ある晴れでも雨でもない日の事、博麗神社に来客が一人。
「おい霊夢!居るか!?」
古典的な魔法使いファッションに身を包んだ少女が中に呼び掛ける。すると神社の戸が開き巫女がのっそりと顔を出した。
「何よ騒がしいわね」
「博麗の巫女も勘が鈍ったか?異変だよ異変!」
「何ですって?」
霊夢がはっと顔を上げた。
「ああ、間違いなく私たちの出番だ」
「……っ」
魔理沙が勢いよく出発しようとしたが霊夢は頭に何か小さな引っかかりを覚え立ち止った。それは──
(異変?また異変かそういえば空飛ぶ船が騒ぎになったのはいつごろだっけ春ごろだったかしらあの時はネズミに齧られたり雨に降られたり親父の拳骨に殴られたり溺れそうになったりお宝で目がくらんだりパワーアップの巻物を読まれたり散々な目にあったっけそういえば魔界にも久しぶりに行くことになったけどまだツアーってやってるのかしらあの船を使って魔界観光とか企画したら儲かりそうだなあもうやってんのかあの魔界神はどう思ってんだろつーか今まで全然音沙汰なかったよね魔界元気でやってんのかなそういえばうちの温泉に糸目の白いお姉さんが来てたような来てなかったようなどうでもいいか温泉と言えば入ってくるのは妖怪ばかりってのはどういうことよレミリアとか水駄目じゃなかったのかあれは流水だっけいやでも妹と一緒に普通に水遊びしながらきゃっきゃ言ってたじゃん横で咲夜が鼻血たらしてたじゃんパチュリーがのぼせてまるで溺死体のようになってるのを魔理沙が爆笑してたじゃんあれ?最後の方は関係ないかとにかくあいつら金落とさないんだよね何か有耶無耶になってるんだよねそこは知り合いとはいえきっちりしたほうがトラブルが少なくていいと思うんだよね私はいや決して貧乏ってわけではないけども別に生活する分には全くもって十分だけれどもありすぎて困ることはないじゃん金は人を変えるっていう言葉があるかもしんないけど私の周りそんな俗物的な価値観持ってるやついないしむしろ私が俗っぽい?いやいや普遍的なだけですよ中庸なだけですよ周りの人間というか生物がふわふわ得体が知れない分私がしっかりしないとねふわふわといえば妖夢の半身ってどうなってるのかしら冷たいのかしら柔らかいのかしら枕にしてお昼寝とかしちゃったりしてるのかしら少し羨ましいかもというか種族から半分人間で半分幽霊って何?元からそういうものなの?絶対本人も分かってないよ聞いたら「さあ……?」とかきょとんとするに決まってるそれで横から幽々子が「それはそういうものだもんねー」とか訳のわからないことをぬかすだろうあんのふわふわピンク何考えてるか毎度のことながらさっぱりよね紫もそうだけどあれは物凄く胡散臭い感じでピンクのは天然の笑顔の裏側にわざとらしく見える腹黒さがどうにもこうにも不気味な感じでしょうがないまあどちらもうざったくて邪魔で叩き潰したくなることに変わりはないんだけど実際に叩き潰したけどついでに式と桜も叩き潰したけど式か私も式欲しいなあ境内とか掃除してもらったりさあ代わりに異変解決させたりさあもうとにかく動きたくない働きたくない今でも十分働いてないけど最近お茶飲んで酒飲んでの繰り返しな様な気がするけど気のせいか気のせいだなそう式だよそういえばいつぞやの赤教授に貰ったろぼっと?だったかがあったわ忘れてたすっかり忘れてたあれ動かせばいいじゃん働かせればいいじゃん私ってあったまいいーでもあれ大分前に壊れてたようないくら叩いてもうんともすんとも言わないから里にいる魔法嫌いの科学者に聞いたら「エネルギー不足。残念」とかなんとか言ってたような思い出したそうだよ動かないんだよちくしょう糠喜びさせやがってエネルギー不足って何だよそもそもあれ何で動いてのよ背中に変なマークくっつけてたようなん?最近どっかで見たな私どこだっけどこだっけ思い出せー私それなりの記憶力はあるんだから考えつくせば出てこねえよ全く出てこねえよどの記憶のタンスの引き出しを開ければいいんだ?どれを開けても酒とお茶と魔理沙しか出てこないじゃんていうか魔理沙うぜえどこ開けても出てくるよこいつ何で下着の裏側にまで張り付いてるんだ虫か黒いからゴキブリかリグルか「それは淡い恋心だぜ☆君の瞳にマスタースパーク」とりあえずタンスにゴンでも仕掛けておこうしかしどうやっても例のマークが思い出せない私はあれか鳥並か三歩歩けば記憶が落ちる鳥頭ってか失礼な……………………そうだよ鳥だよ烏だよ八咫烏だよあーすっきりしたってことは核で動いてたのかあのろぼっとということはあの烏に頼めば動くようになるかしらでも地底までまた行くのは面倒だなああっちから来てくれないかしらそもそも地底の妖怪と交流もっていいんだっけいいのか私人間だもんね地上の妖怪と地底の妖怪は干渉しちゃダメなんだっけでもこの前チルノと遊んでるの見たようなあの烏地上征服の野望はどうしたんだ忘れたのか流石鳥頭三歩歩けば歌いだすってそれは夜雀ね何か鰻食べたくなってきた帰りに一杯ひっかけていこうかしらあの甘いタレが鰻の白身に絶妙に合うのよねついでに日本酒にも合うのよねおっと涎出てきたあの屋台どこに出てたっけかな竹林のほうだっけそれは藤原の娘がやってる焼鳥屋のほうか別にそっちでもいいけどむしろそっちのほうがいいかも焼鳥は皮がいいのよ皮が火鼠の皮がサラマンダーシールドがあはは炎効かねー妹紅勝ち目ねーよく何年も決闘というか復讐続けられるわねあの二人飽きないのかしら私だったら絶対に飽きてる一つのことをずっとやり続けるなんて無理に決まってる何かに縛られるなんて真っ平ごめんよ拘りプライド主従関係ポリシー運命使命全部くだらないしどうでもいい何故なら私の能力は空を飛ぶ程度の能力だからだうん意味が分からないいやつまり何にも縛られないそれが私ってことを言いたかったわけようん自分で言ってて恥ずかしくなってきた魔理沙なんかさらっと言いそうだけどしっかしよくあそこまで古典的な魔女の服装してて平気よねまあ私も巫女服だけどここ日本だしまだマシってもんだけどあれはどうなのよハロウィンくらいしか見ないってあんな格好あーでも周りにいる奴らも大概か妖怪だから許されるのか奇抜なファッションは咲夜とか慧音はどうかしら似たり寄ったりかそういえば私も脇見せてるし袖が独立してるしチャームポイントのリボンはこれでもかってくらいでかいし日本を言いわけにできる格好じゃなかったわごめん魔理沙あんたはかなりまともな部類だったでもスカートのエムは無いわあれだけは流石の私も引いたわそういえば魔理沙があの服を着てたのは空飛ぶ船が騒ぎに──)
「長えよ!!」
どうしても読みにくさが目立ってしまいました。
そして最後で吹いた俺は一人負け
あなたは忘れている。この思考速度もさることながら、たかが数mのシュートや投球の瞬間に物凄い速度で“話す”解説者たちの存在を!(50歩100歩