○月○日:来門者0人。
彼女は職務中に何度かのシエスタを試みるも、全てナイフにより阻止に成功。少しばかり悪い気もするが下の者達に示しがつかなくなるため行動を実行した。職務後には食堂にて夕食を食べたのちに入浴し、自室でくつろいだあとに就寝。突入を試みるが決意出来ずに断念。なお、今日は全食とも私の料理であった。わざわざ入浴前に私のところへ来て、ごちそう様でしたと言ってくれた事がどうしようもなく嬉しかった。
○月△日:来門者アリス
なんだか妙に仲が良さそうに門前で会話をしていた。どうやらアリスは庭園の管理について彼女に聞いているようだった。アリスは一通りの質問を終えた後に図書館へと向かった。私も紅茶の準備をして図書館へと向かう事にする、確か彼女はミルクティーが好みだったはず。図書館にてアリスにそれとなく事情を尋ねてみた。なんでも、自宅の周りに花を植えようとして、彼女から花の種を分けてもらったとのこと。何の花かを聞いてみたが、それとなくお茶を濁らされてしまった。紅茶だけでなく、話まで濁らせるとは…。
職務後に彼女と少しの間だけど会話が出来た時に
「今日は咲夜さんの料理が食べられませんでした…」
と残念そうに話してくるので、少し多めに夜食を作り彼女の部屋まで持って行ったところ室内に招いて貰え、夜食を一緒に食べられる事が出来た。
やっぱり、咲夜さんの料理が一番美味しいですね
彼女は食後の第一声から私を殺しにきた。
○月□日:来門者?人
今日は彼女としては珍しい内勤の日のため、来門者数は不明。来客数が0なのでおそらくは0人になるだろう。彼女は妹様と終日遊んでいた。「遊び」といっても、この屋敷で妹様と遊んで無事でいられるのは、お嬢様を除けば彼女だけだろう。他の妖精メイド達や人間である私には出来ないため、立派な「職務」になる。ただ彼女は純粋に「遊び」だと思っているため、妹様との遊びを「職務」と呼ぶと微妙な顔する。といっても以前に比べれば妹様も遥かに落ち着いていらっしゃるので本当にただの「遊び」なのかもしれない。
紅茶を届けに彼女らのところへ行ったのだが、間が悪く彼女らはシエスタをしていた。幸そうに寄り添って眠る二人はまるで本当の親娘のようだった。ただ、少し前の自分の定位置に別の誰かがいるというのはなんとも不思議な気持ちになるものである。などと考えていると彼女がふっと目を覚まして、咲夜さんも一緒にどうです?気持ちいいですよ?と屈託のない笑顔で言ってくるので、私は気が気ではなかった。いつのまに貴方は読心術を取得したのよ。
○月×日:来門者不明
今日、彼女は休日らしく午前中図書館で読書をしていた。珍しい事もあるのねと紅茶を差し入れたところ、庭園に新しく植える花を考えているんですよと少し照れながら事情を説明してくれた。咲夜さんは好きな花ってありますか?と聞いてきたので、咄嗟に胡蝶蘭と応えてしまった。どさくさにまぎれて私は何を言っているのよ…。しかし彼女は、確かに綺麗な花ですよねぇ~、以前アリスにも…とにっこり笑って話をすすめるだけだった。まさか、彼女の鈍さに感謝する日がやってくるとは…
午後彼女の姿を館の主人であるお嬢様の部屋で見た。どうやら共通の趣味(?)であるマンガを楽しんでいるようだった。椅子には座らずに、どこからか持ってきた敷物の上に直接寝そべりながら、熱心にマンガを読んでいる二人の姿は本当に主従関係であるのか、疑わしくなる程に微笑ましい光景だった。ちなみに二人が読んでいたマンガのタイトルは、お嬢様が「真ゲッターロボ」で彼女が「ゲッターロボG」だった。シリーズものなのだろうか。今度私も借りて読んでみようかしら。それにしても購入先はどこなのだろうか?
△月○日:来門者0人
庭園に新しい花が咲いていた。彼女は私の希望どおりに胡蝶蘭を植えてくれたみたいで、赤い花が風に揺れていた。しかし、よく見てみると胡蝶蘭以外にも、もう一種類違う花が植えてあるのに気付いた。それは赤いデージーの花だった。いや、偶然よね…などと考え込んでいたら、どこからか彼女がやって来て、私の好きな花も植えてみました、どうでしょうか?と満面の笑みを私に向けてくれた。その時の彼女の笑顔が赤く見えたのは、きっと庭園で咲き誇る花々のせいなのだろうけど、どちらの理由によるものなのかを聞く勇気もなかったし、多分私の顔も赤いだろうから聞けるわけもなかった。自分も赤面しているのに、相手に赤面の理由を尋ねること程滑稽なものもないだろうし。ただ私は小さく、私も好きよと彼女の言葉に応えるのが精一杯だった。
※※※※※
…見てはいけないものを読んでしまったぜ。
興味本位でメイド長の部屋に忍び込んだ事を後悔する。
私はそこで小奇麗なハードカバーの冊子を見つけた。
魔術書かと思い、手を伸ばしてみたのが運のつき。
逃げようにも体が動かない、厳密には動けない。
私は背後から激しい殺気を感じているからだ。
動くと死ぬ、しかしこのままでもいずれは…
何か言い残す事はある?
背後にいる死が優しい声音で尋ねてくる。
ごめんな、アリス、私はもう…せめてこの花だけでも…
と私は大切な人から貰った胡蝶蘭を庇うようにして…
俺はゲッター線により…めーさくしか受けつけn
そして魔理沙wwww
ゲッターアーク……
さよなら魔理沙、君に「好奇心は猫を殺す」の一言を捧げよう
めーさくおいしですww