ち帰っちゃ駄目だと。
あと、その絵は地霊美術館に行くんだから買わないで。
>15
まさかの二進法ですかw
>16
穴に落ちても飛べるし、毛玉に突撃してもこちらが打ち勝つし、
亀の甲羅に当たってもお姉ちゃんにふーふーしてもらえばへっちゃらだし、
何1つ減る要素が見当たりませんがw
>17
貴公のこいしちゃんと思われるこいしちゃんなら、昨日駄菓子屋で工事用ドリル買ってましたよ。
心配なのは分かりますが、1日くらい帰ってこなくたって彼女なら元気に過ごしてますよ。
>18
ありがとうございます。いや本当に
>19
いやだから持って行っちゃ駄目ですよ~