右を向いて確認
「補充はこれで十分だな」
不気味に動いている機械の中に赤い物体を入れる
左を向いて確認
「やばいやばい、これが切れると大変だったぜ」
少なくなっているタンクに大量の白い物体を入れる
後ろを向いて確認
「あ~…在庫が残ってないから今日もまた徹夜か」
注文が多いのは嬉しいが箱詰め作業はちょっと辛い
そして、前を向いて確認
「よし、売り上げは順調だぜ」
目の前の表は黒字を保っている
それを見てちゆりがホッと一息ついて
休憩室兼自宅に少し疲れた様子で戻ると
「ふぅ…あおり文句はこんな感じかしら?」
「私だけ働かせてなにやってるんだこの馬鹿教授!」
部屋のパソコンの前で『良い仕事した』と額の汗を拭う岡崎夢美の頭を
助手であるちゆりが手にしたハリセンで思いっきり叩いた
「…で?いったい何をしてたんだ?」
ちゆりが自分の御主人である夢美を正座させて怒っていた
「えーとね、苺豆腐もなかなか順調に売り上げを伸ばしているみたいだから」
「ああ、おかげでそれなりに財産もできた」
元はと言えば、夢美の苺好きが興じて偶然作り上げられた代物なのだが
『岡崎印の苺豆腐ババロア』と言えば今では里でも有名な人気スイーツ
それが成功したおかげで、二人とも有る程度は裕福な暮らしをしていた
「で、でしょ?だから今度はまた別の商売を考えて…」
「だが!今はそんな事言ってる場合は無い!今が一番忙しい時なんだ」
しどろもどろになって説明をしようとする夢美にちゆりが吼えた
「ね、ねぇ?ちゆり…貴方最近随分機嫌悪くない?」
「そ、そんな事はないぜ!セーラ服の新キャラが出たせいで余計に出番が無くなったなんて思ってなんかない!」
そこまで言うとちゆりは動きを止めて泣きそうな顔になる
「……ちゆり」
「……ぐずっ…なんだよ?」
そんなちゆりに夢美が優しい声で両手を広げた
「…おいで、胸貸してあげるから」
「……」
(ちゆり本気泣き中)
「…ぐずっ…不覚だぜ…御主人に泣かされるなんて」
「いや~珍しく可愛らしいちゆりを見たわね」
「そぉおい!」
「げふっ!?」
ちゆりが照れ隠しに投げるパイプ椅子
それをまともに受ける夢美
「ふふっ…どうやらいつもの様子に戻ったみたいね」
「ああ、今ならトドメにもう一発武器を投げれそうな気がするぜ」
そこまで伝えてから二人とも大声で笑いあう
ひとしきり二人が笑い終えるとちゆりが口を開く
「でも、本当にさっきは何をしてたんだ?」
「良くぞ聞いてくれたわ、ちゆり」
先程までパソコンの前で何かをしていた事をたずねると
夢美が胸を張って答えた
「我々旧作キャラ達をもう一度思い出して貰う為の極秘計画よ」
「な、なんだって!?」
その恐ろしい計画にちゆりも声を上げる
旧作…それは神の主によってその存在をリセットされた世界
そこに居たキャラのほとんどは出番も無く、表にでる事も無く
殆ど来る事が無いとされる出演をただ待つだけと言う過酷な生活を強いられている
そして、今のちゆりや夢美のように新キャラに
自分と同じねたがかぶらないようにと震えながら生活をするしかないのだ
「とは言っても、魅魔の奴は暇そうに隠居してるし
魔界神は魔界の業務に忙しそうだし
私もなんだかんだでそれなりに楽しんでいるけどね」
「おい教授、あの寝巻き着てた大妖怪は?」
「…あいつは裏切り者よ?旧作キャラとは認めないわ」
「納得だぜ」
夢美の言葉にちゆりが頷いた
皆、出番がある者が羨ましいのだ
「…で?いったいどんな事をするんだ?」
「その為に作った試作品がこれよ!」
夢美がちゆりに手渡したのは小さなカセット
「…なんだこれ?『岡崎夢美の宝舟殺人事件』?」
「ええ、教授である私とその助手であるちゆりが
宝船から遊覧船になった船の中で起きた殺人事件を解決すると言う話よ」
「ただのファミコンじゃないか!この馬鹿教授!」
ちゆりは手にしたカセットを全力で放り投げた
それは寸分たがわず夢美の額に命中した
「くわぁ!?…額が痛いぃ~!」
「期待して損したぜ」
額を押さえてゴロゴロと転がる夢美を見ながら
ちゆりがため息をつく
夢美が額に絆創膏を張りながら起き上がる
「ま、待ちなさいちゆり…まずやってみなさい」
「え~?めんどくさいぜ」
「…拳骨とどっちがいい?」
「わ、わかった、だから拳骨は勘弁してくれ」
拳骨は嫌なので、ちゆりがしぶしぶ従う
「全く…こんなゲームなんてしてもなぁ」
「いいから、まずはやってみなさいって」
(それから数十分後)
「よし!また教授が罠に落ちたぜ!」
「ちょ、ちょっとちゆり?貴方少し下手すぎじゃない?」
「えっ?これって教授を殺して遊ぶゲームじゃないか?楽しいぜ」
「……」
(ゴスッ!)
「うわ~ん、御主人が怒った~」
「普通の謎解きゲームなのにそんな遊び方するな!」
物理的に空中から防御不可能の拳骨を叩き込まれたちゆりが
先程のように泣きそうになりながら怒っている夢美を見つめると
「…痛いぜ」
「あ~はいはい…ごめんごめん」
やれやれと言った表情で夢美がちゆりの頭を撫でた
・・・
「…他にも何種類か用意したから感想を聞かせて頂戴?」
「わかったぜ」
落ち着いたちゆりが手渡された別のゲームに手をつけた
『神綺レイザー』
「おおっ?あのアホ毛神が主人公やってるぜ」
「これはかなり力を入れたわよ」
「へぇ…住人が増えたらアホ毛神のレベルも増えるのか」
「ふっふっふ…それだけのゲームじゃないわ」
「うぉ?アクションパートまである!」
「そう、アクションとシュミレーションの二つを併せた全く新しい…」
「でも、操作性悪すぎてやる気が起こらないぜ」
「…難しすぎたのが失敗か」
『はじめての幻夢館…双子の悪魔と一緒』
「なんだか…妙にエロそうだぜ」
「アドベンチャーゲームだから少しはね…」
「え、エッチなのはいけないと思うぜ?」
「気にしない気にしない」
「お?選択肢…」
「あ、気をつけて選んでね?後から死亡フラグになるのが一杯あるから」
「…生き残れる確率は?」
「大体1%かな?」
「無理ゲーじゃないか」
「仕方ないじゃない!幻月と夢月の二人がヒロインなんだから」
「…残りの一%は?」
「一応、二人に懐かれるわよ?」
『闘将橙妖怪!炸裂オレンジ102芸』
「誰だこいつ?」
「ああ、気にしないで、それよりもやってみて?」
「…目的を教えられたけど、こいつ本当に弱いな」
「ん~かなり始めの頃に作ったゲームだしバランス悪いかな?」
「でも、通行人に負けるのは酷いと思うぜ?」
「まあ、通行人全部主人公だしね」
「…いじめじゃないか」
『オールドマックス(旧作の絆)」
「なんだ?あの戦車技師が主人公なのか?」
「ええ、他にもソルジャーの明羅と勝手に攻撃する亀も居るわ」
「この戦車ってなんだ?」
「このゲームの基本となる乗り物よ、まあ良いからやって見なさいって」
「……かなり本格派なRPGだぜ」
「フラグ回収もないから、有る程度進めてから一気に最後の町まで行くのも有りよ?」
「でも、何処に進めば良いのかわかり難いのが難点かな」
「改良の余地有りか…」
『輝く旧作へ…』
「これもアドベンチャーゲーム?」
「ふっふっふ…これには自信があるわ、やってみなさいちゆり」
「…なんだ?幼馴染が魔界神じゃないか」
「甘いわよちゆり、他にも転校生の魅魔とか無口の後輩サリエルとか…」
「げっ?良く見たら御主人が先輩って役で出てるぜ」
「ちょっとちゆり、なによその私を哀れむような目は」
「男が居ないからって(別になんでもないぜ)」
「良い度胸ねちゆり……」
「げっ?思わず心の声が…」
「覚悟は良いわね?」
「げ、拳骨は勘弁してほしいぜ」
「ならフルコースね」
「も、もっと嫌だぜ!?た、助け…」
・・・
「はい、お仕置き終了」
「うぅ…馬場チョップ、ウメボシ、アイアンクローのコンボは酷いぜ」
散々弄ばれたちゆりがぐったりとその場に倒れこむ
流石にしっぺ、デコピンからのフルコースではないとはいえ
頭部への3連続攻撃は痛いのだ
「…御主人の鬼、悪魔…」
「……聞こえてるわよちゆり」
「ご、ごめんなさい!拳を固めないでください」
笑顔で拳を固める夢美の姿にちゆりが頭を抑えて体を縮こめる
その姿を見た夢美がにやにやして手を伸ばし
「…うりゃ」
「わひゃ!?」
ちゆりの頭をぐしゃぐしゃと撫で回した
「甘いわねちゆり、フェイントよ」
「く、フェイントとは卑怯な」
拳骨が来ると思っていたちゆりが変な声を上げて驚くが
拳骨ではないと判断したちゆりが大人しくされるがままに撫でられる
「それで?ちゆりの感想を聞かせて貰おうかしら」
「ああ、それなりに面白いとは思うけどさ…」
「思うけど…なに?」
「なんでゲームをする事がなんだ?」
ちゆりの回答に夢美が待ってましたとばかりに答える
「まずは色んな人に興味を持ってもらう事が必要だからよ」
旧作キャラ自身が再び見られる事は難しい
それは、何とかでたがその後出番が無い幽香もそうだし
アリスに至っては、既に別人と化している
「そこで、まずは何かに取っ付いて私達の事を知って貰おうと言う考えに至ったわけよ」
それで出た案がゲームだったのだ
夢美の回答にちゆりが目を丸くする
「知らなかったぜ…教授がそんな真面目に考えていたなんて」
「なにいってるの、私はいつでも真面目よ?」
「……まあ、今だけと苺の事についてだけは認めるぜ」
自信満々に告げる夢美にちゆりがため息交じりで伝えた
「ところで、もう一つの疑問があるんだが」
「何かしら?」
「…幻想郷でゲーム機って売ってるのか?」
「あ…」
夢美の顔が固まるその様子から、
思いっきり失念していたのだろうとちゆりが判断してため息をついた
「…まあいいぜ、それよりも苺豆腐の箱詰め作業をそろそろ始めるぜ」
「いやぁ!また淡々と自分の好物を箱詰めする作業はいやぁ~!」
「はいはい…あっちで作業をするぜ御主人」
「いやぁあああ~」
先程とは立場が逆転したちゆりが夢美を引きずって
作業場兼研究室に向かって行った
今月の売り上げ
苺豆腐……黒字200万(材料費等のマイナス含む)
教授の発明…赤字10万
博麗神社のお賽銭…0円
教授の苺代…赤字100万
食費、光熱費、工場稼動費その他…20万
ちゆり「…何とか黒字だぜ」
夢美「ちゆり~箱詰め後何個?」
ちゆり「まだ半分も行ってないぜ…はい次の箱」
夢美「うわ~ん、もう箱詰めやだぁ~」
「補充はこれで十分だな」
不気味に動いている機械の中に赤い物体を入れる
左を向いて確認
「やばいやばい、これが切れると大変だったぜ」
少なくなっているタンクに大量の白い物体を入れる
後ろを向いて確認
「あ~…在庫が残ってないから今日もまた徹夜か」
注文が多いのは嬉しいが箱詰め作業はちょっと辛い
そして、前を向いて確認
「よし、売り上げは順調だぜ」
目の前の表は黒字を保っている
それを見てちゆりがホッと一息ついて
休憩室兼自宅に少し疲れた様子で戻ると
「ふぅ…あおり文句はこんな感じかしら?」
「私だけ働かせてなにやってるんだこの馬鹿教授!」
部屋のパソコンの前で『良い仕事した』と額の汗を拭う岡崎夢美の頭を
助手であるちゆりが手にしたハリセンで思いっきり叩いた
「…で?いったい何をしてたんだ?」
ちゆりが自分の御主人である夢美を正座させて怒っていた
「えーとね、苺豆腐もなかなか順調に売り上げを伸ばしているみたいだから」
「ああ、おかげでそれなりに財産もできた」
元はと言えば、夢美の苺好きが興じて偶然作り上げられた代物なのだが
『岡崎印の苺豆腐ババロア』と言えば今では里でも有名な人気スイーツ
それが成功したおかげで、二人とも有る程度は裕福な暮らしをしていた
「で、でしょ?だから今度はまた別の商売を考えて…」
「だが!今はそんな事言ってる場合は無い!今が一番忙しい時なんだ」
しどろもどろになって説明をしようとする夢美にちゆりが吼えた
「ね、ねぇ?ちゆり…貴方最近随分機嫌悪くない?」
「そ、そんな事はないぜ!セーラ服の新キャラが出たせいで余計に出番が無くなったなんて思ってなんかない!」
そこまで言うとちゆりは動きを止めて泣きそうな顔になる
「……ちゆり」
「……ぐずっ…なんだよ?」
そんなちゆりに夢美が優しい声で両手を広げた
「…おいで、胸貸してあげるから」
「……」
(ちゆり本気泣き中)
「…ぐずっ…不覚だぜ…御主人に泣かされるなんて」
「いや~珍しく可愛らしいちゆりを見たわね」
「そぉおい!」
「げふっ!?」
ちゆりが照れ隠しに投げるパイプ椅子
それをまともに受ける夢美
「ふふっ…どうやらいつもの様子に戻ったみたいね」
「ああ、今ならトドメにもう一発武器を投げれそうな気がするぜ」
そこまで伝えてから二人とも大声で笑いあう
ひとしきり二人が笑い終えるとちゆりが口を開く
「でも、本当にさっきは何をしてたんだ?」
「良くぞ聞いてくれたわ、ちゆり」
先程までパソコンの前で何かをしていた事をたずねると
夢美が胸を張って答えた
「我々旧作キャラ達をもう一度思い出して貰う為の極秘計画よ」
「な、なんだって!?」
その恐ろしい計画にちゆりも声を上げる
旧作…それは神の主によってその存在をリセットされた世界
そこに居たキャラのほとんどは出番も無く、表にでる事も無く
殆ど来る事が無いとされる出演をただ待つだけと言う過酷な生活を強いられている
そして、今のちゆりや夢美のように新キャラに
自分と同じねたがかぶらないようにと震えながら生活をするしかないのだ
「とは言っても、魅魔の奴は暇そうに隠居してるし
魔界神は魔界の業務に忙しそうだし
私もなんだかんだでそれなりに楽しんでいるけどね」
「おい教授、あの寝巻き着てた大妖怪は?」
「…あいつは裏切り者よ?旧作キャラとは認めないわ」
「納得だぜ」
夢美の言葉にちゆりが頷いた
皆、出番がある者が羨ましいのだ
「…で?いったいどんな事をするんだ?」
「その為に作った試作品がこれよ!」
夢美がちゆりに手渡したのは小さなカセット
「…なんだこれ?『岡崎夢美の宝舟殺人事件』?」
「ええ、教授である私とその助手であるちゆりが
宝船から遊覧船になった船の中で起きた殺人事件を解決すると言う話よ」
「ただのファミコンじゃないか!この馬鹿教授!」
ちゆりは手にしたカセットを全力で放り投げた
それは寸分たがわず夢美の額に命中した
「くわぁ!?…額が痛いぃ~!」
「期待して損したぜ」
額を押さえてゴロゴロと転がる夢美を見ながら
ちゆりがため息をつく
夢美が額に絆創膏を張りながら起き上がる
「ま、待ちなさいちゆり…まずやってみなさい」
「え~?めんどくさいぜ」
「…拳骨とどっちがいい?」
「わ、わかった、だから拳骨は勘弁してくれ」
拳骨は嫌なので、ちゆりがしぶしぶ従う
「全く…こんなゲームなんてしてもなぁ」
「いいから、まずはやってみなさいって」
(それから数十分後)
「よし!また教授が罠に落ちたぜ!」
「ちょ、ちょっとちゆり?貴方少し下手すぎじゃない?」
「えっ?これって教授を殺して遊ぶゲームじゃないか?楽しいぜ」
「……」
(ゴスッ!)
「うわ~ん、御主人が怒った~」
「普通の謎解きゲームなのにそんな遊び方するな!」
物理的に空中から防御不可能の拳骨を叩き込まれたちゆりが
先程のように泣きそうになりながら怒っている夢美を見つめると
「…痛いぜ」
「あ~はいはい…ごめんごめん」
やれやれと言った表情で夢美がちゆりの頭を撫でた
・・・
「…他にも何種類か用意したから感想を聞かせて頂戴?」
「わかったぜ」
落ち着いたちゆりが手渡された別のゲームに手をつけた
『神綺レイザー』
「おおっ?あのアホ毛神が主人公やってるぜ」
「これはかなり力を入れたわよ」
「へぇ…住人が増えたらアホ毛神のレベルも増えるのか」
「ふっふっふ…それだけのゲームじゃないわ」
「うぉ?アクションパートまである!」
「そう、アクションとシュミレーションの二つを併せた全く新しい…」
「でも、操作性悪すぎてやる気が起こらないぜ」
「…難しすぎたのが失敗か」
『はじめての幻夢館…双子の悪魔と一緒』
「なんだか…妙にエロそうだぜ」
「アドベンチャーゲームだから少しはね…」
「え、エッチなのはいけないと思うぜ?」
「気にしない気にしない」
「お?選択肢…」
「あ、気をつけて選んでね?後から死亡フラグになるのが一杯あるから」
「…生き残れる確率は?」
「大体1%かな?」
「無理ゲーじゃないか」
「仕方ないじゃない!幻月と夢月の二人がヒロインなんだから」
「…残りの一%は?」
「一応、二人に懐かれるわよ?」
『闘将橙妖怪!炸裂オレンジ102芸』
「誰だこいつ?」
「ああ、気にしないで、それよりもやってみて?」
「…目的を教えられたけど、こいつ本当に弱いな」
「ん~かなり始めの頃に作ったゲームだしバランス悪いかな?」
「でも、通行人に負けるのは酷いと思うぜ?」
「まあ、通行人全部主人公だしね」
「…いじめじゃないか」
『オールドマックス(旧作の絆)」
「なんだ?あの戦車技師が主人公なのか?」
「ええ、他にもソルジャーの明羅と勝手に攻撃する亀も居るわ」
「この戦車ってなんだ?」
「このゲームの基本となる乗り物よ、まあ良いからやって見なさいって」
「……かなり本格派なRPGだぜ」
「フラグ回収もないから、有る程度進めてから一気に最後の町まで行くのも有りよ?」
「でも、何処に進めば良いのかわかり難いのが難点かな」
「改良の余地有りか…」
『輝く旧作へ…』
「これもアドベンチャーゲーム?」
「ふっふっふ…これには自信があるわ、やってみなさいちゆり」
「…なんだ?幼馴染が魔界神じゃないか」
「甘いわよちゆり、他にも転校生の魅魔とか無口の後輩サリエルとか…」
「げっ?良く見たら御主人が先輩って役で出てるぜ」
「ちょっとちゆり、なによその私を哀れむような目は」
「男が居ないからって(別になんでもないぜ)」
「良い度胸ねちゆり……」
「げっ?思わず心の声が…」
「覚悟は良いわね?」
「げ、拳骨は勘弁してほしいぜ」
「ならフルコースね」
「も、もっと嫌だぜ!?た、助け…」
・・・
「はい、お仕置き終了」
「うぅ…馬場チョップ、ウメボシ、アイアンクローのコンボは酷いぜ」
散々弄ばれたちゆりがぐったりとその場に倒れこむ
流石にしっぺ、デコピンからのフルコースではないとはいえ
頭部への3連続攻撃は痛いのだ
「…御主人の鬼、悪魔…」
「……聞こえてるわよちゆり」
「ご、ごめんなさい!拳を固めないでください」
笑顔で拳を固める夢美の姿にちゆりが頭を抑えて体を縮こめる
その姿を見た夢美がにやにやして手を伸ばし
「…うりゃ」
「わひゃ!?」
ちゆりの頭をぐしゃぐしゃと撫で回した
「甘いわねちゆり、フェイントよ」
「く、フェイントとは卑怯な」
拳骨が来ると思っていたちゆりが変な声を上げて驚くが
拳骨ではないと判断したちゆりが大人しくされるがままに撫でられる
「それで?ちゆりの感想を聞かせて貰おうかしら」
「ああ、それなりに面白いとは思うけどさ…」
「思うけど…なに?」
「なんでゲームをする事がなんだ?」
ちゆりの回答に夢美が待ってましたとばかりに答える
「まずは色んな人に興味を持ってもらう事が必要だからよ」
旧作キャラ自身が再び見られる事は難しい
それは、何とかでたがその後出番が無い幽香もそうだし
アリスに至っては、既に別人と化している
「そこで、まずは何かに取っ付いて私達の事を知って貰おうと言う考えに至ったわけよ」
それで出た案がゲームだったのだ
夢美の回答にちゆりが目を丸くする
「知らなかったぜ…教授がそんな真面目に考えていたなんて」
「なにいってるの、私はいつでも真面目よ?」
「……まあ、今だけと苺の事についてだけは認めるぜ」
自信満々に告げる夢美にちゆりがため息交じりで伝えた
「ところで、もう一つの疑問があるんだが」
「何かしら?」
「…幻想郷でゲーム機って売ってるのか?」
「あ…」
夢美の顔が固まるその様子から、
思いっきり失念していたのだろうとちゆりが判断してため息をついた
「…まあいいぜ、それよりも苺豆腐の箱詰め作業をそろそろ始めるぜ」
「いやぁ!また淡々と自分の好物を箱詰めする作業はいやぁ~!」
「はいはい…あっちで作業をするぜ御主人」
「いやぁあああ~」
先程とは立場が逆転したちゆりが夢美を引きずって
作業場兼研究室に向かって行った
今月の売り上げ
苺豆腐……黒字200万(材料費等のマイナス含む)
教授の発明…赤字10万
博麗神社のお賽銭…0円
教授の苺代…赤字100万
食費、光熱費、工場稼動費その他…20万
ちゆり「…何とか黒字だぜ」
夢美「ちゆり~箱詰め後何個?」
ちゆり「まだ半分も行ってないぜ…はい次の箱」
夢美「うわ~ん、もう箱詰めやだぁ~」
あれっ? 職業教授なのに主な収入は苺豆腐っすか!?
そして『輝く旧作へ…』がやってみたいです。
MOTHERに出てきたなそう言えば
教授はこのまま行けば苺妖怪になれると思う
ストロベリー食らい死す?(お金的な意味で
それはさておき教授分補充できて良かった、旧作もいいよなw