Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

想いさとりて君恋し

2009/12/25 23:00:09
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 想い覚りて、君恋し。

 砂糖の入っていない紅茶は甘い。

 何故?

 紅茶に砂糖を入れない時は、ケーキを食べる時だから。



 こいしい。いとしい。なんかこいしいの方が濃そう。
 そしてその濃い方が私の名前。
 お姉ちゃんはちょっと活用してさとるにしたらお兄ちゃん。
 嬉しい様な、なんとも苦々しい様な。

 そんなことをぼうっと考える昼下がり。椅子の上。
 昼は何処へと下るのでしょう。太陽の様に空を転げ落ちるのかな。

 牛乳の入った紅茶が廻る。くるくる廻る。
 甘そうな色合いと違って少し苦いそれ。どこかお姉ちゃんに似てる。そう云ったらあなたは金平糖に似ているって云われました。なんか喜べません。
 お姉ちゃんミルクティ。私金平糖。
 なんで負けた気がするんだろう。

「こいし。ケーキ用意したからナイフとフォーク取ってきて」
「判った」

 温かくなった椅子を飛び降り、たったっと台所へ。たまには軽快な私をアピール。

 今日はケーキ。
 たまにこういう日がある。お姉ちゃんが作ったり、貰ってきたり、買ってきたり。
 お姉ちゃんがいない時は精々お姉ちゃんが無駄に、そう、無駄に!買い溜めたにぼしの消化くらいしかないので、こういう判りやすいお八つは大好き。
 ……にぼしも好きだけどさ。飽きるよ。

 手にナイフとフォークを二つずつ握り締めて戻ると、椅子に戻る。そして、そこからジッとケーキを見る。テーブルには赤と黄色。黄色甘そう。カステラ。赤なんかお酒っぽい。ワインだね。
 そんなイメージを転がしながら、ナイフとフォークをテーブルに置いて、ジッとケーキを見る。


 どっちも食べたいなぁ。
 一人じゃケーキなんて食べないから、新鮮な気分。甘味万歳。
 一人で食べるとなんでか美味しさ半減なの。

「こいし、どっち食べたくない?」
「何その聞き方!?」

 お姉ちゃんは必ずこうしてべたりと私をからかう。まるで融けた生クリーム。度し難い。

「どっちも、って云うかなぁって思ったのに」
「酷い姉だ!」

 本当に云い掛けたのがなんか悔しい。

「目を輝かせている妹からケーキを奪おうとは極悪なる」
「ケーキが二つ食べられるなら、私は良心の呵責すら乗り越えましょう」
「そこは負けて」
「嫌よ」

 これでも私のお姉ちゃん。年上。
 妹かわいがれー。なんて。

「お風呂とベッドでなら」
「よよよよよ読めないくせに心読まない!」

 酷いセクハラを!

「お姉ちゃん、もしかしておねむなの?」
「云われるまでもないわ」
「会話しようよ!」

 云いたいことは判ったけどこれは会話じゃない! 
 お姉ちゃんはどうしてか言葉を投げ付けてくる。優しいキャッチボールじゃなくて、まるでピッチャーとキャッチャー。
 続かせるのには労力が伴う。
 嫌いじゃないけど辛いのよ。まるで寝起きのデスメタル。

「なんでもないの。ちょっと眠いだけ」
「そう?」
「霊夢たちと麻雀打ってたら朝だっただけ」
「徹夜だよねそれ!?」

 ちょっとなわけない! この人は十二時過ぎまで起きてただけでフラフラなのに!

 私が寝ている間にお楽しみだったとわっ。起こしてくれれば良いのに。
 お姉ちゃんはいつも冷たい。

 ……というかお姉ちゃんが麻雀って反則じゃない?

「そして霊夢直伝のケーキがこちらになります」
「これお姉ちゃんのお手製なんだ!?」
「うるとら上手になりましたー」

 姉誇らしげに胸を張る。
 あんまりないね。
 私もないね。
 嘆く。

 ……って、麻雀嘘か!

 しかし、レベルアップがすごいなぁ。
 お姉ちゃんは、たまに思い立ってはお菓子を作ってくれる。最初は確かフレンチトーストだったかな。
 徐々に蜂蜜とかザラメとかバリエーションが増えて。
 次がホットケーキで、その内クレープで。
 ……その次はなんで水羊羹だったんだろう。

 とにかく、そんな感じに次々とひとりでできるもん、な感じで料理を作っていった。
 エプロンかわいくて、何度も笑っちゃった。

 懐かしくてほあほあ。

「いただきます」
「私こっちね。こいしそっち」
「あれ選択肢ない!?」
「むぐむぐ」
「もう食べてる!」

 黄色取られた! 私赤だ!
 ……いいけど、なんか黄色食べたくなるなぁ。
 まぁいいや。

 ぱくっ。

「甘酸っぱい」
「ベリーいっぱいだから」

 私の食べたの、苺やラズベリーや、そういうの一杯乗ってた。クリームにも入っているみたい。
 案外美味しい。

「お姉ちゃんの甘そう」
「そうでもないわよ。ナポレオンパイっていう名前からして仰々しいものだから。見なさい、煎餅とカラシの螺旋階段よ。苦行だわ」

 なぜそんなものを作ったのか!?

「お姉ちゃん」
「なにかな」
「嘘でしょ」
「もう遅い」
「何が!?」

 姉のテンションについていけません。どうしたらいいでしょう。

「お姉ちゃん。これ食べたら眠りなよ」
「こいしもね」
「私起きたばっかりなんだけど」
「そうじゃなくて、一緒に寝ましょうね」
「や、やだよ!?」

 何言い出すんだろうこの人は!

「だって、折角頑張って起きて、こいしのきゅーとなお口にケーキをホールインワン」
「意味判らないし」
「頑張った姉を労うこともやぶさかではない」
「用法間違ってるし」

 ぱくぱく食べながら頭を揺らす。
 見ててハラハラする……

「というわけで、これ食べて飲んだら寝ましょう、抱き合って」
「は、恥ずかしいこと云わないでよ!」
「ぐぅ」
「眠るなぁ!」

 降りて後ろに回って揺する。

「うぅ。こいしとケーキ食べたかったのよ……外はなんか、そういうイベントらしいし」
「そういうイベント?」
「いちゃいちゃ」
「い、いちゃいちゃ云うな!」

 頬火照る! お姉ちゃんの馬鹿ぁ!

「疲れたから一緒に……ケーキ頑張った」
「あぁ、もう。判ったよ。食べたら一緒に寝ようね」

 世話の焼ける……
 ……そうか。それでわざわざ、こんな手の込んだケーキを。
 早苗が云ってたなぁ。クリスマスっていうのがあるって。なんか、ケーキ食べて、ゆっくりするんだって。

「……ありがとうね」
「zzzzzz」
「マジで眠った!? 重い!」

 この後、私はどうにかして姉を引っ張り、ベッドに転がした。
 そして、どうしようかしばらく迷ってから、えいと覚悟を決めて添い寝をした。
 お尻撫でられた。
 こづいた。

 今日は寒い冬が、なんでか太陽よりも温かく感じられた。



 砂糖の入っていない紅茶は甘い。

 何故?

 紅茶に砂糖を入れない時は、ケーキを食べる時だから。

 ケーキを食べる時は、お姉ちゃんと一緒の時だから。
ぽわぽわ気分。
ホットケーキが食べたい。

愛ってなんだー。
焼き竿
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
ニヤニヤニヤニヤ(ry
あまーーーーい! ご馳走様でしたっ
2.名前が無い程度の能力削除
やだ……何なの、この姉妹。
可愛いわ…………。
3.名前が無い程度の能力削除
うわあああああああああ
焼き竿さんのこいさときたああああああああああ
あまああああああああああああああい
4.奇声を発する程度の能力削除
甘すぎて大変な事になりましたー。

愛とは!!!……何なのでしょうね?
さとこい=愛?
5.名前が無い程度の能力削除
こいしっぽさが出ているふわふわした文章でした。
6.名前が無い程度の能力削除
姉妹仲良しよきかなよきかな
7.名前が無い程度の能力削除
眠いと暴走するさとりん…かわいいっ
8.名前が無い程度の能力削除
>>愛ってなんだー!
躊躇わなぁいこぉぉぉとぉぉぉぉさぁぁぁぁぁぁ!!
よって貴方は躊躇ずにもっと甘い話を書いてよし、と言うかそうするべき。
9.ずわいがに削除
こいしが振り回される話は吹くww
10.Ninja削除
一言でいうと、かわいいよ!
二言でいうと、とてもかわいいよ!
11.謳魚削除
さとり様、御変わりない様で何よりです。

焼き竿さんのこめいじシスターズはいつでも何処でも仲良き事で。

>>愛ってなんだー。

振り向かない事、と聞いた覚えが有るやうなー。
12.名前が無い程度の能力削除
この気持ち、まさしく愛だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
13.名前が無い程度の能力削除
眠そうなさとりの発言が面白すぎる。

こいし、がんばれー。
14.名前が無い程度の能力削除
さとりんがベタにうざくて何この甘さって感じ。
こんな奴にww鍛えられたらw強くなるしかwwないwwwwwwwww
15.名前が無い程度の能力削除
このさとりんは駄目だけどかわいいな!
16.名前が無い程度の能力削除
かわゆ。
17.名前が無い程度の能力削除
かーわいい!
18.名前が無い程度の能力削除
甘い。実に甘い。甘すぎる。
19.名前が無い程度の能力削除
すごくかわいい。
20.名前が無い程度の能力削除
あまい・・・なんてあまい!!
これこそ愛の奇跡だわーと続けるしかあるまいに
21.名前が無い程度の能力削除
いい。すごくいい。
こいしもさとりもとてもかわいい。

ただ一点気になったのが、

>>お姉ちゃんカフェオレ。

カフェオレって珈琲ですよね?この場合はミルクティーかな?と思ってみたり。
22.名前が無い程度の能力削除
甘いなァ……
理想の姉妹だと思います。
疲れがふっとんだ。
23.名前が無い程度の能力削除
これはいいさとこい
24.名前が無い程度の能力削除
タイトルに惹かれて何度も読みに来てしまう。
25.名前が無い程度の能力削除
タイトル見て「おっ」ってなって、作者名見たら内容も思い出せるのに、必ず読んでしまう。
うん、自分この作品すっごい好きなんだ。