東方三題噺――｢壁｣・｢爆発オチ｣・明羅作者: ムラサキ

　ぽかぽかとした陽気が漂う、今日は素晴らしい日だ。いつもはこの博麗神社には妖怪や人間が少なくとも一人はいるというのに、珍しく誰も来ない。
　本当に穏やかな日だ。今日はもうお茶を飲む以外何もしたくない。

｢今日は面倒な奴が来ないから、落ち着いてお茶が飲めるなぁ｣

　たまには平和もいいよね、そう私は改めて思っていた。思っていたのに……、

｢久しぶりだな博麗よ！　今度こそ、お前を貰いに来たぞ！｣
　
　ため息を付くしかない、私の周りはどうやらトラブルで出来ているようだ。またレミリアか紫かそれとも魔理沙かと思ったが、目の前の奴は見たこともない人物だった。

｢誰だあんた……、面倒そうな奴ってのは見て分かるけど｣

　と私が言うと目の前のやつは困ったような顔をしだした、

｢え？　覚えてないの？　明羅だよ明羅、旧作で会ったじゃない｣

｢旧作だって？　旧作なんて覚えてないわよぉ～｣

｢そんな馬鹿な！　あんたとフラグが立った第一号じゃないかわたしは！　昔は明羅さんって親しげに呼んでくれたじゃないか！｣

｢昔は捨てたのよ、あの普通の巫女服と空飛ぶ亀と一緒にね｣

　しかし、本当にどこいったのかしらあの亀は。

｢相変わらずひどさは変わってないな～。まあいい、このたび私は旧作という壁を乗り越えて新作に登場することにしたよ！　あんたを倒してね！｣

　へ？　いやいや何を言ってるんだこいつは、新作に出るだって？　本当に出たいんなら私の所じゃなくて神主の所へ行け。

｢そんなの無理に決まってるでしょ、大人しくPC98の時代に帰りなさい｣

｢無理じゃないもんね、あの幽香やアリスだって出れたじゃないか、私も｢剣術を扱う程度の能力｣として新たに参戦してやる！｣

｢それもう先客いるから駄目ね、だいたい男は東方本家には出れないわよ｣

｢私は女だ!!!　わざと間違えてるんだろ!!!｣

　女だったのか……、イケメンだったからてっきり男だと思った。

｢んで？　結局どうしたいのよあんたは？　私が欲しいの？｣

｢欲しいのは、あんたじゃない!!　新作に出場する権利だ、ばかもん!!｣

　やれやれ、面倒だ。さっさと倒してまたお茶を飲みなおそう、そう思ったが、

｢ちょっと待ったー！｣

　また変なやつが……、今度は誰だ？

｢話は聞かせて貰ったよ、新作の権利なら初代STGボスにして自機にもなったこの私、魅魔が貰い受けるよ！　というかおかしいでしょ！　なんで私が出れないのよ！　いろいろフラグあったじゃない！　風神録とか私が出てもおかしくないでしょ！｣

｢な！？　魅魔、あんたは私が旧作に封印したはずなのに……｣

　呆然としたるところに今度は赤マントをつけた科学者みたいのが……、

｢ふふ、この岡崎もいるわよ。河童の技術？　核融合で非想天則？　おかしいでしょ！　なぜこの私を呼ばない！　可能性移動空間船とかドラ○もん並みに凄い科学力を持ってるのに！　星蓮船でなんか復活できそうだったのに！　ちゆりは性格をあのうふふ魔法使いに持っていかれて、格好をあのよくわからない亡霊船長に持っていかれて泣いてるんだぞ！｣　
　
｢岡崎！？　あんた生きてたのか？｣

　そしたら今度はあほ毛の神が目の前から現れて……、

｢見苦しいわね明羅、魅魔、岡崎。新作参戦権はこの神綺のものよ。星蓮船の聖の弾幕見なかったの？　あれは神主が忘れてない証拠よ。貴方達はもうきっと記憶から消え去ったに違いないわね。大人しく旧作に帰りなさい｣

｢くっ、封印された面子がこんなにもたくさん｣

｢｢｢｢勝手に封印すんな!!!｣｣｣｣

　四人同時とは無駄に息ピッタリね……、

｢とにかく、邪魔をするならわたしも黙ってはいないぞ｣

｢ふん、2ボスごときがこの魅魔にかなうわけないでしょうが｣

｢東方最強と言われたこの岡崎を怒らせたらどうなるか教えてやる！｣

｢魔界神もといアホ毛神の力を今再び思い出させてあげるわ｣

　いやいやちょっと待て、こいつらここで暴れるつもりか。うわ～、やる気まんまんだよあいつら……。

どうしてこうなった……、今日はお茶をゆったりと飲んで平和に一日を過ごすはずだったのに……。どうしてこんなカオスな結果に……、

｢｢｢｢行くぞ！　旧作とwin版の壁なんてぶっ壊してやる！！！！！｣｣｣｣

｢やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお！！！！！｣

　

　　　　　　　　　　　　しかし私の叫びも虚しく

　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　あいつらが衝突すると同時に

　　　　　
　　　　　　　　まるで太陽拳のような眩い光が辺りを包み込み

　　　　　　　　　　　　　博麗神社は爆発した

東方三題噺――｢壁｣・｢爆発オチ｣・明羅

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