Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

不安定

2010/02/20 11:47:32
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今でも私ははっきりと覚えています。

目を覆いたくなる惨劇を、目にした事を。
ものが生々しく軋む音を、聞いた事を。
禍々しい程の鉄の匂いを、嗅いだ事を。

あの曇った寒い日の出来事を。

※※※※※

その日、紅魔館の門番紅美鈴は陰鬱とした気分で職務に就いていた。
美鈴の気分が沈んでいる理由は彼女の所属している門番隊にあった。
門番隊とは名前のとおり紅魔館の門番――外敵から屋敷を守る事である。
通常、吸血鬼のいる屋敷を襲う人間や妖怪、特に妖怪なんて少数である筈なのだが、
紅魔館の地下に幽閉されている現当主レミリアの妹君の狂気に誘われるのだろうか、
頭は弱いが力は強い、割と厄介な妖怪が屋敷を襲ってくる事が多々ある。
そのため、怪我人が出てしまう事も少なくはないし、時には命を落とす者もいる。
実際、つい先日にも門番隊は襲撃してきた妖怪の迎撃に出て、多数の負傷者を出している。
だが、門番隊にとって職務中の負傷、落命は悲しむべきものではない。勿論、悲しくはあるが、
それ以上に大切な仲間を守っての結果ということで名誉な事だと考えるからだ。

しかし、美鈴は今の門番隊のおかれている立場をひどく悲しんでいた。
―――あの子達は精一杯がんばってくれているのになぁと悲しむと同時に、
―――また、嫌な評判が屋敷内で広がりそうだなぁと嘆く。

紅魔館で働くメイドは大きく分けて二種類存在する。内勤メイドと前述した門番隊である。
内勤メイドとは屋敷内で掃除を中心とした家事を担うメイド達の事である。
その内勤メイドの一部分に非常に偏った考えを持つ者が以前より存在している。
彼女達は内勤メイドをお高く持ち上げ、門番隊を無能の輩と馬鹿にしているのだ。

彼女ら曰く、門番隊は碌に迎撃も出来ずに、自分達の仕事を増やす とのことだ。
だが、この言葉は門番隊の職務内容からくる誤解に過ぎない。
確かに門番隊が外敵を抑えられず、門内に侵入されてしまう事は少なくなくはない、
その結果、屋敷の施設が破壊された場合、それを修復するのは内勤のメイドの仕事になる。
だが、門番隊はそれ以上の数の外敵を紅魔館に近づける前に退けている。
ただ、迎撃失敗時の印象の方が内勤メイド達にはどうしても強くなってしまうのだ。

当初は誰も気にしなかった彼女達の風評も今では隊長である美鈴の耳に直接入ってくるほどに
声が大きくなってしまっている。実際、新入りの隊員の何人かが嫌がらせの被害にあった。
装備の一部を隠されたり、破損させられたりしたのだ。それが原因となり、門を破られて
屋敷に被害が出た事まである。しかし証拠がないため報告出来ずにいた。

美鈴は自分の部下が侮辱をされる事や、嫌がらせにあうのが悲しくて仕方なかった。なぜなら、
彼女達がどんな覚悟で自分達より遥かに強大な敵と戦っているのか一番知っていたからである。
妖怪であり武術の嗜みのある美鈴と違い、他の隊員の殆どはお世辞にも強いとは言えない
ただの妖精である。それなのに彼女らは仲間を守るために自ら志願して門番隊に入ったのだ。


この事を内勤メイド長の十六夜咲夜に相談したのは随分前の事になる。

―――その彼女とはもう何か月も顔を合わせていない。

美鈴は意図的に彼女を避けているのだ。事実上の絶縁である。


※※※※※

事の起こりは数カ月前になる。

現・内勤メイド長である十六夜咲夜が生死の境をさまよう重傷を負ったのだ。

屋敷の主であるレミリアからの指示で、人間の里へ買い出しに向かう最中の悲劇だった。

あの日もどんよりした曇りで気温も前夜から低く、今にも雨が降りそうな天気だった。

あの日は連日連夜の激務のため特別に疲労感が強く、熱もあった事を咲夜は自覚していたのだ。
おそらく流行りの風邪でも引いていたのだろう。
そんな中、咲夜は美鈴の心配を振りほどき人間の里へ向かったのだ。今思えば迂闊だと後悔する。
疲労感と発熱のせいで意識が朦朧としながらも里へと向かっている途中で妖怪に襲撃されたのだ。


背後からの殺気を感じて振り向こうとしたが、時は既に遅く右腕に強烈な一撃を受けた。
この時点で右腕の感覚が完全に無くなり、大量の出血のためか意識が更に朦朧としてきた。
時間と止めようと試すが、なかなか成功しない。それどころか、そうこうしている内に
今度は左足が被弾したのか左足に激痛が走った。当たり一面に血の匂いが充満してきた。
このままではまずい、本当に死んでしまう。いや、こんな奴に殺されてなるものかと、
咲夜は混濁する意識の中で必死の思いで時間を停止させ、自分を襲った妖怪の頭部に
残った左腕でナイフを深々と渾身の力で突き立てた。そこまでしか咲夜の記憶にはない。


次に記憶がはっきりしているのは紅魔館内にある医療室内のベッドの中からである。どうやら
自分は助かったのだと咲夜は安堵した。千切れて無くなったとばかり思っていた右腕も健在で
五指の全てが思いのままに動くのを確認したし、左足にも何ら違和感はなかった。

違和感があるとしたら、すぐ側の椅子の上で可愛い寝息を立てている傷だらけの美鈴の姿だけだったが、
咲夜が視線を向けているとすぐさま眼を覚まして傷だらけの体で、咲夜に対してお説教を始めた。
てっきり泣きついてくるかとばかり思っていた咲夜は肩透かしを食らう羽目になった。
それどころか、美鈴は本気で怒っているらしく目に涙を浮かべながら咲夜の迂闊さを責めた。
その中に悪気はないにしろ咲夜の精神に大きな波を立てる言葉が少なくない程度に存在した。

――咲夜さんは『人間』なんですから。
美鈴の何気ないこの一言、一言が一連の騒動の引き金になった。

咲夜が紅魔館でメイドになって間もない頃に、よく影で言われた言葉がある。
「人間のくせに…」という妬みの言葉である。咲夜はこの言葉が嫌いだった。
紅魔館に来る以前、人間の世界に住んでいた時には銀髪という特質な容姿と
時間を操るという異能の力のせいで化物扱いされてきたという辛い過去がある咲夜にとって、
この言葉は何よりも心に重く圧し掛かってきた。他の人間からは化物だと恐れられ、その化物には
人間だと蔑まれる。ならその相反する両方からも疎まれる私は一体何者なのだろうと。私がいてもいい場所なんてあるのだろうかと。誰からも忌避されるのなら消えてしまった方が楽なのではないかと。そんな悩みを持つ咲夜の精神の拠り所になったのが、当時メイド長をしていた美鈴だった。美鈴は咲夜が紅魔館に来たその日から、自発的に咲夜を気にかけ何かと面倒を見ていた。そのため、次第に美鈴の存在は日に日に咲夜の中で大きくなっていき、彼女は咲夜が自分の悩みを打ち明けられる唯一の存在になった。美鈴は咲夜の悩みに対して「咲夜ちゃんは咲夜ちゃんです、それ以外の何者でもありません。そして咲夜ちゃんの居場所はここ紅魔館です。苦しい時もあるでしょうが、頑張っていれば必ず報われますから、それまで一緒にがんばりましょう」と笑顔で応えてくれた。その言葉を信じたからこそ、今までやってこられたというのに、彼女の口から一番嫌悪する類の言葉が発せられたのだ。美鈴の言葉に悪意は皆無だった。しかし、病み上がりで摩耗していた咲夜の精神は過剰に反応してしまった。そしてそれは最悪の結果に繋がっていった。

―――元はといえば、貴方達の尻拭い…屋敷の補修作業での疲労が原因でしょ
―――実際その無様な格好は何?私よりひどいんじゃないの?
―――私より弱くなったし、立場も変わった貴方に、とやかく言われる筋合いはないわ。
―――そもそも、今は勤務時間中の筈よね、何でここにいるわけ?

咲夜は感情に任せるままに数々の罵詈雑言を並べた。どれも美鈴を深く傷つけるものだ。
特に美鈴の性格上、最初に言い放った門番隊への侮辱に至っては、以前に二人きり時に相談まで
されているため、この場で殴られても文句は言えないだろう。しかし美鈴は反論すらしないで、
側に置いてあった松葉杖をついて退室しようとするだけだった。そんな不甲斐ない彼女の姿を見て、
咲夜はもう顔も見たくない、私の前に二度と現れないでと追い打ちまでかけてしまった。

―――過ぎたまねをして申し訳ありませんでした。今後は分をわきまえます。

そう言い残して、美鈴は病室から出て行った。


美鈴が退室した後すぐに、レミリアが見舞いに来た。レミリアが言うには咲夜の治療は困難を極めたらしく、現在パチュリーも寝込んでいるとの事だった。数日間休みをやるから、体調を整えてお礼して回りなさいと言われ、明日にでも即復帰をしようとしていた咲夜は出鼻を挫かれた。じゃ、そろそろパチェの様子でも見てくるわと退席する際に、レミリアに、そうそうここに来る途中に美鈴に会ったのだけど、元気がなさそうだったわ。何か知っている?と聞かれたが、拾い食いでもしたんでしょうと応えておいた。それを聞いたレミリアはそれだけの冗談が言えるならもう大丈夫みたいねと一言だけ残し、姿を消した。



咲夜が自分の掘った墓穴とも言える状況に気が付くのに、そう日にちはかからなかった。
全く美鈴と会わなくなってしまったのだ。いくら紅魔館が見た目以上に広いとはいえ、
生活スペース自体はそこまで広くはなく、食堂なり大浴場なり、それこそ廊下の角で
偶然ばったり会ったとしても不思議ではないというのに、ここ数日間は影すら見ないのだ。
最初は偶然だろとか、間が悪いのだと思っていたが、日数が延びていくたびに意図的な事だと
咲夜は感じ始め、それから美鈴の「気」の能力によるものだと知るのにそう時間は必要なかった。
しかし美鈴が意図的に自分を避けていると知ってからも、咲夜は平然としていた。どうせ、
すぐに根を上げて私のところへ泣きついてくるだろう。美鈴にしては頑張っている方だな。
もし、根を上げ泣きついてきたら私も全てを水に流して、彼女をゆるしてやろう。
きっと私のゆるしを得たら、美鈴は泣いて喜ぶにちがいない。楽しみでしょうがないわ。

―――そんな希望に満ちた未来予想をする余裕すら当初は備えていた。


しかしである。


咲夜が本当の意味で事態の深刻さを知るのは、体調を取り戻したパチュリーに面会した時になる。
咲夜は自分を治療してくれた事の礼を彼女にした際の事である。パチュリーの口から意外な人物の
名前が出てきたのだ。その人物とは久しく会っていない美鈴だった。何故、今美鈴の名前が出てきたのかをパチュリーに尋ねたところ、彼女は非常に驚いた顔をして、逆に質問してきた。あなた何も覚えていないの?そして、聞いていないの?と。何の事ですか?と再び尋ねたところ、呆れた顔をされた。

その様子じゃ本当に何も知らないのね。いいわ、私から説明して上げるわ。

いい?あなたをここまで連れてきたのは美鈴なのよ。あなた覚えている?あなた妖怪に食べられかけていたのよ?そんな筈はない、仕留めた筈だ?そうね、確かにその妖怪の頭部にはあなたのナイフが柄の近くまで刺し込まれていたらしいわ。相手がもし人間なら間違いなく即死させられた一撃でしょうね。だけど今回の相手は妖怪よ、頭にナイフを刺したところで致命傷になるかは微妙だわ。美鈴によくナイフを刺しているあなたなら知っているでしょ?実際あなたを捕食しようとしていた妖怪はナイフを刺したままで、あなたを食らおうとしていたらしいわ。そこを異変に気付いた美鈴が助けたってわけ。

本当に覚えていないの?そう続けるわね?美鈴に担がれたあなたを見た時は、正直手遅れだと思ったわ。だって右腕は肩口から無くて、左足も半分しか残っていなかったのよ?おまけに腹部からは内臓が零れているしまだ生きているのが不思議だったわ。え?私のこの右腕と左足はなんなのかって?それも今から説明するわ。美鈴は直ぐに治療してくれと頼み込んだ。しかし、その時のあなたの状態はとてもじゃないけど、治療術そのものに耐えられないくらいに衰弱しきっていた。その事を美鈴に伝えると彼女は自分の「気」をあなたに与え始めたの。彼女に「気」の能力にそんな効果もあると、私はその時初めて知ったわ。おそらく、ここに運んで来る最中にも「気」を与え続けていたんだと思うの。だってそうじゃないと、どう考えてもここに来るより先に死んでしまうような怪我だったもの。それで、美鈴の「気」のおかげで一時的とはいえ、体力が戻ったので私は治療術を開始した。だけど、私の治療術だけでは欠損した体の部位は再生出来ない事を美鈴に告げたの。何か代わりになる触媒が必要だったのよ、この場合は人間状の手足ね。その事を告げたら、美鈴は何の躊躇いもなく自分の右腕と左足を自ら切り落とし、これを使って下さいと懇願してきたの。流石に驚いたわ、目の前で自分の体をスパって切るんだもの。長年生きているけどあそこまで衝撃的な事件はそうそう御目にかかれないわ。

そのあと美鈴の体の一部を追加で触媒として使用して治療術を続けたわ。あら?気分が悪そうね。ごめんなさい、お互い病み上がりにはキツイ話になるものね。これくらいにしておく?大丈夫、だから続けろ?わかったわ、でも無理はしないでね。せっかく、美鈴が文字どおり身を削ったというのにまた倒れられたら困るわ。では続けるわね。美鈴が提供した腕と足の事なんだけどね、確かに本体が人型をしているだけあって、基本的な作りは同じだったみたいで、触媒として十分機能してくれた。だけど、「人」であるあなたに「妖怪」の美鈴の部位はきつ過ぎたみたいで、色々と障害が出てきたのよ。例えば切り口同士が結合したとしても、ちゃんと固定まではされないだとか、本体であるあなたの体に拒否反応が出たりとかね。これも私だけでは解決出来なかったわ。だけど、その問題も美鈴のおかげで乗り越えられた。彼女は傷ついた自身の体の事なんか気にした様子もなく、あなたの体に「気」を流し続けたの。詳しい事は本人に聞かなければ分からないけど、おそらく自分の手足があなたの体と同化出来るように、切り取った自分の部位の持つ「力」を弱めた…と言うよりはあなたの体力や回復力に変換したんだと思うの。きっとそれだけじゃないわ、切断した自分の四肢を再生する力まで、あなたに提供していた筈よ。事実、私が当初予定していた時間より遥かに早くあなたの肉体の治療が終わったし、妖怪としても異常なまでの生命力とそれに伴う再生能力を持つ美鈴が、手足と他一部を失ったといって倒れてしまうわけないもの。…その後、私も倒れたんだけどね。

ここから先の話は小悪魔から聞いた話になるけどいい?わかった、続けるわ。小悪魔が言うには美鈴は一時間も経たない内に起き上ったらしいわ。そして、再びあなたに「気」を与え続けたらしいのよ。いくら体は元に戻っても、以前として体力は乏しかったからね。それに、私の治療術は完璧だけど完全ではないの。怪我を癒せるには癒せるのだけど、その後は怪我をした本人の体力と精神の勝負になるの。それを知ってか、知らなかったかは定かではないにしろ彼女はあなたに「気」と言う名の自分の生命の源を送り続けたみたいね。しかもあなたが目覚めるめでの数日間、暇な時は常に「気」を送っていたらしく、未だに四肢が再生しきれてないみたいね。あれ多分不眠不休であなたを介護していた結果の筈よ。私が言うのも変なのだろうけど、この頃の彼女凄く不健康そうだもの。

それだけの事を一気に話したパチュリーは最後にこう付け足した。

あなた、本当に愛されているのね


※※※※※

咲夜はここにきてやっと自分がおかれている状況を理解し、体感した。
いや「おかれた」というよりも「自ら招いた」という方が正しいのかもしれない。
文字どおり身を切り、精神を磨り、生命まで削ってまで助けてくれた恩人に対して、
自分の犯した愚行を嘆いた。美鈴は自分のところに来るのを我慢しているのではない、
そもそも来る気が毛ほども無いという事実、自分の言葉を真に受けて顔を見せないのではなく、
美鈴本人の確固たる意思で自分の事を避けているという真実は重く咲夜に圧し掛かった。
それだけではない、外敵の駆除中に負った怪我のためにしていたと思っていた包帯の奥には
癒すべき部位など無く、ただ美鈴が自分を心配させないように欠損を隠していたという事は
咲夜に深い後悔と重い自己嫌悪を与えるに相応しいくらいの衝撃だった。

何が「美鈴をゆるしてやろう」だ、泣きつき赦しを乞うのは自分の方ではないか。
今すぐにでも彼女へ謝りに行くべきだということ咲夜は自分でもわかっていた。
しかし、どう謝ればいいのだろう。知らなかったでは済まない誤り方を自分はしている。
仮に言葉ではゆるしてくれたとしても、ただ体裁良く追い払われているだけかもしれない。
それでは意味がない。自分は彼女の本心からの暖かい笑顔を再び見たいのである。

―――もう二度と以前のような、暖かな関係には戻れない

妖怪を相手にする時でさえ押し込められていた恐怖心が咲夜の胸中に漏れ出してきた。

※※※※※

美鈴を最後に見た日から三カ月を過ぎた頃に、咲夜は新たな恐怖に遭遇した。

人間は悠久の時を生きる妖怪達と違い今を生きる存在である。そのため過去の出来事は
準次記憶から削除されていく。無論、全てを完全に忘却するには長い時間を要するため
そうそう困る事はない。しかし詳細な記憶は確実に磨り減っていくものである。

かつて周りの人間達に化物扱いされてきた咲夜も、この記憶に関しては何ら特異な点はない。
昔の事は忘れ、新しい事を記憶するこの繰り返しである。勿論、以前の事とはいえ頻繁に
使用する知識や、技術を忘れる事はない。何故なら日々それらは「更新」されていくからである。
しかし逆を言えば「更新」されない事柄は忘却の彼方へ次第に消え逝くことを意味する。


三か月、「更新」されない情報が磨り減っていくのには十分な時間であった。

―――美鈴の事が思い出せない。

と言っても美鈴が誰なのかを、咲夜が思い出せないという意味ではない。
仮に会える事さえ叶えばすぐに分かるが、会えない、というか美鈴に避けられる。
そのため今、美鈴の事は記憶を頼りに思い出すしかない状態に咲夜はおかれている。
しかし、その記憶に問題が生じてきたのである。咲夜の持つ美鈴の記憶が劣化してきたのだ。
美鈴の暖かな笑顔には霞が、優しい声にはノイズが、慣れ親しんだ仕草には虚像が
それぞれかかってきたのだ。咲夜はひどく焦ったが、どうしようもなかった。

これもまた自分で招いた結果であった。パチュリーから事の真実を聞いた後の一カ月の内
一時期だけではあるとはいえ、咲夜は美鈴の事を意図して忘れようとしたのである。
未来へ向けての過去とのお別れのような肯定的で前向きな態度ではなく、
嫌な事から逃げ去るような過去との断絶という否定的な態度によってである。
流石に一週間もしないうちに、自ら過ちに気付いたとはいえ、かなりの情報が失われた筈だ。

―――自業自得よね

咲夜は自虐的になりはじめていた。


※※※※※

更に一カ月が経った。

この一カ月、咲夜は幼い頃からの美鈴との記憶を振り返る事を日課にしていた。
出来るだけ記憶の摩耗を防ぐためであると同時に、軽い現実逃避のためである。

思い出の中の美鈴はいつも優しく笑い掛けてくれていた。咲夜が幼少の頃からである

咲夜が仕事を失敗したとしても、怒らずに優しく手解きをしてくれた。夜に怖くなったり、寂しくなったりしたら一緒に自分と寝てくれた。一部の心無い妖精メイドからの嫌がらせから自分を守ってくれた。美味しいご飯を作ってくれたし、作り方を教えてくれた。自分の身の守り方を教えてくれた。迷ったらいつでも相談してくれた。自分がメイド長に就任した時も色々と便宜を図ってくれた。そしていつも自分に笑顔をくれた。しかも今度はあまつさえ、美鈴は自分の四肢と生命の源流の一部を賭して、自分の命を助けてくれた。

―――そして、誰からも忌避された自分を愛してくれていた。

思い返してみると美鈴からは貰ってばかりだと、咲夜は痛感した。

――その恩人に私は何をした?

――深く抉り取るように傷つけた。

現実逃避のための追憶は自問自答という形で現実と対面させてくれる。
そのため、楽しい筈の思い出の再確認すら最後には悲しみで終わってしまう。
今にも、過去にも逃げ場などなく、あるのは咲夜が自ら招いた現実だけであった。


※※※※※

美鈴を最後に見てから四カ月目になって咲夜は彼女を見る事が出来た。

ただし、見られたのは後ろ姿と横顔だけである。咲夜が館内の掃除をしている最中に
ふっと外を見てみると、庭園のすぐ側で自分の部下達と楽しそうにしている美鈴がいたのだ。
おそらく訓練の合間の休憩でもしているのだろう、美鈴は部下の子と笑顔でじゃれていた。

気が付けば咲夜は時間を止めていた。

そして、時間を止めたまま庭園の方に向かって行った。美鈴を見るためにだ。

時間を止めているというのに、咲夜はおそるおそる近づいていった。
近づき過ぎると解除後に、匂いや気配の残滓で気付かれるかもしれない。
そう思い咲夜は触れたいのを我慢して、ある程度の距離を保ったままで、
美鈴の姿を、笑顔を停止した世界でどうどうと盗み見る事にした。

美鈴の笑顔を盗み見るこの方法自体は、実を言うと以前から咲夜は考えてはいたが、
自分が盗み見る美鈴の笑顔は、所詮は自分以外の他の者に向けられていて意味がない
と思っていたために実行に移される事は今までなかった。しかし、楽しそうな美鈴の
様子を遠目とはいえ目にしてしまい、遂に制止がきかなくなった。

久々に美鈴を見られる、その一念が理性を超えてしまったのだ。

停止した世界の中とはいえ、実に四カ月ぶりに美鈴の姿を咲夜は見た。
既に四肢は再生されていて、包帯はどこにもしていなかった。少し安堵した。
そして、お目当ての彼女の笑顔は昔と変わらない暖かなままであり懐かしかった。
元気な美鈴を見ていると、咲夜は直に彼女に触れたくなってきた。美鈴を抱き締めたかったし、
美鈴に抱き締めて貰いたかった。しかし、それをすれば感覚の鋭敏な美鈴には、
時間停止を解除した後にきっと感づかれてしまうだろう。そうなると全てが
終わってしまう気がしたので咲夜は名残惜しそうに、いったんその場を離れて、
能力を解除した後に、美鈴に気付かれていない事を確認してから自分の職場に戻った。

※※※※※

停止した世界で美鈴を盗み見るようになってから二週間が過ぎた。
しかし、満ち足りたのは最初の頃だけで、だんだんと虚しくなっていた。
いくら咲夜が美鈴を見ようとも、美鈴は咲夜の事を見てはいないのだから当然である。
こんな虚しく、卑怯な行いをするよりも、赦しを乞いに行くべきではないかと、
咲夜が再び深く悩み始め、仕事にも身が入らなくなった頃に事件は起こった。


「お嬢様が今から買い出しへ行けと?」

紅魔館地下に存在する倉庫内で咲夜が茶葉の在庫とその種類の確認作業をしていると、
意地の悪そうな顔をした妖精メイドがやってきてレミリアからの命令だと咲夜に伝えた。

遂にお嬢様にも愛想を尽かされたか

今までならレミリアは咲夜に対する命令や頼み事は内容に関系なく、他人を介さずに
直接咲夜に伝えてきた。それはレミリアにとって信頼の証だった筈だ。しかし、今回は
妖精メイドを使って伝えてきた。これの意味するところは、ただ一つだ。美鈴だけでなく
主人であるレミリアにまで咲夜は厭われるようになったと言う事だ。理由は一つしかない。
近頃の咲夜の失敗の連続であろう。仕事中に集中出来なくなったのだ。最初は小さなミスを
度々犯す程度だったが、だんだんと大きなミスを犯すようになっていった。そして、とうとう
この結果である。本当に居場所がなくなったのだ――咲夜の精神は完全に打ちのめされた。


※※※※※

まるであの日の様な曇天の中咲夜は一人、とぼとぼと里へと向かっていた。
レミリアからの命令に従い、人間の里に買い出しに行くためである。
ただでさえ、曇っているのに夕方に差し掛かる時刻だけあって辺りは薄暗かった。
咲夜の心はそれ以上に暗く、沈んでいた。この数カ月だけで多くのものを失ったからだ。
しかも、それは事故や天災などの不運なんかではなく自分自身で招いた過ちの結果としてだ。
これから私はどうすればいいのだろうか、このまま紅魔館にいてもいいのだろうか、
お嬢様からのこの命令も本当は出ていけという意味なのではないだろうか等と、咲夜が
悲観的な考えに浸っていた時である。

目の前にかつて自分を捕食しようとした妖怪が現れたのだ。厳密に言えば、違う個体で
同種なだけであろう。しかし、そんな事この際は些事である。仲間の報復か、それとも
偶然か前回と同様に今回も咲夜を捕食しようとしている。咲夜は戦うために身構えようとした。
しかし同時に、このまま食われてしまう方が、楽なのではないのかという自殺願望にも似た考えが
脳裏をよぎった。そのため全身に力が入らず、それどころか脱力してしまった。どうせ生きていても
居場所なんかないし、もう誰からも愛される事もない。ならここで潔く死のう。咲夜が死に甘んずる事に委ねたのを見計らってか、目前の妖怪が爪牙と食欲をむき出しに襲いかかってきた。

―――不出来な従者でご迷惑おかけしました、お嬢様、パチュリー様。

―――そして、ごめんなさい美鈴。そしてさようなら

咲夜は目を瞑り自分の死を待った。

しかし、死はなかなか訪れない。これが走馬灯というやつだろか、そのわりには
瞼の裏に何も思い出や記憶が再生されてこない。自分らしいと言えば自分らしい、
果たして自分の逝く先は天国なのだろうか、地獄なのだろうか。確実に後者だろうな。


それにしてもおかしい。いくらなんでも遅すぎる。そう思い咲夜は目を開けてみた。

そこには自らを盾にして、外敵から咲夜を守っている紅い長髪の妖怪の背が見えた。


その光景を見て咲夜の頭に真っ先に浮かんだものは「疑問」だった。何故、ここに
彼女がいるのだろう。咲夜には分からなかった。何故、彼女は――美鈴は自分なんかを
守ってくれているのだろう。彼女は心の底から私の事を憎んでいたとしても不思議ではない筈だ。
だが、目の前にはその彼女が血を流しながら身を挺して外敵から守ってくれている姿がある。

美鈴の足元には血だまりが出来ていた。おそらく相手の爪牙をまともにくらったのだろう。
そしてその血だまりは未だに大きくなりつつある。美鈴は咲夜を守っているのではなく、
その身で庇っていたのだ。咲夜が全く抵抗しなかったために、咄嗟に敵と咲夜の間に
割り込んだところまではいいが、肝心の防御が間に合わなかったのだろう。

…大丈夫ですか、咲夜さん?

振り返らずに美鈴が声を掛けてきた。
痛みを堪えているのを隠そうとしたのだろうが、声の端が揺れている。

―――――ッ!

言いたいや聞きたい事がたくさんあり過ぎて声が出ない。
そんな中でやっと口から出せた言葉は…

―――美鈴?

情けないが、今の咲夜にはこれが限界だった。


※※※※※

…大丈夫みたいですね。

大丈夫ではない自分の体を隠し美鈴は返事をした。
まともに一撃を受けた腹部からは血が流れ続けている。

状況は決してよくない。気を抜くと力負けしてしまう。そうなれば後ろにいる咲夜にも
被害が及んでしまうだろう。それだけは何とかして防ぎたい。妖怪の自分はともかく、
咲夜は他の人間と比べて強いといっても、人間である以上はちょっとした事で死んでしまう。
前回は自分の不注意で、大怪我を負わせ死なせかけてしまった。あんな事はもうたくさんだ。
だから、今回こそはきっちり守りきらなければいけない、例えこの身に代えても必ず…

美鈴の悲壮な覚悟を嘲笑うかの如く状況は悪化の一途を辿るしかなかった。
防戦一方のために力負けしはじめてしまい、確実に追い詰められていっているのだ。
もし、美鈴が咲夜の事を気にせずに攻勢に出られれば、形勢は瞬く間に逆転するだろう。
しかし、咲夜に被害が及ぶ事を何としてでも阻止したい美鈴にそれは出来る筈のないことだ。
だというのに肝心の咲夜は放心したままで、その場から動けるような状態ではない。
そのため、不利を承知で美鈴は防戦に徹しているのだ。それも限界が近い。

…咲夜さん、しっかりして下さい。そこから逃げて下さい!

美鈴が必死に叫んでも、放心している咲夜の目に光は戻らなかった。

一言喋るだけで負傷した腹部に激痛が走り、力が抜けかける。このままだと二人とも
じきに殺されてしまうだろう。そう判断した美鈴は新たな覚悟をした。捨て身である。
いや正しくは「肉を切らせて、骨を切る」戦法だ。美鈴は自分の左腕にわざと敵の爪を
喰い込ませた。当たり前だが皮は破れ、血は流れ、肉は裂かれ、骨は軋んだ。だが左腕を
代償にする事で敵の右腕を、残った自分の右腕の手刀で切り落とした。敵は自分の片腕が無くなった事に動揺し一瞬だけだが怯む。その隙を美鈴は逃す事無く、欠かさず右足で妖怪の下顎を狙い一撃必殺の蹴りをはなった。しかし、偶然か意図した事かは分からないが、美鈴の蹴りが当たる瞬間に妖怪が口を僅かだが開けたのだ。そのため美鈴の蹴り―――右足は敵の口に呑みこまれるような形で直撃した。

そこには強靭な牙が大小入り混じり生えており、そのため美鈴は自分の右足の肉を自ら削る事になった。
妖怪も無事ではなく顔面は潰れ、頭骨は粉砕され、美鈴の足の肉を削いだ牙も殆どが砕けてしまった。
流石にもう死んだだろうと思ったが、念を入れるために美鈴は最後の力を振り絞り妖怪の首を刎ねて、胸部の中心も潰しておいた。妖怪の胸部を潰す時に、ここまでされて蘇生出来るのは、お伽噺に出てくる不老不死の薬を飲んだ者だけだろうなと美鈴は思った。そこで限界がきて、立っていられなくなった。

―――思っていたより早いですね

右足の負傷が想像以上に深く、それに伴う出血も多かったのである。
そのため、美鈴と頭部と胸部、右腕を破壊された妖怪の屍の周りには血の海と化していた。

―――暖かい…

美鈴はその血の海の中に沈むように倒れ込んでしまった。


※※※※※

―――――っ!!

美鈴が崩れ落ちる光景を見て咲夜は声にならない声で悲鳴をあげた。
ここにきてやっと、放心から抜け出せたのだ。

しっかりして、美鈴!

倒れた美鈴の元に近づき、咲夜は抱き締めるような形で美鈴の上半身を引き起こした。
既に意識はないが呼吸はしている。生きてはいるようだが、人間ではまず助からない程の
重傷である事に変わりはない。例え妖怪でも危険な容態であろう事は瞬時に咲夜は理解した。
一刻一秒を争う、一秒でも惜しい、寸暇を惜しむそのような言葉に相応しい状況であった。

咲夜は一秒の無駄もなく、美鈴をパチュリーの元へ運ぶ必要があった。それゆえ咲夜は
自分より背丈のある美鈴を腕に抱え、尚且つ時間を停止させた状態で紅魔館まで運ぶという
神業とも荒業とも言える行動に出た。美鈴を抱えて運ぶ事には膨大な肉体的負担がかかり、
そのあいだ時間を停止させ続ける事は莫大な精神的負担が咲夜を襲う。

しかし、咲夜はその二つの尋常ではない苦痛に耐え抜き美鈴を図書館まで運ぶ覚悟をした。

――美鈴に死んで欲しくない。 ――美鈴に元気になって欲しい。 ――美鈴に生きて欲しい。
――美鈴に謝りたい。     ――美鈴にお礼を言いたい。   ――美鈴に恩返しをしたい。

美鈴と仲直りしたいだとか、また笑いかえて欲しいだとか、再び愛して欲しいだとか
そんな邪な欲望とも言える下種な願望など一切持たないで、ただ美鈴への想いだけを心に宿し
咲夜は停止した世界の中、自分を庇い傷付いた美鈴を腕に抱え紅魔館へと急いだ。


※※※※※

美鈴を腕に抱いた咲夜が突然目の前に現れたので、図書館の主パチュリーは心底驚いた。
しかも美鈴は腹部と手足に重傷を負っていて血まみれ、咲夜は心身ともに満身創痍の状態で
目には涙を湛えているという有様ある。これを見て驚くなと言う方が酷である。

お願いですパチュリー様、美鈴を助けて下さい!

とうとう我慢出来なくなったのだろう。大粒の涙で頬を濡らしながら咲夜は懇願した。
パチュリーは机の上の本をどかせて、そこに美鈴を寝させろと咲夜に指示をしただけで、
あとは何も喋らないまま、素早く治療術の準備を始め早々と治療を開始した。

美鈴の傷は出来て間もないようで、血も止まっていなかった事をパチュリーは疑問に思った。
その事を咲夜に聞くと、彼女は時間を止めた状態でここまで運んで来たという信じられない
言葉を口にした。話を聞く限り事件現場と紅魔館との距離は決して近くはない、その道のりを
美鈴を腕に抱いて歩くだけでも大変だろうに、そのあいだ時間停止を維持し続けたと言うのか。
そんな事は生身の人間のする事ではない。下手をすれば道中で力尽きてしまうだろう。

咲夜、あなたはもう休みなさい。後は私が何とかするから。

もう咲夜には体力も精神力も残っていないだろうと判断し、パチュリーは彼女に勧告した。
しかし、咲夜は首を縦には振らず。この場に自分も留まると言って耳を貸そうとしない。
このままでは埒が明かない、せめて椅子に腰掛けるようにと咲夜に言った。だが、咲夜は
それすら聞かずに美鈴の側から離れようとしない。仕方がないので言葉を変えてみた。

あなたがここにいても邪魔なだけなのだけど?

この言葉には咲夜の意地も挫けた。美鈴をお願いしますと一言だけ言って、
その場から離れようとした。その咲夜にパチュリーは何かあったら一番に呼ぶから、
それまで部屋で休んでおきなさいと言葉を投げ掛け、美鈴の怪我は軽くはないが、彼女のずば抜けた
生命力なら大事には至らない筈だと付け足しておいた。事実、治療を開始して間もないというのに
出血はほぼ完全に止まっており、肉や骨の再生も始まっているのか生々しい音が聞こえている。
例え、このまま治療術を止めて、野晒にしていても生き延びるのではないだろうかと思わせる程の
再生力である。これも「気」の効果なのだろうか?それにしても異常である。吸血鬼であるレミリアなら四肢の再生など瞬時に行えるが、その代わり種族特有の弱点や脆弱性がある。それに比べて美鈴にはこれといった極端な弱点はない。というより何の妖怪なのかも分からなかったし、本人は妖怪だと主張しているが本当に妖怪なのかも疑わしい。年齢をはじめ生命力や再生力、腕力を考えると人間ではない筈、本当に不思議な存在である。この際、解剖でもして確認しようかしら?パチュリーは割と本気でそう考えたが、その後に激昂した咲夜に挽肉にされてしまう事は目に見えているので止めておいた。


※※※※※

咲夜は部屋で塞ぎ込んでいた。パチュリーには休めといわれたが、そんな気にはなれなかった。
部屋に戻る途中の廊下で擦れ違った妖精メイドは皆、驚いた顔で美鈴の血に染まった咲夜を見て、
心配そうに声を掛けてくれた、中には顔面蒼白になりその場から逃げる様に去って行く者までいた。
また、部屋に戻る前にレミリアに報告しようとしたが未だ就寝しており、それは叶わなかった。

―――美鈴、大丈夫かな…

パチュリーは命に別状はないと言ったが、咲夜は不安で胸が潰れそうになる。

―――私はまた美鈴を傷つけてしまった…

もし自分があの時に抵抗していれば、咲夜はこんな事にはならなかった筈だと後悔する。

―――そして私は美鈴に何も返せられない…

美鈴は自分のために生命を捧げてくれたのに、咲夜は何も出来ない自分の無能さを責めた。

そんな時である。

―――!

咲夜は今回の事件の核心に少しだが触れた…色々と不自然な点があるのだ。
こんな事をしている場合ではない。咲夜は全てに決着をつけるために立ちあがった。


どうやら今後の相談をしていたのであろう。紅魔館の離れにある使われなくなった物置小屋の中に
彼女達は集まっていた。一度とならず、二度も自分達の練った目論みが外れたのだ。
そろそろ足が付いてもおかしくない、即急的に次の手を打つか諦めるしかないと激しく
議論していた。その議論の白熱ぶりは咲夜の接近に全く気付けない程だった。

――あら、皆さんお揃いで。何を話しているのかしら?
――私も話しに混ぜて下さらない?

咲夜は可能な限り平静を装い、議論中の彼女達――数人の妖精メイドに声を掛けた。

※※※※※

――何で、あなたがここにいるの…?

妖精メイドの一人が咲夜に戦々恐々として、微かに震えた声で問うた。

――屋敷内の見回りの途中に話し声が聞こえ、不思議に思ったからですわ
――それより何を楽しそうに話しておられるのですか?
咲夜はこれでもかというほど白々しく応えた。声音は冷静だが、心中は荒れるに荒れていた。

――ふっ、ふざけないで――――ッ?!
激昂した妖精メイドの一人が、おそらくリーダー格が咲夜に喰ってかかってきた。
しかし、最後まで言葉を発せられなかった。彼女の右腕が体から取れて地に落ちたからだ。

――質問に質問で返そうとしましたので罰ですわ。
咲夜は平然とした声で自らの凶行の理由を説明した。

――いっ…いきなり何を―――ッ?!
今しがた右腕を失くしたと言うのに、未だ熱の冷めない彼女の左足が半分ほど音も無く切り取られた。

――同じ事を二度も言わせないで下さらない?無駄というやつですわ。
これまた平然とした口調で咲夜は彼女に声をかける。

――のくせに…
立っていられなくなり、その場に崩れ落ちた彼女は何かを呟いた。
その刹那、今度は彼女の左腕に大きな刺傷が二、三ほど生じる。

――聞こえませんわ、もっと大きな声でお願いしますわ。
本当はしっかりと聞こえていたが、咲夜はもう一度同じ言葉を言わせた。

――間のくせに…
先程よりはいくらか大きな声で彼女はその呪いの言葉を口にした
それと同時に彼女の右足は一瞬で挽肉みたいに削りとられた。

――もう少し大きな声でお話頂けませんこと?
――先程お伝えしましたよね?私は無駄が嫌いなのだと
無駄な事をさせているのは咲夜の方なのだが、少しも気にせずに言い放つ。

――『人間』のくせに!!
渾身の力を込めて彼女は咲夜に向けて呪詛の言葉を吐きつけた。

――困りましたわ…、こうもお話が通じないなんて
――私は「あなた達のしていた話の内容」を尋ねていますの
――そんな言葉は求めていませんのよ?

咲夜のその言葉が、この世で彼女の聞いた最後の言葉になった。
咲夜は表情一つ変えずに、玉響に彼女の首を刎ね、胸部を潰したのだ。

――お話が出来ないのなら、あなたは不必要ですわ。

彼女は断末魔を上げる暇なく自身の血で出来た海の中に沈んでいった。
そんなに広くはない物置小屋の中に非常に濃い血の臭いが漂う。
誰一人として声一つあげられないで、その場から動く事も出来なかった。
―――ただ一人、咲夜を除いて。

異様な光景である。目の前で共犯者が屠殺されたというのに逃亡はおろか
命乞いの声すら聞こえないのだ。優れた猟犬は威圧により獲物をその場で縛り付けられると
いう。そして咲夜はよく躾けられた優秀な猟犬である。そのため、他の妖精メイドは
一歩も動けないまま、一言も喋れないままその場に立ち尽くすしかなかったのだ。

死の恐怖が支配する物置小屋の中で、咲夜による「尋問」は続いた。
リーダー格の妖精が斃されてから、やっと他の妖精達は事の全貌を話す気に
なったようで、我先にと一連の計画について咲夜に話し始めた。その様子はまるで
命乞いをしているようで、咲夜には滑稽に見えたが話の内容は到底笑えるものではなかった。

どうやら、ここにいる妖精達は紅魔館に『人間』が存在する事自体が気に食わないらしい。
しかも、その『人間』はレミリアをはじめ多くの紅魔館の古参に気に入られ、あまつさえ
自分達の直属の上司にまでなってしまった。この事が彼女らの自尊心を深く傷つけたという。
どうせ『人間』だ。ほうっておいても数十年後には勝手に死んでいまうだろうが、それなら
憂さ晴らしがてらに謀殺してみるのも面白い。機会をみて是非とも消えてもらおうか。


そして、時期を見て計画を実行に移した。ここにいる妖精達は気温が下がりはじめた頃から
咲夜の仕事が増えるような失敗を意図的に連発して、咲夜が昼夜問わず走り回らざるをえない
ようにしたのだ。妖怪や妖精ではなく、体力的にはただの人間である咲夜は徐々にだが、
体力を奪われ、体調を崩していったのだ。それだけではない、ただの嫌がらせに見せかけて
門番隊に対して様々な妨害をしかけたのである。その結果、門番隊は任務を失敗する事が
少しずつ多くなり、それに伴い屋敷の修復作業もその回数が増えていった。それこそ
屋敷の修復はレミリアの特性上、最優先事項のためどうしても徹夜作業になってしまうのである。
咲夜は役職上、毎回寒空の中徹夜で修復作業に立ち会わなければならない。その回数が
増えたのである。ただでさえ奪われていた体力が更に失われ、体調も悪化していった。
それを見計らって妖精達は遠まわしにあの妖怪をどこからともなく手配したのだ。

そしてあの日、計画は最終段階に入り咲夜は彼女らの罠にまんまと嵌り、死に瀕したのだ。

しかし、予想外の展開が彼女らを待っていた。門番隊隊長・紅美鈴の救出劇である。
それが原因で咲夜は冥土の縁から生還し、彼女らの暗殺計画は失敗したと思われた。

ところが後日、咲夜と美鈴が仲違いをした事を知った彼女らは即座に次の計画を練った。
元より考えられていた事ではなかったが、目的遂行には絶好の機会だと踏んだためである。
咲夜と美鈴の深い関係を知っていた彼女らは、これで咲夜が弱っていくと予想したのである。
彼女らの予想は面白いように順調に現実化していき、咲夜の精神は確実に摩耗していった。
そして、今日の夕方を暗殺決行の日と定め、精神的脅威を煽るため前回と同じ妖怪を手配し、
レミリアからの偽りの命令を使って咲夜を襲撃予定地点まで誘い出す事に成功したが、
再び美鈴による妨害が入り、彼女らの作戦は今回も完全に潰えたのである。

――だから美鈴は昔から私の事を気にかけてくれたのか。
自分の暗殺計画を聞かされたというのに、咲夜の頭は美鈴の事でいっぱいになった。
どうして美鈴は昔から自分を気にかけていてくれたのか、分かったからである。

美鈴は一部の妖精メイドが偏狭な考えをしている事に遥か以前から気付いており、
彼女らが紅魔館に来たばかりのまだ幼い咲夜に対し手をださないか常に警戒していたのだ。
しかし、確固たる証拠がないため今は咎める事は出来ないし、手遅れになる可能性もある。
そのため、咲夜が紅魔館に来たその日から、彼女を意識的に気にかけ世話をする事で、
美鈴は咲夜を悪意から守ろうとしていたのだ。そのおかげで咲夜は陰口を言われても
直接的な――傷つけられたり、持ち物を盗られたり等の嫌がらせは殆ど受けずに済んだのだ。

――なかなか楽しいお話でしたわ
――私はこのまま部屋に戻りますわ、皆さんお休みなさい。
――永遠にね。

そう言って咲夜は時間を止め、ゆっくり丁寧に彼女らの首を全て刎ねた。
その後一人ずつ細心の注意を払い、右腕を断ち、左足を切り、左腕を穿ち、右足を削った。
そして最後に冥土への土産がてら胸部にナイフを突き刺した後、自分の部屋へ戻った。

――ちょうど建て直しを考えていたし、明日にでも小屋ごと燃やそう。
咲夜は後始末を考えながら自室へと足をむけた。

自室に戻り咲夜は湯を浴びる事でむせ返るような血の臭いを消しさり、
水を少し飲んだ後にパチュリーの指示に従い横になり少し休む事にした。
といっても完全に眠るわけではない。もうすぐレミリアが起きる時間だからだ。
主人が起きたというのに、自分が寝ていては本当に従者失格になってしまう。
加えて、レミリアへの一連の出来事の報告も咲夜は考えなければならなかった。


※※※※※

美鈴の意識が戻ったとの知らせが咲夜のもとに届いたのはレミリアの起床時刻の
ほんの少し前だった。そのため咲夜はまずレミリアに事の顛末を伝えようとしたが、
既にレミリアは図書館にいるとの事だったので慌てて咲夜も図書館へと向かった。

咲夜の胸中には安堵と同時に不安という真逆の感情が立ち込めてきた。
自分のせいで一度だけでなく精神的、肉体的と二度も美鈴は酷く傷ついてしまった。
美鈴が意識を取り戻した事は嬉しい、だがどんな顔をして会えばいいのだろう。
そんな風に考えながら咲夜は一人、図書館へ向かっていた。咲夜は内心
図書館に行かずに逃げたくもあったのだが、それ以上に美鈴に会って自分の感謝と
謝罪の想いを――その結果がどうなろうとも――咲夜は彼女に伝えたかった。
しかし、溢れる出る感情とは裏腹に、美鈴への言葉は全然見つからなかった。

気が付けば咲夜は図書館の前まで着いていた。

気を整え館内に入り、美鈴を寝かせたパチュリーの机までゆっくりと歩を進める。
先行したレミリアをはじめ皆何かを話しているようだったが、すぐに咲夜に気付いた。
無論、その中には意識を取り戻した美鈴の姿もあり、咲夜は少し緊張した。

――ちょうどいいところに来たわね。
パチュリーが口火を切った。
――そろそろ机を返して欲しいの、早く読書に戻りたいわ。
――だから、この子を医療室まで運んでくれない?
――まだ自分一人では歩けないのよ。

咲夜は戸惑ったが、この場にいる人物の中でその役目こなせるのは自分しかいないと
分かると、すぐさま動揺を隠しながら美鈴に近づき、腕に抱くようにして彼女を担いだ。
美鈴と体が密着して顔も凄く近くなった。咲夜は自分の胸の動悸が激しくなるのを感じた。
美鈴の体は完治とまではいわないにしろ、かなり良くなっている事に咲夜は少し安心した。
しかし、怪我は治っても体力までは戻っていないらしく、いつもの元気はなかった。

――すみません。
美鈴は小さく呟いただけで、他に何も喋らなかった。
――気にしないで。
他に言葉はいくらでもあるというのに、咲夜はこの言葉を選んでしまった。

そんな二人のやり取りが面白いのか、レミリアは意地悪く笑っていた。
――咲夜。今日と明日は他の仕事はいいから、その子の面倒を見てあげて。
――その子はあなたの命の恩人なんだから大切にしなさいよ?
――なんといっても、二回も命を守られているのだからね。
レミリアの口からとんでもない言葉が咲夜へと放たれた。


※※※※※

医療室に着くまでの間、二人に会話はなかった。
医療室に着き、美鈴をベッドに寝かせてからもしばらくは沈黙が続いた。
咲夜は何から伝えればいいのか迷っていた、感謝だろうか?謝罪だろうか?
どちらの言葉からでもいいから咲夜は口を動かしたかったが少しも動かない。
なぜなら、自分の言葉を――想いを美鈴に拒絶されるのが怖いからだ。

――お怪我はしませんでしたか?咲夜さん。
最初に口を開いたのは美鈴からだった。
――もう少し早く駆け付けられたら、こんな無様な姿を見せずにすんだのですが…
美鈴は申し訳なさそうな顔で、側の椅子に座って目を伏せている咲夜に詫びをいれた。

――なんかじゃない。
咲夜は目を伏せたまま、本当に小さな声で呟くように美鈴の言葉に応えた。

――?
しかし、咲夜の声は小さ過ぎて美鈴には上手く聞こえなかった。

――無様なんかじゃない。

――美鈴は、無様なんかじゃないよ。
だから、咲夜はもう一度同じ言葉を口にした、今度は美鈴に聞こえるようにしっかりと。

――咲夜さん?

咲夜の様子がおかしい事に気付いた美鈴は心配そうに咲夜の顔を覗き込んだ。
咲夜は泣いていた。そして泣いたまま美鈴に対し自分の想いを話し続けた。
――美鈴は私を助けてくれた。
――それだけじゃない、
――私が小さい頃からずっと一緒にいてくれた。
――ずっと私の事を美鈴は守ってくれていたんだよね?
――それなのに私は美鈴をいっぱい傷つけた。
――私のせいで傷だらけになっていたのに、
――私はそれを口汚く罵った。美鈴は生命まで賭けてくれていたのに。
――その後も美鈴を傷つけた私を守るために手足を犠牲にしてくれた。
――美鈴、本当にごめんなさい。
――美鈴、本当にいつもありがとう。
――私、美鈴の事大好きだよ。
そこまで言い終わると咲夜は嗚咽混じりに泣き始めた。
そんな咲夜を美鈴は身を寄せて、優しく抱き締め咲夜の頭を撫でた。

――私は咲夜さんを守っているなんて思っていませんよ?
――私は咲夜さんの事がずっと大好きだから側にいるんです。
――それは今でも変わりません。
――だから、咲夜さんに嫌われた時は苦しくてしょうがなかった。
――特に自分で咲夜さんの言葉どおりに会わないようにするのが苦しかった。
――だって咲夜さんの事が以前と変わらずに大好きだったから。
――今日の事だって守ろうとかじゃなくて、気が付いたら体が動いていたんです。
――ですから、咲夜さんもあまり気にしないで下さい。
咲夜の頭を優しく撫でながら、美鈴はゆっくりと自分の想いを咲夜に話した。

――私の事嫌いになってない?

――私が咲夜さんの事を嫌いになる事なんてありません。

――美鈴、本当に嫌いになってない?

――私が咲夜さんに嘘を言った事ありますか?
――私は初めて会った時からずっと咲夜さんの事が大好きなんです。
――それはこれからも絶対に変わる事はありません。

――私も大好きだよ…美鈴。

そう言葉を交わしていたが、だんだんと咲夜の瞼が重くなってきた。
今日一日の疲れに加えて、泣き疲れたのか咲夜は睡魔に襲われたのだ。
そんな咲夜の容様子が面白かったのか美鈴は咲夜の頬を撫でながら、
――すごく寝むそうですね咲夜さん。
――今日は昔みたいに二人で一緒に寝ませんか?
――ここのベッド少し大きいですし二人くらいならいけそうです。
と魅力的な提案を咲夜に出してきた。咲夜はその提案を素直に受け入れ、
美鈴と同じ掛け布団の中に入っていき、美鈴に寄り添うように横たわった。

――美鈴と同じベッドで寝むるの久しぶりだわ。

――そうでしたっけ?少し前まで一緒に寝ていた気がします。
寿命の違いのせいだろうか、二人の時間経過の感覚には大きな差がある。
咲夜にとっては昔に感じられでも、美鈴には少し前程度に感じられるみたいだ。
そんな二人の間のどうしようもない、種族としての差異を目の当たりにして、
色々と考え始めてしまった咲夜を見かねた美鈴はさっと強く咲夜を抱き締めた。

――苦しいよ、美鈴。
抗議しているようで、どこか嬉しそうに咲夜は言った。

――咲夜さんが小さかった頃はこんな感じで寝ていましたよ?
――あの頃の咲夜さんは私の胸に顔を押し付けるような形でよく寝ていました。
懐かしそうに美鈴は咲夜へ言葉を選びながら声を掛ける。

――暖かくて、気持ちいいからよく寝られるんだもの。
――それに私が一番安心して寝られる体勢だし…
昔の自分の事を言われて少し照れながら咲夜は応えた。

――あの頃に比べると咲夜さんも大きくなりましたね。

――私は人間だから成長が早いのよ、
――その分だけ早く寿命がきてしまうけど…
悲しそうで寂しそうな声で咲夜は呟くように言った。

――だから美鈴。私がいなくなっても私の事を忘れないでいてくれる?
――ずっと、私の事を覚えていてくれる?
咲夜は泣きそうな声で美鈴へ懇願した。
美鈴は咲夜を抱き締めるている力を少しだけ強くして、
――私が咲夜さんの事を忘れるわけがありません。
――ずっと、咲夜さんの事を覚えています。
例え願われなくても元よりそのつもりだったので、美鈴はすぐに咲夜の願いを聞き入れた。
――ありがとう、美鈴。
そう言い咲夜も美鈴により密着するようにして、次第に眠りに落ちていった。
美鈴も咲夜が安心そうに寝たのを確認した後に、自分も眠りについた。
私が敬愛する某めーさく作家様の作品は一話一万五千字~五万字で構成されています。
もちろん、前後編に分かれていたりして累計が10万字を越えている作品もあります。
参考程度に某レーベルへの投稿規約の総字数が約18万字だった気がします。

今回はその作家さんの書く短編での総字数を目指してみました。
また今回は特定の人物の視点に立つのではなく、三人称視点での表現も試しています。
これも某作家さんの特徴で三人称視点での文章が素晴らしく上手なんです。
是非、私も身につけたい表現力なので挑戦してみました。
gdgd感が強くなっただけのような気がしますが…

誤字脱字があればご指摘ください。



※?さん、よくわかりましたね。裏設定として黒幕(?)はレミリアってのはあります。
レミリアは全てを把握した上で、二人の行く先を高みの見物をしているという設定です。
だから、レミリアの最後の台詞は「助けられた」ではなく「守られた」としています。
これは二度の妖怪の襲撃が事故ではなく意図されたものだと知っての台詞です。
偶然に起きた事故から命は「助け」られるもので「守ら」れるものではありません。
しかし意図的な事件からは「守ら」れるものです。ニュアンスの問題なんですけどね…
砥石
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
おぉ、プチでこれほどの美咲(名作)が拝めるとは
しばらくはこの作者に着いていくしかないと思うのでした
2.名前が無い程度の能力削除
とてもおもしろかったです
私にはgdgdな感じは見受けられませんでしたが・・・
3.名前が無い程度の能力削除
お嬢様は全て分かっていて…と妄想するとより後味が良くなるなぁ。
しかし美鈴も咲夜さんも、よかったねぇ………(涙)
4.ずわいがに削除
たかが一度や二度の失敗で!……というには少々重い事件ですね。
でも美鈴は気にしませんね。咲夜さん愛されてるよ。
5.奇声を発する程度の能力削除
さすがメイ咲作家さんですね!!!
とっても素晴らしかったです。
6.名前が無い程度の能力削除
決して短いと言える長さではないのに最初から最後まで苦無く一気に読めました。
登場人物の口調の書きかと上手い、引き込まれました。

これはプチに収まるべき小説じゃあない。
7.名前が無い程度の能力削除
×書きかと○書き方の間違いです。
すいません・・・
8.名前が無い程度の能力削除
おお……こりゃ凄いのが来たなぁ
お話も、ちょっとダークな雰囲気もとてもよかったです
9.名前が無い程度の能力削除
面白かったです。プチじゃなくても十分やって行けると思います。
10.名前が無い程度の能力削除
これは面白い!
ちょっと展開が急ぎすぎている気もするから、もっと腰をすえて長めに書くといいかもしれない。
11.名前が無い程度の能力削除
すっきりしない感じも否めないけれど大変良かったです。
12.名前が無い程度の能力削除
面白かった!
ほんのり暗めだけど、終わり良ければですね。
13.名前が無い程度の能力削除
和気藹々も良いけど、こういう殺伐とした紅魔館も良いね
14.名前が無い程度の能力削除
美鈴が自分の身を犠牲にし過ぎていて、以前誰か大切な人を失ったトラウマがあるんじゃないかと邪推してしまいました。
咲夜さんがそれだけ美鈴に思われているということなのでしょうが、美鈴のことが少し心配になります。
作中の咲夜さんと美鈴とのすれ違いがとても切なく表現されていて胸に迫るものがありました。
二人には幸せになって欲しいと願います。