春だった。
無縁塚近くの原っぱ。
上空を、リリーがひよひよと飛んできた。
「春でっすよー」
暢気な声で言う。
彼女が春を告げると、どんな花もたちまちに蕾を開いた。
ふんわりと開いた花びらは、まだ瑞々しく、艶めいた柔肌のように、見た目がふっくらとしている。
その調子で、リリーは次々と花を咲かせていった。
が、ふと気がつく。
「? ありゃ」
ちょっと眼差しを曇らせて見下ろす。
咲かない花がある。
(なんだろ)
リリーは引き返した。
花の傍に降りて、もう一度呼びかける。
「おーい。春だよー」
しかし、花びらからは返事がない。
リリーは妙に思った。
「なにこれ。へんなの」
念のため、地面に肘をついて、顔を近づけて呼んでみる。
それでも返事はない。
リリーは眉をひそめた。
じっとにらんでみても、花は開く気配がない。
そっと指先でつついてみるが、ふにふにとした頼もしい感触が帰ってくるだけだ。
ここら辺の花は、もうあらかた咲いて、リリーと開かない花とを、ヘンなものを見るようにして視線を投げかけている。
ううん、と蕾をそっと撫でたり、額のとこをくすぐったりしつつ、リリーは考えた。
まだ成熟しきっていないのならわかるが、この蕾は十分に大きい。
ぷっくりと膨らんで、熟しきっている。
「――ま、いいや。しーらない。しーらない。咲かない花は知りませーん、と」
リリーは歌うように言って、目を背けて立ち上がった。
ちら、と横目で、花のことは見下ろしている。
「――あれー。おっかしいなー。へんだなー。私が呼んでも開いてくれない花がいるなんてなー。へんだなーもー自信無くしちゃうなー。あーあー。もうやめちゃおっかなー、春告げ。はあー。私が止めたら大変だろうなー春が来ないからー。あーあーどうしようっかなー」
それでも、花びらに変化はない。
リリーは横目に様子を見ると、今度は突然顔をおおった。
「すん……う。う、ほんと……どうしちゃったんだろう……わたし、もう駄目なのかな……すん、う。ひっく……」
それでも、花びらに変化はない。
リリーは嘘泣きを止めた。
「……もう」
ぷうと膨れた顔をすると、花のそばに近寄る。
しゃがみこむと、ちゅ、と自分の指を口に含んで、指を唾液でぬらす。
ぬらした指先を花びらに伸ばす。
(これ疲れるから、あんまりやりたくないんだけどなあ……)
蕾の表面は、ちょうど朝露にぬれててらてらと輝いている。
リリーはそばで四つんばいになると、蕾に口を近づけた。
だいたい花の構造はわかるので、唇の間から、舌先を割れ目の辺りにちゅぷ、と押しつける。
(んしょ……と)
れろ、と蕾の頭頂当たりを、丁寧に舌でなぞる。
ちょうど割れ目に沿うように、舌先を這わせ、半開きにした唇から、徐々に唾液を流し込むようにするのだ。
リリーの、先がちょっとふくらんだ控えめな唇から、ぬらぬらと唾液が伝い落ちていく。
割れ目に入りきらない唾液が、横を伝って、蕾全体を湿らしていく。
リリーにすればかなり疲れる体位である。
肘をついて身体を傾け、舌を蕾の下部のほうへと下ろしていく。
このとき、ぬらした指は割れ目の辺りに置いて、丹念になぞっている。
「んん……」
リリーはちょっと眉をひそめた。
蕾の上はともかく、下の方に舌を這わせるのは、辛い体勢である。
こぶりな尻を上に突き出し、金色の髪をばらばらと地面に垂らして、リリーは懸命に蕾を愛撫した。
(そろそろかな……)
首が疲れてきたので、舌を蕾の横らへんに戻していたリリーは、指がぬるぬるとぬめってくるのを感じた。
唾液とは違い、ぬめり気の強い感触だ。
花の蜜が溢れてきているのだ。
舌先に蜜が触れて、とろけるような甘い味がした。
リリーはあふれる蜜に、唇で吸いつくようにして、ちょっと舌を押しつける力を強めた。
こっそりと蜜を吸いつつ、頭頂の割れ目に少し深く指を押し入れる。
さっきよりもだいぶゆるくなっている。
押し入れた指は、小さい割れ目の中に入りきらない。
指先で刺激を与え続ける。
さっきまで断続的だったのを、今度は少し変化をつける。
蜜に甘味が出てきたので、リリーはさっきよりも熱を入れていた。
上気した顔で、蕾の表面に唇を押しつける。
花はだいぶ開き始めてきたようだ。
リリーは割れ目に刺激を与えながら、徐々に指の差し込みを深くしていった。
(もう少し、もう少し……)
時折舌を止めて、指先に唾液を染みこませる。
指はすでにべとべとで、蜜の匂いが染みついてきている。
(開け開け)
指が適当なところまでさしこまれるようにと、リリーは指先に反応を感じて、顔を上げた。
「お……よし」
花弁に到達したようだ。
蜜に溢れて、めしべとおしべがぬるぬるしている。
リリーは指を花弁の横まで差しこむと、中の花びらを、またこすり始めた。
敏感なところは、経験で分かっているので、そこを重点的に攻めてやる。
ここからは、両手を使わないといけない。
「んう……」
肘をついた強引な姿勢で、リリーは愛撫を続けた。
一方の手で割れ目を押し広げるようにして、もう一方の指で中をこする。
花びらの抵抗は弱まっており、蜜がとろとろとあふれ出してくる。
リリーの力に感化されて、体内活動が活性化しているのだ。
(そろそろいいかな?)
リリーは片方の指を離して、身を乗りだした。
花びらはもう十分に開いている。押さえつける必要もない。
花弁の中央に、舌を押し入れる。
今度はすんなりと入った。
ちゅ、ぴちゅ、と花の中を舌で舐め取るように刺激する。
「む、んむ」
リリーは眉をひそめて、懸命に舌を動かした。
花びらがさらに束縛をゆるめていく。
もういいな、と思い、最後にリリーは唇を押しつけて、花弁の根元当たりをきゅう、と吸った。
花びらは一瞬抵抗を弱めて、それから力強く花びらを開いた。
蜜とリリーの唾液まみれになった表面が、艶めいて光っている。
「ふはー」
リリーはどっと身体を起こして、息を吐いた。
「ああー……疲れるわー」
顔も指も、花の蜜でべとべとである。
「あーあ」
気持ち悪い。
思いつつも、リリーは、濡れた指を見た。
こっそりと舐め取る。
「ん。……良い味」
ちょっと微笑んで、立ち上がる。
開いた花は、ほかのどの花よりも艶やかに見える。
「まったく。綺麗な花じゃない。人に世話焼かせないでよね」
リリーは言うと、強ばった身体をのばした。
「さってと」
それから、ふわりと飛び上がった。今日はまだまだ回らなければいけない。
リリーが去った後、少し離れたところで様子を見ていた大妖精は、あっけにとられた顔で立ちつくしていた。
ふと我に返って、言う。
「……。え?」
「ん? なにしてんの?」
後ろからチルノが声をかけた。大妖精は、あわててふりかえって答えた。
「あ、い、いや。う、ううん。なんでもない」
なぜか顔が紅くなっていたが、チルノは気がつかなかったらしい。
これほどまでに悶々としたのは初めてだ!!! くそッ! 映像で見せてくれ!!!
明日小学校の花壇に蕾柄のパンツ穿いて埋まってくる。
おい。
まさしくセウト
のかが。全くもって、理解に苦しみますよ。どこからどう見ても、郷に春を
もたらすために健気に努力する妖精の心温まる物語ではないですか。それを貴方たちは、
おのれの都合の良い様に解釈し、欲望を流し込んでゆく。このコメント欄に見えるようにね。作者の
願いを完膚無きまでに踏みにじって、何が楽しいのでしょうか?
いい話をありがとう。
………そうか、もう春か。色々やり始めなきゃorz
え?
で、私も聞きたい 一応彼だと思って読んだが 彼or彼女どっち?
>>彼or彼女どっち?
ただの花ですよ。これKENZENな話ですし
なにもおかしくはないな
ナニもおかしくないよ
いや、ヤン○ガとかヤ○ジャンなら普通にあるか。しかし……ふぅ……