「ねぇ、咲夜」
「ん?」
「今日、なんの日かわかる?」
「……」
相変わらず乙女チックな質問というか…
アリスは顔を赤らめながらこぼした。
私たちはいつものように紅魔館の私の部屋でお茶を飲んでいる、なんてことない日だ。
何か特別なことがあったんだっけ…?
「ちょっと咲夜、カレンダーくらい見なさいよ」
「はいはい」
チラっと目を向けると、大きく2月と書いてあった。
「……ああ、そういうこと」
節分だな。
前お嬢様の方を向いて恵方巻きを食べていたら怒られたことがあったな。
「だから、私………がんばって作ってみたんだけど」
「え、なにを?」
「なにをって、決まってるでしょ…」
顔を赤らめて、目線を逸らされてしまった。
なんだっていうんだ。
「だって2月と言ったら…」
「い、いいから……いいからこれ食べてよ」
黒光りした可愛い箱に、小さいチョコレートが敷き詰まっている。
それだけ言って差し出された私は、仕方ないからそれを食べることにした。
「…うん」
「どう?」
「ちょっと控えめで、私の好みね」
「でしょ?………よかった」
でもこれがなんだって言うんだ?別にお茶菓子を持ってきてくれただけならありがたいんだが。
なんだって節分にチョコレートをよこすんだ。
あ、と思ったら……
このチョコレート、中にアーモンドが入ってるじゃないか。
節分といえば豆を食べる習慣があったはず。なるほどなるほど。
「凝ってるじゃない」
「うん、がんばったから」
でも、これだけ照れることはなくないか?
私の顔も直視できないという感じで、顔を真っ赤にしてうつむいている。
別にこれ以上可愛くなられても私はかまわないんだが、どうも様子がおかしい。
「あ、あの……」
「…?」
「あの、それで………咲夜のほうからは……」
「………」
私のほうから?
そうか、あっちで茶菓子を用意したんだから、こっちでも何か出さないと失礼だな。
じゃあ今日はとびっきりいい紅茶を淹れてやろう。
「待ってなさい」
「う、うん!」
期待するのも無理はない、これは河童の実験で生まれた特別性の紅茶だ。
私ですらまた口にしたことがない。
「……」
私が紅茶を淹れている動作を、じーっと睨み続けている。
そこまで期待されていると不安にもなってくる。
「さぁ、どうぞ」
「え、あ………うん」
少し驚いた表情をした。紅茶では不服だった?
「……いただきます」
「ええ」
まずアリスに飲んでもらおう、私はその姿を見ている。
普通に口をつけるが、まだ熱かったのかすぐカップを口から離した。
「大丈夫?」
「………何が大丈夫?よ」
アリスの肩が震えている、紅茶をテーブルに置いて、また俯いてしまった。
「どうして……チョコのお返しがこんな不味い紅茶なのよ」
「あ、ごめんね……実はまだ毒見をしてないの」
「………」
マズッたかぁ……
でも、なんかいつもと違うんだよなぁ。こんなの飲ませるんじゃないわよって怒るところだ。
期待されてる度合いが違う気がする。
「………どうしてそんなにニブいの!?」
「え?」
「言ってみなさいよ!2月って言ったらなによ!」
「ええ?」
落ち込んでいるのかと思っていたら、急につかみかかってきた。
目は潤んでいるが、顔は険しい。
「えーと……節分」
「やっぱり!そんなことだと思ったわ!」
「な、なになに」
「2月って言ったらバレンタインデーでしょ!!」
「………ば、ばれんたい……?なに?」
「バレンタインデーよ!!」
ばれんたいんでー……?
なんだそりゃ。
「アリス、聞いたことないんだけど…」
「…え?」
「いやだから、ばれんたいんでーって何?」
「え、だから、その……神様の誕生日で……」
「神様って?いっぱいいるけどどれ?」
「だからそれは…」
アリスの勢いが弱くなってきて、たったままおろおろし始めた。
「落ち着いて話してみなさい、ばれんたいんでーについて」
「……うん」
「すごく簡単に言うと、バレンタインデーは、女性が好きな人にチョコを送る日」
「チョコを…?」
「そうよ、それで、普通ならその後のホワイトデーにもらった人がお返しをするの」
「はいはい、なるほどね」
そういう日があるのね、初耳だ。
確かにメイドの子や知り合いからチョコレートを貰う日が近年あったような気がする。
「だから……咲夜からも貰いたかったから…」
「なるほど、納得したわ」
「……でもごめんなさい、まさか知らないとは思わなかったの」
「………」
チョコレートか。
私は無言で戸棚のほうまで歩いていって、いつも私たちがお茶を飲んでいるときによく出す、別に高価でもないが甘さ控えめだからという理由で私がいっつも買っているチョコレート。
これで許されるとは思えないが、このまま何もしないというわけにもいかなかった。
「アリス、これでいいかな、いつものだけど」
「……咲夜らしい」
「ごめんね」
「いいの、私……チョコレートの中じゃこれが一番好きだから………」
「ん」
それがどういう意味を込めていったのか、さすがの私でも気がついた。
もらったチョコレートの箱を抱きしめて、顔をうっすらと赤くして俯いているアリス。
いい加減愛らしさを見せ付けられるのに限界を迎えた私は、アリスのことを抱きしめるために立った。
「……貴女がチョコレートの中にアーモンドなんて入れなければ、節分だとは思わなかったのに」
「そんな勘違い貴女しかしないわ」
「そうかもね」
私の胸に耳を当てて、目を閉じるアリス。
まるで人形を抱いているようで、力をこめたら壊れてしまわないか心配になる。
「……ごめんね咲夜、またワガママ言って」
「別にいいのよ」
「………うん」
「私は、貴女のワガママが大好物なんだから」
.
「ん?」
「今日、なんの日かわかる?」
「……」
相変わらず乙女チックな質問というか…
アリスは顔を赤らめながらこぼした。
私たちはいつものように紅魔館の私の部屋でお茶を飲んでいる、なんてことない日だ。
何か特別なことがあったんだっけ…?
「ちょっと咲夜、カレンダーくらい見なさいよ」
「はいはい」
チラっと目を向けると、大きく2月と書いてあった。
「……ああ、そういうこと」
節分だな。
前お嬢様の方を向いて恵方巻きを食べていたら怒られたことがあったな。
「だから、私………がんばって作ってみたんだけど」
「え、なにを?」
「なにをって、決まってるでしょ…」
顔を赤らめて、目線を逸らされてしまった。
なんだっていうんだ。
「だって2月と言ったら…」
「い、いいから……いいからこれ食べてよ」
黒光りした可愛い箱に、小さいチョコレートが敷き詰まっている。
それだけ言って差し出された私は、仕方ないからそれを食べることにした。
「…うん」
「どう?」
「ちょっと控えめで、私の好みね」
「でしょ?………よかった」
でもこれがなんだって言うんだ?別にお茶菓子を持ってきてくれただけならありがたいんだが。
なんだって節分にチョコレートをよこすんだ。
あ、と思ったら……
このチョコレート、中にアーモンドが入ってるじゃないか。
節分といえば豆を食べる習慣があったはず。なるほどなるほど。
「凝ってるじゃない」
「うん、がんばったから」
でも、これだけ照れることはなくないか?
私の顔も直視できないという感じで、顔を真っ赤にしてうつむいている。
別にこれ以上可愛くなられても私はかまわないんだが、どうも様子がおかしい。
「あ、あの……」
「…?」
「あの、それで………咲夜のほうからは……」
「………」
私のほうから?
そうか、あっちで茶菓子を用意したんだから、こっちでも何か出さないと失礼だな。
じゃあ今日はとびっきりいい紅茶を淹れてやろう。
「待ってなさい」
「う、うん!」
期待するのも無理はない、これは河童の実験で生まれた特別性の紅茶だ。
私ですらまた口にしたことがない。
「……」
私が紅茶を淹れている動作を、じーっと睨み続けている。
そこまで期待されていると不安にもなってくる。
「さぁ、どうぞ」
「え、あ………うん」
少し驚いた表情をした。紅茶では不服だった?
「……いただきます」
「ええ」
まずアリスに飲んでもらおう、私はその姿を見ている。
普通に口をつけるが、まだ熱かったのかすぐカップを口から離した。
「大丈夫?」
「………何が大丈夫?よ」
アリスの肩が震えている、紅茶をテーブルに置いて、また俯いてしまった。
「どうして……チョコのお返しがこんな不味い紅茶なのよ」
「あ、ごめんね……実はまだ毒見をしてないの」
「………」
マズッたかぁ……
でも、なんかいつもと違うんだよなぁ。こんなの飲ませるんじゃないわよって怒るところだ。
期待されてる度合いが違う気がする。
「………どうしてそんなにニブいの!?」
「え?」
「言ってみなさいよ!2月って言ったらなによ!」
「ええ?」
落ち込んでいるのかと思っていたら、急につかみかかってきた。
目は潤んでいるが、顔は険しい。
「えーと……節分」
「やっぱり!そんなことだと思ったわ!」
「な、なになに」
「2月って言ったらバレンタインデーでしょ!!」
「………ば、ばれんたい……?なに?」
「バレンタインデーよ!!」
ばれんたいんでー……?
なんだそりゃ。
「アリス、聞いたことないんだけど…」
「…え?」
「いやだから、ばれんたいんでーって何?」
「え、だから、その……神様の誕生日で……」
「神様って?いっぱいいるけどどれ?」
「だからそれは…」
アリスの勢いが弱くなってきて、たったままおろおろし始めた。
「落ち着いて話してみなさい、ばれんたいんでーについて」
「……うん」
「すごく簡単に言うと、バレンタインデーは、女性が好きな人にチョコを送る日」
「チョコを…?」
「そうよ、それで、普通ならその後のホワイトデーにもらった人がお返しをするの」
「はいはい、なるほどね」
そういう日があるのね、初耳だ。
確かにメイドの子や知り合いからチョコレートを貰う日が近年あったような気がする。
「だから……咲夜からも貰いたかったから…」
「なるほど、納得したわ」
「……でもごめんなさい、まさか知らないとは思わなかったの」
「………」
チョコレートか。
私は無言で戸棚のほうまで歩いていって、いつも私たちがお茶を飲んでいるときによく出す、別に高価でもないが甘さ控えめだからという理由で私がいっつも買っているチョコレート。
これで許されるとは思えないが、このまま何もしないというわけにもいかなかった。
「アリス、これでいいかな、いつものだけど」
「……咲夜らしい」
「ごめんね」
「いいの、私……チョコレートの中じゃこれが一番好きだから………」
「ん」
それがどういう意味を込めていったのか、さすがの私でも気がついた。
もらったチョコレートの箱を抱きしめて、顔をうっすらと赤くして俯いているアリス。
いい加減愛らしさを見せ付けられるのに限界を迎えた私は、アリスのことを抱きしめるために立った。
「……貴女がチョコレートの中にアーモンドなんて入れなければ、節分だとは思わなかったのに」
「そんな勘違い貴女しかしないわ」
「そうかもね」
私の胸に耳を当てて、目を閉じるアリス。
まるで人形を抱いているようで、力をこめたら壊れてしまわないか心配になる。
「……ごめんね咲夜、またワガママ言って」
「別にいいのよ」
「………うん」
「私は、貴女のワガママが大好物なんだから」
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まだ2月前だというのにこの甘さだと……!!
このままだと本当に恐ろしいことになりそうだ……!!
今週で歯医者行くの終わっちゃったんだけど、もうちょっと後にしとくんだったかな?
月一で歯医者に通ってる私は大丈夫ですね!
さて、歯医者へ行ってくるぜ。
それならもっとやってしまえ!
咲夜さん視点のお話は初ですかね?
可愛すぎて笑えてくるなんて咲アリはラブコメなのかもしれない…
司祭の処刑日じゃ……。
今気がつきました
クリスマスか何かと勘違いしてかいちゃいました
すいません死にます
でも一応個人的には気に入った話です
俺の力でみなさんが虫歯になってくれれば本望です