夜。
「もーいーくつねーるーとー、お正月ー」
「……」
「お正月には、えーととりあえずですねー、手足もいだ巫女でも首輪つけて引きずってきてエントランスにでも飾るのかー。年の初めは笑いからですよー」
「……」
「はーやくこーいこーい、おー……。……」
「……」
「……クーリスマースー」
「……あのね、こいし。突然夜中に部屋に押しかけてきて、突然理解に苦しむ歌を歌いだすのはやめて頂戴。お願いだから」
「真っ赤なお正月の迷路とまさかのフェイント。作詞・古明地こいしちゃん(妹)」
「聞いてもいないのにタイトルまで」
「遊びに来たのぜよ」
「のぜってね……」
「の是(ぜ)っ! 此、至極結構であるッ! 仲良きことは善きちゅっちゅなること、実に此是である! あまねく諸常の慶びなることは、総て一切の苦を捨てて、こいしちゃんであることを知り給え! いざ、南無三!!」
「……」
「……」
「……」
「帰ると見せかけて帰らない」
「私寝るわよ」
「じゃあ私も寝る。お休み」
「そこは私のベッドなんだけどね」
「思うに私が寝るところがベッドなんだと思うのよ」
「え。なに? なにか名言とか言ってるつもりなの?」
「いや。たとえここがお姉ちゃんのベッドだとしても今私が寝てるから」
「なるほど。つまりあなたはあなたが寝てれば、ここはあなたのベッドだって言いたいのね?」
「そんなに認められると照れるな」
「こいし。あんたは私を怒らせたいの?」
「怒らせたいとかそんなんじゃないの。私はただ……恋をしているだけ。この世界の、すべてふげひひひひ」
描写できない顔にされつつ、こいしはジタバタと暴れた。
二人分の体重で、ベッドがぎしぎし鳴る。
ひとしきりやってから、さとりはベッドの上でふんぞり返った。
「どきなさい」
「嫌。どくくらいならお姉ちゃんと寝るし」
「ベッドが狭くなるでしょ」
「大丈夫よ。私無意識操ってお姉ちゃんに抱きついて離れないから。寝返りうっても大丈夫。重さも感じない快適な乗り心地が約束されること請け合いです」
さとりは眉をひそめた。
ジト目で妹を見やる。
しばしして、ふーと息を吐く。寝間着の裾を直して、布団にもぐりこむ。
ぱちり、と電気を消す。
真っ暗になると、妹はごそごそと動いて、身体に手を回してきた。本当に隙間無く、ぴったりと密着する。ほわ、と体温と呼吸が、さとりの身体に伝わってきた。
「……お休み」
「お休み、お姉ちゃん」
妹は、ほどなく寝息を立て始めた。
「……」
さとりは、こっそりとこいしの身体に腕を絡めた。
目を閉じる。
翌朝。
さとりがなかなか起きてこないので、燐はさとりの部屋を訪れた。
「さとり様ー朝ご飯出来ましたよー?」
見ると、ベッドはまだこんもりと膨らんでいる。
燐はベッドに近づいた。
「さとり様ー?」
「ああ、お燐……。いきなりで悪いんだけど、助けてちょうだい」
「は?」
燐は首をかしげた。
「腕が離れなくて……」
さとりは情けなさそうにうめいた。
布団の中では、こいしがいまだすやすやと眠っていた。能力で、さとりの腕と、自分の手足とをがっちりとくくりつけあったままである。
「おねえちゃーん……へへえ……」
夢という無意識状態の中で、幸せそうに笑っていたという。
「もーいーくつねーるーとー、お正月ー」
「……」
「お正月には、えーととりあえずですねー、手足もいだ巫女でも首輪つけて引きずってきてエントランスにでも飾るのかー。年の初めは笑いからですよー」
「……」
「はーやくこーいこーい、おー……。……」
「……」
「……クーリスマースー」
「……あのね、こいし。突然夜中に部屋に押しかけてきて、突然理解に苦しむ歌を歌いだすのはやめて頂戴。お願いだから」
「真っ赤なお正月の迷路とまさかのフェイント。作詞・古明地こいしちゃん(妹)」
「聞いてもいないのにタイトルまで」
「遊びに来たのぜよ」
「のぜってね……」
「の是(ぜ)っ! 此、至極結構であるッ! 仲良きことは善きちゅっちゅなること、実に此是である! あまねく諸常の慶びなることは、総て一切の苦を捨てて、こいしちゃんであることを知り給え! いざ、南無三!!」
「……」
「……」
「……」
「帰ると見せかけて帰らない」
「私寝るわよ」
「じゃあ私も寝る。お休み」
「そこは私のベッドなんだけどね」
「思うに私が寝るところがベッドなんだと思うのよ」
「え。なに? なにか名言とか言ってるつもりなの?」
「いや。たとえここがお姉ちゃんのベッドだとしても今私が寝てるから」
「なるほど。つまりあなたはあなたが寝てれば、ここはあなたのベッドだって言いたいのね?」
「そんなに認められると照れるな」
「こいし。あんたは私を怒らせたいの?」
「怒らせたいとかそんなんじゃないの。私はただ……恋をしているだけ。この世界の、すべてふげひひひひ」
描写できない顔にされつつ、こいしはジタバタと暴れた。
二人分の体重で、ベッドがぎしぎし鳴る。
ひとしきりやってから、さとりはベッドの上でふんぞり返った。
「どきなさい」
「嫌。どくくらいならお姉ちゃんと寝るし」
「ベッドが狭くなるでしょ」
「大丈夫よ。私無意識操ってお姉ちゃんに抱きついて離れないから。寝返りうっても大丈夫。重さも感じない快適な乗り心地が約束されること請け合いです」
さとりは眉をひそめた。
ジト目で妹を見やる。
しばしして、ふーと息を吐く。寝間着の裾を直して、布団にもぐりこむ。
ぱちり、と電気を消す。
真っ暗になると、妹はごそごそと動いて、身体に手を回してきた。本当に隙間無く、ぴったりと密着する。ほわ、と体温と呼吸が、さとりの身体に伝わってきた。
「……お休み」
「お休み、お姉ちゃん」
妹は、ほどなく寝息を立て始めた。
「……」
さとりは、こっそりとこいしの身体に腕を絡めた。
目を閉じる。
翌朝。
さとりがなかなか起きてこないので、燐はさとりの部屋を訪れた。
「さとり様ー朝ご飯出来ましたよー?」
見ると、ベッドはまだこんもりと膨らんでいる。
燐はベッドに近づいた。
「さとり様ー?」
「ああ、お燐……。いきなりで悪いんだけど、助けてちょうだい」
「は?」
燐は首をかしげた。
「腕が離れなくて……」
さとりは情けなさそうにうめいた。
布団の中では、こいしがいまだすやすやと眠っていた。能力で、さとりの腕と、自分の手足とをがっちりとくくりつけあったままである。
「おねえちゃーん……へへえ……」
夢という無意識状態の中で、幸せそうに笑っていたという。
>長い話書けましぇん。
良いのです。許します。
無言板さんが喋った!
ごちそうさまでした。
ふう・・・
が、ご馳走様でした。
そこを除けばほんにご馳走さまではあります。
ああ、ご馳走さま。
某ネジを回す道具の人…
・・・ちがうんでね?