ハードボイルドってなんか格好良いと思う。
そんな風に思ったので、かたゆでの卵を作って神社へ遊びに行った。
ゆで卵は半熟の方が美味しいと思うけれど。
いつも通り、この寒い中でも博麗の巫女様は縁側でお茶を啜っていた。隣には小鬼がいる。
「こんにちは」
「あらアリスじゃない。今お茶入れるわね」
「やぁ」
萃香は右手を上げて挨拶する。
霊夢は立ち上がり台所へ向かう。
私は縁側に腰掛け、風景を眺めた。
ここからじゃ木々しか見えないとはいえ、四季が感じられる。
魔法の森は一年中似たような森なのだ。雪以外。今年はまだ降ってないけど。
風が吹き抜けると酒臭さを感じる。
昼間からよく呑むなぁと毎度思うが、慣れてしまってる自分がいる。
鬼とはそういうものなのだと。
少しの無言の空気の後、私は持って来た包みを開いた。
「これは?」
「かたゆで卵」
「そうか。先に頂いてよう」
そう言うなり、鬼はゆで卵をとり、殻を剥き始めた。
手持ち無沙汰なので私も一つとる。
「作って来といてなんだけど、かたゆで卵より半熟の方が美味しいわね」
「私は半熟味付けが好きだな」
「タレに漬けた後は最低限の加熱にとどめるのよ」
「ほぉ、今度持ってきておくれよ。お菓子とかよりそういう物の方が嬉しい」
「なんかそう言われるとショックだわ」
私が持ってくるのは大体がお菓子類だから。お惣菜はたまに。
少女としては間違ってないはずだ。
すると、霊夢が戻ってきた。
「私も半熟が好きだけど、ならなんでわざわざかたゆでにしたの?」
「ハードボイルドって格好良いと思わない?」
「ハードボイルド?」
霊夢が疑問符を浮かべる。とりあえず実践してみた。
「『マスター、角』」
「いや、うちに洋酒ないから」
角瓶も置いてないとは、しけた神社だ、なんて微塵も思っていませんよ?
目をやると、小鬼の表情が生き生きしてる。今度は萃香の番だ。
「『弾幕をカスる度に5銭貰ってたら今頃私は大金持ちさ』」
瓢箪をウイスキーグラスに見立て、左手でゆする。
カランッと瓢箪から音がなる、気がした。
気分はオン・ザ・ロック。
渋いなぁ。格好良い。
私が萃香に見とれていると、霊夢は大きくため息をついた。
「だったら私も大金持ちよ」
「確かにそうね」
「それに、みんな大金持ちになるから貨幣価値が下がるね」
それじゃ意味ないよなぁ。
「ところで、何でハードボイルドなんて言い出したの?」
「格好良くなかったかしら?」
「別に」
霊夢のお気にはめさなかったらしい。萃香は後ろで頷いてくれてる。
「それにあれがハードボイルドなのかも疑問だわ」
「そう言われると自信無いなぁ」
「けど『ハードボイルド』って言葉自体が格好良いのよ」
だから多少間違っててもいいのだ。
正直な話、『老人と海』は私を熟睡させてくれたのだ。
「何が足りなかったのかしら?」
「サングラスとか拳銃とかかな?」
萃香と色々検討してみる。
「拳銃よりライフルの方が良くないかしら?」
「それでも良いけど、拳銃なら、コートの下からさりげなくカチャリってね」
「『おっと、今朝は上海に餌をあげるのを忘れていたわ』…あれ?ちっともハードボイルドじゃない」
「難しいね」
「難しいわ」
霊夢の表情が呆れ果ててる。
「拳銃って…あんたら使わない方が強いでしょうに」
「だからよ」
「あえて使うからいいのさ」
「ついていけないわ」
「『信じてついて来てくれ。どこまででも連れてってやる』」
「アリス、それ格好良い!」
そんなこんなで会議は続く。
私達が、流行りそうもないな、と気づいた時には、霊夢は夕飯の支度を始めていた。
そろそろ帰らなきゃ。私も夕飯作らなきゃ。
「そろそろ帰るわねー」
台所に聞こえるよう大きく声をかけた。
「はーい。また来なさいよー」
返事が帰ってきた。
そして縁側から数歩前へ進み振り返る。
小鬼と目が合う。
「「『また、会おう』」」
軽い笑みを交わした後飛び立つ。
次の都会的なものを探しつつ。
やはりハードボイルドは少女じゃ可愛らし過ぎるから駄目ね。
そんな風に思ったので、かたゆでの卵を作って神社へ遊びに行った。
ゆで卵は半熟の方が美味しいと思うけれど。
いつも通り、この寒い中でも博麗の巫女様は縁側でお茶を啜っていた。隣には小鬼がいる。
「こんにちは」
「あらアリスじゃない。今お茶入れるわね」
「やぁ」
萃香は右手を上げて挨拶する。
霊夢は立ち上がり台所へ向かう。
私は縁側に腰掛け、風景を眺めた。
ここからじゃ木々しか見えないとはいえ、四季が感じられる。
魔法の森は一年中似たような森なのだ。雪以外。今年はまだ降ってないけど。
風が吹き抜けると酒臭さを感じる。
昼間からよく呑むなぁと毎度思うが、慣れてしまってる自分がいる。
鬼とはそういうものなのだと。
少しの無言の空気の後、私は持って来た包みを開いた。
「これは?」
「かたゆで卵」
「そうか。先に頂いてよう」
そう言うなり、鬼はゆで卵をとり、殻を剥き始めた。
手持ち無沙汰なので私も一つとる。
「作って来といてなんだけど、かたゆで卵より半熟の方が美味しいわね」
「私は半熟味付けが好きだな」
「タレに漬けた後は最低限の加熱にとどめるのよ」
「ほぉ、今度持ってきておくれよ。お菓子とかよりそういう物の方が嬉しい」
「なんかそう言われるとショックだわ」
私が持ってくるのは大体がお菓子類だから。お惣菜はたまに。
少女としては間違ってないはずだ。
すると、霊夢が戻ってきた。
「私も半熟が好きだけど、ならなんでわざわざかたゆでにしたの?」
「ハードボイルドって格好良いと思わない?」
「ハードボイルド?」
霊夢が疑問符を浮かべる。とりあえず実践してみた。
「『マスター、角』」
「いや、うちに洋酒ないから」
角瓶も置いてないとは、しけた神社だ、なんて微塵も思っていませんよ?
目をやると、小鬼の表情が生き生きしてる。今度は萃香の番だ。
「『弾幕をカスる度に5銭貰ってたら今頃私は大金持ちさ』」
瓢箪をウイスキーグラスに見立て、左手でゆする。
カランッと瓢箪から音がなる、気がした。
気分はオン・ザ・ロック。
渋いなぁ。格好良い。
私が萃香に見とれていると、霊夢は大きくため息をついた。
「だったら私も大金持ちよ」
「確かにそうね」
「それに、みんな大金持ちになるから貨幣価値が下がるね」
それじゃ意味ないよなぁ。
「ところで、何でハードボイルドなんて言い出したの?」
「格好良くなかったかしら?」
「別に」
霊夢のお気にはめさなかったらしい。萃香は後ろで頷いてくれてる。
「それにあれがハードボイルドなのかも疑問だわ」
「そう言われると自信無いなぁ」
「けど『ハードボイルド』って言葉自体が格好良いのよ」
だから多少間違っててもいいのだ。
正直な話、『老人と海』は私を熟睡させてくれたのだ。
「何が足りなかったのかしら?」
「サングラスとか拳銃とかかな?」
萃香と色々検討してみる。
「拳銃よりライフルの方が良くないかしら?」
「それでも良いけど、拳銃なら、コートの下からさりげなくカチャリってね」
「『おっと、今朝は上海に餌をあげるのを忘れていたわ』…あれ?ちっともハードボイルドじゃない」
「難しいね」
「難しいわ」
霊夢の表情が呆れ果ててる。
「拳銃って…あんたら使わない方が強いでしょうに」
「だからよ」
「あえて使うからいいのさ」
「ついていけないわ」
「『信じてついて来てくれ。どこまででも連れてってやる』」
「アリス、それ格好良い!」
そんなこんなで会議は続く。
私達が、流行りそうもないな、と気づいた時には、霊夢は夕飯の支度を始めていた。
そろそろ帰らなきゃ。私も夕飯作らなきゃ。
「そろそろ帰るわねー」
台所に聞こえるよう大きく声をかけた。
「はーい。また来なさいよー」
返事が帰ってきた。
そして縁側から数歩前へ進み振り返る。
小鬼と目が合う。
「「『また、会おう』」」
軽い笑みを交わした後飛び立つ。
次の都会的なものを探しつつ。
やはりハードボイルドは少女じゃ可愛らし過ぎるから駄目ね。
『頭は半熟だが心は乙女だ。なら他に必要なものがあるか?』
うん、ハードボイルドって意味不(ェー
ハードボイルドって都会分なんだwww
じゃあ、次はぜひ甘々な霊アリをお願いします!
確かにこれは格好いい。
こういうあほなノリのもの大好きです。
妄想したらとてもやばい状態になっちまったぜ・・・
「霊夢! 私なんかかばって被弾するなんて!……」
「フッ、お前よりも私のほうが喰らいボム……余裕だろう……私としたことがちょっとタイミングミスっちまったがな……」
「霊夢……またいつか……会おう……」
「ああ……またな……」
>>1様
半熟ぐらいが平和でいいですよね。
>>2様
お気に召されたなら幸いです。
自分でも書いててよくわからなくなってきたりしますw
>>奇声を発する程度の能力様
都会っぽいイメージがあったんです。
霊アリは好きなので頑張ってみるつもり。
ラブ要素がラブ要素になる保証はできませんが。
>>4様
相沢さんとは、どの相沢さんかわかりませんでした。
>>5様
アリススーツ似合いそうですよね。
>>6様
咲夜さんとか、他にも沢山似合いそうな人いますよね。
>>7様
楽しんでいただけたようで何よりです。
私も軽いノリ好きなので。
>>8様
危ない時はえーりんに診てもらえばいいので、どんどん妄想してくださいな。
>>9様
萃香はなかなか渋いキャラでもあるので、書き手によれば・・・
残念なことに私が書いても渋くはならないのですが。
>>ぺ・四潤様
そして、ピンチの時に霊夢が現れるのですね。
王道っていいですね。
よく分かりませんが格好良いです。
アリ萃は心のオアシス。
ていうか友達同士のバカなやりとりしてる雰囲気がよく出てて和んだ。