――朝、チュンチュン
蓮子の家は狭くて本がたくさん転がっていて、クローゼットには同じような服がたくさん詰め込まれてる。
キッチンにはコーヒーメーカーと薬缶と急須とティーポットと。嗜好品を嗜むための道具が並べられているのに、料理の痕跡はほとんどなかった。
「ねぇメリー。全裸で」
「語尾に全裸でなんて、どういった風の吹き回し? ところで紅茶飲む?」
「うん飲む。全裸で。暇だから語尾に全裸でって付けて話してみようかなって思って」
「それはやたらと退廃的ね」
「でしょう、全裸で。メリーもしましょうよ、全裸で」
「そこに意味が見出せたら喜んで」
ぽかぽか陽気で部屋に居たから、頭が春になったのかもしれない。
蓮子の奇行はそう珍しいものでもなくて、けれども秘封倶楽部はその蓮子のバイタリティに引っぱられて存在してる。
大概の場合私もそれに押し切られてしまうのだけど、たまには主張の必要性に感じていないかといえば当然、嘘になる。
「じゃあ珈琲入れてくるわね」
「紅茶じゃなかったの? さっき紅茶って言ったわよ。全裸で」
「気が変わったの。コーヒーも好きでしょ」
「うんまぁ。メリーの淹れてくれた奴なら好きかな。全裸で」
「下品ね。コーヒーを飲むときぐらい上品な気持ちになりたいものだけど」
後ろで何かを言っている蓮子を置いて、コーヒーメーカーを操作する。お豆を入れてフィルターをセット。お水を入れたらボタンを押す。
たったこれだけの手順で作られているコーヒーなのに、蓮子はそれを美味しいという。
「メリーは天才だね、全裸で」
「それはコーヒーメーカーを発明した人に言ってよっと、あつっ!」
「大丈夫? 全裸で」
「平気、ちょっと零しただけだから」
「乙女の柔肌は熱に弱いのよ、全裸で」
蓮子はコーヒーにたっぷりミルクを入れちゃう。角砂糖も三個は入れちゃう。
それでもコーヒーが好きと言い張る彼女の愛読書は、ハードボイルドな小説物。
私はどちらかといえば紅茶派なのだけど、付き合って喫茶店でコーヒーも飲むようになった。
「水で冷やさなくていいの? 全裸で」
「大丈夫よこれぐらい。それよりもコーヒーだけってのも寂しいわね」
「コンビニ行ってこようか? 冷蔵庫の中、何もないし。全裸で」
「寝ててもいいわよ。私行くから」
蓮子の家からコンビニは、往復でもほんの五分程度だし、すぐに帰ってこれる。
「ほんとにそれで行くの? 全裸で」
「そろそろしつこいわね、その語尾」
「ねぇメリー? 外に行く前に自分の格好を鏡で見てみなさい」
己の紳士(汚れ)っぷりに失望した、全裸で。
秘封ちゅっちゅならぬ朝チュンwww
ご馳走様でした!
つまり.....!!
素晴らしい秘封だw
朝チュン!
昨夜はお楽しみでしたね。全裸で。
とゆう不思議な感覚を味わいました。
メリーと蓮子なら何の違和感もないね!夫婦だし!