『霊烏路 空』はバカである。
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すばらしい力を手に入れた。
とってもとってもすごい力。
核の力ってあのひとは言ってた。
体中が熱く熱く燃えてる。
気持ちいい。
力がみなぎるぞ!
これだけの力があったら何でもできる!
……けど、なにしようか。
ううん……。
あっ、そうだ。
私はさとりさまから灼熱地獄跡の管理を任されてたんだ!
昔に比べてずいぶんここは冷たくなってしまった。
だっていくら私や友達が羽ではばたいてあおいでも火が燃え盛らないんだもん。
きっとさとりさまはここが昔みたいに元気になったら喜んでくれるんだろなぁ。
よし、私がもらった力でやってみる!
えーと、一度やってみたかったんだよね。
コホン、掲げ筒!
目標、灼熱地獄跡地!
えねるぎー充填率120ぱーせんとぉ、撃てますっ!
狙いをさだめよぉーっ。
3、2、1、発射ぁ―――――っ!!
……な、なにこれ。
すごい。
すごすぎる!!
燃えてる、燃えてるよ!!
昔みたいに、灼熱地獄が!
……ううん、違う。
昔以上だ。
すごい、すごいぞ核の力!
これでさとりさまが喜んで……。
……くれる、のかな。
さとりさまはいつも、なんか悲しそう。
私の心を読んで、そんなことないですよ、って言うけれど。
私にさとりさまの力があったらわかるのかなぁ。
でも、やっぱりさとりさまは悲しそう。
優しくしてるときは笑ってくれるけど。
そんなお顔のほうが私は好きだ。
いつもさとりさまには笑っててほしい。
けど、私にそんなことができるんだろうか?
あの時だって。
覚えてる。
こんな私でもあの時のことだけは覚えてる。
さとりさまが、泣いてた。
何で泣いていたのかは私には分からないけど、でも。
暗いお部屋で、せなかを小さく丸めて。
ごめんなさい、って言ってた。
つらい、って言ってた。
そしてたくさんの、とてもたくさんの涙を流してた。
なんでだかはよくわかんない。
けど、あんな姿ははじめてだったから。
わたし、は。
あの、時。
……なにも、できなかった。
どうすればいいか、いっぱいいっぱい考えたんだよ。
たぶん産まれてから一番、一生懸命、考えた。
でも、なんにも、思いつかなかったんだ。
くやしい。
今思い出してもくやしい。
でも本当に一番、私が私をいやだって思ったのは。
私に気づいて、さとりさまは涙をぬぐって。
何もなかったみたいに、私に。
笑ってくれたんだ。
それなのに私は。
私は、それが、とっても悲しすぎて。
……逃げ出したんだ。
けれど、もうそんな心配はない。
私はすごい力を得たんだ!
もうさとりさまを泣かせたりはしない。
さとりさまが泣いていても笑いを取り戻してみせる。
その力が私にはある。
じゃあどうやればいいんだろう。
きっと方法はあるはずだ。
考えるのは苦手だけど、やらなきゃならない。
う~……ん。
うぅん……。
うぅ、ふぁ。ふぁぁ……、眠っ。
あんまり考えすぎて、眠くなっちゃった。
ふああ……、えへへ、あくび出ちゃった。
うん……、あくびするとなんで涙が出るんだろね。
……涙、か。
うん?
あれ?
涙、ってお水だよね。
お水、か。
そうだ。
そうだよ!
私すごい事に気づいちゃったかも。
お水なんて暑く、それよりもっともっと熱く熱くすれば簡単に蒸発しちゃうじゃない。
涙だってお水だから、熱く熱くすれば流れるまでもなく蒸発するじゃない!
そうすればさとりさまが涙を流すこともなくなるはず。
そしたら、きっと笑ってくれるはず!
よし、灼熱地獄に火の玉をたくさん撃ち込んで火力を上げるぞ!
早速……、いや、そうじゃない。
そんなことは簡単にできる。
でも、それだけじゃきっとだめだ。
さとりさまは……。
さとりさまは地上から逃げてきたって知ってる。
きっと、きっとそこでたくさんたくさん泣いてたんだ。
そうじゃなきゃ逃げない。
いやじゃなきゃ逃げないはず。
だったら。
ここだけじゃない。
地底も、地上も全部、全部全部熱くして、どろどろに溶けるくらい熱くして。
さとりさまがどこにいても、涙なんて流させやしない。
さとりさまがどこにいても、笑えるようにしてやる。
私にはその力がある。
この……ええと。
誰からもらったんだっけ。
……忘れちゃった。
でも、そんなことはどうでもいいか。
このもらった核の力で、この世界を全部炎で溶かしつくして!
さとりさまの涙を全部消し飛ばして!
それで、さとりさまに笑ってもらうんだ!
見ててねさとりさま。
私、頑張るから。
そして、笑って!
笑ってね、さとりさま!
よおおおおし、やるぞおおおおお!!
なのに?(違ったら御免なさいorz
うーん。考えさせられるお話でした。
はよ神様ペッしぃ、ペッ。
「だのに」もあるんですよ。あまり日常では使われませんが
にしても悲しいくらいにバカだなぁ、このお空は。
大丈夫、誰か何とかしてくれるさ、赤白とかwww
悪いこと、良いこと、その境界はどこにあるのでしょうかね。