Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

ほんのり、ちょっぴり。

2010/02/05 09:55:13
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「ぐ~、すぴ~……」

「まったく、気持ちよさそうに寝てますね……」

「むにゃ……そんなに褒めなくても~……」

「さっさと起きなさいよこらぁ!」

「ごふぁっ!?」


 太平楽に寝ていた小傘のお腹に、大量の弾幕が降り注ぎました。


「あなたはいつまで寝てるのよ? もう昼よ?」

「ん~。おおっ、そこにいるのは早苗じゃないか。おはよ~」


 ここは幻想郷のどこかにある、小傘のねぐら。

 のんきに寝ていた小傘のもとに、珍しい客が尋ねてきたのでした。


「もうこんにちは、よ」

「わちきは妖怪だから夜型なのよ。それにしても……」

「どうしたの?」

「寝起きにいきなり弾幕ぶつけるなんて、ずいぶんとご挨拶じゃないかっ!!」

「起きない小傘が悪い。さんざん揺らしたり叩いたりしたのに」

「む、心なしか全身が痛む気がする」

「それはさておき」

「さておくなー!」

「用件があるのよ。」

「むぅ。そういえば、なぜ早苗がここに……?
 わっ。実は夜這いっ!? わちき、寝てる間に襲われてる!?」


  はっ……

 その時早苗から漏れた失笑は氷点下の冷たさでした。
 チルノもびっくりです。レティもびっくりです。


「で、用件だけどね」

「ほぼスルーされた……」

「人を驚かすプロの小傘に、お願いがあるのよ」

「おお、わちきの力が必要とな!?」

「そう、これは小傘にしか頼めないの」

「そこまで言われると嬉しいねぇ~」


 とたんに上機嫌の小傘です。
 ふだんは返り討ちに遭ってばかりで、褒められることなんて滅多にないのですから。
 茄子色の傘を振りかざして小躍り状態です。


「ん、小傘なら人畜無害で安心だから」

「~♪~♪ ん、早苗?なんか言ったー?」

「いや、何にも。」


 小躍り状態の小傘も、ここらでようやく我に返りました。

 よくよく考えれば、いつも痛い目にあわされている早苗の言葉なのです。
 額面どおりに受け取っては大変、とんでもないめにあうのは目に見えています。


「こほん。で、結局用件は何なのよ?」

「今夜ね、人間の里で慧音先生が主催する肝試し大会があるの」

「けーね先生も、意外とイベント好きだね」

「意外とね。その驚かせ役が足りないのよ」

「ふーん。まぁわちきにかかれば、ちょちょいのちょいのお仕事だね」


 増長に定評のある小傘です。
 早苗も少しは乗ってあげることにしました。


「というわけで、お願いします。引き受けてください」

「え~。でもタダじゃやんないよ! 報酬はないの~?」

「とっても子供に喜ばれますよ」

「そういうのじゃなくて! なんか食べ物とか……」

「それじゃ、昨日博霊神社から奪ってきたお酒をおすそ分けしましょう」

「早苗、それは幻想郷でも犯罪だよ……」

「借金のカタに頂いただけですよ。で、お酒でいいですか?」

「なんか貰ったら、私が霊夢に退治されそうな気がするからやめとく……」

「それなら、今日の夜はうちでディナーをごちそうしましょう」

「早苗のディナー!? あれほんとに美味しいんだよね! それなら行くよー」


 渋っていた小傘も、あっさり乗りました。
 果物たくさんの早苗の料理は美味しいと、一部の妖怪では評判なのです。
 小傘も一度だけ食べさせて貰って、その美味しさに感動した物でした。

 しばらく人も驚かせていなくて、まともな食事もしていない小傘は、一も二もなく話に乗るのでした。


「ふふっ、ありがとう。それじゃ、いろいろと説明するわよ」

「おー! 聞くよ聞くよ」


 肝試しの準備や注意について、早苗は小傘に伝えていきます。
 食べ物が懸かっているせいか、珍しく小傘も真剣な表情です。


「こんなところで、大丈夫かな。足りない部分はまた慧音先生から補足があるはずよ。」

「わかったわー。わちきの驚かせ力を見て驚くがいいよ!」

「訳の分かんないこと言わないの。それじゃ、今夜は頼んだわよ」

 そう言い残すと、早苗は飛び立っていきました。

「大船に乗ったつもりでお任せあれー」

 気楽に返事をする小傘だったのでした。






「やー、さすがわちき。驚かせすぎで子供にトラウマ残しちゃったかもね!」

「……まさか、あんなので驚くなんて。子供ってほんとに単純ですね」


 ホクホク顔の小傘が、ツヤツヤの顔をして戻ってきました。

 早苗の予想を大きく裏切ることに、小傘は子供達をさんざん驚かせ、楽しませる(?)ことができたのでした。
 小傘が変な事しないように監視役でついていた早苗は、別の意味で驚き顔です。


「本当に驚かせ力に驚いちゃったわ」

「でしょでしょー。さてさて、報酬報酬~♪」

「そうでした、うちでディナーでしたね」

「楽しみー!」

「……ところで小傘、今お腹は空いてますか?」

「これ目当てで1日食事抜いたんだからあたりま……、あれ?」

「どうしましたか?」

「全然おなかすいてない」

「そうですか。それじゃ、今夜のディナーはいらないですかね?」

「なんでなんでなんで!? なんでお腹いっぱいなの!?」

「たっぷりと人を驚かせたからじゃない?」

「あ!」


 小傘は忘れていました。人を驚かせることが、自分の糧となることを。
 ……それほどまでに、「驚かせる」ことができていなかったのですが。


「ふえ~ん。満腹過ぎてディナーなんて食べられない……」

「残念残念。それじゃ今回の報酬はなしということで」

「あ、あした行くから……」

「報酬は、”今日の”ディナーでしたから、明日は無効です」

「計ったなー!! べー! 早苗なんて嫌いだ! 絶対驚かせてやる!」

「いつでも来てください。返り討ちにしてあげますよ」

「くぅ~。覚えてろ~!!」

 小傘は言い捨てると、夜の闇へ飛び立っていってしまいました。



「思ったよりも、からかいがいのある妖怪でした」

 早苗は独りごちました。
 小傘をからかうためにあんなことを言いましたが、どこかで一度ディナーを振る舞ってあげようとは思っているのです。

「もうちょっと遊んでみても、面白いかもしれませんね」


 ほんのり優しくて、ちょっぴり黒い。

 早苗はそんな笑みを浮かべるのでした。
初めまして。nasuginと申します。
これから、まったり、少しずつと投稿していきたいと思っているので、よろしくお願いします。

SSを書くのは3年振りくらいだったので、昔の感覚を思い出しつつ書いてみました。
改行が多いのは仕様です。そのうち減らすかもしれません。
あと一人称の使い分けとかしようとして失敗してる。まぁいいや。

小傘が好きなので書いてみました。
多分に自分設定とかも入っていますね。

次はナズーリンとか出したいですねー。

それでは、これからもよろしくお願いします。
nasugin
[email protected]
http://sobani.blog.shinobi.jp/
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
小傘ちゃんが可愛すぎて鼻血でた。
これは実にいい。
2.変態紳士削除
非常に、よろしいぃっ!
3.奇声を発する程度の能力削除
小傘ちゃん可愛いよ。
そして、早苗さんも素直じゃ無いなぁ。
4.ぺ・四潤削除
「果物たくさんの早苗の料理は美味しいと」 フルーツ(笑)
やっぱり小傘ちゃんで遊ぶのは楽しすぎる。ナズーリンにも期待です。
5.ずわいがに削除
これS苗さんじゃないですかw
6.nasugin削除
おお、コメントいっぱいついてる!
ありがとうございます~。

>1さん
小傘可愛いのはもう世界の常識ですねw

>変態紳士さん
ありがとうございますっ!

>奇声を発する程度の能力さん
素直じゃないから早苗さんも可愛いんです!

>ぺ・四潤さん
フルーツ(笑) 基本ですよねー。
ナズーと寅あたり絡ませたいです。

>ずわいがにさん
小傘いぢめるにはS苗さんになってもらわないとw