想い覚りて、君恋し。
砂糖の入っていない紅茶は甘い。
何故?
紅茶に砂糖を入れない時は、ケーキを食べる時だから。
こいしい。いとしい。なんかこいしいの方が濃そう。
そしてその濃い方が私の名前。
お姉ちゃんはちょっと活用してさとるにしたらお兄ちゃん。
嬉しい様な、なんとも苦々しい様な。
そんなことをぼうっと考える昼下がり。椅子の上。
昼は何処へと下るのでしょう。太陽の様に空を転げ落ちるのかな。
牛乳の入った紅茶が廻る。くるくる廻る。
甘そうな色合いと違って少し苦いそれ。どこかお姉ちゃんに似てる。そう云ったらあなたは金平糖に似ているって云われました。なんか喜べません。
お姉ちゃんミルクティ。私金平糖。
なんで負けた気がするんだろう。
「こいし。ケーキ用意したからナイフとフォーク取ってきて」
「判った」
温かくなった椅子を飛び降り、たったっと台所へ。たまには軽快な私をアピール。
今日はケーキ。
たまにこういう日がある。お姉ちゃんが作ったり、貰ってきたり、買ってきたり。
お姉ちゃんがいない時は精々お姉ちゃんが無駄に、そう、無駄に!買い溜めたにぼしの消化くらいしかないので、こういう判りやすいお八つは大好き。
……にぼしも好きだけどさ。飽きるよ。
手にナイフとフォークを二つずつ握り締めて戻ると、椅子に戻る。そして、そこからジッとケーキを見る。テーブルには赤と黄色。黄色甘そう。カステラ。赤なんかお酒っぽい。ワインだね。
そんなイメージを転がしながら、ナイフとフォークをテーブルに置いて、ジッとケーキを見る。
どっちも食べたいなぁ。
一人じゃケーキなんて食べないから、新鮮な気分。甘味万歳。
一人で食べるとなんでか美味しさ半減なの。
「こいし、どっち食べたくない?」
「何その聞き方!?」
お姉ちゃんは必ずこうしてべたりと私をからかう。まるで融けた生クリーム。度し難い。
「どっちも、って云うかなぁって思ったのに」
「酷い姉だ!」
本当に云い掛けたのがなんか悔しい。
「目を輝かせている妹からケーキを奪おうとは極悪なる」
「ケーキが二つ食べられるなら、私は良心の呵責すら乗り越えましょう」
「そこは負けて」
「嫌よ」
これでも私のお姉ちゃん。年上。
妹かわいがれー。なんて。
「お風呂とベッドでなら」
「よよよよよ読めないくせに心読まない!」
酷いセクハラを!
「お姉ちゃん、もしかしておねむなの?」
「云われるまでもないわ」
「会話しようよ!」
云いたいことは判ったけどこれは会話じゃない!
お姉ちゃんはどうしてか言葉を投げ付けてくる。優しいキャッチボールじゃなくて、まるでピッチャーとキャッチャー。
続かせるのには労力が伴う。
嫌いじゃないけど辛いのよ。まるで寝起きのデスメタル。
「なんでもないの。ちょっと眠いだけ」
「そう?」
「霊夢たちと麻雀打ってたら朝だっただけ」
「徹夜だよねそれ!?」
ちょっとなわけない! この人は十二時過ぎまで起きてただけでフラフラなのに!
私が寝ている間にお楽しみだったとわっ。起こしてくれれば良いのに。
お姉ちゃんはいつも冷たい。
……というかお姉ちゃんが麻雀って反則じゃない?
「そして霊夢直伝のケーキがこちらになります」
「これお姉ちゃんのお手製なんだ!?」
「うるとら上手になりましたー」
姉誇らしげに胸を張る。
あんまりないね。
私もないね。
嘆く。
……って、麻雀嘘か!
しかし、レベルアップがすごいなぁ。
お姉ちゃんは、たまに思い立ってはお菓子を作ってくれる。最初は確かフレンチトーストだったかな。
徐々に蜂蜜とかザラメとかバリエーションが増えて。
次がホットケーキで、その内クレープで。
……その次はなんで水羊羹だったんだろう。
とにかく、そんな感じに次々とひとりでできるもん、な感じで料理を作っていった。
エプロンかわいくて、何度も笑っちゃった。
懐かしくてほあほあ。
「いただきます」
「私こっちね。こいしそっち」
「あれ選択肢ない!?」
「むぐむぐ」
「もう食べてる!」
黄色取られた! 私赤だ!
……いいけど、なんか黄色食べたくなるなぁ。
まぁいいや。
ぱくっ。
「甘酸っぱい」
「ベリーいっぱいだから」
私の食べたの、苺やラズベリーや、そういうの一杯乗ってた。クリームにも入っているみたい。
案外美味しい。
「お姉ちゃんの甘そう」
「そうでもないわよ。ナポレオンパイっていう名前からして仰々しいものだから。見なさい、煎餅とカラシの螺旋階段よ。苦行だわ」
なぜそんなものを作ったのか!?
「お姉ちゃん」
「なにかな」
「嘘でしょ」
「もう遅い」
「何が!?」
姉のテンションについていけません。どうしたらいいでしょう。
「お姉ちゃん。これ食べたら眠りなよ」
「こいしもね」
「私起きたばっかりなんだけど」
「そうじゃなくて、一緒に寝ましょうね」
「や、やだよ!?」
何言い出すんだろうこの人は!
「だって、折角頑張って起きて、こいしのきゅーとなお口にケーキをホールインワン」
「意味判らないし」
「頑張った姉を労うこともやぶさかではない」
「用法間違ってるし」
ぱくぱく食べながら頭を揺らす。
見ててハラハラする……
「というわけで、これ食べて飲んだら寝ましょう、抱き合って」
「は、恥ずかしいこと云わないでよ!」
「ぐぅ」
「眠るなぁ!」
降りて後ろに回って揺する。
「うぅ。こいしとケーキ食べたかったのよ……外はなんか、そういうイベントらしいし」
「そういうイベント?」
「いちゃいちゃ」
「い、いちゃいちゃ云うな!」
頬火照る! お姉ちゃんの馬鹿ぁ!
「疲れたから一緒に……ケーキ頑張った」
「あぁ、もう。判ったよ。食べたら一緒に寝ようね」
世話の焼ける……
……そうか。それでわざわざ、こんな手の込んだケーキを。
早苗が云ってたなぁ。クリスマスっていうのがあるって。なんか、ケーキ食べて、ゆっくりするんだって。
「……ありがとうね」
「zzzzzz」
「マジで眠った!? 重い!」
この後、私はどうにかして姉を引っ張り、ベッドに転がした。
そして、どうしようかしばらく迷ってから、えいと覚悟を決めて添い寝をした。
お尻撫でられた。
こづいた。
今日は寒い冬が、なんでか太陽よりも温かく感じられた。
砂糖の入っていない紅茶は甘い。
何故?
紅茶に砂糖を入れない時は、ケーキを食べる時だから。
ケーキを食べる時は、お姉ちゃんと一緒の時だから。
あまーーーーい! ご馳走様でしたっ
可愛いわ…………。
焼き竿さんのこいさときたああああああああああ
あまああああああああああああああい
愛とは!!!……何なのでしょうね?
さとこい=愛?
躊躇わなぁいこぉぉぉとぉぉぉぉさぁぁぁぁぁぁ!!
よって貴方は躊躇ずにもっと甘い話を書いてよし、と言うかそうするべき。
二言でいうと、とてもかわいいよ!
焼き竿さんのこめいじシスターズはいつでも何処でも仲良き事で。
>>愛ってなんだー。
振り向かない事、と聞いた覚えが有るやうなー。
こいし、がんばれー。
こんな奴にww鍛えられたらw強くなるしかwwないwwwwwwwww
これこそ愛の奇跡だわーと続けるしかあるまいに
こいしもさとりもとてもかわいい。
ただ一点気になったのが、
>>お姉ちゃんカフェオレ。
カフェオレって珈琲ですよね?この場合はミルクティーかな?と思ってみたり。
理想の姉妹だと思います。
疲れがふっとんだ。
うん、自分この作品すっごい好きなんだ。