Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

橋姫と厄姫

2010/01/31 14:38:22
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「我が庵は 都のたつみ しかぞすむ 世を宇治山と 人は言ふなり…か」

ふと、昔聞いた覚えのある句を思い出す。

確か、私がこうなった後に私の思い人が詠んだ歌だったっけ。


あの頃の私は今考えれば妬ましいほどに馬鹿なことをしていた。

身分違いの恋に思いを馳せて、それなりに裕福だった家庭から飛び出し、

都の外れにぼろぼろの木の小屋を立ててそこに住んで。

せめて服だけでも着飾ろうって豪華な着物を仕立てて会いに行ってた。


最初は拒絶されたけど、何度も会いに行くたびに白々しくされながらも会ってくれて。

いくつか着物や簪もくれた。


でも、所詮は身分違い。

あの人にとってはただのお遊び。ある日を境に拒絶され、今度は壮絶な嫌がらせが始まった。

自分で買った豪華な着物をずたぼろに切り裂かれ、

あの人がくれた着物や簪も気がつくと無くなっていた。


そうしている内に私は一着の着物を着まわし、

食事はどこかの家の残飯を公衆の目を盗んで食べる生活になっていた。


そんな生活が2ヶ月も3ヶ月も続き、

体は痩せ細り、唯一の自慢だった美しい髪もくしゃくしゃになった。

…そして、そんな生活が程なく続いた頃、私はついに挫折して宇治の橋から身を投げた。 

身を投げるときには彼を恨んだ。恨みに恨んで同じ道を辿ればいいのに、と思った。


この時に私は生まれて初めて「妬ましい」という感情を心に覚えて。

それから、私は未練がましい霊となっていくつもの人間の感情に「妬ましい」を植えつけた。



それから時が経って。

どれだけの人間に妬みの感情を植えつけたか分からなかった私は妖怪となっていた。

自らの種を「橋姫」として、名を「水橋パルスィ」として。


妬むためだけに私は生まれ変わったんだもの。私の存在意義はそれだけだもの。


そう、だから。

今日も私は妬むだけ、幸せそうな人間、妖怪、何だっていい。

とにかく妬んで妬んで妬むことだけが私の仕事だから。


今日も誰かに向かって言い続けてやるんだから、「妬ましい。」って。











































































■おまけ…なのかこれは?


「パルスィ?」「ひ、ひな!?」
「さっきから呼んでも気づかないかったけど…どうしたの?」
「えっと…一応聞くけどいつから呼んでたのかしら?」
「パルスィが短歌を詠んでたころ?」

げ、もしかしてもしかすると。

「もしかして…全部聞いてた?」
「パルスィの独白なら全部聞いてたけど…」

ま、まさかあれを聞かれてたなんて…

「雛、お願いだから、さっきの全部忘れて。」

私、土下座。もう少し地面に頭をつけたら見える。

「んー、どうしようかしら…」「お願いっ!どんなことでもするから!」

ふと、私は土下座の態勢を解く。…見えた!

「どんなことでも…うん、決めた。パルスィ、こっち向いて?」「な、何よ?」

雛の今日の色をしっかりと目に焼き付けた私は言われた通りに立ち上がって雛の方を向く。

「ねぇ、パルスィ。私の目をしっかりと見て?」
「催眠術でもかけるつもりかしら? それならかからないわよ。」
「半分正解で半分外れ、よ。答えはこれ♪」

瞬間、私の目の前に柔らかい感触。つまり唇を奪われてしまった。
まさかこんなことをされるとも思っていなかったので私は必死に抵抗する。

「んー!!」

手始めに背中を叩いてみる。ばちんばちん。
…が、眼前の雛は目を閉じて浸っているようで気づく気配が無い。

「んー!!」

次はさりげなくリボンを解いてみる。
こうすれば束ねていた髪の毛が解けて違和感を覚えて離れてくれ…なかった。

「んー、んー!!」

じゃあ、かくなる上は最終手段、もう無理矢理突き飛ばす。息ももう持たないし。
そうしてリボンを解くために背中に回していた手を前に持ってきた…ら、

ふにっ。

ん、今何か触ったような…、気のせいよね。
私は密着している雛の体を最小限の力で飛ばせる場所を手で弄りながら探す。
眼前の景色は雛の顔のどアップで他には何も見えないから仕方が無い。

ふにっ。

また、何か触ったような。気のせい…?
ん、見つけた。肩と腋の間、ちょっと体の中央よりの場所。
ここなら雛の体に害を及ぼすことなく確実に突き放せる。

そして、私は力をこめて思いっきり雛を…突き飛ばして。

ふにっ。

謎の感覚を手のひらに三度味わった。なんだったんだろうか、あの感覚は。
…まぁ、何でもいいか、分からないものを無理に考えたって妬ましいだけよね。



そう、頭の中で結論をつけた矢先、雛が起き上がった。

「雛、あんた何をしてんのよ!!」

いきなりキスなんて乙女にとっては侮辱も等しい。
そう思っている私はつい、声を荒げてしまう。

「…………」
「反省してるなら一言くらい謝ったらどうなの!?」
「大体あんたはいっつもいっつも私に何かして!」
「はっきり言ってあんたの存在は妬ましいのよ!」

さっきので火がついて今まで思っていたことが一斉に飛び出す。
ホントはこんなことを言いたいんじゃないのに。

「だから、金輪際私に近づいてこないで!分かったわね!?」

こんな事を言うから私はまた誰かを失うんだ。分かってるのに。
分かってるけど、これは橋姫の本能だから仕方が無いの。

せっかく出来た初めての「友達」もこうやってまた失って私は一人に…。
自責の念に追われている最中、ずっとだんまりだった雛がやっと口を開いて。

その口から飛び出した第一声はどうせ、私を拒絶するものなんだろうな。
そう思って覚悟を決めた。

そして、彼女の小さな唇がぽつり、ぽつりと言葉を紡ぐ。
…が、私にはそれは聞こえない。

「声が小さいわよ、謝るならちゃんと謝りなさいよ!」
「……パルスィもやっぱり私を愛してるのねー!!」

…え?
どういうことなの、雛。何でそういう結論になるの、ねぇ教えて。

「それなら話は早いわよね♪ 早速二人で一緒に…(はぁと」
「え、ちょっと、雛? 話聞いてる?」
「もう我慢できない! パールスィー、愛してるー!」
「いや、だから話を聞いて、雛?」
「ちょっと待って押し倒さないで、お願いだからやめて!」
「パルスィ、愛してるー!!」

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3日後。文々。新聞が地底にも初めて配達された日。
この日のトップを飾ったのは「橋姫の過去! 壮絶な迫害の末の結末は…!」だった。

この記事中で地底の方々にインタビューを行っているのだが。
そのインタビューからいくつか抜粋してみよう。

Kさん(釣瓶落とし) 「…そういえば、インタビューされる少し前に橋を通ったんですがうめき声が…」
K・Yさん(土蜘蛛) 「私も聞いたよ。でもあの声だと泣いてると言うより…」
K・Mさん(魔法使い)「私は旧都から帰る途中に聞いたぜ。何か荒い溜息っぽかったんだが…」

この記事の真相は分からない。もちろん発行者である射命丸文にも。

多分、唯一この真相を知るのは─。

「パルスィ、パルスィ、この新聞見た!?」
「…全部雛のせいでしょうが!」
「のっけからひどいこと言うわね~、でもまぁ私はパルスィと愛し」
「それ以上言うの禁止!」
「えー、いいじゃない。というか顔を真っ赤にしたパルスィも可愛いわよ。」
「あ…ありがと…じゃなくて! 金輪際人の前でその話禁止! いいわね!」
「はーい…。」

地底に住まいを置くバカップル達だけ…だと思う。
懲りずにまたまたやってきてしまいました。kyouhaです。

何でだろう、深夜のテンションで書いてたらこんなgdgdが出来上がってしまいました。
でも削除するのも勿体無いので叩かれると分かっていながらも投稿してしまいました。
ごめんなさい。とりあえずごめんなさい。
だけど雛パルは不幸中の幸い!(キリッ

誤字、脱字、文章能力の低さとか遠慮なくビシバシ申し上げてください。

【追記】
3番さんのご指摘どおり直しておきました。
kyouha
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
おまけ……?
2.名前が無い程度の能力削除
おまけのおまけはまだですか!?
3.奇声を発する程度の能力削除
>さっきから読んでも
呼んでも?

さあ!おまけの続きを早く!!