甘ったるい匂いがする地霊殿の台所。換気扇をつけて一気に換気。
匂いは結構すぐに晴れたが、それでもまだ淡く甘く香る。この感じ、喩えるならジメチル水銀。
「できた……!」
私は自らの造り出したお姉ちゃん用のチョコを見て感激した。
会心の出来だった。
見た目はややアレな部分もあるが、散っていった多くの英霊と比べれば遙かに良い。
初挑戦でよく頑張ったと思う。チョコを溶かして固めるという単純作業だというのに、一体どれだけのチョコを無駄にしたかは判らない。判りたくもない。
とりあえず完成したのだ。食べ過ぎで少し膨れた腹と引き替えに。
少しくらいデブっても、悔いはない。
………
悔いはない。
「体重計なんてこの世に存在しません」
言いきれば勝ち。後で壊そう。
とりあえず完成したこのチョコレートをどう渡そう。
計六個。あれだけの材料を使用してこれっぽっち。
ええい考えるなという。市販のチョコだって三桁は買ってない。ああ無意識に想起とは。
……肌荒れに注意しないと。
忘れよう。何もかも。
「さて、これをどう包装しよう。箱に詰めたいけど箱ないし……あ、木箱があった」
思い出す。この前姉から貰った炒り豆の入ってた木箱。クリスマスに貰って、節分で巻いた豆。
あれを撒いた時のお姉ちゃんの切なそうな顔が、今も頭から離れない。あの為じゃなかったんだね。でも、クリスマスプレゼントで炒り豆はない。
そして今それはどうでもいい。
「入ったー!」
中にティッシュを詰めたら意外に普通。
これが以前にお姉ちゃんから貰った箱だということを考えなければバッチリだね。
「でもなかなか美味しそうに見えてきた」
箱の中にある黒い塊。
黒すぎてなんだが甘そうという印象がないが、しかしチョコなのだ。甘い以外にない。
ぱくり
存外苦かった。
「……あれ。なんで?」
苦いものを入れた覚えはないのだけど。
……もしや、残ってたチョコがカカオ99%だったのでは。
あああ、あれ間違えて買ったやつだからココアにしようと思ってたのに! 無意識に使っちゃった!
うぅ、この能力嫌い……
「うぅ。苦み成分配合……もぐもぐ」
やっぱり苦……何食べてるの!?
「うわぁ!? 二個食べちゃった!」
危ないところだった。半分になったら目も当てられない。
というか、箱の大きさとチョコの数が見合わなくなってきた。
六個でちょうど良かったのになぁ。
なんか悲しい。
しかたないので、小袋に入れることにしました。お手軽です。
中にティッシュ移動。
ピンクのリボン、ピンクのリボン。
よし。完成。
「なかなかオシャレ」
そうと言っておかないとやってられない。
入り具合チェック。
隙間が気になる。もう少し寄せよう。
ごそごそ
ぱくり
「んーーーーーーーーーー!」
また食べちゃったーーーーーーー!
私は今泣いて良い。
無意識って嫌いだー!
でも、凹んでいても誰も慰めてくれないのでがんばる。
一個一個が小粒だから三つだと見栄えしないなぁ。
仕方ない仕方ない。
試行錯誤が続く。
どうにか整った。
「ふぅ。ティッシュ量倍になったけど問題ない」
厚底。
開けてビックリ、たったの三個。
「……貰って悲しくなると困る」
喜びより先に悲しまれたらこっちも悲しいとようやく気付いた。
見栄張らずに小さくしよう。
ティッシュを取り出す。
取り出す。
チョコを取り出す。
食べる。
部屋の隅で落ち込む。
「……残り二個だし」
自制が利かない子みたいでなんか悲しい。実際その通りだけど。
駄目だ、私チョコ触っちゃ駄目だ。食べ物触ると食べなきゃいけない気がしちゃう。
「もう袋これでいいや。うっかり触って残り一個になったらもう……一個を手渡しっていうのも悪くないね」
心は揺れる。
が、それを食べる動機にしたら色々終わってしまう気がするので我慢する外ない。
私は獣じゃないの。理性ある子なの。ただちょっと我慢が利かないだけ。
というか我慢する間もなく行動が終了しているだけ。
とりあえず、さっさとお姉ちゃんに渡してしまおう。そうすれば安全だ。
あのお姉ちゃんも、さすがに妹からのプレゼントをそのまま誰かに渡したりはしないだろう。以前それやって私が泣いたから、さすがにもう自重するだろう。しなかったら刺してやる。
あの時似合うと思って買ったチョーカーをお燐の首輪にした恨みは忘れない。
まったく。お姉ちゃんの天然には困る。
もぐもぐ。
このチョコ並に苦い。
「……そろそろ泣いていいかもしれない」
ラス1です。
予想はしてた。
「おねぇちゃぁん!」
走る。私走る。
これ持ってると確実に食べちゃうのが判るので、一刻も早くお姉ちゃんにこのチョコを渡さなければならない。
どこだー、お姉ちゃんはぁ!
こんな時、心が読めないのは困る。所在が判らない。
「おねえちゃーーーーん!」
「どうしたのこいし?」
「あ、お姉ちゃん。お姉ちゃん探してるの! 知らない?」
「さっき向こうに走っていったわよ」
「ありがとうお姉ちゃん!」
一旦停止から再度駆け出す。そして急停止。転ぶ。
「お姉ちゃんだっ!」
「今日も元気ね」
酷い虐めを味わった。
打った鼻が痛い……
とりあえず、ぱしぱしと埃を払って立ち上がる。
「探したよ。お姉ちゃん」
「何どうしたのよ慌てて。チョコでもくれるの?」
「そそそそっそそそそそそそそそ」
恐ろしく噛んだ。
「そんなわけないじゃない馬鹿ぁ!」
「なんで罵倒されたのかしら」
つい否定してしまった。
こう、これからの行動を読まれると否定しちゃうわよね。
「お姉ちゃん!」
「何かしら?」
「ちゅお」
また噛んだ。あぁ、こういう時こそ無意識にならなきゃでしょうが。
けれど、私の噛んだ言葉で意味を理解したのか、お姉ちゃんは私に近づいてきた。そして。
「ちゅ」
キスした。
………?
………っ!?
「なななななな!? な、なん、ななな!」
二文字目が出ません。
「あれ、違った? キスのおねだりかと思ったんだけど」
「大違いです!」
まさか平然と唇を奪われるとは思いませんでした。
心臓がやばいです。とても。
「きょ、今日はバレンタインなの!」
「知ってるわよ」
「だ、だから、これ! ……あれ?」
手を突き出した。
何もなかった。
コレハドウイウコトダ?
嫌な予感しかしない。
勢い良く周囲を見渡す。
チョコは! どこ! 足の裏には、ない! 良かった、最悪の事態は免れた!
無意識に踏んだかと思ったけどそれはなかった。
「もしかして、あれのこと?」
「え?」
指差され、そっちを見る。紙袋があった。その横にチョコが転がり出ていた。
「あああああああああ!」
絶望的だった。
「い、いっしょうけんめ、作ったのに……」
私の労力とお金と脂肪を返せ。いや、むしろ脂肪はどっかに還って。
私が四つんばいに崩れ落ちると、お姉ちゃんは転がったチョコをしげしげと眺める。
「……あとで掃除しておくね」
ぱくり
あ、食べた。
「……汚いよ!?」
まさかの拾い食いに一瞬反応できなかった。
お姉ちゃんが拾い食いするなんて。
「いくらお燐が毎日頑張って掃除してるからって、そんなことすると身体壊すよ!」
「んー、苦い」
「あぁ、もう。出していいよ」
「ごくり」
「擬音を口で言いながら飲んだ!?」
器用だ。
「お姉ちゃん、後でもっと美味しいチョコ作るのに!」
叱りたいやら嬉しいやらで、うぅ、なんか泣きそう。
そんな私をお姉ちゃんはジッと見つめてくる。なんか恥ずかしい。
「……無意識だったわ」
「それ私のアイデンティティ」
邪魔な能力でも個性なので奪わないで欲しい。
すると、しばらく姉は考えた。
そして、ポンと手を叩いた。
「じゃあ私もチョコあげるわ」
想定外の話が出てきた。
「……はい?」
「はい」
と、手を突き出してくる。
良く見たら右手が真っ黒だった。
「……なにこれ?」
「チョコ」
「なんでお姉ちゃんの右手がチョコフォンデュなの?」
「食べちゃ駄目よ。舐めなさい」
「質問に答えて欲しい」
私の懇願を、お姉ちゃんはどうにか聞き届けてくれた。
何故かゆっくりとポーズを取る。右手を顔に添える。
「こいしが台所使ってたから、お風呂で生チョコ作ろうとして失敗した結果がコレさ」
全然格好良くなかった。
……ってお風呂!? 大惨事の予感!
お掃除頑張れ、お燐。
「お姉ちゃん、顔にチョコついたよ」
「あら本当」
手形がぺったり。
「まぁいいわ。はい。こいし。舐めなさい。指先を」
「手抜き過ぎじゃない?」
「何言ってるの、手詰まってるじゃない」
「あ、本当だ!」
しまった乗っちゃった。
……なんかちょっと気の引けるチョコの食べ方、もとい、舐め方だなぁ。
ぺろり
「こいし、なんかえっちぃ」
「私じゃないよ!?」
わぁ、なんで今更そんなこと言うのよ! 恥ずかしくなるじゃない!
「もっとやりなさい」
「嬉しそうだねお姉ちゃん!」
お風呂でチョコ作って寝不足で失敗してハイテンション。
手が付けられません。
「と、とりあえず、チョコありがとうね」
「感謝していいわよ」
「一応言うけど、私もチョコあげたからね?」
「苦かったわ」
「ごめんなさい」
なんか私が悪者っぽい……ショックだ。
溜め息も出ます。
すると、お姉ちゃんが私の肩をつんつんと叩く。
「ねぇ、こいし」
「何?」
お姉ちゃんは何かを言おうとして、口の中で言葉を撫でる。きっと甘いこと言おうとして、照れてるんだろうなぁ。寝惚けてても、そういう恥じらいはあるんだなぁ。可愛いなぁ。
そんなことをつい考えてしまう。
嗚呼、なんだか慌ただしかったけど、それなりに面白かったなぁ。バレンタインも。
「メリークリスマス」
「それ違う日」
匂いは結構すぐに晴れたが、それでもまだ淡く甘く香る。この感じ、喩えるならジメチル水銀。
「できた……!」
私は自らの造り出したお姉ちゃん用のチョコを見て感激した。
会心の出来だった。
見た目はややアレな部分もあるが、散っていった多くの英霊と比べれば遙かに良い。
初挑戦でよく頑張ったと思う。チョコを溶かして固めるという単純作業だというのに、一体どれだけのチョコを無駄にしたかは判らない。判りたくもない。
とりあえず完成したのだ。食べ過ぎで少し膨れた腹と引き替えに。
少しくらいデブっても、悔いはない。
………
悔いはない。
「体重計なんてこの世に存在しません」
言いきれば勝ち。後で壊そう。
とりあえず完成したこのチョコレートをどう渡そう。
計六個。あれだけの材料を使用してこれっぽっち。
ええい考えるなという。市販のチョコだって三桁は買ってない。ああ無意識に想起とは。
……肌荒れに注意しないと。
忘れよう。何もかも。
「さて、これをどう包装しよう。箱に詰めたいけど箱ないし……あ、木箱があった」
思い出す。この前姉から貰った炒り豆の入ってた木箱。クリスマスに貰って、節分で巻いた豆。
あれを撒いた時のお姉ちゃんの切なそうな顔が、今も頭から離れない。あの為じゃなかったんだね。でも、クリスマスプレゼントで炒り豆はない。
そして今それはどうでもいい。
「入ったー!」
中にティッシュを詰めたら意外に普通。
これが以前にお姉ちゃんから貰った箱だということを考えなければバッチリだね。
「でもなかなか美味しそうに見えてきた」
箱の中にある黒い塊。
黒すぎてなんだが甘そうという印象がないが、しかしチョコなのだ。甘い以外にない。
ぱくり
存外苦かった。
「……あれ。なんで?」
苦いものを入れた覚えはないのだけど。
……もしや、残ってたチョコがカカオ99%だったのでは。
あああ、あれ間違えて買ったやつだからココアにしようと思ってたのに! 無意識に使っちゃった!
うぅ、この能力嫌い……
「うぅ。苦み成分配合……もぐもぐ」
やっぱり苦……何食べてるの!?
「うわぁ!? 二個食べちゃった!」
危ないところだった。半分になったら目も当てられない。
というか、箱の大きさとチョコの数が見合わなくなってきた。
六個でちょうど良かったのになぁ。
なんか悲しい。
しかたないので、小袋に入れることにしました。お手軽です。
中にティッシュ移動。
ピンクのリボン、ピンクのリボン。
よし。完成。
「なかなかオシャレ」
そうと言っておかないとやってられない。
入り具合チェック。
隙間が気になる。もう少し寄せよう。
ごそごそ
ぱくり
「んーーーーーーーーーー!」
また食べちゃったーーーーーーー!
私は今泣いて良い。
無意識って嫌いだー!
でも、凹んでいても誰も慰めてくれないのでがんばる。
一個一個が小粒だから三つだと見栄えしないなぁ。
仕方ない仕方ない。
試行錯誤が続く。
どうにか整った。
「ふぅ。ティッシュ量倍になったけど問題ない」
厚底。
開けてビックリ、たったの三個。
「……貰って悲しくなると困る」
喜びより先に悲しまれたらこっちも悲しいとようやく気付いた。
見栄張らずに小さくしよう。
ティッシュを取り出す。
取り出す。
チョコを取り出す。
食べる。
部屋の隅で落ち込む。
「……残り二個だし」
自制が利かない子みたいでなんか悲しい。実際その通りだけど。
駄目だ、私チョコ触っちゃ駄目だ。食べ物触ると食べなきゃいけない気がしちゃう。
「もう袋これでいいや。うっかり触って残り一個になったらもう……一個を手渡しっていうのも悪くないね」
心は揺れる。
が、それを食べる動機にしたら色々終わってしまう気がするので我慢する外ない。
私は獣じゃないの。理性ある子なの。ただちょっと我慢が利かないだけ。
というか我慢する間もなく行動が終了しているだけ。
とりあえず、さっさとお姉ちゃんに渡してしまおう。そうすれば安全だ。
あのお姉ちゃんも、さすがに妹からのプレゼントをそのまま誰かに渡したりはしないだろう。以前それやって私が泣いたから、さすがにもう自重するだろう。しなかったら刺してやる。
あの時似合うと思って買ったチョーカーをお燐の首輪にした恨みは忘れない。
まったく。お姉ちゃんの天然には困る。
もぐもぐ。
このチョコ並に苦い。
「……そろそろ泣いていいかもしれない」
ラス1です。
予想はしてた。
「おねぇちゃぁん!」
走る。私走る。
これ持ってると確実に食べちゃうのが判るので、一刻も早くお姉ちゃんにこのチョコを渡さなければならない。
どこだー、お姉ちゃんはぁ!
こんな時、心が読めないのは困る。所在が判らない。
「おねえちゃーーーーん!」
「どうしたのこいし?」
「あ、お姉ちゃん。お姉ちゃん探してるの! 知らない?」
「さっき向こうに走っていったわよ」
「ありがとうお姉ちゃん!」
一旦停止から再度駆け出す。そして急停止。転ぶ。
「お姉ちゃんだっ!」
「今日も元気ね」
酷い虐めを味わった。
打った鼻が痛い……
とりあえず、ぱしぱしと埃を払って立ち上がる。
「探したよ。お姉ちゃん」
「何どうしたのよ慌てて。チョコでもくれるの?」
「そそそそっそそそそそそそそそ」
恐ろしく噛んだ。
「そんなわけないじゃない馬鹿ぁ!」
「なんで罵倒されたのかしら」
つい否定してしまった。
こう、これからの行動を読まれると否定しちゃうわよね。
「お姉ちゃん!」
「何かしら?」
「ちゅお」
また噛んだ。あぁ、こういう時こそ無意識にならなきゃでしょうが。
けれど、私の噛んだ言葉で意味を理解したのか、お姉ちゃんは私に近づいてきた。そして。
「ちゅ」
キスした。
………?
………っ!?
「なななななな!? な、なん、ななな!」
二文字目が出ません。
「あれ、違った? キスのおねだりかと思ったんだけど」
「大違いです!」
まさか平然と唇を奪われるとは思いませんでした。
心臓がやばいです。とても。
「きょ、今日はバレンタインなの!」
「知ってるわよ」
「だ、だから、これ! ……あれ?」
手を突き出した。
何もなかった。
コレハドウイウコトダ?
嫌な予感しかしない。
勢い良く周囲を見渡す。
チョコは! どこ! 足の裏には、ない! 良かった、最悪の事態は免れた!
無意識に踏んだかと思ったけどそれはなかった。
「もしかして、あれのこと?」
「え?」
指差され、そっちを見る。紙袋があった。その横にチョコが転がり出ていた。
「あああああああああ!」
絶望的だった。
「い、いっしょうけんめ、作ったのに……」
私の労力とお金と脂肪を返せ。いや、むしろ脂肪はどっかに還って。
私が四つんばいに崩れ落ちると、お姉ちゃんは転がったチョコをしげしげと眺める。
「……あとで掃除しておくね」
ぱくり
あ、食べた。
「……汚いよ!?」
まさかの拾い食いに一瞬反応できなかった。
お姉ちゃんが拾い食いするなんて。
「いくらお燐が毎日頑張って掃除してるからって、そんなことすると身体壊すよ!」
「んー、苦い」
「あぁ、もう。出していいよ」
「ごくり」
「擬音を口で言いながら飲んだ!?」
器用だ。
「お姉ちゃん、後でもっと美味しいチョコ作るのに!」
叱りたいやら嬉しいやらで、うぅ、なんか泣きそう。
そんな私をお姉ちゃんはジッと見つめてくる。なんか恥ずかしい。
「……無意識だったわ」
「それ私のアイデンティティ」
邪魔な能力でも個性なので奪わないで欲しい。
すると、しばらく姉は考えた。
そして、ポンと手を叩いた。
「じゃあ私もチョコあげるわ」
想定外の話が出てきた。
「……はい?」
「はい」
と、手を突き出してくる。
良く見たら右手が真っ黒だった。
「……なにこれ?」
「チョコ」
「なんでお姉ちゃんの右手がチョコフォンデュなの?」
「食べちゃ駄目よ。舐めなさい」
「質問に答えて欲しい」
私の懇願を、お姉ちゃんはどうにか聞き届けてくれた。
何故かゆっくりとポーズを取る。右手を顔に添える。
「こいしが台所使ってたから、お風呂で生チョコ作ろうとして失敗した結果がコレさ」
全然格好良くなかった。
……ってお風呂!? 大惨事の予感!
お掃除頑張れ、お燐。
「お姉ちゃん、顔にチョコついたよ」
「あら本当」
手形がぺったり。
「まぁいいわ。はい。こいし。舐めなさい。指先を」
「手抜き過ぎじゃない?」
「何言ってるの、手詰まってるじゃない」
「あ、本当だ!」
しまった乗っちゃった。
……なんかちょっと気の引けるチョコの食べ方、もとい、舐め方だなぁ。
ぺろり
「こいし、なんかえっちぃ」
「私じゃないよ!?」
わぁ、なんで今更そんなこと言うのよ! 恥ずかしくなるじゃない!
「もっとやりなさい」
「嬉しそうだねお姉ちゃん!」
お風呂でチョコ作って寝不足で失敗してハイテンション。
手が付けられません。
「と、とりあえず、チョコありがとうね」
「感謝していいわよ」
「一応言うけど、私もチョコあげたからね?」
「苦かったわ」
「ごめんなさい」
なんか私が悪者っぽい……ショックだ。
溜め息も出ます。
すると、お姉ちゃんが私の肩をつんつんと叩く。
「ねぇ、こいし」
「何?」
お姉ちゃんは何かを言おうとして、口の中で言葉を撫でる。きっと甘いこと言おうとして、照れてるんだろうなぁ。寝惚けてても、そういう恥じらいはあるんだなぁ。可愛いなぁ。
そんなことをつい考えてしまう。
嗚呼、なんだか慌ただしかったけど、それなりに面白かったなぁ。バレンタインも。
「メリークリスマス」
「それ違う日」
ボケてるさとり様も素敵です。
>>「じゃあ私もチョコあげるわ」
で口移しを想像した俺は末期かもしれん…
仲が良くて甘いさとこいをありがとう。
右手だけかと思ったら唇が黒かったりしたら悶えるwww
無意識に三角コーナーに卵を割って殻を鍋に放り込んだことがあるけど無意識って怖いね。
「擬音を口で言いながら飲んだ!?」←スゲえ特技だwww
>「擬音を口で言いながら飲んだ!?」
Ω≪ナ、ナンダッテー!?
あとごくりと言いながら飲み込むさとり様想像して吹いたw