Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

明けました地霊殿

2010/01/03 20:29:25
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 明けましておめでとうございます。
 新年ですが、さして地霊殿に変わったことはありませんでした。
 え? 
 年末?
 ペットの毛を掃除する作業に追われていましたとも、ええ。
 ああ、貴方はまったり遊んでいたと。
 そうですか。
 では、お年玉がビー玉になるトラウマをどうぞ。
 そういう季節ですし。





 旧都から、すごい酒気を感じます。
 鬼どもが。
 おかげで、里帰りしてるお燐とお空は二日酔いだ。
 飲んでもいないのに。
 旧都を横切って帰ってきただけ、らしい。
 あくまで、本人曰く。
 
「まったく、お燐とお空は弱いなぁ」
 
 けらけら笑いながら、酒をあおる我が妹。
 見慣れないけど、何飲んでるのかしら。

「山の上の巫女から奪ってきた!」

 不穏なこと言わないの。
 ま、空を誘拐したからもっと取ってきてもいいわよ。
 むしろ潰しても構わないわ。
 で、何を飲んでるの?

「こっちがソルティードックでー、こっちがスピリタス」

 その他、様々な壜が並ぶ。
 ポン酒と違って、色々なデザインがあってそそられるモノがある。
 空き瓶頂戴ね?

「飲んだらねー」

 これだけの量、飲みきるには相当かかるわ。
 私も、少し相伴に預かってみましょう。

「じゃあ、スピリタスね」

 ありがとう。
 ショットグラスとかいう、小ぶりの硝子容器に入れてもらった。
 さて、味の……ほ……。
 なにこれ。
 匂いだけでくらっくらするわよ?!

「えー? おいしいのに」

 美味しそうに飲むこいし。
 これ、妖怪が溶解してしまうわよ……。
 …………。
 聞かなかったことにして、お願い。

「何か、お姉ちゃんが不穏なことを考えた気がするんだけど」

 気のせいよ。
 まさか、見たことがない壜全部がこうなんじゃないでしょうね……。
 酒霊殿になっちゃうわよ。
 鬼の巣窟とか、勘弁だからね?
 




「うにゅあああ……」

 空、なんとか生還。
 しかし、ここもまた地獄。
 さっきのスピリタスの匂い、まだ残ってるわね。
 はい、お水。

「重水?」

 違います。
 そもそも、何よそれ。
 おもみず?

「おくうーあーそーぼー」
「こいし様、今頭痛がひどいんですが」
「世界は核の炎に包まれたごっこ」
「やります!」

 やめなさい。
 せめて、外でやりなさい。
 私は、責任を取らないから。
 
「えーお姉ちゃんネグレクトー」

 山の上の神社なら、巫女が好んでやりそうだからそっちを頼りなさい。
 灼熱地獄が熱を持ったのに、これ以上火種持ってこないの。
 こいしも、私と同じ程度の管理権限持ってるんだからね。
 そもそも、貴女育児放棄されるような年でもないでしょうに。

「じゃあ、アレを準備して……」
「これは、ああして……」

 聞いてない。
 こいしとお空。
 この二人、全く思考が読めないのだ。
 何の計画を練っているのかは定かじゃないけど、間違いなく今は考え事をしている。
 こいしは、相性か何らかの理由で仕方ないとして、お空の思考は意味不明なのだ。
 山のあんちくしょうが埋め込んだ、八咫烏のせいかしら。
 お空の思考に被せるようにして、よくわからない思考が見える。
 これはもう、暗号ね。
 まさか……お空は、これをわかっているのかしら。
 だとしたら、もう私にはお空の心を読むことはできないわ。
 さようなら、空の心。
 こんにちは、よくわからない計算式。
 狐のコンピューターをください。

「あ、今度お姉ちゃんに会わせたい子がいるの」

 せんべい詰まった。
 痛い痛い詰まる詰まるげっほっげほ。
 どどどどどどどどいうことなのこいし?!

「どういうこともそういうことも、連れてくるだけだよ?」

 おおおおおおお姉ちゃんそういうの許さないわよ!
 
「お空ー外いこー」
「はーい」

 あ!
 お空も、まだ三が日過ぎてないから行かなくていいのよ!
 ……行ってしまった。
 本当に、地上を焼き尽くす気じゃないでしょうね……。
 地底は、無事だろうけど。
 あとで閻魔に怒られるの、私なんだけど……。
 お燐まで上に行ったら、どうやって怨霊の管理をしましょうか。
 今のところ、猫属のペットたちに任せてるけど。
 人化できない子も多いから、死体運びは大変そうだし。
 どうしましょう。





「「ただいまー」」

 昼食の時間になったら、二人が戻ってきた。
 多少焦げてるけど、怪我とかはなさそうで安心した。

「お姉ちゃんおみやげー」

 こいしの手には、餡子や黄粉をまぶしたお餅。
 包み布の色からして、紅白巫女が持たせてくれたらしい。
 それも、結構な量。
 
「貴女たち、山に行ったんじゃなかったの?」
「いざ地上に行ったら、見事なまでに大雪」
「寒くて帰ってきました」
 
 なるほど。
 雪景色なんて、何年見てないかしら。
 それはともかく、こんなにもらったならお返しをしないと。
 死霊饅頭なんてどうかしら?

「お姉ちゃんお姉ちゃん、あっち人間」

 あら、うっかり。
 でも、おいしいわよ?

「トラウマになると思うよ」

 残念。
 じゃあ、クッキーでも焼きましょうか。

「クッキー食べるー」

 貴女たち用じゃないわよ……。
 
「またたびっ!」

 お燐起床。
 いきなり、何喋ってるの。
 読心。
 ……この子、欲望がはっきりしすぎて頭痛がするのよね。
 寝起きとかだと、特に。
 意識が覚醒すれば、それも収まるのだけれど。
 
「クッキー!」
「クッキー!」

 はいはい。
 こっちはこっちで、子どもかっていうくらいに眼を輝かせている。
 ……一応、貴女たちも旧い妖怪よね?
 じゃ、早速つくりましょ。

「よーう地霊殿の! 呑ってるかーい!」

 うわぁ。
 酒気の塊が来ました。
 速やかに帰ってください。
 静かに年始を過ごしたいのです。

「そんな連れないこと言うなよう。呑もうぜ飲もうぜー」
「飲む飲むー」

 すっかり出来上がっている。
 こいしも乗らないの。
 
「めでたい時に、そんなこと言っちゃダメだよお姉ちゃん」
「お。妹のほうはよくわかってるな! 飲もう!」

 星熊さんに酒を注がれ、注ぎ返すこいし。
 スピリタス。
 能力を使ったのか、すり返られたことに気づいていない。
 互いにいい笑顔で、ぐいっと。
 
「あーおいしい」

 こいしは、いい笑顔だ。
 星熊さんは……。

「……」

 す、座ったまま落ちた!
 鬼が、酒に飲まれた?!
 すでに、相当飲んでいたとはいえ酒に負ける鬼は初めて見た。
 いや、あれは眠ってしまっただけか……。
 ねえ、こいし。

「何?」

 そのお酒、度数いくつあるの?

「えーと、九十六」

 鈍角……。
 せいぜい、直角の半分だと思ってた。
 私も、まだまだ見立てが甘いわね。
 とりあえず、布団を被せておいた。
 何か、真っ白に燃え尽きたように見えるけど気のせいね。

「さとり様ー、外に潰れた鬼がくだまいてますよー」

 ふっ飛ばしちゃっていいわよ。
 特別に許可します。

「はーい」

 力づくの時は、お空は本当に役に立つ。
 洞窟が倒壊しない程度に、お願いしたいところ。
 
「お姉ちゃん、クッキー作るなら手伝うよ」

 あら、珍しい。
 じゃあお願いしようかしら。
 姉妹で料理というのも、何百年ぶりだろう。
 
「じゃあ友達からもらった、このわからないものを」

 やめてこいし。
 
「えい」

 ……何この黒い物質。
 正体不明。
 食べ物で遊んじゃだめって言ってるでしょう。
 振り返ればそこには、

 誰もいない。
 ……。
 …………。
 逃げたー!
 こらー!





 年明け早々、妹に鬼にと振り回される私です。
 どうやら、今年も騒がしくなりそうです。
 今年も、地霊殿をよしなにお願いいたします。

 古明地さとり

またもやこんなさとりさん
小宵
http://hitchone.blog62.fc2.com/
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
お空の頭の中に浮かんでるのはもしや、核融合を起こすのに必要な式なのかっ?
もう鳥頭、とは呼べませんね。
2.名前が無い程度の能力削除
さとりん自分が心読まれないからってダジャレすぎww
3.奇声を発する程度の能力削除
お空の頭の中すげぇwwwww
>世界は核の炎に包まれたごっこ
洒落にならない遊びwww
4.物語を読む程度の能力削除
スピリタスはヤバいだろw
正直、日本で飲む物じゃない
アレにはトラウマしかないしww
5.名前が無い程度の能力削除
あけまして地霊殿
6.名前が無い程度の能力削除
スピリタスwww鬼より強いこいしちゃんすげぇwww

こいしちゃんの会わせたい子は…ぬえたん?
7.名前が無い程度の能力削除
あったかい気分になりました。
地霊殿組は設定の割りにこういうのが似合うから好きだ。
8.ずわいがに削除
「酒さえあれば皆幸せ」って神主が言ってた――ってことにしとこう。