「ねえねえ、咲夜」
後ろから名を呼ばれ、咲夜と呼ばれた少女は背後を振り返る。
其処には主たるレミリアの妹・フランドールが立っていた。
七色のカケラを枝につけた様な変わった羽を揺らし、メイド長に悪魔の妹は近寄る。
「何で御座いましょうか?妹様」
「貴方はお姉さまのこと、好き?」
突然の質問に咲夜は蒼い瞳を若干見開く。
その瞳とは対照的にフランドールは紅い瞳で、じっと蒼い瞳を見つめている。
「……はい、とてもお慕いしております」
暫くして漸く出た従者の言葉に悪魔の妹は嬉しそうに笑んだ。
その表情につられ咲夜も優しく微笑む。
「私もよ。お姉さま大好きなの」
「そうで御座いますか。それを聞いたらお嬢様はとてもお喜びになられる事でしょう…」
「ええ、とても喜んでたわ。だから………、…」
何かを呟いた後、フランドールは床に倒れた。既に息は無い。
そして彼女の腹部から徐々に血が溢れ、血の水溜りを作る。
その光景を見て、咲夜は全身の血の気が引いていくのが分かった。
そんな彼女の耳には先程フランドールが呟いた言葉が何度も何度も繰り返されていた。
まるで壊れたラジカセのように…。
『だから咲夜も、気をつけてね』
(ああ…、ああ…、妹様…、それは……っ)
思考を廻らせている彼女は気付いていない。
背後に迫り来る足音に…。
今宵の満月は鮮血の如く紅く…輝いていた……。
露草氏がこれからガシガシSSを書いていって、どんな作家に成長するか楽しみにさせてもらいたい。
もう少し血液の描写(臭いや質感)や、傷口の描写があれば尚ヤンデレっぽいかも
恐怖系は読者に読んだことを後悔させる程えげつなくても良いと思いますー