Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

寅の精進料理

2009/11/27 22:00:12
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 ……ナズーリン!ナズーリンは居ませんか?

 呼んだかな?ご主人

 ええ、少しお願いがありまし…って、何ですか!その『またか…』って顔は!?

 やれやれ…今度は一体何を失くされたんですか?

 違います!お願いです!

 はいはい…次は何ですか?宝塔ですか?財布ですか?

 ……ナズーリン、貴方は私をなんだと…

 そろそろボケ始めてきた老寅って所かな

 …ふくれますよ?

 是非やって見せてくれないか?ご主人


  
(ぷく~) 

 ……さあさあ、此処に膨らましたる風船は外の世界の鼠の姿!

 スイマセンでした!土下座しますからアメリカ鼠を出すのはやめてください

 


 …さて、それでお願いなんですが

 なんですか?

 先ほど、自分の部屋から少し面白い本が出てきました

 ふむ…随分と古そうな本だね 

 ええ、そこに面白そうな精進料理の作り方が書いてありまして

 …つまり、材料を集めてこればいいんだね?

 その通りです、と言う訳でこれを集めて来てください

 …これは…

 集めれますか?

 一刻待ってくれ、集めてくるから

 ええ判りました、私はその間に料理の準備をします

 



 ぜぇ…ぜぇ…用意ができたよご主人

 お疲れ様ナズーリン、麦茶入れておきましたから暫く休んでください

 た、助かります……(きゅ~)

(…流石に18キロの牛乳はナズーリンには重すぎますよね)

 さて、ナズーリンが倒れている間に料理を進めましょうか…えーと 

『乳を鍋に入れて弱火で煮詰めよ』

 鍋に入れて…これでよしっと…それから?

『布でこし、器に入れて暖かき場所で一晩待つべし』

 少し時間がかかりそうですね





     ・・・




 と言う訳で一日がかりで作り上げた物がこれです

 …なんですか?この白くて酸っぱい物体は… 

 このままでも食べれますが、まだ料理の過程の途中のようですよナズーリン?

(あまり美味しい物を望む事は出来そうに無いようだね)

 

 さて、次の工程は…『出来た物を天日に晒す』

 では、すぐに外に出す事にしよう

『その碗に長い柄をつけて暫くの間攪拌するべし』

 さて子鼠以下同士諸君!暫くの間休まずに仕事に励むべし!

 私達も交代でやりますよ?ナズーリン

 やれやれ…随分とめんどくさい料理だね

 出来上がったらナズーリンにも食べさせてあげますよ

 …一口だけ貰います

 おや?一口で良いんですか?

 酸っぱい物は苦手なんです…





     ・・・





 …攪拌しすぎで腕が痛い

 次は『これにお湯を加えて攪拌し、更に水を少しづつ入れながら攪拌』

 すまないご主人…もう腕がパンパンで動きそうに無い

 私が代わりますから、ナズーリンは休んでてください

 …申し訳ない

 気にしなくても良いんですよナズーリン

 



     ・・・





 …ナズーリン

 何かなご主人?随分と嫌な予感がしてきたけど

 この次の段階があるんだけど…

 …次は何をすればいいんだい?

 本が破けてて作り方わからない…

 ……ご主人の駄目寅…

 ご、ごめんなさい

 はぁ……それで、どうするんですか?

 え、えっと…このままでも美味しく食べれるそうです

 そうですか…では私はこれで…





 ナズーリン…

 なんですか?私は疲れて…(あむ)…!?

 これが精進料理の一つで『蘇』と言う食べ物です
 
 こ、この独特の風味と噛みごたえは…チーズ!

 ふふっ…ナズーリンは欲が少ないですね、一口でいいなんて

 ご主人!まさか知ってて!?

 ええ、昔食べた事が何度か…約束だと一口でしたよね?ナズーリン♪ 

 ご、ご主人の卑怯者!こ、こんな…こんな美味しい物を…  

 あむ…ん~♪美味しいです

 ああ~!?そんな豪快に食べるなんて!

 ナズーリンが一口で良いと言ってくれましたからね

 うぅ~あんまりだ…私がチーズ好きだと知っている筈なのに…んむ!? 

 美味しいですか?

(こくこく♪)

 そうですか、よかった…これで作った甲斐がありました

 ところで…(あむあむ)なんでこれを作ろうと…(んくっ)思ったんですか?

 そんなの決まってるじゃないですか…
 




『ナズーリン…貴方に感謝の意味を込めて作ったんですよ』

 
 
「あら?」
 聖がその光景を目にして微笑んだ
 目の前に広がるのは、口元に少しチーズを付けて寝ているナズーリンと
 それを膝枕した状態で頭に手を置きうつらうつらしている寅丸星の姿
「二人とも仲良しね♪」
 聖はそっと微笑みながらそっと二人に毛布をかぶせ
 その場から静かに去っていった
 


 どうも、脇役です…
 寅丸星が作ろうとしていた物は約千年前の日本で作られた精進料理の醍醐です

『牛乳を集めて酪を作り、それを集めて蘇を作り、更に極めて醍醐が出来る』
 仏教の教えも同じく、余分物を省いて悟りを開く事が出来るそうなのと
 また、この醍醐は醍醐味の由来になるほど美味しい物だったために
 この醍醐はとても高級な代物とされていました

 だからこそ、星はナズーリンに作ってあげたかったんですね
 ちなみに酪はヨーグルトで蘇はチーズやバターみたいだそうですよ?
 
脇役
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
アメリカ鼠はらめぇ!w
作成段階で何が出来るか大まか予想はつきましたが、星さんが微妙に意地悪い、だがそこがいい(何
醍醐は作り方が失われていますが、案外幻想郷にならありそうですね。文字通り『幻になった食べ物』ですから
なんにせよ、ほのぼのとした雰囲気のお話でよかったです
2.ちゃいな削除
二人がとてもいい雰囲気でした! やはり命蓮寺は温かいものが多いです。
 
ご主人、ご主人、蘇はあるかい?

さっきもう食べたでしょ

ナズーン
3.名前が無い程度の能力削除
ニヤニヤがとまらないw
4.名前が無い程度の能力削除
なんて素敵な星ナズ。いぢわるな星きゅんも素敵。
5.名前が無い程度の能力削除
作り方から、大昔に落第忍者乱太郎(何巻かは忘れた)に載ってた蘇の作り方とにてるなぁと思ったけど
そのときの説明には練乳のように甘くてクリーミー、みたいなことが書かれてたんで、てっきり普通にチーズ作る話になるかと思ってたのに
やっぱり蘇だった。あぁ、一度でいいから食ってみたい。
6.名前が無い程度の能力削除
昔、家庭科の授業で蘇の再現を食べた事を思い出した。
このSSのようにほんのり甘く、クリーミーで美味しかったです。
7.ぺ・四潤削除
「鼠の危機」を読んでから本作をもう一度読み返したら、腹を壊すまで食い続けたのが
『ただチーズが好きだった』という理由だけではないことに気がついた。
8.名前が無い程度の能力削除
星の反撃が新鮮。