Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

バレンタインデー始末してきた

2010/02/15 15:30:19
最終更新
サイズ
17.2KB
ページ数
1

分類タグ

 




椛「あやさまあやさまあやさまー!」

文「むっちゃむっちゃ。おういあん、いあおあんお」

椛「飲み込んでからでいいです!」

文「もむもむ……んぐ、ぷは。この西京漬けグッドよ椛! いい鰆使ってる! 料理長をここに!」

椛「わかりません!」

文「どったの椛。人の朝飯中に、今勤務中じゃないの?」

椛「どうせいつでも超暇人、犬走椛です! 2月14日といえば?」

文「第一回箱根駅伝の開催日」

椛「箱根駅伝チョコ! 新しい!」

文「乗ってきた」

椛「いよいよ大詰め折り返し地点、給水地点で疲れ果てたぶんぶんをチョコレートで癒す私! 芽生える愛!」

文「喉乾きそうだなぁ、ん? ん、う、うぐぐっ」

椛「先輩! 1年の犬走です、これ受け取ってください! すげぇモグス速ぇ……文様?」

文「……」

椛「ど、どうしたんですか文様。うずくまって、オナカ痛いんですか?」

文「……」

椛「あやさ……死んでる……!」

?「……」

スッ




魔「それでな、霊夢の奴が――」

ア(落ち着け、落ち着くのよアリス。ただ渡すだけ、自然に渡すだけ……)

魔「そしたら腋が――」

ア(そんな難しいこったないわ、友チョコっていうのもあるらしいしあああもう私は中学生か……!)

魔「水蒸気爆発を――おっと。もうこんな時間か、私はそろそろ行くぜ」

ア「気心の知れた幼馴染み風にナチュラルに……、え!? まままっま待あっままま」

魔「どっか行くところだったんだろ? 呼び止めて悪かったな、ほいじゃ」

ア「わわっ私いまそのっバレンタインがっ!」

魔「ほれ」

ア「へっ……? こ、これって」

魔「まぁ、何だ。いつも世話になってる……って言うのも変だな、うむ。いいから貰っとけ」

ア「ま、魔理沙あぁああぁぁあぁン!! 魔理ッカハッフゥン」

魔「おいおい落ち着けって。アリス、おい、アリス?」

ア「……」

魔「死んでる……!」

?「……」

ヒュンッ




聖「たまには皆に恩返しをしなきゃって思って、ね」

ナ「ほう、それでチョコレートを」

聖「味見をお願いできるかしら?」

ナ「喜んで」

ペロ

バタ

聖「死んでる……!」

?「……」

ピュー




鬱「ライブの差し入れ」

躁「チョコだ!」

幻「食べよ食べ……べべっ……べるぼっ!?」

鬱「リリカ? ……死んで……たわばっ!」

躁「姉さん? ……死んで……ばわ!」

?「……」

すたかたか




美「……」

咲「死んでる……!」




・・・

・・








「異変が起きているんですよ!? 博霊の巫女はどうして動かないんですか!」

「めんどくさい」

 博霊神社の境内には幻想郷中の人妖がひしめき合っていた。
 メイドに門番吸血鬼。猫に狐に烏に鼠、亡霊騒霊半霊悪霊天人不死人現人神。
 天狗に河童に怪力乱神、宇宙兎に雪女郎。白黒七色、小豆コーヒー柚子桜。
 キリがないので纏めると、たくさんいる。
 その半数ほどは、例えば全身包帯巻きであったり、あるいは首がファンタジーな方向に曲がっていたりと、健康とは言い難い様子でいる。

「文様は酸欠で肋骨が折れたし、アリスさんは肩甲骨を狙撃されて肋骨が折れたんですよ! それにナズーリンさんは食中毒で肋骨が……」

「だーかーら、そういう個人単位の通り魔ってのは異変に入るわけ?」

「入りますよ!」

「入らないわよ」

 羅列するのも憚られるこの大人数を代表し椛が霊夢に異変解決に動くよう交渉をしているのだが、当の巫女は寝転がって煎餅を囓りながらテレビジョンを観ているのである。

「あはは、よいともおもすれー」

 寝転がって煎餅を囓りながらテレビジョンを観ているのである。

「霊夢さん!」

「霊夢!」 「霊夢!」 「霊夢!」

「ちょっと収集が付かなくなるので皆さんは静かにしててください!」

「「「「「「「「はい」」」」」」」」

 紅霧異変では幻想郷中に紅い霧が広がり、日光を遮ったばかりでなく人体にも害が及んだ。
 季節が狂った春雪異変、夜が明けない永夜異変、その他これまで私が解決した異変は、幻想郷全体に影響が及ぶ大きな規模のものが殆どだ。
 それをやれ人が一人妖怪が一人闇討ちに遭った程度で私を働かせるな、私は便利屋じゃない。
 録画機器がないんだから、よいとも増刊号を見逃すわけにはいけないのだ、と霊夢は言う。
 だがしかし、襲撃に遭った人妖達の顔触れを見れば、これはもはや異変レベルと言って差し支えはない。
 職場の机の中に手紙が添えられた小箱を見つけた四季映姫・ヤマザナドゥは、突然腹部に違和感を覚え二時間花を摘み続ける羽目になった。
 幻想郷を代表する大妖怪八雲紫は、式の藍がチョコレートを渡し一瞬目を逸らしたその僅かな間に、天地逆さに床板へ突き刺さっていたという。
 あと美鈴は額に「衣」と書かれた痣を残し倒れていた。帽子の「龍」と合わせてなんだか別の字になっている。

「それだけじゃない、八意さんや西行寺さんさえ襲われてるんです! 彼女たちのような実力者が為す術もなく!」

「どうも、実力者です」

「文様はちょっと黙っててください!」

「はい」

 椛達からは見えないが、いつしか霊夢の表情は真剣なものとなっていた。
 煎餅の破片が歯茎に刺さったのである。
 沈黙。暫くして、文が一つ溜息を吐き振り返る。

「……これ以上尻に喋りかけてても何も進展しないわ。ここで解散、各自警戒。自分の身は自分で守れって事でどうでしょう、皆様方?」

「文様、でも!」

「いいじゃない、死人が出た訳でもないんだし」

「そういう問題じゃ……」

 椛の千里眼を持ってしても、あの時文を襲った者の姿を捉える事は出来なかった。
 哨戒天狗としてこれほどの屈辱はなく、その上、目の前で襲われたのは敬愛する先輩。
 この手で敵を討ちたい、しかし自らの手には負えない。そして恥を忍んで訪ねた巫女はこの有様である。
 椛としては、どうしても巫女に動いてもらわないと我慢がならない。

「ほら椛、帰るわよ」

「うー……」

 集まった面々も、文句を言いながらそれぞれの住処へ帰り始めている。
 自分が不甲斐ないばかりに起きてしまった事を誰かに当たり散らす訳にもいかない。悶々としたものを抱えながら、椛も帰路に就き始める文に付き従った。

「霊夢ー、何だか妙に賑やかだったじゃないか。宴会?」

「宴会なら良かったんだけどねぇ。そうだ、あんたチャンネルどっかやった? 根元で操作するのめんどくさいんだけど」

「最近全然宴会無いじゃんさ。酒呑みたいー」

「それよりチャンネルよチャンネル」

「そうだ、郵便受けに荷物入ってたよ」

「何これチョコ?」

「ちょうど良いや、何か肴がないか探してたんだ」

 ふと後ろが気になり、椛は歩きながら振り返る。
 来る度に思うが、拝殿から見える場所にコタツとテレビなんて置いていいんだろうか。
 そしてテレビの前には、額から煙を上げて霊夢と萃香が倒れている。

「……え?」

 哨戒天狗の眼は、今度こそその場から飛び去るモノを見逃さなかった。
 それはふわふわと宙に浮かぶ小さなコインの様に見え――

「逃がすかァッ!」

「椛!?」

 白狼天狗の本能が、思考の前に椛の身体を動かしていた。文の驚く声は瞬く間に後方へ流れていく。
 剣を煌めかせ駆け出しながら思考が遅れて追随する。敵は小さかったのだ。見えたのは一瞬だが大きさはせいぜいカナブン程度、更に目の前で文様が倒れた事による動揺が合わさり、眼には映っていたが意識の中に捉えられなかったのだろう。不覚、だが二度は無い。

「うわっ!?」

 頬を掠め一筋の血が流れ落ちる。
 見つかったとみるやコインは猛スピードでこちらへ飛来、椛を通り過ぎ進む先には。

「文様、危ない!」

 幻想郷には知っての通り、超常の力を持つ人間や妖怪が溢れんばかりに住んでいる。
 特に力を持たない村の住人なども、村を出て少し山に分け入れば、スペルカードルールなどお構いなしに人を襲う妖怪がいるのは重々承知している。幻想郷の住人は場慣れしているのだ。
 当然、椛の飛ばした切迫した声に彼女達の反応は素早かった。
 文は声とほぼ同時に土煙を上げ跳び退いていた。その先を歩いていた咲夜達の姿は瞬時に掻き消え、チルノでさえ反射的に氷壁を生み出し己に迫ったコインの軌道を逸らした。
 
 さて、ここに一人、未だ状況が掴めず不思議な顔をしている人物がいる。

「はい?」

 この女、名を東風谷早苗という。

「へぎッ」

「さ、早苗ェーッ!」

 膝から崩れ落ちる早苗の額からぺりりとコインが剥がれ落ち、再びそれは宙に浮かぶ。
 神奈子と諏訪子が慌てて駆け寄るが早苗はぴくりとも動かない。意識を持って行かれてしまったらしい。

「早苗! しっかり! 諏訪子、早苗を安全な所に!」

「……この額の紋章は……。『UD』……可愛そうに、この女も地獄を見てきたのか……!」

「ブフォッ」

 直後、吹き出した神奈子の額にもコインは牙を剥いた。

「やっべ」

 諏訪子は地中に飛び込み逃げ去る。後には早苗と神奈子が横たわるのみであった。
 間近にいた目標を見失ったコインは今度こそ文の額に食らい付かんと飛び立ち、


「文様を傷付けた報い、受けて頂きます」


 白刃の切っ先に中心を捉えられ、地面へ叩き付けられた。

「文様! ご無事で!」

「あ、ありがとう。ピンピンしてるわ」

「よかった……。えへへヴッ」

 視界が暗転。文の声を遠くに聞きながら、椛の意識は闇へ落ちた。
















「……う?」

「おはよう」

「ん、あ、おあようございます……。ここどこですか」

「私の膝の上」

「うひゃっほう! 痛だぁっ!?」

 目が覚めると、眼前に文の顔。思わずはしゃぐと後頭部に激痛が走る。

「ああ、動きなさんな。あの後椛、アレにブン殴られたんだから」

「~ッッ! あ、アレ?」

 ここは神社の中のようだ。気を失ってからそれほど時間は経っていないらしい。
 文の指差す先には被害者達が輪を書いて立っており、中心には二人の少女とモクモクした何かが後ろ手に縛られ正座していた。
 金髪の少女は妙な擬音を立てながら周りを睨み付け、頭巾を被ったもう一人は天を仰いでいる。

「畜生、一思いにやりなさいよ! ただし油断しない事ね、どこを噛み千切るかわからないわよ!」

「よし、一思いにやるぜ」

「待った! タイム!」

「……アレとはどれですか」

「雲山さん」

「奇跡の生還……!」

 コインがやられてしまうのを見て、残りの犯人二人は思わず椛に襲いかかった。
 そのまま仕留めたはいいが多勢に無勢。人数差が無くとも、不意打ちせずに相対してしまえば実力差は大きい面々だ。
 犯人達はあっさりと捕縛された。パルスィ、一輪と雲山、そして。

「はーなーしーてーだーしーてー」

 畳の上にガラスのコップが伏せられ、中で例のコインが暴れ回っていた。
 コップの上には石やら鍋やら新聞やらが積み上げられてビクともしない。

「……なにあれ」

「本人から聞いたら?」

 説教空間ではパルスィが逆ギレにも近い自白をしていた。

「所構わずイチャイチャネチョネチョしやがってからに! 我ら嫉妬同盟は貴様等に制裁を加えなければならんのだ!」

「こちとら結婚禁止の尼僧だってのに、どこもかしこもバレンタインデーだなんだって騒ぐから、つい……」

「感謝の一つもしないで、いつまでも素直に縁結ぶと思ってたら大間違いよ! そろそろ信仰の意味を考え直す時期だわ!」

 順にパルスィ、一輪、コインである。
 誰もが「お前が聞けよ」みたいな顔をして顔を見合わせているが、中々言い出せずにいた。
 面と向かって「お前誰だよ」などと訊くのは勇気の要る事である。
 パルスィの演説が続く中、意を決して魔理沙がコインに尋ねる。

「あのー、もし? ちょっとばかり聞きづらいんだが……。ど、どちら様だぜ?」

 コップの中のコインが動きを止め、からんころんと鳴っていた音も止んだ。
 慌てたようにその場でくるくると回り、額に米マークが付いた霊夢を見つけると叫ぶ。

「そこの巫女! 覚えてるわよね!? 会った事あるもんね!?」

「えっ……」

「ほら、キクリ! キクリよ! 随分昔に!」

「……」

「あ、ほら、昔はもっと大きかったわね! 最近誰も信仰してくれないから力も弱まっちゃって、とうとうこんなコインみたいに……」

「……?」

 キクリは知っていた。人間のこの顔は、本気で誰だか思い出せない、という表情だ。
 旧友と名乗る見知らぬ人物に出会ったときにとりあえず浮かべる曖昧な笑みだ。
 そして人心掌握に長けているキクリは同時に、この場における最善の対応も理解する。

「……初めまして。Kikuriと申します。縁結びの神やらせてもらってます」

「あ、どうもご丁寧に。博麗霊夢です」

「信仰してね」

「はあ」

 諦めが肝心である。

「故に、例えば今まさにそこで懲りもせずイチャネチョしている天狗二匹! ああいうのを私達は」

「ジャッジメェン!」

「ひっ」

 妖怪が人を襲う事は罪ではない。人間と妖怪のパワーバランスを考えれば、それはむしろ自然な事だ。
 妖怪が妖怪を襲うのも同様に罪にはならない。そもそも裁く者がいないからだ。やられたらやり返す、怨恨は自分の手で晴らすものである。
 だが、地獄の閻魔様はトサカに来ていた。小町に命じ、携帯用裁判長デスクと裁判長コーンを展開させる。
 被害に遭った人妖達のため、そして結構な私怨を含み、臨時法廷が開かれた。

「水橋パルスィ! 貴女の罪を数えなさい!」

「望む所よ! なんてったって傑作だったのはあんたよねェ、あの緩みきった顔が青褪めたのは傑作だったわヒーハハッハァ! あとは誰だったかしらん、ちんどん屋に薬師に……」

「きいいいいい!!!」

「四季様落ち着いて!」

「離して小町! 裁判長というこの立場、放棄してでも今は奴の腹に一発食らわせええええ!!!」

「バーカバーカ」

「うおああああああああ!!!!」

「四季様ステイ! 待て!」

 スペルカードとは便利なもので、彼女のエースカードである恨符『丑の刻参り』、これを使うことでいつでもどこでも丑の刻気分になり、藁人形と釘に力を宿らせることが出来たらしい。
 積もり積もった嫉妬の念はとうとう毒素を持つまでに至り、目標から少し離れたところで丑の刻参るだけで、精神的な攻撃に弱い妖怪達はバッタバッタと倒れていった。

「妖怪って案外貧弱なんですね」

「当たり前のところで強くて変なところで弱いからな」

 早苗や魔理沙ら普通の人間組にはよく理解出来ない感覚だろう。

「フゥーッ……ハァーッ……! 次! 雲居一輪及び雲山! 虚偽は許されません、浄頗梨の鏡は貴女の罪を映すぞ!」

「私は……そうね、八雲紫もそうだし、あと天狗と……」

 一輪本人は特に何もしていない。能力が能力なので、妖怪としての地力でしか戦えない一輪が闇討ちを為し得たのは、雲山の力である。
 大小自在に姿を変える、つまり極限まで小さくなれば消失してしまったように見える。そのまま背後まで忍び寄り……。

『うぎゃああああ!!(バリーン)』

『わーっ! 紫様が目を離した隙に犬神家』

 和尚に「豆のように小さくなって見せろ」と言われ、その通り小さくなった山姥は餅に包まれ食べられてしまう。
 あの状況で山姥が逆に和尚と小僧を食い殺してしまうには? 目に見えない程に小さくなってしまえばいい。

「あれ? ところで文様、文様はあのコインの人に襲われたんじゃ?」

「え? 私は小さくなった雲山さんを喉に詰め込まれたらしいけど」

『文様を傷付けた報い、受けて頂きます』

「うわあ」

「そして、えっと、キクリさん? 貴女は」

「嗚呼、とっても外様感。額に痣があるのは大体私ですね。一人変な動きをしていたので額を外してしまいましたが」

「わかりました。ご協力ありがとうございます」

「余所余所しいっ……!」

「あやさまあやさま、ナズーリンさんは誰が?」

「それはね、椛。聖さんは千年近く料理なんてしてなかったから……」

 裁判長が木槌を打ち鳴らす。

「ギルティ・オワ・ノットギルティ! 聴衆の皆様方、どうか公明正大な判決を!」

「ギルティ!」 「ギルティ!」 「ギルティ!」

 次々と掲げられる有罪の札。許す理由も無く、無情にも全会一致で判決は下された、かに見えた。
 神々しく後光を背負い慈母の笑みを浮かべ、白蓮は見開き二頁を使い高らかに札を掲げる。

「……超ノットギルティ」

「ほう、根拠をお聞かせ願いましょうか!」

「南無三!!!」

 三千世界に轟かんばかりの絶叫。意味は分からない、だがそこには確かに奇妙な説得力があった。
 ある者は意識を失い、ある者は感動のあまり成仏した。またある者は、意味は分からなかったが周りの空気に流され涙を零した。
 実のところ意味はない。意味がない事こそ重要なのだ。根拠も無く全てを許す、それは並の人物には出来るものではない。
 パルスィ達はそこに世界の真理を見た。チョコレートが云々と騒いでいた自らのちっぽけさ、宇宙の膨大さを目の当たりにした。
 白蓮がガラスコップに歩み寄る。それを止められる者はいなかった。顔が浮かぶコインは解放され、パルスィの頭の上に飛んでいく。

「そうよ! バレンタインなんて無かったのよ!」

「2月14日は煮干しの日じゃないか! なんで皆、今日に限ってチョコレートなんて食べているんだろう!」

「よしんばあったとしても、それは偉大な聖人の命日という意味でしかありません!」

「確かに貴女達は罪を犯したわ。ですが反省の気持ちを忘れない限り、誰にも貴女達を裁く権利はありません」

 そして、慈母の表情が優しいお姉さんのそれに変わる。
 パルスィの唇に人差し指を当てて。

「でも、今度やったらチョベリナですよ?」


 【チョベリナ】
  超ベリー南無三の略。調子が悪いときや嫌な物を見た時、更には気合いを入れたい時など、枠に囚われず臨機応変に様々な意味を持つ。
  およそ千年前に所謂「コギャル」達の間で流行した言葉である。
    「ちょっとここ電波入んないんだけど! 法界マジ―なんですけど!」
                                                 (紅美書房刊『幻想郷死語辞典』より)


「「「ひ、ひじりーん!!!」」」

「そうだ、命蓮寺にいらっしゃいな。 一輪もいいわよね?」

「姐御ォ! 私は、私は生涯姐御をお慕い申し上げますァ!」

「う、丑の刻参りしてもいいの?」

「一日一時間までね」

「ぶ、分社建てていいですか?」

「神仏習合どんと来なさい!」

「「「なむさーん!!!」」」





 後に、その場に居合わせた霧雨魔理沙氏はこう語る。

「頭が真っ白になって、気付いたら白蓮もあいつらもいなくなっててさ。
 怒ったらいいのか戸惑ったらいいのか、もう変な笑いしか出てこなくて、みんな解散したんだ。
 なんか、何だ。本当に何だったんだあれは。よくわからん、普通な私には全くわからん領域だった。」













椛「あやさまあやさまあやさまー! どうですこのチョコ、仕事をサボって作った自信作ですよ!」

文「お醤油取って」

椛「はい」

文「ん。ほうれん草のおひたしは最高よね」

椛「かつぶしがアクセントに、じゃないちっがーう! チョコです! 今はチョコの話をしてるんです!」


 こうして幻想郷の平和は守られた。


文「椛、食事中に湿布臭い」

椛「暫く動きたくないです。久し振りに動き回って筋肉痛が」

文「筋肉痛になる天狗って最悪の字面ね」

椛「天狗だって人の子です! あれ、人の子じゃない!?」


 では、これで全ての脅威が取り除かれたのか?


椛「それよりそれより、食べてみてくださいよ! 昨日は結局渡し損ねちゃったし!」

文「今、私の口の中は完全に醤油味よ」

椛「飲み込んで! うがいして! はいお茶!」

文「ぶくぶくぶくぶく」


 否、断じて否である。


椛「ささ、パクっとパクっと!」

文「トリュフっていうんだっけ、これ? どうやって作るの?」

椛「一回溶かしてから丸めてですね――」


 幻想郷にバレンタインがある限り。


文「じゃあ頂かせて……ん?」

椛「?」

文「あっ」

バタン

椛「えっ」


 たとえ幾度斃れようとも、嫉妬同盟は何度でも蘇るのだ!


雛?「聖白蓮に浄化された嫉妬の念……。厄を集めるこの女により今一度顕現することが出来たわ!」

椛「雛さんの身体を乗っ取って……!? く、この厄気は強過ぎる……!!」

雛?「まずは貴様に礼をしてやらんとなァ、犬走椛ィ!!」

椛「幻想郷のバレンタインは私が守る!! うおおおおおおおおおおおおお!!!」



 戦え! 椛! 明日の為に!




 
まだバレンタインなんだ
まだバレンタインなんだ
まだ2月14日だから間に合ってるんだ
まだバレンタインネタに間に合ってるんだ
いや待て、バレンタインなんて無い
バレンタインなんて無いんだ
バレンタインなんて無いんだ
あれ、じゃあ俺は何のネタを書いてるんだ
バレンタインって何だ
俺は何を書いているんだ
俺は誰だ
木製
コメント



1.ずわいがに削除
いや、別にいつ投稿しても良いと思いますけどww

とりあえずツッコミ所が多過ぎて「何でそれで骨が折れるのか」とか「死んだんじゃなかったのか」とか色々ありますけど
総括――バレンタインなんて無かった
2.名前が無い程度の能力削除
破恋多淫?なにそれおいしいの?
3.奇声を発する程度の能力削除
それよりも水蒸気爆発に食い付いた自分。
場連他印?何それ新しい呪いの印か何か?
4.名前が無い程度の能力削除
なんというカオスw

・・・で、破恋多陰ってなに?それおいしいの?
5.名前が無い程度の能力削除
いや、まあ。何がそこまで貴方にバレンタインデーを憎ませるのか。
6.名前が無い程度の能力削除
バレンタイン、それは様々な種類のチョコが売り場に並ぶという、チョコ好きはもちろん甘いものが好きな者にはありがたいイベント
それ以上でもそれ以下でも無い

藁人形と五寸釘・・・
そういやアリスが試してたっけな
7.名前が無い程度の能力削除
聖w
1日1時間っておいw
8.名前が無い程度の能力削除
この作品マジチョベリナって感じ~
9.名前が無い程度の能力削除
場蓮他院ってなんですか?新手の宗教ですか?

それにしてもこの作品、チョベリナである。