この話は、下の方にある『そしてこの後も、キャプテンが悪い話』の続きになっています。
でも、あまり読まなくても大丈夫だと思います。
誰にも内緒の、私だけの秘密な、でも、大切な楽しみだった。
毎夜、ドキドキが内側で爆発しそうなぐらい、高鳴りながら真っ暗な室内の中、ムラサの布団の中に潜り込む。
足の方から入って、そのままもぞもぞしてぷはっと顔を出すと、そこにはムラサの寝顔。
「……くふぁ!」
その瞬間が堪らなくきゅうんとして、ぷるぷると感激に震えてしまう。
頭の中で、あー可愛い可愛いよぉって叫んで、くそっ、ばかっ、ムラサめこれは罠なのかー?! とか毎回毎回飽きずに頭の中でムラサに罵詈雑言を浴びせて、指先でちょっと触るのだ。
頬を、ふにふにって。
そうしたら、ムラサはむずがって、唇を微かに開かせるのだ。
その唇を、ぷにぷにするのが、大好きで。
暖かくて、ほのかに冷たくて、でも、息をしているのをこんなにも感じられて、指先がしっとりと濡れていくのが嬉しくて仕方なかった。
「……ムラサ」
そうっとそうっと。
ずりずりと近づいて、ぴとりと隙間無くくっ付いて、きゃあきゃあぎゃあぎゃあ心の内が騒がしいのに、しーんと静まり返った部屋の中は静かで、ムラサの体温はひんやりで。
私が暖めてあげたいって、思わせてくれて。
ムラサは、温もりを求めるみたいに、気づいたら私の背中に腕を回して、首筋に顔を埋めてくれる。
勘違いかもしれないけど、私を求めてくれるって妄想で、大好きと幸せの心の液体が、たくさん溢れる。
暖かなそれは、私の一日の寂しさとか、苛立ちとか、全部癒してくれて。
あぁ。
悔しいぐらい、たまんないぐらい。
ムラサ『大好き』って。
この時間だけは素直に、毎日言っていた。
ムラサの耳に、囁く様に、唇を近づけて、たまに勇気をだしてちゅうしたりして、
私はムラサに告白してた。
―――――なのに!
じーっ、と見つめ合う。いや、睨み合う私、と一輪。
真ん中にはすやすやと一度寝たら熟睡モードで、簡単には起きないムラサ。
その間を挟んで、私と一輪はムラサの布団に手をかけたまま睨み合っていた。
「…………」
「…………」
お互い無言。
っていうかこの尼。私のムラサの布団を捲り上げる途中って、しかも、ムラサが熟睡モードに入ってすぐを狙う辺りとかが、常習犯でしょ!? って殴りたくなる。
しかも、普段している頭巾も外して、美人度が上がって、薄着で、重力に負けてない恐るべき二つの膨らみが、ムラサから借りたワイシャツを盛り上げて、迫力満点。
ちらりと見た私のすとーん具合と見比べて、ぐッと憎しみが増した。
つまりさ。
こいつは敵だ!
という事だ。
「……ふん!」
とっととあっち行け!
という心持ちで、私はムラサの手を掴んで持ち上げると、その手の甲にチュッとキスする。
「ッ!?」
むかっとする一輪に、へーん♪ って気持ちで、私は胸を張って、意識の無いムラサにならこれぐらいできるんだぞー? と自慢する。
一輪が歯噛みするのが気持ちよくて、私はムラサの手にもう一度キスをする。
そのまま、そっと舌を出して、舐めている瞬間を見せたりなんてサービスもする。
つぅ、と舌が「ムラサの味だぁっ」て照れて、痺れるけど、顔が赤いけど、我慢する。
「………っ」
と、一輪がバッとムラサの手を、私みたいに取ると、ふっ、と口元を緩ませて、その指先を甘噛んだ。
「ぃう?!」
ちゅ、と音がしそうな感じで、ムラサの白い指に、赤い舌がおずおずと絡まっている。
ぎこちないくせに、愛情を感じるのが、伝わるのがむかぁっと私の神経を逆なでする。
なっ、このっ、わ、私だって!
「あむっ」
指を喉の奥まで持っていって、ちょっと苦しくなったけど、でも、頑張って頬張って、奥歯であむあむと噛んだ。
一輪が、いらっとムラサの指を強く吸ったけど、負けてやるものか。
「……………」
「……………」
お互い、ムラサの指を咥えたまま、真ん中のムラサの顔をちらと見つめて、すぐに睨み合う。
ムラサはすやすやと気持ち良さそうに寝ていて、起きる気配は無い。
「……ちゅう」
「……むぐ」
噛み跡とかつけたりしながら、一輪めぇと憎たらしくて。
一輪がいなければ、私は今頃、ムラサの耳元で告白しているのに、邪魔されたのが悔しかった。
というか、私はずっと気に食わないのだ。
一輪が、私とムラサの部屋で一緒に寝起きするのも。
ムラサが、一輪の膝枕をこよなく愛するのも。
地底にいた頃から、ムラサの隣で笑いあっていた一輪が。
ムラサの、特別な一輪が。
「ッ!」
嫌いで、憎たらしくて、ずっと妬ましくて、羨ましくて。
……でも!
ぐっと、ムラサの指を噛む。
……ムラサは、一輪を好きなのだ。
親友だって、仲間だって、笑顔で私に言って、だから、仲良くしてよと頭を撫でるのだ。
普段は、私の頭なんて、撫でないのに、私にお願いなんて、そうそうしないのに。
一輪の事では、ムラサは簡単に私に頭を下げて、私と、一輪と、一緒に仲良くしようと、
『……まあ、事故というか、私は被害者なのに、どうして皺寄せがこっちにくるのかとか、色々と不満はあるけどさ』
ぐったりと、私と緑巫女に苛められたムラサは、一輪がお風呂にいっている間に、目元を緩ませて言った。
『せっかく一緒なんだから、仲良くしよう』
布団の上に寝転んで、上に乗る私に苦しげに呻いて、ぐおぉ、って可愛くなくぐったりして。
私の手を握って。
『……ね?』
目を、優しく細めて。
頼りなく見えるのに、これ以上ないぐらい、ムラサに似合った、力の無い、でも優しすぎる笑顔。
ずるい、お願い。
そんなの、嫌だけど、叶えてあげたくなる、一発必中の、私だけに効く、私の心に致命傷の必殺の『お願い』だった。
「……」
むっすー、として。
私は一輪を睨む。
私は、ムラサのお願いを、無下に出来ないのだ。
そして、多分一輪も。
強く、私は一輪を睨んで。
そして、一輪も結局は、私を睨むだけ。
私たちは睨み合って、だからお互い気づいていたのだ。
きっと、ムラサは一輪にも、何か言ったのだ。
そして一輪も、ムラサが私に何かを言った事を、気づいているのだ。
だって、キャプテンムラサは、むかつく事に、そういうフォローが上手くて、だからこそ罪深いから。
「…………一輪」
「…………ええ」
「…………」
「…………」
気まずい。
カリカリって、歯を立てて、ムラサの指を食みながら、一輪を上目遣いに見ると、一輪は一輪で、ムラサの指を、歯の先でそっと掴んで、赤い舌でぺろりと飴を舐めるみたいにしていた。
私は噛むのが好きで、一輪は舐めるのが好きなのかなと、ぼんやりと考えた。
そう考えたら。
私はムラサの好きと、一輪の好きは。
同じだけど、やっぱりどこかが違って。
同じベクトルだけど、好きな理由はそれぞれで、そういうのは、嫌だし苦しいけど、仲間、なんだよなぁって、胸の奥がむずむずした。
だから、私はぽつりと言う。
「……………一緒に、もぐる?」
「……………」
一輪は、
尼さんじゃない、素の女の子の。
雲居一輪は、不思議な呻き声を漏らして、もじもじして、赤らめていた顔が、更に染まって、涙目で、躊躇する様にしてから。
「……………うん」
と弱々しく頷いた。
えっと。
仲直り。
私と一輪は、最初とは違い、目を見ない様にしながら、もぞもぞとムラサの布団に入っていった。
その後。
私がいつもみたいに、ムラサに好きと告白したら。
一輪も同じ様に好きと言い出して、むかっとして。
盛大で小声な告白大会になった。
でも、ムラサは起きなかった。
翌日。
結局一睡もしなかった私と一輪が、眠さと恥かしさでごちゃごちゃしていたら、ムラサが起きた。
お互いぎくり! として、カチコチに固まってしまうと、ムラサは起き上がって不思議そうに「?」と考え込む気配。
起きている事を気づかれまいと、必死で寝た振りをすると。
ムラサは「ふむ」と何事かを納得。
「んしょ」
また寝転んで、私と一輪を、何の前触れもなく二人ともぎゅっとした。
ぎゃわあ!? と声が出そうになって、心臓がつぶれそうなぐらいばっくんばっくん稼働しているのに、ムラサはくあぁ、と眠そうにあくびをする。
「…………昨日は、寒かったんだねぇ」
そして、勘違いも甚だしい呟きをぽつりと漏らして。
私達が風邪を引かないようにと、しっかりと布団を首までかけて、ぎゅーと少しでも暖かくなるようにと抱き寄せてくれた。
私は気絶した。
↓
→→No→→互いに譲らない→→→近々修羅場→→→nice boat
悪い船長にも生還の希望が見えてきた・・・!
ようは船長の包容力の問題なので、船長はむしろもっと悪くなるべき
髪を下ろした一輪のハダY! 誰だ地味なんて言った奴は!!!
これで水蜜船長に混沌たる希望の光が見えて…………来ておられていると…………喜ばしゅう御座いますなぁ…………。
取り敢えず一輪姐さん可愛いよ一輪姐さん、と言っておかねばなりますまいて。
私が、私が慰めにいく!
しかし重要なのは…いっちゃんが可愛いよって所だ、髪を下ろして美人度Upで裸ワイで重力に負けてないなんて…悟りが開けそうだぜ
村一はマイジャスティスぅぅぅぅぅぅ!!!!!
村ぬえも合わせて責任取るしかないだろ船長wwww
ところでいくら払えば船長と寝場所交換してもらえますか?いやマジで。
それよりも、ぬえとムラサに萌えて萌えて仕方がないんだが。この感情、どうしよう。
もう、船長は一生そのままでいてください。俺得だから(笑)
賞金を掛けられてもおかしくない悪さだ!!!!
成仏しそうになったぜ
一輪さんかわいいよ一輪さん
もうダメだ
どんなハーレムだよ!!
もっとやるがいい!
いいぞもっとやれ