あらすじ。
洗濯しようと思って脱衣所行ったら、師匠がこちらに背を向けて蹲ってた。嫌な予感しかしない。
「師匠……何やってるんですか?」
師匠がこっちを向いた。何かを口に入れ、もごもごさせている。
「はら、ふほんへ。ほうしはほ?」
「どうしたの、じゃないですよ。何食べてるんですか、こんなところで。というか物を口に入れたまま喋らないでください。行儀が悪いですよ、子兎たちが真似したらどうするんですか」
「はれもひないはらひひはなひ」
「いやまぁ、今はそうですけどね」
無駄に付き合いが長いせいでこんな時ですら以心伝心なのが悔しい。
「で、何を食べてるんですか?」
「ふほんへのふぁんつ」
「私のパンツですか。わかりました、即刻吐いて下さい」
「ひゃ」
「や、じゃないです。そんなかわいいふりして言っても無駄ですよ」
腰に手を当ててぷいっとそっぽを向き、言葉を返してくる。そんな仕草しても私には効かない。師匠への耐性MAXだもの。
しかし、まさか私のパンツを食べているとは思わなかった。クンカクンカってレベルじゃねーぞ。ちょっと動揺した。
言いながらも、師匠の口は止まらず、もごもごしている。
「ほらほら、ちゃっちゃと吐いて下さい。洗濯できないじゃないですか」
「……」
師匠は口を閉じ、手でがっちりガードし始めた。しかし口のもごもごは止まる気配すらない。
「はあ、全く。実力行使でいきますよー?」
おもむろに師匠に歩み寄り、鼻をつまんだ。これで息をするには口を開けなくてはならない。その隙を狙えば良い。
「まー、まだまだでしょうねー」
「……」
顔が赤くなってきた。師匠はもごもごしている。
「お、そろそろ苦しくなってきたんじゃないですか?」
「……」
顔が青くなってきた。師匠はもごもごしている。
「師匠、そろそろ降参しないと死にますよ?」
「……」
顔が土気色になってきた。師匠はもごもごしている。
「……そこまでして私のパンツが食べたいですか」
「……」
師匠が頷いた。一周して急激に血色がよくなった。師匠はもごもごしている。
「まさかこんなことで一回殺してしまうとは……」
こめかみを揉みながら息を深く吐く。顔を上げてみると、再び師匠の顔が青くなっていた。
いかにすぐリザレクションするとはいえ、何度も死なせてしまうのは非常に後味が悪い。手を離して、もう一度深く深くため息をついた。
「はぁ、もういいですよ。先に洗濯機回すんで、味わい終わったら突っ込んでおいて下さい」
「それには至らないわ。御馳走様」
そう言って、唾液でべちょべちょになった私のパンツを差し出してくる。私は受け取らず、洗濯機を指さす。当たり前だ、いくら師匠とはいえ、唾液は流石に嫌だ。
「はいはい、お粗末さまでした。じゃ、それ洗濯機に入れておいてください。美味しかったですか?」
「ええ、もちろん。うどんげの味、すごいよかったわよ? お礼に……そうね、私のパンツ食べる?」
「いえいえそんな、私にはもったいないです。だから脱ごうとしないでください」
スカートをたくしあげ、下着を脱ごうとする師匠を思いとどまらせる。ぶっちゃけいらない。私にそんな趣味、年上趣味はないのだ。
「そういえば、なんでパンツなんて食べようと思ったんですか。最近便秘気味だから繊維質がほしいってわけじゃないでしょう?」
脱衣所のそこいら中に脱ぎ散らかされた子兎たちの服をまとめながら問いかける。ちょうど師匠は洗濯機にブツを放り込んだようで、蓋を閉める音が聞こえた。
「そうね……うどんげ、パンツってどう数える?」
「どうって……一枚、二枚ですが」
「そう、一丁、二丁よね?」
「……そうですね」
無視だった。反論しても謎理論で押し切られるのは目に見えているし、こういったことはよくあるので、私もひたすらに流す。
「で、豆腐も一丁、二丁と数えるわよね?」
「そうですね」
「つまりパンツは食料」
「ああ、なるほど」
さすが天才。私たちにできない理論をあっさりと組み立ててみせる。別に痺れも憧れもしないけど。
それにしても、天才と馬鹿は紙一重というが、最近師匠は馬鹿寄りになってきたのは気のせいだろうか。
「わかりましたからそろそろ診療の準備を始めてください。最近寒くて風邪が流行ってるでしょうし、忙しくなりそうなんですから」
「そう……わかったわ。じゃ、また後で」
師匠はそれだけ言うと、脱衣所から出て行った。オンオフの切り替えはこういうときでもしっかりできているようで安心する。私は気合いを一つ、洗濯機に服を詰め込んでいった。
ちょうどよくやってきた山田―――てゐの補佐の兎だ―――に洗濯を押し付け、私はてこてこと厨房に向かっていた。
仕事をうまい具合に押し付けることが出来たので、少し時間が空いた。軽く何か腹に入れて仕事に向かうとしよう。
厨房の戸を開くと、蒸し器が湯気を上げているのが見えた。蓋を取って中を覗いてみると、そこには肉まんが鎮座していた。つついてみると、程よく弾力が返ってくる。既に食べごろのようだ。
ポケットから先ほど掠めたてゐのパンツを取り出し、顔に押し付けてかほりを堪能する。
昨日わざと罠に引っ掛かって、怒ったふりをしててゐを追いかけまわした甲斐があったようだ。程よく汗の混じった、濃いてゐ臭を感じることが出来た。
蒸し器から一つ肉まんを取り出し、件のパンツで包む。
「ふむ」
一口、齧りつく。真っ白なパンツに包まれた肉まんの真っ白な生地は桃尻を彷彿させ、てゐ臭とも相まって非常にいい仕上がりとなっていた。
師匠、パンツの数え方は一枚、二枚でしょう。皿と同じで。つまりこうやって皿代わりに使うのが正しいのですよ。
ふ、と口端がつり上がるのを感じながら、皿まで食べる勢いで肉まんにかぶりついた。
うん、うまい。
End.
慧眼、恐れ入ります。
ですがパンツ一丁っていうのは中身があっての数え方です
ようするに食うのは中身(ぴちゅーん・・・)
あと杉丸太やギターの数え方も一丁二丁です、師匠はいつから齧歯類になったのでしょう
最近紅魔館が資金調達のためにおぜうさまとふらんちゃんのおふぁんつを売りに出されてまして、私も入手いたしましたがそれはもう大変味わい深いものでございました。
肉まんと共に味わう。無理に嗅がなくても熱せられた湯気によって自然に更に香りが立ち込める。これこそが正しい方法です。
昔は褌でしたので前から見ても後ろから見てもその形が丁に見えることからパンツ一丁と呼ばれるようになりました。嘘です。
ああ、億じゃなくて万単位ならいけるくt(エンシェントデューパー
「 (丁) 」
じっと見てみよう。褌を穿いたうどんげのおしりに見えてきませんか?