メルランがトランペットを吹くと幻想郷が滅びる

リリカ ｢ルナサ姉さん、ちょっといいかな？｣　

ルナサ ｢ん、何のよう？　練習してるときは、邪魔しないでと言ったじゃない｣

リリカ ｢メルラン姉さん知らないかな？　何処にも居ないようだけど｣

ルナサ ｢あの子なら、天界へ単独ライブに行ったよ。陽気な雰囲気が天界に合ったらしい｣

リリカ ｢天界に行ったの！　不味いよ姉さん、早く止めないと！｣

ルナサ ｢なんで？｣

リリカ ｢知らないの姉さん？　『メルランがトランペットを吹くと幻想郷が滅びる話』｣

ルナサ ｢知らな……｣

リリカ ｢知らないんだったら、私が説明してあげるよ｣

ルナサ ｢静かに練習させてくれたら嬉しいんだけど｣

リリカ ｢まず、メルラン姉さんが躁を操る演奏家なのは知ってるよね｣

ルナサ ｢知ってるよ｣　

リリカ ｢そんな姉さんが天界で演奏したらどうなるか？｣

ルナサ ｢お気楽な天人達は喜ぶんじゃないの｣

リリカ ｢甘いわ姉さん、天界には電気を使う竜宮の使いも居るの。しかも彼女はフィーバーの使い手｣

ルナサ ｢だから、何？｣

リリカ ｢鈍いな姉さんはー。そんな彼女にメルラン姉さんの曲を聞かせたら、どうなると思うの？｣

ルナサ ｢テンション上がるでしょうね｣

リリカ ｢それよそれ！　テンション上がった竜宮の使いは大変よ。雷を轟かせながら地上に降りてくるに違いないわ。自慢のフィーバーを見せ付けに｣

ルナサ ｢そうかなー？｣

リリカ ｢そんな興奮した竜宮の使いが現れたら、地上の人々はどう反応すると思う｣

ルナサ ｢ｷｬｰｲｸｻｰﾝ｣

リリカ ｢そんなわけ無いじゃない！　大地震の前触れだと、慌てふためくに違いないわ｣

ルナサ ｢ん、そうかなぁ｣

リリカ ｢そうに決まってるよ！　だけどね、地震なんて起きるわけないわ。空気の読めない、竜宮の使いが暴れてるだけなんだから｣

ルナサ ｢良かったじゃないか。災害が起きなくて｣

リリカ ｢全然駄目よ、地震が起きない事でもっと悪い事が起きるの。ところで、姉さんは諺詳しい？｣

ルナサ ｢咲夜も歩けば棒に当たる。雲山隠して一輪隠さず。一般的なやつは知ってるよ｣

リリカ ｢人々が大騒ぎしたけど何も起きない。大山鳴動してナズーリン一匹。つまり、ナズーリンが出てくるのよ！｣

ルナサ ｢うん、それで？｣

リリカ ｢これだけ大騒ぎして、出てくるのはナズーリンだけ。みんなどう思うかな？｣

ルナサ ｢楽しいかもしれない｣

リリカ ｢騙された人々は当然怒るわ！　出てきたナズーリンをボコボコにするでしょうね｣

ルナサ ｢竜宮の使いはお咎め無しなの？｣

リリカ ｢あの人は触れると感電するから、みんな怒れないの｣

ルナサ ｢ふーん｣

リリカ ｢話が脱線したから戻るわよ。ナズーリンをボコボコにする事で、当然命蓮寺の連中は怒るでしょうね｣

ルナサ ｢あそこの僧侶も怒ると怖いんだよね｣

リリカ ｢でもね、本当に怖いのはあいつらじゃない。毘沙門天よ｣

ルナサ ｢毘沙門天ってあの武神の？｣

リリカ ｢そうよ姉さん。ナズーリンを虐める事によって、毘沙門天は幻想郷の住民に大激怒するわ｣

ルナサ ｢それは大変だね｣

リリカ ｢他人事じゃないよ姉さん！　毘沙門天が戦闘を仕掛けて、あの紫や山の神も黙ってるわけが無いわ｣

ルナサ ｢確かに、そうかもしれない｣

リリカ ｢こんな強力な奴らがバトルしたら、幻想郷なんて一瞬で滅びるわよ！｣

ルナサ ｢大変じゃないかリリカ、早く何とかしないと｣

リリカ ｢だから姉さん！　早くメルランを止めてきて！　もう時間が無いよ！｣

ルナサ ｢わかった。私が、メルランを止めてくるよ｣
　
　
　
　
　ルナサはメルランを止めようと、珍しく慌てる。そして、時間が惜しいルナサは部屋の窓を叩き割り、そのまま外へ飛び出していった。
　リリカは割れた窓から顔を出し、天界へと飛んでいったルナサを見送る。

｢本当に姉さんは騙されやすいなぁ。あんな話嘘に決まってるじゃないの｣

　イタズラが成功し、リリカは楽しそうに笑った。しかし、バリバリと五月蝿い音が鳴っているのに気が付く。どうやら里の方で鳴っているらしい。

｢ん、あれは竜宮の使いかな？　なんだか興奮しているようだけど、まさかね……｣

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　　'r.'ﾚﾉﾉハﾉ)〉 　 _　　空気読みました。
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　　　,と/）ハ）ゝ |気||