「私思ったのよ。ヤマメってさ、本当にヤマメなの?」
「なにをわけのわからないことをおっしゃる」
地底での封印を解いたときから、一輪とヤマメはわりかし仲良しだった。
お互い、のんびりとした気性が合うのか、週に一度ぐらいは珈琲なんかをしばいてるのだ。
「だから、ヤマメってもしかしたらヤマメじゃないんじゃないかな? って思って」
「その根拠がわからないなぁ」
ずずっと珈琲を啜るヤマメに、一輪は指をチッチと振って口を開く。
「ずばり、名前よ、名前」
「名前?」
「黒谷ヤマメ」
「あなたは雲居一輪ね」
「私はそこに注目したのよ」
「ふぅん?」
一輪は薄い胸を張ってから、一口珈琲を啜った。
「ヤマメの種族って土蜘蛛でしょ」
「病魔を操るよ。怖いでしょ? 地底の妖怪なんてみんなこんな感じだけどね」
「意外と明るい性格の奴ばっかりだけどね」
「パルスィとかね」
「あいつは暗い。でもぬえと仲良さそうだったわね」
「変人同士、馬が合うんじゃないの?」
「そうかもしれないわね。それはそうと、貴方が黒谷ヤマメかについての考察ね」
「話が逸れたわね。その前に珈琲のお代わり入れてくるわ」
「私の分も。角砂糖三つにミルクたっぷり」
「はいはい」
ヤマメが席を立つ。一輪は指で机をトントンと叩く。
「おまたせ」
「おかえり。にしても地味よね」
「あなたの格好?」
「うんにゃ。この部屋とか」
「地底で着飾ってるのなんて、地霊殿ぐらいのもんさ」
「ふぅん」
必要最小限の物しか置かれていない部屋。
質素を尊ぶ命蓮寺でも、これよりか幾分マシだった。
「なるほどね、これで私の考察にも一層深みが増したわ」
「へぇ」
「聞いて驚くがいいわ」
「わぁ」
「殺風景で女の子らしさがない部屋。種族のくも。そして名前のヤマメ。
この符号が意味するものは一つ」
「すごい」
「くもやま――ヤマメ、あなたは実は雲山だったのよ!」
「クッキー食べる?」
「食べる」
ヤマメが再度席を立った。
一輪はミルクたっぷりの珈琲を啜る。
(そういえば雲山、最近見てないな……)
ただでさえ女性が多い命蓮寺に、入道の居場所はなかった。
ダンボール箱に入れて別れたあの雨の日を、一輪は懐かしく思った。
いっそヤマメに輪っかごとあげれば良かったじゃんか・・・
それに雲山は女の子でsry
今日からあなたが雲山よって言って輪っかをつけるのですね。首に。
後書きは誰に向かって言ってるんだ?下に居る人たちかwww
もうタイトルを真にうけれない
ヤマメさん、あなた蜘蛛なのに珈琲飲んで大丈夫なのか?!
おいィ? お前らは何か聞こえたか?
聞こえてない
何か言ったの?
みたいな流れになっとるwww