Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

閑話隠居話『名も無き新入り』

2010/02/10 15:44:26
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 トンボ、逆トンボ、平正眼……

 ……一番良い構え方はどれでしょうか?

 あ、お客さんですか?どうもすみません

 はい、古明地さとりです

 えっ?何の構えですかって?

 御料理の包丁持ち方の練習なんですけど…どれが一番なのか……

 ……わ、わかってます!どれも違うって事は!

 えっ!?だ、だったら正しい包丁の持ち方を伝えろですか?

 えっ…えっと……て、天地魔闘の…

『にゃう!』

 ……た、助かりました…

『うな~』

 はい!あれは追っ払って良い敵です

『……うにゃ?』  

 レミリアさんですか? 

『にゃ!』

 レミリアさんは…… 











「よいしょーっと!」 

 ふう、働くって素晴らしいわね

 健全な肉体には健全な精神が宿る

 ……あら?お久しぶり、レミリア・スカーレットよ

 今日は一ヶ月に数日、隠居生活から紅魔館に戻る日

 ……まあ、咲夜とフランが私を紅魔館に残そうと

 大量の仕事を残したと言う策略があったのだけど…

 まあ、お仕置き代わりに一ヶ月戻らないと脅したら謝られたわ



 えっ?何処に居て何をしてるかって?

「紅魔館の門の前で物資運んでいるんだけどなにか?」

(おーい、こっちも手伝って貰えないか)

 おっと、私の助けを待っている門番達が居るわね

 急いで行かないと…  





     ・・・




「これで全部かしら?」
「いや~助かったよ」
「ほんとほんと…」
 荷物を全て所定の位置に運び終えた事を確認すると
 私が手助けをした門番隊の二人が感謝をしてきた
 ……ああ、二人とも初対面だから、きっと新入り達ね?
 まあ、今ではフランが紅魔館の当主だと思っている子も居るだろうし

「しかし、力持ちだなぁ嬢ちゃん」
 片方の気のよさそうな門番がそう言って私に伝える
「良かったら門番隊に入らないかい?」
 もう片方のメガネが似合う門番も私にそう言った
「ん~……今の私の仕事が終わったら考えさせてもらうわ?」
(それにこれはこれで面白いわね)
 
「そうかぁ~……残念だな」
「ああ~そうそう!これ手伝ってくれた御礼といっては何だけど」
 二人組みがそう言って、私に何かを渡してくれた
「あら?乾パンじゃない」
「ごめんな、本当はクッキーとかの方が良いと思うけど」
「新入りの僕らの夜食なんだけどさ……」
 ……夜食をプレゼントするなんて
 なかなか出来る事じゃないわ……うん、今の私でも難しい
「いいの?」
「構わないよ……なぁ?」
「ああ、御嬢ちゃんが居なかったら僕ら二人夕方までかかってたと思うし」

 ……その言葉にちょっとだけ違和感を覚えた

「ねぇ……なんで二人だけで物資を運んでるの?」
 元より、紅魔館の門番隊の数は多少の増減はあるにしても
 それなりに人数が居るはず 
 それなのに、物資を運ぶ仕事をするのが数人だけなのはおかしい
 私の言葉に、二人が苦笑しながら答えてくれた

「まあ……ちょっとした訳有りでね」
「うん、僕達より一週間先に入った先輩達も働く筈だったんだけど……」

 簡単に言えば、ほんの少し先に入った先輩達の質が少し悪かった訳だ
 まあ、運が悪いと言えばそうなんだけどね

「…僕はキッチンの方に入りたかったな」
「あはは、お前は料理の腕そこそこあるもんなぁ」
「へぇ……美味しいの?」
 私の言葉に気がよさそうな門番が頷く
「こいつの得意料理の味噌汁は結構いけますよ?」
(むっ!?味噌汁が得意……なるほど、なかなかの腕前ね)

「はあ……できたら俺も庭掃除担当になりたかったよ」
「土いじり好きだからね」
「得意なの?」
 先程のように呟く私に、メガネが似合う門番が頷く
「綺麗に収穫させる事が得意なんですよ?」 
(おお?……収穫させるだけでも大変なのに……良い逸材ね)
 

 …と、私が思って居た時だった 
「おい新入り!サボってるんじゃねぇぞ!?」

 私と話をしていた二人の傍に、体が大きい人物が現れる
 ……まるっきり脳筋タイプね

『お、おっす!物資運び終わりました!』
 その人物に二人が敬礼して声を出すが
 その言葉に脳筋(面倒だからこれで良いわね)が睨み付ける
「なんだと?……お前ら!嘘ついてるんじゃねぇ!」
「う、嘘ではありません!」
「馬鹿やろう!お前ら二人で全ての物資をこんな早く運べる訳ねぇだろ!?」
 
 ……はぁ…見ていてため息が出るほど情けないわね…この脳筋

「だったら…貴方が手伝えば良いじゃない」
「あっ?なんだと小娘」 
「お、御嬢ちゃん?」
(…ああ、コイツハ本当にため息が出るほどに)

「だから、力が有り余ってるのなら貴方がやれば良いじゃないと言っているのよ、この脳筋」
「こ、この小娘がぁ!」
(言葉や頭でなく『力』で理解させてやらないといけないわね)
 
 顔を赤くした脳筋が私に向かって殴りかかろうとしてくる
(……はい、もう駄目、女子供を殴れるような品格が無い奴に)
「貴方にこの誇り高き紅魔館の門番の資格は無い!」
「ぶべら!?」
 
 ええ、それはもう綺麗にビンタを決めたわ
 私が見たら当然だろうけど、新入りの二人の子が唖然としてたわね
 小さな女の子に自分の先輩がビンタで十数メートル張り飛ばされる光景に
「え、え?」
「な、何が……」
「……二人ともすぐに門番長を呼んで来なさい」
『は、はい!』
 
(ん、命令にしっかり従う……それで良い…さて私の方も…っと)
 
 叩き飛ばした脳筋の傍に、ゆっくりと近寄る
「あがっ、あががっ!」 
「……意外と頑丈ね」 
 呆れた、気絶してるかと思っていたら顔を抑えながら立ち上がろうとしてるわ 
 ……ふむ、少しだけ認識を改めて上げても良いかな?
「なるほど、弾幕避けぐらいにはなりそうね」
「くっ…な、なんだと?……」
「門番に必要な事は、まず相手の力を知る術を身につけなさい」 

 そう、これ重要…相手の強さを知って
 それを情報にして送る事が門番に必要な事の一つ
(……って昔美鈴が言ってたわね)
「ふ、ふへへ……てめぇこそ…早く逃げた方がいいぜ」
「あら?相手に余裕の言葉をかける理由があるのかしら?」
 
 私の言葉に、硬い脳筋(少しランクアップね)が笑う
「も、門番長がやってきたら、お、お前なんて…」
「門番長?」
「そ、そうだ!いくらお前のような化け物でも門番長には…」
「ふ、ふふ……ふふふ…あっはっはっはっは!」
「あん?な、なにがおかしい!」


 その言葉を聞いて噴出した久しぶりに思いっきり笑う
 ああ笑う、久しぶりに大笑いする
 これは是非さとりにも聞かせてあげないといけないわね



(も、門番長!こっちです!)
(は、早くしないと御嬢ちゃんが!)

 後ろから新入り二人と共に遣ってくる『紅魔館の門番長』
「全く…なにがあったんですか?……!?」
「も、門番長!こ、こいつが俺を!」
 私を指差しながら美鈴の後ろに隠れる硬い脳筋
 次の瞬間、硬い脳筋に対して美鈴がにらみ付けた
「こいつ……?」 
「そ、そうです!こいつが俺を…」

 さて、後は寸劇を楽しみましょうか? 



『馬鹿者!』
「ひっ!?」

 久しぶりに聞いたわね…美鈴の一括
 ……うん、やっぱり怖いわ

「紅魔館の主に『コイツ』と言いましたか?貴方は」
『え、ええっ!?』



 
 あら?硬い脳筋だけじゃなくって新入り二人も驚いてるわね
 まあ仕方ないわね
 自分達が一緒に働いていた『御嬢ちゃん』が

「紅魔館の主『レミリア・スカーレット』に対してコイツと言い」
「あ…ああっ!?」
「挙句に、守らないといけない主に手を出した馬鹿者は…貴方ですね?」
「あああああっ!?」
 ああ、硬い脳筋の表情が一気に青ざめて行くわね
 ……少しだけ同情するわね、『怒った美鈴には手を出すな』
 うん、これは紅魔館の裏標語に出来るわね


『覚悟は良いな?』 
「うわあああああっ!」
 今にも青ざめる硬い脳筋に渾身の拳骨を振り下ろそうとする美鈴
「美鈴!ストップ!」
 その拳骨があと少しで硬い脳筋にぶち当てられる直前に私が止めた
 ……危ない…もう数センチで間に合わなくなる所だった
 拳を止めた美鈴と、気絶して泡を吹く硬い脳筋
 そして、未だに声を出せずに居る新入り二人

「その門番には既に処分してあるわ」
「……処分とは?」
 真面目な顔の美鈴に、私が静かに答える
「職務怠慢だったのでビンタ一発!」
「……軽すぎませんか?」
 まあ、確かに少し軽いのかもしれないけど…
「正体不明の私から門を守ろうとしただけよ」
「……なるほど、なら仕方ありませんね」 
 美鈴がそう呟いてため息を着いた
 
「それと、新入り門番の二人」
『は、はい!』
「主を働かせた罰を与える」
『~~っ!イエスサー!』 
 ん、良い返事だわ
 なにやら泣きそうになっているけど……まあ良いわね
  
 まずは気の良さそうな門番の前に立つ
「貴方は明日から庭掃除専門に回りなさい」
「えっ?」
 ふふ、驚いてる驚いてる…さあ次はメガネが似合う門番の前
「そして、貴方は明日から料理班の場所に回りなさい」
「ええっ!?」

 適所適材、二人ぐらいなら無理やり人事をかえても大丈夫
 なんてたって、私は紅魔館の主なんだから

「二人とも、返事は?」
『さ、サー!イエスサー!』 
「よろしい!」
『ありがとうございます!』

 二人が私に挨拶をすると、硬い脳筋を二人で背負って帰っていった 

 
 


     ・・・





「全く……困りますよ帰ってきたのならすぐに言って下さらないと」
「ごめんね美鈴、迷惑かけちゃって」
 暫くしてから、私は美鈴の部屋の中で謝っていた
 ……うん、申し訳なく思っている

「ですけど、お嬢様が物資を運ぶの手伝うなんて驚きましたよ」
「たまには力仕事も悪くないわ」
 確かに、一昔前の私なら絶対にしなかっただろうなぁ
 隠居してみて、色々と人生の楽しみを知った気がする 
(さて、また隠居しに帰ろうかな?)

 うん、そうと決まればすぐ逃げ出そう
 さてと、美鈴の部屋のドアを開けて
「あ、そうそうお嬢様」
「ん?何かしら美鈴」
「逃げ出そうとしても無駄ですよ?」
「な、何の事を言ってるのかしら?美鈴」
 
 こ、これはやばい!すぐにでもこの場から逃げ出さないと!
 私は大急ぎで美鈴の部屋のドアを開けて逃げ出そうとした


「お嬢様ああああぁぁぁぁ!」
「お姉様ああああぁぁぁぁ!」
「うわらば!?」







「部屋の外は既に咲夜さんと妹様に囲まれてますからね?…って遅かったですか」

 ドアを開けて逃げ出そうとした瞬間
 私は瀟洒なメイドと悪魔の妹の二人にサンドイッチにされた



 ま、まあ……たまには隠居しないで二人を甘えさせないとね?
「お嬢様!お嬢様!お嬢様ぁぁ!」
「お姉様!お姉様!お姉様ぁぁ!」
「むきゅ~!」

 でもお願い咲夜……一日中頬擦りしようとするのはやめて!
 そしてフラン、一緒に寝るのは良いけど4人で抱きつくのはやめて!
 ああもう!パチェも無理に咲夜とフランと一緒に抱きつこうとしないで!喘息悪化するでしょう!?
 美鈴!そこで笑ってないで助けなさい!


 従事者と親友と妹のトリプル爆撃を受けながら私は思った

(ああもう……この屋敷は私が居ないと駄目だなあ)

 ……やれやれ、しばらくは家に居ないといけないみたいね
 どうも、脇役です…
 
 うん、たまにはカリスマなお嬢様分も大切だよね?
 気楽に隠居話、乾パンでも齧りながら見てくださるとうれしいです

 今回はおまけは無し!

 とりあえず最後に、東方創想話100作品集越えおめでとうございます!
 プチからだけど感謝の言葉を脇役から
 虻さんと色んな主役クラスの作者さん、そして東方キャラと神主ZUNへ
 ありがとうございます!これからもよろしくお願いします!
 
 ※虻さんの名前間違えていました、ここに訂正とお詫びを書かせてもらいます
  すいませんでした
脇役
コメント



1.PCP削除
続編キタ――――――――!
2.名前が無い程度の能力削除
これはいいカリスマ。
3.名前が無い程度の能力削除
なんかこのシリーズを読んでると隠居してみたくなる
4.名前が無い程度の能力削除
「お嬢様のカリスマは尽きる事無し」
「怒った門番長に手をだすな」以上紅魔館今月の標語より

やっぱり紅魔館の主はレミリアお嬢様しかいない
5.名前が無い程度の能力削除
あまりのカリスマにお嬢様が輝いて見えるぜ。
6.ぺ・四潤削除
忘れてたころに続編が!
平民の苦労を身をもって知ったお嬢様のカリスマに勝てる者は居ない!

誤字です。
「……軽すぎるませんか?」めーりんが怪しい中国人にwww
7.名前が無い程度の能力削除
なんてカリスマなお嬢様。やはり隠居シリーズは面白い。
8.名前が無い程度の能力削除
待ってました!
続編きたー。と思いクリック。うん、楽しい。
9.名前が無い程度の能力削除
うむ、いいカリスマだ
10.奇声を発する程度の能力削除
待ってました!!!
これであと、来年の春まで頑張れる!!!
11.ずわいがに削除
偉い人や強い人が正体を隠してこういう風に裁くのって
妙にニヤニヤしちゃいますよね
12.華彩神護削除
硬い筋肉ってwww
てか中国こえー。
そういえばこーりんと魅魔のネチョ、又は続きを見たいのですがどうでしょうか。
よろしくお願いします。
13.名前が無い程度の能力削除
隠居シリーズいつも楽しみにしています
今後もがんばってください
14.名前が無い程度の能力削除
虻さんでは