Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

特命門番長紅美鈴『永遠亭の野望』5

2009/11/22 02:46:25
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『永遠亭の朝はそこそこ早い
 兎達に指示を出す長老のような存在の兎が
 健康マニアである事も確かだが
 私の場合は朝から診療所を掃除しないといけないのと
 月に居た時の癖で、どんな状態でも起きてしまうのだ
 ああ、でも何故起きるのかと言うとしたら多分それは…』

「ん…」
 目を覚ますと目を閉じてこめかみに指を当てる
(大丈夫…今日は夢を見ていない)

『自分が裏切った友達に会う事が出来る 
 夢を見るのが怖いのかもしれない』

(起きないと)
 寝床から起きると私は診療所の中に向かった
(えーと…葛根と桃仁の二つ足りなかったよね)
 師匠が起きるまでに私が足りない生薬を補う
 そして、師匠がいない間は私が診療所の備品を補う
 それが私に託された仕事にして私の居場所…

「あ、おはようございます鈴仙さん!」
 だから思いっきり怒ってしまった
「これ、診療所に運んでおきましたよ?」
「出て行ってください!」
 自分の居場所を目の前の人物に奪われたと思ってしまって
 




     ・・・






(あたたっ…)
 叩かれた頬を擦りながら紅い髪の男性が永遠亭の廊下を歩く
(いや~少しでも打ち解けれるかと思いましたけど)
 逆効果だったようで、頬に一発貰ってしまった
 もっとも、避ける事も出来たが今の自分はただ一介の庭師
 不自然にならないようにあえて頬に受けたのだが
(でも、判った事が一つ)
 
 頬を擦りながら判ったことは
 彼女は自分の仕事を誇りに思っているという事

(……さあ、私も仕事を始めないと)
 紅龍……男装した美鈴が改めて自分の仕事再確認して
(ぐぅ~)
「…まずは腹ごしらえからしないと」
 永遠亭にある食堂に向かっていった





「それで?鈴仙ちゃんに頬を叩かれたってわけ?」
「いや~、少しでも好感度あげようかなって思いましてね」
「馬鹿だなぁ…一番やっちゃいけない事をしてるよ」
 永遠亭の食堂の中で紅龍が食事を取りながら
 隣に座った兎と話をしていた 
「いい?鈴仙ちゃんは永琳様に直に言われて診療所を任されているの」
 いわば、永遠亭のほぼトップ直々に任せられた仕事というわけである
「だから、それを取ろうとしたら他の兎でも怒るんだよ」
「…なるほど」
 それが彼女の自慢であり、彼女の居場所なのだろう
「もっとも、頬に紅葉をつけられたのは貴方が始めてだけどね」
 美鈴のうなずきにそう言うと目の前の兎はケラケラと笑う
 その様子を尻目に美鈴がニンジンの煮物を取ろうとしたら
「あれ?」
 既にお皿にはニンジンが消えていた
 勿論、自分が食べたというわけではなく
「ニンジンご馳走様!またね」
 目の前の兎に全て奪われたようであった
(情報料と言う訳ですか)
 美鈴がやれやれと言った表情で御飯と味噌汁を啜った
 




 美鈴が永遠亭に潜入してから数週間
 色々と仕事をする間に永遠亭の重要人物の性格が見えてきた
「あら?」
「こんにちわ八意先生」

 仕事に向かう際に曲がり角で出会ったのは 
 八意永琳…ルーミア経由の情報の通り永遠亭の全ては
 この人によって回っている、人柄や知識は勿論
 隠しているであろう力は恐らく幻想郷でもトップクラスであろう
 ただ、惜しむとするのなら…名前のつけ方
 仕事が決まってすぐに八意永琳が私に着けた呼び名が
「ええ、こんにちわベニテング」
「は、はい…」
 ……天才の考える事は私には理解が出来ない  



 八意先生に挨拶をして仕事をするべき場所に向かう
(むっ?殺気)
 その途中で殺気に気が付いてその場にしゃがみこむと
「避けられた!?」
 自分の背中から何者かが前方に飛んでいくのが見えた
 こんなド派手な悪戯をする者は一人
「くそ~!避けられるなんてトラップマスター失格だ!」
「はぁ…てゐさん、勘弁してくださいよ?」
 永遠亭のウサギ達のトップにして自称トラップマスター
 初めて出会った時、いきなり落とし穴に突き落とされた
 もっとも、それが切欠で
 永遠亭に溶け込みやすくなった事は感謝しないと
「ふんだ!次こそは紅龍に悪戯を成功させてやる」 
 悪い子ではないと思うが、少々大変な相手であろう
(あ、ニンジンの借りを返すの忘れてた)
 次に見かけたら悪戯返しを考えよう



「あっ!」
「あっ?」
 もう少しで自分が任せられている仕事場に着く時
 今朝、自分の頬を叩いた人物と出会って気まずい空気になった
「えっと…こ、こんにちわ」
「……仕事があるのでこれで」
 挨拶の半ばで、無愛想に頭を下げて去って行ったのは
(鈴仙・優曇華院・因幡……)
 
 多分、つい先日戦ったと思われる相手であった
 ルーミア経由の情報では、月の兎である事と
 八意永琳の直属の弟子である事位しかわかってない
 ただ、どうやら新しく入ってきた私は嫌われているようであった
(まあ無理も無いですか…仕事取られると思ったら)
 私も門番の仕事要らないってお嬢様から言われたら
 ……考えたくも無いですしね
「おっと?仕事に遅れる」
 仕事の事を思い出して、私は急いでその場から移動を開始した



「さてと…今日も一日頑張りますか」
 歩いてたどり着いたのは永遠亭の庭
 私が永遠亭にやってきた表向きの理由は
 路銀稼ぎの庭仕事をすることである
  
 紅魔館の庭とは違って永遠亭の庭はそこまで広くない
 その代わりに土の質が違っていたり
 植えてある花が薬草である事があるのでまた大変である
 そして、八意永琳が一番気をつけて欲しいといわれたのが 

「うさ~」
「うささ!」
「こらこら、悪戯しないでください」

 永遠亭に住む小さなウサギ達の悪戯であった
 幸い、紅魔館での妖精達の悪戯に慣れている

「そうだ、掃除を手伝ってくれた子に飴をプレゼントしますよ」
「うさ!」
「一番頑張った人には、私からニンジンを進呈します」
「うさ~!?」

 この手の小さい子はプレゼントと一緒に競争をさせると

「うさ!うさ!」
「うささ!」
「うさ?」

 大人も顔負けの労働力になるのだ
(さて、私も…っと)
 子兎達と一緒に掃除をしながら私はもうもう一つの仕事に入る
(神経を集中させて…)
 周りに判らないように近くに居る者の気を探る

 屋敷内の何処に誰が居るのかを知る為だ
(もし、誰かが変な行動をとっているとしたら)
 此処に来てからの間、皆がこの時間に
 何処に居るのかはほぼ決まっているのを知っている
(何か面白そうな動きは…ん?)
 美鈴が気を探っていた時 
「~~っ?」
「―――!」
 微かに言い争っている声が聞こえてきた
(この気は…)
 そっと気を探ると、心の中で口元をニヤリとさせ
「…あっちはまだ掃除をしてませんでしたね」
 箒を片手にそちらの方に向かっていった



「このぐらい永琳ならできるでしょう?」 
「で、ですから姫…」
 箒を片手に美鈴が向かった先で言い争っていたのは
 やたら張り切っている永遠亭の主である蓬莱山輝夜と
 少し困った顔をしている八意永琳の姿であった
「あの、八意先生と輝夜様、一体どうしたんですか?」
 美鈴が声をかけると、永琳がハッとしてこちらを振り向いた
 そして八意永琳が少し困った顔で
「なんでもないのよ…ただ姫とお話を…」
「そうそう、貴方も私の計画を聞いてくれない?」
「ひ、姫」
 永琳が急いで話を切ろうとした
 だが、それを遮って輝夜が楽しそうに話を続けてきた
「永遠亭で何か大きな大会をしようって計画よ」
「大会…ですか?」
「そう!」
 不思議そうな顔をする美鈴に対して
 輝夜が胸を張って説明を開始する
 
「永遠亭主催での大会を考えてるの!
 大会の内容は未定だけど無論、豪華な賞品も用意!」
「はぁ…なんで大会を開こうと?」
 美鈴の呟きに対して当然と言った様子で輝夜が告げた
「決まってるじゃない、最近暇だし楽しそうだと思ったからよ」
「はぁ…」
 拳を握り締めながら楽しそうに話をする輝夜
 その隣で永琳がコメカミに指を当てて目を瞑る

 輝夜の言っている計画を実行に移す事は、八意永琳ならやれるであろう
 それだけの知識を永琳は持っている
 ただし、計画を行う為の時間を作らないといけない事
 そして一番必要になってくる物は
(先立つものをどうするか)
 計画を実行する為の予算が必要になってくる

「永琳なら何か面白い大会を開く事できるはずでしょ?」
「し、しかし…」
 ルーミアの情報通りなら、今の永遠亭の資金繰りは
 無理をしなければ黒字になるので、永琳としては
 大会等の臨時出資は避けたいのだが
 流石に自分が仕えている輝夜にはっきりとNOとは言い難い
 永琳が困り果ていた時

「あの~…」
 美鈴がそっと二人に声をかけた
「八意先生に御仕事について至急御聞きしたい事が…」





     ・・・





「ありがとう…助かったわ」
「いえいえ」
 あの後すぐに永琳は仕事の話をすると言う名目で
 輝夜の傍から一時撤退して
 八意が自分の研究所の中に美鈴を招いていた

「永遠亭が幻想郷に馴染んで、姫も私も隠れずに済むようになったけど」
 永琳が手にしたお茶を一口含むとため息をついて呟いた
「ごめんなさいね、永遠亭の皆の前だと愚痴を零す事もできなくて」
「色々と大変みたいですね」  
「……そうね」

(なんだかわかる気がします…)
 表向きは駄目門番のレッテルを貼られている美鈴であり
 仕事も永琳程に大変な訳ではないが
 紅魔館を裏から手助けする事をしている身
 誰かに話す事が出来ない愚痴も色々ある  
 だが組織の者に言う事は出来ないので疲れた余計に溜まるのだ
 故にそんな時に一番良い方法を美鈴自身の経験から考えると

「よし、先生の愚痴を聞く代わりに私の愚痴も聞いてもらいましょう」
「あら?永遠亭は心療内科もやっているのよ?」
「では丁度よかった、実は兎の悪戯で…」

 こういう時、組織と関係が無い者には愚痴りやすく
(そして、ポロっと本音が出てくる事もある) 
 仕事半分、同情と尊敬半分で暫くの間、
 美鈴は永琳と共に気楽な雑談をする事にした


「そうでした、絆創膏を貰えませんか?」
「怪我でもしたの?」
 談笑の途中で唐突に美鈴が絆創膏を要求すると
 永琳が不思議そうな顔で見つめた 
「いや~、鈴仙さんに良い所を見せようとしたら頬叩かれちゃいまして」
「あらあら」
 
 恥ずかしそうに美鈴が頭をぽりぽり掻いて今朝の事を伝えると
 永琳は苦笑しながら近くにあった絆創膏を取り出して呟いた
「優曇華も不器用ね」
「……」
「…もっと永遠亭の皆を頼ってくれても構わないのに」
 美鈴が手渡された絆創膏を静かに頬に貼り付けると
 座っていた椅子から立ち上がる
「さてと…絆創膏も貰いましたし、そろそろ御仕事に向かいますね」
「…そうね、私も午後の診療があるし」
 スッキリとした表情になった永琳に
 美鈴が頭を下げてその場から去ろうとする
「そうそう、最後にもう一つだけ」
 その背中にそっと一言告げた
「…優曇華の事を嫌わないであげてね?」





「サボリ魔発見!」
「えっ?」
 永琳の研究室から美鈴が出て、廊下に戻ると同時に
 何者かが背後から声をかけられる、そして振り返ろうとした瞬間
『うさささ!』
「うわっ!?」
 大量の子兎達が美鈴の周りを取り囲んだ

「うさっ!」
「うさ!」
「皆、報酬を踏み倒されたと思って怒ってるよ?」
「あ、あの…てゐさん?」
「まあ、私には関係ないけどね~」
 子兎達が怒った様子で美鈴の方を見つめる
 それをニヤニヤしながら見つめるのは因幡てゐの姿であった
 そんなてゐが美鈴の傍に寄って小さく呟いた 
「でもね…これ次第では皆を説得してあげてもいいかな?」  
 てゐがそう言うと人差し指と親指で輪を作った

(さて…どうしたものでしょう?)
 一方の美鈴は懐に入れてある飴を渡すつもりでいたので
 てゐの力は借りなくとも何とかできると思っていたのだが
(…待てよ?)
 ふと、ルーミアの情報が頭によぎると
 一つの計画を考え出すと
 懐から、小銭しか入っていない財布をてゐに見せた

「……今、これだけしか持ってないので…」
「しけてるねぇ…まあ良いや、皆後で私が報酬を奪ってくるうさ!」
 
 てゐがそう言うと、子兎達が皆わらわらと撤退して行った

「いや~助かりました…」
「どういたしまして」
 これがてゐの策略で、実際には美鈴から
 お金を奪うだけである事はわかっている
 それを知った上で美鈴はてゐに頭を下げる

「助けてもらったお礼と言う訳ではないんですけど…」
  
 そして、してやったり顔のてゐの耳に小さく呟くと
「それじゃ、早速体で払って貰う事にしようか」
 てゐがニヤリと笑みを零して
 美鈴の手を引いてその場から去っていった






     ・・・




 
「師匠、足りない分の生薬と漢方薬の補充すみました」
 私の師匠である八意永琳様の研究室の中に静かに入ると
 自分が頼まれている仕事を終えた事を伝える
 これが、私が一番好きな時間の一つである
 無事に仕事を終える事が出来た達成感と
「はい確かに…優曇華、お疲れ様」
 自分が褒めてもらえるこの一瞬、その一時こそが
 私がこの場に居ても良いのだと頷けるのだ

『あの時の事を忘れる事ができるから?』

「うぐっ!?」
「…優曇華?」
 不意に頭に頭痛と吐き気が走り口元を押さえる
(いけない…落ち着け私…)
 師匠も心配そうに私を見ているではないか
(大丈夫、大丈夫……今までも背負ってこれたから)
 逃げ出した頃の記憶が思い出るのを追い出し私は笑顔に戻る

「少しだけ寝不足だったのが祟ったみたいですね、あはは」
「もう…しっかりと自己管理しないと駄目じゃない」
 どうやら誤魔化せたようなので、心でホッと一息つくと
 師匠が仕事をしていた椅子から立ち上がり
「よいしょっと」
「し、師匠!?」
 私を背中から抱きしめる
 いきなりの事でパニックになる私を無視して師匠が告げた

「貴方が倒れると困る者と心配する者が居るの…」
「あ…」
 その言葉に先ほどの覚悟が緩みそうなる
 一人だけで背負わないといけない罪を
(駄目、これは私一人が背負う罪)
「少しは甘えなさい」
「……はい」
 でも、背中の暖かさのおかげで少しだけ楽になったような気がした


「…よし、優曇華今日はもう休んでいいわ」
 ひとしきり私を抱きしめてから師匠はそう言って私を離してくれた
 いつもよりも、少し早くお休みを貰える事になったのはうれしいが
「師匠はどうなされるんですか?」
 机に座って何かを考えている師匠に私はそう質問した
 机の上にかかれている物は、どう見ても薬の調合書ではない
「…ん~…」
 私の言葉に少しだけ困った様子で言葉を詰まらせると
 小さな声で私に伝えてくれた

「姫が今度何か大会を開くっておっしゃってね…」

 その言葉に私は目を瞑った
 永遠亭の財政事情は師匠から私も聞いている
 無理をしなければ確実に黒字になっているのだ
 だが、実際にはギリギリ黒字か赤字…
 その原因はよくわかっている

「その為に予算の捻出をね…」

 七割程は姫様の我が侭… 無論、姫に悪気は無いと思うし、
 月より逃げてきた私を拾ってくださり
 一度は異変まで起こしてくださった恩義もある
 そんな私に出来る事と言えば…一つだけ

「…無理しないでくださいね、師匠」
「ええ、貴方も今日はもう休みなさい」
「…はい」

 それを行う為に、私はその場から離れた

 



     ・・・





「―っ――ぁっ?―」 

 永遠亭の人気の無い一室で艶やかな声が上げられていた

「――ひぅ!」

 部屋の中に一枚しかれたシーツの上に横になっているのは
 永遠亭の兎達の長である因幡てゐの姿であった 

「…此処ですね?」
「うぁ!?そ、そこは!」
 上から男に押さえつけられると、頬を紅く染めて甘い嬌声をあげる
 その言葉に男が笑みを零すと呟いた
「此処までにしておきますか?」
「やっ!?だ、駄目!もっと…もっとぉ~!」
 男の言葉にてゐが泣きそうなりながら叫ぶと
「…えいっ!(こりっ)」 
 男は自分より小さな女の子の背中に親指を突きたてた





「はぁ…はぁ…ど、何処でこんな指圧のテクニックを…」
「いえいえ、旅をしていたら色々と仕事がありまして」
 布団の上で半ば意識が飛びかけた幸せそうな顔でてゐが呟く
 その言葉に紅龍こと美鈴が答えた
「…ところで、お願いした物なんですけど…」
「わかってるよ……そこの棚の左から三番目…」
「嘘ついたら、もう二度と指圧しませんけど?」
「……の後ろにコピーがあるから」
 そこまで言うと、てゐは幸せそうな顔で眠りに着いた


 
(さて、思わぬ情報が手に入りましたね)
 ルーミア経由の情報で得ていた健康に気を使うてゐならば
『指圧』と言う言葉に食いつくとは思っていたが
(まさか、此処まで効くとは思ってませんでした)
 最初の内は余裕を持っていたてゐだが
 プロも顔負けするほどのテクニックを誇る美鈴の指圧を
 三十分も受けて最後の方は既に顔が惚けていた 
 
 そして、指圧をしている間に頼んだ情報を
 寝ているてゐの傍で確認した
(これが…鈴仙さんの過去の勤務予定表)
 そこには、ほぼ一日中予定が入っている鈴仙の予定表の姿
(診療所の助手に自身の勉強、うわっ雑用も)
 
 白いところが無い位にびっしりと書き加えられた予定表
 そして、その中に見つけた違和感
「…休みの日」
 此処最近、不自然に休みを入れているのだ
 それだけなら、たいした事はない
 だが、美鈴の持っている記憶と合わせると面白い事に

(……休んだ次の日から、里で病気の発見例が出ている)
 不自然すぎる一致であった、そしてもう一つ
(私が正体不明と戦った日と次の日…二日間続けて休んでいる)
 仕事をこなす鈴仙にしては、二日間も休む事は珍しい
 そして、二日目の休んで理由が体調不良
 これから考えた美鈴は確信する
(今回の事件の犯人は、九割方鈴仙さん)
 
 たぶん間違いないだろう
 後はこの情報を主であるレミリアに伝えれば
 この仕事は終わりである
「……」
 だが、美鈴は腕を組んで考えると
(…少しだけ永遠亭に居過ぎたかな?)
 少しだけ苦笑して口元をニヤつかせると
 懐に入れていた紙とペンを持ち、なにやら書き始めた





     ・・・





「わは~」
 その日の夜中、紅龍が永遠亭の竹林の傍に待っていると
 宵闇の妖魔が現れるて抱きついてきた
「はい、これですね」
「うん!」
 そして、手にしていた物を手渡すと
 宵闇の妖魔が嬉しそうに頷いてその場から去っていった

「……」
 それを、少し離れていた所から見ていた者が一人
 そっと宵闇の妖魔を追いかけた




「ふんふふ~ん」
 宵闇よ妖魔事、ルーミアが鼻歌交じりで竹林を後にしていると
 突然、背後から足元に向かって弾幕が放たれてた
「うわわっ!?」
 驚いて、その場に尻餅をつくルーミアの前に姿を見せたのは
「う~、いきなり何をするのだ…赤い目の兎」 
 赤い目の兎…すなわち
「鈴仙よ、宵闇の妖魔…」
 鈴仙・優曇華院・因幡の姿であった
 いつでも弾幕を放てるように右手を構える
 そんな鈴仙にたいして、尻餅ををついたルーミアが立ち上がる
「私はルーミアって名前…」
「そんな事どうでもいいわ」
「…うぅ…名前…」
 微妙にへこんでいるルーミアを無視して鈴仙が質問した

「あの男から何を受け取った?」
「えっ?な、何も貰ってないよ!」
 鈴仙の言葉に動揺するルーミア
 そのルーミアに対して右手を近づける
「ならば、貴方を倒して勝手に奪うわよ」
「うわわわっ!?わ、わかったよ!」
 鈴仙の脅しにルーミアが肩を震わせて
 貰った物を鈴仙に見せた
「少しだけだからね」
「…これは……」

 



     ・・・





 暫くして、竹林からルーミアが出ると後ろを向いて呟いた
「……騙し合いは、美鈴の方が上だったみたいだね」
 手にしたお弁当をルーミアが美味しそうに食べる
「ん~、おいひい♪」
 幸せそうな顔でお弁当の中身を頬張るルーミア
 そして、最後に残した玉子焼きを食べると

「…ん、紅魔館に急ぐのだ」
 玉子焼きの中に包まれた手紙を手にして
 紅魔館へと急ぐのであった
「渡したよ~」
「はいはい…(それにしても、随分べとべとね)」

「…ふむ」
 ルーミアから手渡された美鈴の手紙をみて
 レミリアが楽しそうに笑う
「なるほどね、確かに楽しそうな計画だわ」
 普段以上にカリスマを発しているレミリアが
 美鈴の計画を成功させる為に考え始める
(でも、このままだとつまらないわね)
 美鈴に頼まれた通りにするだけでも十分だろうが
 それだけでは、此方がつまらない
(そうね…美鈴にも罠にかかってもらうわ)
 レミリアが自分の寝場所がないほどに積み上げられた
『門番長の復帰を望む署名』を見つめながら呟いた
(この位の悪戯位許してくれるでしょう?)
 

 レミリアが楽しそうに笑うと恋患いをしているメイド長を呼ぶ
『永遠亭の者を招いてパーティを開く』と言う趣旨を伝える為に

「…そうそう、これ届けておいて」
「わかっ…人参?」
「そうよ、美鈴に大量に送れって書かれてたから台所から奪ってきたわ」
「…そーなのか」
「はい、後美鈴に送る手紙」
「了解!」
(……なんで大量に人参が要るんだろう?)

 その頃、永遠亭では
「へっぷし…うぅ…子兎達に渡す報酬、早く届かないかな」
 いつものしかかって来るはずの子兎達がいなくて
 布団一枚で寒そうにしている美鈴の姿があった




 どうも、脇役です…

 気力ゲージが常にザ・ワールド状態で減っていく病気にかかってます
 そんな状態で、特命門番長書いた物だから進まない事進まない事…
 今思えば、前回の作品を書いた乗って半年以上前だよね…
 長らくお待たせしてゴメンナサイ、もう誰も待ってないと思うけど
 特命門番長5ひっそりと書かせてもらったよ

 気力ゲージがマイナスになりそうな勢いだけど
 もし、次が出るとしたら多分最終回かな…
脇役
コメント



1.過去から全部読んでみました削除
待ってました!やっぱり特命門番長は面白い!

あと誤字報告→ルー見アの情報通りなら
       ルーミアの情報通りなら
2.名前が無い程度の能力削除
特!命!門!番!
お待ちしておりました。それはもうソドムとゴモラが争ってた時代(まだ魅魔様が幻想郷にいた時代)からずっと!
次で完結させてくださるのはよろしいですが、ちゃんとまとまった伏線回収(といっても、メイド長の恋が主ですが)ができている、キレイな終わり方か、続編がでるかのどちらかを期待してまっとります。そう、前世から!!
3.名前が無い程度の能力削除
忘れてました。差し入れです。
つ[気力]
ついでにこれも
つ[愛と怒りと悲しみ]
さらにおまけまで
つ[愛しさと切なさと心強さと]
4.アイス削除
ヒャッハー!特命門番長だー!!
5.名前が無い程度の能力削除
特命門番長の字が見えた瞬間クリック余裕でした。
次も楽しみに待ってますね。

あと、誤字というか→鈴仙・優曇華院・因幡ではなくて
鈴仙・優曇華院・イナバ
です

差し入れです。
つ[気力]
6.読みなおした削除
待ってました。私のでよければ つ気力
7.名前が無い程度の能力削除
いやぁっほぅ!特命門番長来たぁ!
次回もわくわくっすよ~!

っと、うちからも差し入れっす!
つ【こんがり肉G】【元気ドリンコ】
8.名前が無い程度の能力削除
べ、別にずっと待ってたわけじゃないこともないんだからねっ
9.名前が無い程度の能力削除
俺が!!精神ポイントが無くなるまで!!大激励を使うよ!!!!!!!!!

相変わらず、貴方の作品は面白いね。
10.名前が無い程度の能力削除
ナニィ!特命門番長じゃないか!
とりあえず至急差し入れを空輸しておきます!

つ『ラストエリクサー』『聖戦の薬』
11.名前が無い程度の能力削除
っ『いのちのうどん』
12.名前が無い程度の能力削除
つ『かいふくのくすり』『ピーピーマックス』
13.名前が無い程度の能力削除
特命門番長ktkr!!
つ『パイングミ』
つ『レモングミ』
14.名前が無い程度の能力削除
つ『強走薬G』×5
15.時空や空間を翔る程度の能力削除
私からの差し入れだ、何、気にするな・・・
つ『赤マムシ』