光の色をも掻き消すほどに
「ちょっと美鈴」
「はい?」
良く晴れた紅魔館の夜下がり、レミリアは美鈴を呼び止めてこう言った
「庭に紅が欲しいのよ」
「紅ですか」
「そう、紅」
さて、レミリアの言わんとすることは何なのか
回りくどい主の要求を纏めようと美鈴は考えを巡らせる
紅、紅、紅ですかい
「分かりました、庭を紅く致しましょう」
実際分かってないのだが、無理の返事は有り得ない
そもそもこの主人の要求を正しく理解出来たことなんてきっと無い
嗚呼、貴女は何処の月姫か
「待ってるわ」
そう言い残し、レミリアは館の中へ戻って行く
困ったの溜め息漏らさずに、美鈴は早速用意を始める
紅魔館の庭は紅い薔薇で紅く染まった
「ねぇ美鈴」
「なんでしょう」
「紅茶の淹れ方、教えてあげるわ」
はて、急に一体どうした事か
紅茶なんてもう何百と淹れた事があるのに、今更不満の声だろうか
美鈴は頭に疑問符を浮かべたまま固まってしまった
その様子を見てレミリアは、軽く息を吐いて続けて、
「いいから来なさい」
と、歩きはじめた
来なさいと言われたら行くしかない
美鈴は黙ってレミリアについて歩いた
紅魔館の紅茶は血のように紅いと言われるようになった
それからも紅魔館は、名は体を示すように紅く紅く染まっていった
正にスカーレットに相応しい紅の屋敷であった
が、その当主レミリア・スカーレットは何処か不満顔である
一体何に文句があるというのか、目の前で可愛く頬を膨らまされても美鈴には見当が付かなかった
「……美鈴」
「はい」
ああ今度は何を紅くしろと言うのだろうか
次は日傘も紅くしたりするのか。そういう事は裁縫が得意なメイド長に頼んで頂きたい
ありとあらゆる返答パターンを考えてみたが、レミリアの言葉は意外なものだった
「この間天狗に、色鮮やかに虹色とか言われたそうね」
……はいぃ?
「……あー、あの、お嬢様?」
「仮にも紅魔館の門番が、虹色と称される様で良いと思ってるの?」
「いえ、あの、どこに問題があるのかよく分からないのですが」
「大有りに決まってるでしょう!」
何故自分は正門前で怒鳴られているのか、美鈴には訳が分からなかった
周りに何を言われようとも自分の忠誠心が変わる事など無いというのに、一体何がいけないのか
相変わらずお嬢様の言う事はさっぱり理解できない
「とにかく!もっと努力する事!!いいわね!?」
何を努力すれば良いのか分からないのにいい訳がない
だが悲しきかな、絶対忠誠の従者の言葉にNoはあり得ないのだった
「分かりました、お嬢様」
「まったく、毎回返事だけは立派なんだから……」
ブツブツ文句を言いながら、レミリアは屋敷へと戻っていく
今度はどうしたら良いだろうか、美鈴は腕を組んで考え始める
何か紅いスペルカードでも創ってみようか、でもお嬢様と似ちゃうんだよなぁ
ああ参った、どう応えたらいいだろう、これだから紅魔館は退屈しないのだ
美鈴の横顔はとても楽しそうであった
「あぁもう……」
それからレミリアは部屋でベッドに倒れ込み、ひとりふて腐れていた
「一体何時まで待たせるのかしら……」
庭にはのんびり日を浴びる三等星
染まりきるには、まだまだ時間が掛かりそうである
どんどん染まっちゃえ!!
うん、レミメイはいいものです。
もう染まってるさ!
って意味じゃろか。
おぜうさま、湾曲すぎですw
レミメイの良さに気が付いた今日この頃w」
しかしこの二人にはホントニヤニヤするwww