「やったー♪ また私の勝ちー♪ お姉ちゃん弱いわねぇ本当に」
負けた、また私はこいしに負けた。あまりの絶望と悔しさに、涙を流し、握りコブシを作る。
「それじゃあ例の物は貰っていくからね♪」
そう言うとこいしは、この勝負の景品のジャンボプリンを奪って行った―――。
……後日
「お燐、こちらへ来なさい」
「はい、なんでしょうかさとり様」
「ちょっと私との特訓に付き合って欲しいの」
「はぁ、いいですけど。一体何の特訓ですか?」
「これよ」
そう言って私は、こいしとの勝負に使ったアレをお燐に手渡した。
「これって……、トランプですよね?」
「そうよお燐。トランプで、種目はババ抜きよ。地霊殿ババ抜き大会10連続優勝の私でさえ、あの子には勝てなかったわ」
「さとり様あの大会で出禁になっちゃったくらい強かったですものねー」
「心が読めれば当然だけど、って思ったわねお燐。まあ、その通りよ。だけどこいしの心は読めないから勝てないのよね。とはいえ、それでも能力抜きなら五分五分の試合になるはずなのに、いっつも負けちゃうのよねぇ」
「それであたいと特訓ですか? どう考えてもあたいにさとり様の特訓相手が務まるとは思えないですけど」
「安心しなさいお燐。貴方は、私が持ってる二枚のカードのどちらがババかを当てるだけでいいわ。どうもここに負ける原因があると思うのよねぇ」
私は♠のAとジョカー(ババ)の二枚のカードを手に持った。
「なるほど、それならあたいでも勤まりそうですね。じゃあ行きますよさとり様」
ふふっ、来なさいお燐。とはいえ、これでもお燐には荷が重いかもしれないわね。なんたって私はババ抜き界の女王。こいしには負けても、ペットの貴方に負けるわけが無いわ。
「うーんこっちかなぁ」
そう呟いた燐が掴んだのはババの方だった。一瞬私はドキリとした。しかし直ぐに手を離し、もう一方のカードを掴んだ。よかった、と私は心の中で安心した。
「あっ、これはさとり様負けるのは仕方ないですね。だって表情に出すぎですもの、って嘘?」
私が驚くと、お燐はあっけなく、ババを私の手元から奪い去っていった。
「さとり様、私がババを掴んだときこの世の終わりみたいな顔してましたよ。それじゃあこいし様相手じゃなくても負けますよ。というかよくそれでババ抜き女王になれましたね……」
「そんな……馬鹿な。まあそれならば、表情を消す訓練をすればいいだけよ!」
「そんなの、あのこいし様相手に通用しますかねぇ。無意識に出ちゃう表情はなかなか消せませんよ」
そんな……、それじゃあ私は一生こいしに勝てないというの? 嫌だ、そんなの姉として絶対に嫌だ! なにより、プリンを一生あの子に取られちゃうじゃない!
「何か顔に被ればいいじゃないですか。顔が隠れるから表情なんて読まれませんよ」
「なるほどっ! その手があったわねお燐。頭いいわね貴方」
さとり様が馬鹿なだけじゃ……、って思ったなお燐。今更「しまった」って顔したって遅いわよ。
「まあいいわ、今回は貴方の功績を認めて許してあげる。本当だったら、お仕置きとしてオヤツ抜きにする所だったわ」
「ありがとうございますさとり様!」
ふふっ、これでこいしに勝てるわね。まってなさいこいし、次こそは姉の本当の恐ろしさを思い知らせてあげるわ―――。
……んで後日。
「お姉ちゃん……、パンスト顔に被って私を笑い死にさせる作戦までして負けるなんて、これじゃあババ抜き界の汚物よ。というかお姉ちゃん……、もうパンスト顔から外して……、本当に笑い死ぬ……」
こいしが腹を抱えながら笑う。笑いすぎてむせたのかゲホゲホと咳が止まらないみたいだわ。
「どうしてよ! どうして負けるのよ私が! パンスト被ったのに! 念のため第三の目にもパンストを被せたのに!」
パンストを被りながら私が叫ぶと、こいしはさらに爆笑し始めた。
「だからパンスト外してよ! 姉のパンスト顔見て呼吸困難で死亡なんて死んでも死に切れないから!」
こいしが本当に笑い死にしそうなので、仕方なく私はパンストを外した。
「ぷはー、これでいいこいし? それで、なんで私は負けたのよ」
「はぁはあ、本当に死ぬかと思ったよお姉ちゃん」
本当に苦しそうだったので、私はこいしの背中を擦って上げることにした。
「ありがとうお姉ちゃん」
「いいわよこいし、そんな事よりも……」
「負けた理由が聞きたいの? いやだってお姉ちゃん、なんでか知らないけどババだけ他のカードよりもちょっと上に出してるじゃない。なんで?」
「え? だってそうすれば、貴方は無意識にババを引いちゃうかと思って。単純そうだし貴方は」
私がそう言うと、なぜかこいしは顔をフグのように膨らませて怒り出した。こういうこいしの顔も可愛いわね。
「お姉ちゃん無意識ってか私の事馬鹿にしてるでしょ! もう、せっかくプリン二人で分けてあげようかと思ったけどあげない!」
「あ! 待ってこいし! 待ってー! せめてプリンだけでもー!」
しかし、私の叫びも虚しく、こいしは景品のジャンボプリンを持ってどこかへ行ってしまった―――。
……さらに後日
「お燐、こちらへ来なさい」
「はい、なんでしょうかさとり様」
「ちょっと私との特訓に付き合って欲しいの」
「えーまたですか? まぁいいですけど、今度は何の特訓ですか?」
「これよ」
そう言って私は、こいしとの勝負に使ったアレをお燐に手渡した。
「ってまたトランプじゃないですか!」
「そうよお燐。トランプで、今度はポーカーよ。ギャンブル界の女帝と言われた私でさえあの子に……、ってコラお燐帰るんじゃない! 心の中で溜息付くな! お燐、戻って来なさーい!」
料理の具材にされたり笑い死にさせられたり……地霊殿……恐ろしいところだ……!
今一番言いたい事は、二人のパンツの中に潜ってみたい。
ってか後書きwww
ババ抜きする羽目になったこいしちゃん可哀想です
パンストは被る物でなく食べものだよ
>3
ちょwwwwおまwwwwww
ら●ま?