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特命門番長紅美鈴『永遠亭の野望』6

2010/01/12 02:15:18
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 噂によれば妖怪も迷い込む永遠亭の周りの竹林

 全ては永遠亭が月から逃げるために施した代物なのだが

 そのおかげで夜の竹林の中では人はおろか、人間達も姿を見せない



「――っ!」

「――っ!」

 そんな中、明らかに異質な姿があった

 辺りは闇に包まれて明らかに視界が悪いはずなのに

 その人物は高速で動き回っていた

 ただ動き回っているだけなら必死に逃げているように見えるだけかも知れない


 だが、姿が見えるその人物とは別の人物が確かに存在していた

 まるで透明人間のように見えない人物がそこに

「――そこっ!」

「――くっ!?」

 姿が見えている人物の腕の手が空を切ったかと思っていたら

 何も無い筈の空間がぶれた 

 そして、ぶれた空間の中から何者かの姿が現された

 それと同時に雲に隠されていた月が姿を現して

 戦っていた二人の姿を照らした



「はぁ……はぁ……私の狂気の瞳と此処まで相性が悪い相手が居たなんて」

 肩で息をしながら頭に兎耳をつけたブレザーの少女が

 苦しそうにコメカミに手を当てつつ目の前の相手をにらみつける

「やっぱり……貴方が事件の犯人だったんですね」

 片方は赤い髪を纏めて導師服を着込んでいる男性の姿

 その全身には多少とはいえ血が流れていた

「なぜですか優曇華さん!?八意先生の弟子である貴方が!」

 全身ボロボロの男の絶叫に優曇華と呼ばれた少女が

 苦しそうにしながらも絶叫した

「黙れ紅龍!何も知らない新参者の癖に師匠の事と永遠亭の事を語るな!」 



 傷を負わせたと思われる少女がフラフラな足で立ち上がる

「居場所と戦友を裏切った私を……師匠と姫は……永遠亭は受け入れてくれた……」

 そしてその手に持った凶器を再び構える 

「私に出来る事で恩返しは永遠亭を守る事……その為には」

 コメカミに当てていた手を払い、限界に近いはずの目に力を込める

「どんな汚れ事でも請け負って死んでも構わない!」

  


「…奇遇ですね」

 その姿を見て全身ボロボロの男も構えを取る 

「私も……貴方と同じくとある組織を守る為に戦ってます」

 先程から目の前の相手からの凶器による攻撃を受けて体はボロボロである 

「その為になら私もどんな汚れ仕事でも構いませんが……」

 だが、それでも今は立ち上がらないといけない時だと体が動いていた

「たとえ泥水を啜っても私は戻るべき場所に戻って見せます!」

   


 優曇華と紅龍の二人がお互いに最後になるべき一撃を構え

『うおおおぉぉ!』

 お互いの必殺の間合いでその一撃を放った














 そしてほんの少ししてから月が再び姿を現した時には

「……ごほっ…ごほっ…」

 優曇華と呼ばれた少女の腹部から大量の血が流れて

 口に詰まっていた血を吐き出していた

(ごほっ…わ、私は…永遠亭を……ま、守れた……の?)

 呼吸が苦しい中で既に目も見えていない優曇華が呟く

 その呟きに答える者は周りには居ないのだ

「――守れ――ましたよ――貴方の―おかげで」

 だが、そんな優曇華に答える者が居た

 既に優曇華の目は見えないのだが、その言葉ははっきり聞こえた

 その言葉に、優曇華は見えないはずの目から涙を流し呟いた

「よか…った……居場所……守れた…」
 
 そしてその目は二度と開かれなかった















「……これで…任務完了ですね…」

 紅龍が事切れた月兎の目を手で閉じると

 その後ろにあった竹に背を預けて倒れこむ 

 月兎を膝の上に寝かせると竹に背をもたれて月を眺めていた

(…後は……帰るだけですけど……)

 その胸には大きな穴とおびただしい量の流血をしていた

「…お嬢様すいません……どうやら…帰る事は…ごほっ!」

 最早しゃべる事すらきつくなっていた

(…あ~あ……這い蹲ってでも…帰るつもりでしたけど…)  

 だるそうに開いていた目蓋も既に半分に閉じていた

 そして、最後に少しだけ微笑むと

「でも……咲夜さん…可愛かった……なぁ…」 

 そのまま、眠るように意識を手放した



















     ・・・







「……こんにちわなのだ」
 
 美鈴が野外謹慎処分になってから数ヵ月後

 レミリアの元にルーミアがやってきていた

「……美鈴から連絡は来てないの?」

「…ええ、全く何処に行ったのか」

 ルーミアが来た事でレミリアが何かを悟った表情をしていた

 それを知ってか知らずかルーミアが、手にしていた物を手渡した

「これを預かっていたのだ」

「これは?」

 それはまるで手紙のようであった

 レミリアの質問にルーミアが静かに伝えた

「美鈴からの……最終報告書」

「美鈴から!?」

 レミリアが驚いてルーミアに声をかけると

 ルーミアが寂しそうに伝えた

「…もし、一ヶ月以上私から連絡が無かったら手渡すようにって」

 つまりそれは…

「……こ、これを渡す時は…め、美鈴が…ひっく……」

「もう良い……最後まで言うな」

 レミリアが泣きそうなルーミアを抱きしめる

 レミリアにも判っているのだ

 既に紅魔館の特命門番がこの世に居ないと言う事を

「…この報告書は確かに預かったわ」

「…うん」 

 泣き止んだルーミアにレミリアが言葉少なく答えた

 お互いにこれ以上話せば涙があふれる事を知っているから
 
「…ありがと……」

「…気にしないで良いわ、また紅魔館に遊びにいらっしゃい」

「うん」  

 ルーミアが寂しそうにレミリアの部屋から出て行った





「……馬鹿者……」

 最後に部屋に残されたレミリアが目に涙を浮かべながら呟いた

「紅魔館の皆に……どう報告すれば良いと思っているんだ?…」

 そして、遂にその目から涙が決壊した

「咲夜やフランに……ヒック…どう伝えれば良いと思ってるんだ……馬鹿門番!」 

 その慟哭は長く長く続いた

 
 どうも、脇役です
 
 小さな報告ですが訳有りでしばらくの間パソコンを封印します
 よって、しばらくの間投稿をやめる…予定です
 下手したら、そのまま消えるかも知れませんけど
 まだこの作品が未完なので戻れるように頑張りたいと思います 
 なに、脇役は何度でも蘇るし別の脇役も出てくるかもしれないから大丈夫!
 またいつか会いましょう
 
 



 そうそう、此処からが本編の後日談で
 特命門番長の最後は次に持越しですよ?
 本編のような悲しい終わり方は私は嫌ですよ




「……なんだか変な夢を見ましたね」
 まだ早朝ともいえない時間に美鈴が目を覚ます
(ん~……何かお嬢様やルーミアちゃんが泣いていたような夢でしたけど…)
「…よし、明日の計画を無事に終えて無事に帰ろう……」

 明日は永遠亭のトップが紅魔館に呼ばれる日
 そして、美鈴が永遠亭での最後の仕事が行われる予定の日
「…ふぁ~……明日に備えてもう一度寝ておきましょう」
 変な夢の事を忘れて美鈴は再び布団の中に入った
脇役
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
本気でバッドエンド打ち切りかと思った
脇役さんもなかなか心臓に悪いことをするwww
2.名前が無い程度の能力削除
まさかの『8・6あ』かっ…びっくりしたぁ…;
脇役さんの帰還を待ってますよ~!
3.ずわいがに削除
心臓に悪いなぁ、もうっ。
でも「脇役さんなら」って信じてましたよ!