Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

んえち。

2010/01/25 10:56:48
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アリスの家。
今日は、魔理沙が来ていた。

「ふむ」
魔理沙が口を開いた。
「ヒマだな」
「そうね」
じつに、十五分ぶりの会話である。
魔理沙は、飲み干したカップを持ち上げた。
今日のアリスは、機嫌が悪いらしい。
お代わりも持ってきてくれない。
「なあアリス」
ちょっと考えていた魔理沙が言った。
「なによ」
「手袋って反対に言ってみ」
「は? ――ろくぶて?」
「ありがとう」
「……」
アリスはちょっと黙りこんだ。
動かしていた手を一瞬止める。
ちろりと魔理沙を見て、言う。
「ねえ、魔理沙」
「なんだ?」
ちくちくと、また手を動かして、アリスが言う。
「パチュリー・ノーレッジって反対に言ってみてくれる?」
「ジッレーノーリュチパ」
「……。なんでそんなにすらすら言えるのよ?」
「さあな。別に練習してるわけじゃないぜ。……だが、魔法使いにとっちゃ舌は命だからな。これくらいはできないとなー」
「ほほう」
アリスは鼻白んだように言った。
「ねえ魔理沙」
「なんだ?」
「博麗霊夢って反対に言ってみて」
「ムイレイレクハ」
「霧雨魔理沙」
「さりまめさりき」
「アリス・マーガトロイド」
「ドイロトガーマスリア」
「射命丸文」
「やあるまい、い……や、め、ゃし?」
「……。ふう」
「……。ほほう」
魔理沙は、ちょっと歯をむき出しにした。
アリスはわざとらしく、ため息をついて、肩をすくめている。
魔理沙は口を開く。
「なあ、アリス」
「はい? 魔理沙」
「河城にとりって反対から言ってみ?」
「りとにろしわか」
「東風谷早苗」
「エナサヤチコ」
「八雲藍」
「んらもくや」
「紅美鈴」
「んりいめんほ。ちょろいわね」
アリスは、余裕の表情で返した。
「無駄口は駄目だぜ? 黒谷ヤマメ」
「めまやにだろく」
「水橋パルスィ」
アリスは、すました顔で、眉をひそめた。
「……。ぃ、ぃす、るぱしはずみ?」
「……ふう。やれやれ」
「……」
アリスは、ぴきりと眉をつり上げた。
魔理沙はわざとらしく、眉尻を下げて、首をふっている。
アリスは、ゆっくりと口を開いた。
「ねえ、魔理沙」
「はい。アリス」
「八雲紫」
魔理沙は答えた。
「りかゆもくや」
「八坂神奈子」
「コナカカサヤ。十六夜咲夜」
返されて、アリスが返す。
「やくさいよざい。レミリア・スカーレット」
「トッレーカスアリミレ。蓬莱山輝夜」
すらすらと返して、魔理沙が言う。
アリスも、負けじと、即座に返す。
「やぐかんさいらうほ。洩矢諏訪子」
「こわすやりも。上白沢慧音」
「ねいけわさらしみか。藤原妹紅」
「うこものらわじふ。永江衣玖」
「くいえがな。因幡てゐ」
「ゐてばない。聖白蓮」
「……んれくゃびりじひ。スターサファイア」
魔理沙が、ちょっと眉をひそめた。
「あ……あ、いぁふ、さーたす」
アリスは、やれやれと冷たい眼差しを向けた。
「あらあら詰まったわね。アウトかしら?」
「まだまだ。三回までセーフだから私の残機はあと二機残ってるぜ」
「いつのまに決まったのよ」
「最初から決まってたが、あえて言わなかった。じゃあこっちの番だな。サニーミルク」
魔理沙は堂々と言ってきた。
アリスはやれやれという顔で応じた。
「くるみーにさ。ルーミア」
「あみーる。ミスティア・ローレライ」
「イラレーロ・アィテスミ。綺麗な巻き舌のできないあんたに、私が負けるはずがないでしょう? リグル・ナイトバグ」
「ぐばといなるぐり。おやおや、そいつはどうかな。火焔猫燐」
「ンリ・ウョビンエカ。あら、ありがとう。良い練習になるわ。霊烏路空」
「ほつうじういれ。おい、そんなに簡単なのばっかり出して大丈夫か? 追いつめられるのはお前なんだぜ? 多々良小傘」
「さがこらたた。追いつめられているのがどちらなのか、似非魔法使いの小娘にはわからないらしいな。古明地さとり」
「りとさじいめこ。お前だろ? その証拠に口数が増えている。そうやって余裕をアピールするのは余裕のない奴の典型。キスメ」
「めすき。勝った。もうこれは決定的ね。あんたのほうが数文字は無駄口が多い。チルノ」
「のるち。私のは余裕って言うんだぜ。その程度で勝ったとか思うなよ。底が知れるぞ。フランドール・スカーレット」
「トッレーカス・ルードンラフ。やれやれ。小娘の意地って言うのは見苦しくっていけないねえ。ルナサ・プリズムリバー」
「ーバリムズリプ・サナル。おっとっと。切り札が無くなったかな? 魂魄妖夢」
「むうよんぱくこ。虚勢もいい加減にしないと、だんだん鼻につくようになってくるわ。もっとも私は相手にしないので関係ないけど。森近霖之助」
「けすのんりかちりも。西行寺幽々子」
「こゆゆじうょぎいさ。鈴仙・優曇華院・イナバ」
「ばない・んいげんどう・んせいれ。風見幽香」
「かうゆみざか。稗田阿求」
「うゅきあの、だえひ。星熊勇儀」
「ぎうゆまぐしほ。村紗水蜜」
魔理沙の顔が、だんだんと真剣になる。
アリスも、すでに魔理沙を睨んでいる。
「つみなみさらむ。小野塚小町」
「ちまこかづのお。四季映姫・ヤマザナドゥ」
「……ぅどなざまや・きいえきし。比那名居天子」
「しんていななひ。橙」
「んぇ……ん、んえち!」
「……。ぶ」
魔理沙は、いきなり口元を押さえた。
アリスは眉をひそめた。
く、くく、と、笑いを漏らす魔理沙を睨む。
が、堪えて言った。
「……私のミスね。あと二機」
「ん、んえち」
「……」
アリスはさらに眉をひそめた。
「……。ちょっと」
が、そこが限界だった。
「だ、だははははははははははは」
魔理沙は、腹を抱えて、笑い転げだした。
「ん、んえち! んえちっておま、お前、あはははははははは!!」
「……。おい、あんたの負けで良いのか……?」
「ん、んえち」
「……」
く、くく、ぐ、ぐ、と魔理沙はテーブルに伏せって、馬鹿ウケしている。
アリスは白い目で見た。
魔理沙のとんがり帽子のつばが、テーブルにへばっている。
「……」
「ん、んえち……」
「……」
「んえち」
「……」
「……」
「……」
「……」
アリスは静かに人形を取った。
針と糸を取って、ちくちくと裁縫をすすめ出す。
横から、ぼそっと魔理沙が言った。
「んえち」
「ケンカ売ってんのかこらあああああああ!!!」
「だははあはははははははははは!! んえち!! んえちって、ひ必死な顔で、かか可愛すぎる! アリス可愛すぎ!! んえち!!」
「言うなああああああああああああああああああ!!!!」

結局、勝負はお流れになったらしい。
アリスはその後二週間ばかり、同じネタでからかわれ続けた。
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
このしょうもない話題から引くに引けなくなる感覚、学生時代の休み時間を思い出す。
2.名前が無い程度の能力削除
完全に休み時間の会話だww
3.名前が無い程度の能力削除
しょうもないのに妙に面白いwww
4.奇声を発する程度の能力削除
休み時間wwwwwありそうだwww
5.名前が無い程度の能力削除
こういうの好きだ。面白かった
6.名前が無い程度の能力削除
>「八坂加奈子」
神奈子様が泣いています

よく発音できるなこの二人はw
7.ぺ・四潤削除
「んえち……!……!(声にならない笑い)」
「…………(怒)ぷすっ」
「痛ぇえええええぇぇっっ!!」
8.無言坂削除
>神奈子様が泣いています

修正しました
ご指摘有り難うございます
9.名前が無い程度の能力削除
こういうの大好きだwwww
10.名前が無い程度の能力削除
明らかに発音不可能な文字を難なく話す彼女等には流石魔法使いと賞賛を贈る他ない
次はこれ読んでみて
つ『ぴ゚ょん』
11.無言坂削除
>つ『ぴ゚ょん』

んよ…んよ……、……。
12.名前が無い程度の能力削除
むうよんぱくこ・・・
黒パン妖夢・・・

許せる!
13.ずわいがに削除
最初からクライマックスだった
14.名前が無い程度の能力削除
妖夢逆から読めてねぇw
逆から読むのって楽しいですよね。
15.名前が無い程度の能力削除
逆読みに当て字するだけで新キャラが山のように!
16.名前が無い程度の能力削除
なにこの子たちかわいい。