ぐぅ、と縁側に重く低い音が響く。それはそれは大層な音で、思わず天子が持参していた桃を差し出し、チルノが氷漬けにした蛙を差し出そうとしたほどだった。
「お腹が減ったわ」
縁側に近い畳で俯せったままで霊夢は呻く。その声はおよそ人離れした飢虎のようであった。そんな霊夢の様に天子はストレートに言葉をぶつける。
「働かざる者喰うべからず」
「あ? 謳って踊って飯が不味いとか言ってる贅沢者が何か言ったかしら?」
床敷きの虎はその重たい首を持ち上げると、桃を差し出したままの天子を睨み付けつつも、差し出された桃を右腕の一振りでかっ攫う。ばり、ぼり、と桃を貪り、嚥下すると一心地ついたようで、ほぅ、と息を吐くと、ごろり、と仰向けになって日向ぼっこを始める。
霊夢のその様に、天子は肩を竦めると、
「言うは易く行うは難しって当たり前のことじゃないの?」
「へー。本当に天人は謳って踊ってるだけなんだ」
「言っておくけど黴の生えた本を読まなくちゃいけないから、貴方達妖精の方がよっぽど自由よ」
「不自由なわりには天子ってよくここに来るよね」
「当たり前じゃないの。ここの食事は天界の比じゃないのよ」
「あんたらの場合、単純に謳って踊ってだけ、だからご飯が美味しくないんじゃないの?」
「失礼ね、あたいだってがんばってるわよ! こないだから、里で輝夜とすいーつを売ってるんだから!」
自分のことを言われたのかと勘違いしたチルノは、座卓に身を乗り出し、馬鹿にするな! と羽を震わせて霊夢を威嚇する。その様子にはいはい、と霊夢は気怠げに掲げた右手を左右に振って応じる。が、わざわざ天子はチルノのセリフを噛みしめるように繰り返す。
「こないだから、里で、チルノと輝夜が、働いている。およそ信じがたい話だけど、まぁ、事実だったとしても関係のないのには関係のない話よね」
「鏡なら浴室にあるから、じっくり見てきたら? 穴が開いたら弁償してもらうけど」
「ねえ? なんでそんなに睨み合ってるの?」
「ちょっとした甘酸っぱい大人の事情よ」
「そうね、ちょっとした世知辛い大人の事情よ」
不気味な笑みをぶつけ合う二人から揃ってそう言われ、ふうんとチルノは空返事を返すが、暫くすると、んー、と唸り始めた。チルノがついには髪をぐしゃぐしゃと掻き毟り出したのを見かねて霊夢と天子が声をかける。
「急にどうしたのよ?」
「そんなに考えると、知恵熱出すんじゃないの?」
二人の言葉に手を止めると、
「なんで霊夢って来るたんびに腹ぺこなんだっけ?」
その問いに対する返事は凄まじいプレッシャー。レミリアだったらうーと唸りながらしゃがみ、幽々子であれば昇天したように消えていき、輝夜だったら死んだ振りをする、その位のものだった。
「あんた位なもんよ、そうやって聞いてくれるのは。どいつもこいつも、貧乏赤貧極貧貧弱貧乳って、確かめもせずにぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃと」
みしり、と卓袱台が軋みの音を上げる。変なスイッチを押した、という表情でチルノと天子は顔を見合わせる。自分の言葉にさらにヒートアップしていく自家発電に入りそうな霊夢に対して、天子はしかし事実を告げる。
「でも、貴女自身も賽銭が入らない、って言ってるじゃないの」
だから、貧乏なのは事実なんでしょ? と続けようとした天子の足へと霊夢の右腕が一撃を加える。がくり、と膝から崩れそうになり、畳に両手を着こうとしたところを霊夢が右手を横から引っ張ると、ころん、と天子の体が畳に転がる。そこへ、ふっと呼気一つで霊夢が馬乗りになった。両手は既にぐーだ。可愛らしく、ぐー、などと言っても実態は鬼でも逃げ出す拳でしかないが。
「言い残すことは?」
「早!」
「で、なんで霊夢って腹ぺこなの?」
「妖精って本当に気楽でいいわね! これ、この状態を見なさいよ?! 私の身に不幸が起きる前に止めなさいよ!」
「こないだ、青いのと紫のが同じようにしてたけど、次の日はにこにこしてたよ?」
「チルノ一つ聞いておくけど、どっちが上だったのかしら?」
「青いの」
「そう、ありがとう。これで次の飯の種は確保できたわ」
「巫女、って昔は娼婦と同義だったのに、最近じゃ強請りと同義なのね」
「魔理沙も同じこと言ってたけどなんで?」
「……最近、魔理沙のやつ、妙につやつやしてると思ったら、そういうこと」
「なんでそこまで悔しそうにするのかしら、この巫女は。というか、嘘泣きのようで実は真剣に泣いてない?」
「顔を埋めようにも、泣けやしないわ。こんな胸じゃ」
「今すぐ表に出なさい。奈落の底まで埋めてあげるから」
「ねー、そんなことよりさ、なーんーでー?」
チルノの間延びした声に、ごろりと天子の上から退き、横へと寝っ転がる霊夢。さりげなく腕を枕にしているのがせめてもの腹いせなのか。右腕の重みに顔をしかめつつ霊夢の所為で背中と畳の間に変に挟み込んでしまった髪をどうしようかと天子が考え始めた頃、どっせ、のかけ声と共に起き上がった霊夢は、酷く疲れた声で呟いた。
「ここに来る連中の開口一番は何だと思う?」
「あー、そういうことね」
「そういうことよ」
「なによ、二人してあたいをのけ者にして!」
「チルノ、あんたが今日なんて言ったかしら?」
「れーいーむー、あーそーびーましょ」
「そーいうこと」
「遊べばお腹が減るのは当然。霊夢ってばそんなことも知らないの?」
「一回二回程度なら減る程度で済むけど、あんたにあんた、それに……、どうやら今日は後一回するはめになりそうね……」
霊夢の視線をたどれば、朱も鮮やかな鳥居を二つの人影が通り抜けるところだった。一つは日傘を差し、もう一つはその三歩後ろを歩いていた。
「あら、察しだけはいい巫女ですわ、お嬢様」
「そうね、咲夜。ああ、あとそこのオマケ達。今日は機嫌がいいから見逃してあげるわ」
「ねえ、チルノ。貴女、余裕風を吹かせてるつもりで日傘の柄を握りつぶしてるあのこまっしゃくれに向かって『今日は機嫌がいいから構ってあげるわ』って言ってみない?」
「あらあら、はみ出しもの同士だと馬が合うのかしら? 身の程知らずって点も馬が合ってるから尚のことお似合いね」
不気味な笑い声を響かせながら牽制を始めるレミリアと天子を他所に、二人から流れてくるかすかな甘い匂いに霊夢はすんすんと鼻を鳴らすと、探るように咲夜へと問う。
「なんか随分と甘い匂いだけど」
「里でパフェを三杯ほど、ね。オススメは抹茶かしら? 霊夢も今度里に行くなら食べるといいわ。きっちり弾幕一回分。食後の運動が必要だろうけど、貴女の場合は要らないかしら?」
咲夜の回答に霊夢は天を仰ぐ。陽はまだ高く、冬晴れの穏やかな風が境内を吹き抜ける。霊夢の心境とは裏腹に。霊夢の首ががくり、と地面へと振られたかと思えば、
「腹をかっ捌けば、食べられそうなところが出てこないかしら」
「捌くのはお嬢様だけにしてくれないかしら? というか、その発想はどうなのかしら」
「咲夜? 私だったら捌いてもオッケーって、その発想もどうなのかしら?」
「いやですわ、お嬢様。お腹を捌いたりしたら痛いじゃないですか」
「お腹を捌かれれば、さすがに私でも痛いと気がついて欲しいんだけど?」
「…………その発想はありませんでしたわ」
「…………貴女のとこの従者も大概ねえ」
気がつけば同類相哀れむような状態になりつつある主と天子を他所に、咲夜がそれにしても、と霊夢に水を向ける。
「どうしてそんなに飢えてるのよ」
「そりゃ、食べられるものが無いからよ」
とりつく島もない返事が霊夢から返る。その様子に咲夜がチルノと天子を見ると、両名苦笑いで答え、
「こないだの宴会でさ」
「勝手に台所を漁ってつまみを作ったやつがいたらしくてね。神社の食材が底を尽きてたのよ」
「無いなら買いに行けばいいんじゃないの?」
「お金があれば、ね。当面の食材を買い出した直後だった、らしいわよ」
誰が使ってくれたか知らないけど、見つけたら相応の報いは受けて貰うわ、と娑婆に出た直後の聖でさえ言わなかったセリフを咒詛のように呟く霊夢。
そんな霊夢を見て、そんなに苦しいんだったら、ウチに来る? と盛大な告白をしようと一歩踏み出そうとしたレミリアは
「なんで、畳の上?」
一瞬のうちに境内を抜け、霊夢の足元に転がっていた。何が起きたのかと見回そうとして、がっちりと自分が拘束されていることに気がつく。レミリアを拘束していたのは一見華奢な赤いリボンだが、レミリアをして引きちぎれないほどだった。
咲夜? と慌てふためくレミリアの前に、ひらりひらりとメモが舞い降りる。
「急用を思いつきましたので失礼させて頂きます。追伸、私を食べて、と言うと今なら効果は抜群です。って、なによこれ? ちょっと咲夜ーーー!!」
レミリアが境内に向かって叫ぶも梨の礫。背後からはじりじりとにじり寄る気配。明らかに飢えた獣のそれだった。
「ちょ、ちょっと待ちなさい、霊夢。落ち着きましょう、というか落ち着いて。痛くしないから、って、涎、涎が垂れてる。見られてると思うと萌えるわね、ってそれは萌えちゃいけないものだから芽が出ないように仕舞っといて、じゃない! ボタンを外、違う着たままがいいとか変なことを言い出さな!」
「ねーねー、天子。霊夢何してるの?」
「きっと仲良くなろうとしてるんじゃないの?」
陽はまだ高く、レミリアが逃げ帰るにはもう少し時間が必要そうな、そんな穏やかな午後だった。
後に咲夜は文の取材に対してこう答えた。
「あのときのお嬢様は、それはそれは見事なお姿でした。主に身代わりとして」
――少女捕食中――
「お腹が減ったわ」
縁側に近い畳で俯せったままで霊夢は呻く。その声はおよそ人離れした飢虎のようであった。そんな霊夢の様に天子はストレートに言葉をぶつける。
「働かざる者喰うべからず」
「あ? 謳って踊って飯が不味いとか言ってる贅沢者が何か言ったかしら?」
床敷きの虎はその重たい首を持ち上げると、桃を差し出したままの天子を睨み付けつつも、差し出された桃を右腕の一振りでかっ攫う。ばり、ぼり、と桃を貪り、嚥下すると一心地ついたようで、ほぅ、と息を吐くと、ごろり、と仰向けになって日向ぼっこを始める。
霊夢のその様に、天子は肩を竦めると、
「言うは易く行うは難しって当たり前のことじゃないの?」
「へー。本当に天人は謳って踊ってるだけなんだ」
「言っておくけど黴の生えた本を読まなくちゃいけないから、貴方達妖精の方がよっぽど自由よ」
「不自由なわりには天子ってよくここに来るよね」
「当たり前じゃないの。ここの食事は天界の比じゃないのよ」
「あんたらの場合、単純に謳って踊ってだけ、だからご飯が美味しくないんじゃないの?」
「失礼ね、あたいだってがんばってるわよ! こないだから、里で輝夜とすいーつを売ってるんだから!」
自分のことを言われたのかと勘違いしたチルノは、座卓に身を乗り出し、馬鹿にするな! と羽を震わせて霊夢を威嚇する。その様子にはいはい、と霊夢は気怠げに掲げた右手を左右に振って応じる。が、わざわざ天子はチルノのセリフを噛みしめるように繰り返す。
「こないだから、里で、チルノと輝夜が、働いている。およそ信じがたい話だけど、まぁ、事実だったとしても関係のないのには関係のない話よね」
「鏡なら浴室にあるから、じっくり見てきたら? 穴が開いたら弁償してもらうけど」
「ねえ? なんでそんなに睨み合ってるの?」
「ちょっとした甘酸っぱい大人の事情よ」
「そうね、ちょっとした世知辛い大人の事情よ」
不気味な笑みをぶつけ合う二人から揃ってそう言われ、ふうんとチルノは空返事を返すが、暫くすると、んー、と唸り始めた。チルノがついには髪をぐしゃぐしゃと掻き毟り出したのを見かねて霊夢と天子が声をかける。
「急にどうしたのよ?」
「そんなに考えると、知恵熱出すんじゃないの?」
二人の言葉に手を止めると、
「なんで霊夢って来るたんびに腹ぺこなんだっけ?」
その問いに対する返事は凄まじいプレッシャー。レミリアだったらうーと唸りながらしゃがみ、幽々子であれば昇天したように消えていき、輝夜だったら死んだ振りをする、その位のものだった。
「あんた位なもんよ、そうやって聞いてくれるのは。どいつもこいつも、貧乏赤貧極貧貧弱貧乳って、確かめもせずにぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃと」
みしり、と卓袱台が軋みの音を上げる。変なスイッチを押した、という表情でチルノと天子は顔を見合わせる。自分の言葉にさらにヒートアップしていく自家発電に入りそうな霊夢に対して、天子はしかし事実を告げる。
「でも、貴女自身も賽銭が入らない、って言ってるじゃないの」
だから、貧乏なのは事実なんでしょ? と続けようとした天子の足へと霊夢の右腕が一撃を加える。がくり、と膝から崩れそうになり、畳に両手を着こうとしたところを霊夢が右手を横から引っ張ると、ころん、と天子の体が畳に転がる。そこへ、ふっと呼気一つで霊夢が馬乗りになった。両手は既にぐーだ。可愛らしく、ぐー、などと言っても実態は鬼でも逃げ出す拳でしかないが。
「言い残すことは?」
「早!」
「で、なんで霊夢って腹ぺこなの?」
「妖精って本当に気楽でいいわね! これ、この状態を見なさいよ?! 私の身に不幸が起きる前に止めなさいよ!」
「こないだ、青いのと紫のが同じようにしてたけど、次の日はにこにこしてたよ?」
「チルノ一つ聞いておくけど、どっちが上だったのかしら?」
「青いの」
「そう、ありがとう。これで次の飯の種は確保できたわ」
「巫女、って昔は娼婦と同義だったのに、最近じゃ強請りと同義なのね」
「魔理沙も同じこと言ってたけどなんで?」
「……最近、魔理沙のやつ、妙につやつやしてると思ったら、そういうこと」
「なんでそこまで悔しそうにするのかしら、この巫女は。というか、嘘泣きのようで実は真剣に泣いてない?」
「顔を埋めようにも、泣けやしないわ。こんな胸じゃ」
「今すぐ表に出なさい。奈落の底まで埋めてあげるから」
「ねー、そんなことよりさ、なーんーでー?」
チルノの間延びした声に、ごろりと天子の上から退き、横へと寝っ転がる霊夢。さりげなく腕を枕にしているのがせめてもの腹いせなのか。右腕の重みに顔をしかめつつ霊夢の所為で背中と畳の間に変に挟み込んでしまった髪をどうしようかと天子が考え始めた頃、どっせ、のかけ声と共に起き上がった霊夢は、酷く疲れた声で呟いた。
「ここに来る連中の開口一番は何だと思う?」
「あー、そういうことね」
「そういうことよ」
「なによ、二人してあたいをのけ者にして!」
「チルノ、あんたが今日なんて言ったかしら?」
「れーいーむー、あーそーびーましょ」
「そーいうこと」
「遊べばお腹が減るのは当然。霊夢ってばそんなことも知らないの?」
「一回二回程度なら減る程度で済むけど、あんたにあんた、それに……、どうやら今日は後一回するはめになりそうね……」
霊夢の視線をたどれば、朱も鮮やかな鳥居を二つの人影が通り抜けるところだった。一つは日傘を差し、もう一つはその三歩後ろを歩いていた。
「あら、察しだけはいい巫女ですわ、お嬢様」
「そうね、咲夜。ああ、あとそこのオマケ達。今日は機嫌がいいから見逃してあげるわ」
「ねえ、チルノ。貴女、余裕風を吹かせてるつもりで日傘の柄を握りつぶしてるあのこまっしゃくれに向かって『今日は機嫌がいいから構ってあげるわ』って言ってみない?」
「あらあら、はみ出しもの同士だと馬が合うのかしら? 身の程知らずって点も馬が合ってるから尚のことお似合いね」
不気味な笑い声を響かせながら牽制を始めるレミリアと天子を他所に、二人から流れてくるかすかな甘い匂いに霊夢はすんすんと鼻を鳴らすと、探るように咲夜へと問う。
「なんか随分と甘い匂いだけど」
「里でパフェを三杯ほど、ね。オススメは抹茶かしら? 霊夢も今度里に行くなら食べるといいわ。きっちり弾幕一回分。食後の運動が必要だろうけど、貴女の場合は要らないかしら?」
咲夜の回答に霊夢は天を仰ぐ。陽はまだ高く、冬晴れの穏やかな風が境内を吹き抜ける。霊夢の心境とは裏腹に。霊夢の首ががくり、と地面へと振られたかと思えば、
「腹をかっ捌けば、食べられそうなところが出てこないかしら」
「捌くのはお嬢様だけにしてくれないかしら? というか、その発想はどうなのかしら」
「咲夜? 私だったら捌いてもオッケーって、その発想もどうなのかしら?」
「いやですわ、お嬢様。お腹を捌いたりしたら痛いじゃないですか」
「お腹を捌かれれば、さすがに私でも痛いと気がついて欲しいんだけど?」
「…………その発想はありませんでしたわ」
「…………貴女のとこの従者も大概ねえ」
気がつけば同類相哀れむような状態になりつつある主と天子を他所に、咲夜がそれにしても、と霊夢に水を向ける。
「どうしてそんなに飢えてるのよ」
「そりゃ、食べられるものが無いからよ」
とりつく島もない返事が霊夢から返る。その様子に咲夜がチルノと天子を見ると、両名苦笑いで答え、
「こないだの宴会でさ」
「勝手に台所を漁ってつまみを作ったやつがいたらしくてね。神社の食材が底を尽きてたのよ」
「無いなら買いに行けばいいんじゃないの?」
「お金があれば、ね。当面の食材を買い出した直後だった、らしいわよ」
誰が使ってくれたか知らないけど、見つけたら相応の報いは受けて貰うわ、と娑婆に出た直後の聖でさえ言わなかったセリフを咒詛のように呟く霊夢。
そんな霊夢を見て、そんなに苦しいんだったら、ウチに来る? と盛大な告白をしようと一歩踏み出そうとしたレミリアは
「なんで、畳の上?」
一瞬のうちに境内を抜け、霊夢の足元に転がっていた。何が起きたのかと見回そうとして、がっちりと自分が拘束されていることに気がつく。レミリアを拘束していたのは一見華奢な赤いリボンだが、レミリアをして引きちぎれないほどだった。
咲夜? と慌てふためくレミリアの前に、ひらりひらりとメモが舞い降りる。
「急用を思いつきましたので失礼させて頂きます。追伸、私を食べて、と言うと今なら効果は抜群です。って、なによこれ? ちょっと咲夜ーーー!!」
レミリアが境内に向かって叫ぶも梨の礫。背後からはじりじりとにじり寄る気配。明らかに飢えた獣のそれだった。
「ちょ、ちょっと待ちなさい、霊夢。落ち着きましょう、というか落ち着いて。痛くしないから、って、涎、涎が垂れてる。見られてると思うと萌えるわね、ってそれは萌えちゃいけないものだから芽が出ないように仕舞っといて、じゃない! ボタンを外、違う着たままがいいとか変なことを言い出さな!」
「ねーねー、天子。霊夢何してるの?」
「きっと仲良くなろうとしてるんじゃないの?」
陽はまだ高く、レミリアが逃げ帰るにはもう少し時間が必要そうな、そんな穏やかな午後だった。
後に咲夜は文の取材に対してこう答えた。
「あのときのお嬢様は、それはそれは見事なお姿でした。主に身代わりとして」
――少女捕食中――
あと、さりげないゆからんで俺が幸せになった
青くて、紫と関係があり、霊夢の飯の種で、魔理沙がつやつや・・・・・・霖之助しか思い浮かばん。
解釈①らん×ゆかり
解釈②早苗×神奈子
レミレイktkr!
魔理沙が二人ともまとめて仲直りさせるために捕食しちゃったからつやつや、
じゃないの?
ともあれこの天子はちゃんと博識でいいなぁ。
二次だとタダのバカでドMにされて悲しいので。