「は?」
「ですから、体にリボンを巻き付けて、『私を食べて』、というのは如何でしょうか?」
紅魔館が誇る洒脱なメイドの言葉をゆっくりと噛みしめると一言。
「却下」
「なぜです?!」
信じられないと驚く咲夜に、フランは心底驚いた。なぜこんなのが完璧だの瀟洒だのと呼ばれているのかと。とりあえずあの姉には基準をどこに置いているのかを問い詰める必要があるだろうとフランは心底思う。とりあえず妖精と比較していませんように、と祈りつつ、
「だいたい何よ、その案は?」
「お嬢様が霊夢の気を引くためにやった由緒ある方法ですわ」
「あいつが?」
お嬢様、の単語にフランは背中の七色の羽を揺らし口を引きつらせて警戒の色を露わにする。フランに言わせれば、レミリアの計画など杜撰が裸足で逃げ出すほどの欠陥だらけなのだ。紅霧の時とか、月旅行の時とか。
が、咲夜はそれに構うことなく続け、
「あのときのお嬢様は、それはそれは見事なお姿でした。花嫁かと見紛うばかりに白いドレスと、その純白を拘束するかのように巻かれた真紅のリボン。
『霊夢、私を、食べるなら、私を食べて』 うっすらと涙目でそう言いながら霊夢を見上げたお嬢様。その視線に込められた意味を理解し、ふっと微笑むと、お嬢様のおとがいに手を当て、ゆっくりと顔を引き寄せる霊夢。『痛くしないでね』、と囁いたお嬢様の頬に口づけを落とすと、そのまま首筋へと顔を寄せ接吻を。お嬢様は羞恥と快楽から思わず、『痛、いたたたたたた、痛い痛い痛い、霊夢ストップストップざ霊夢。だめだめだめだめ、噛んでる噛んでる、立ってる歯が立ってる歯が立っている、とい
「本来の意味で食べられてるよね、ソレ!」
フランの反応に、うっとりと回想していた咲夜の表情は一転、
「他にどんな意味があるというのですか、フラン様?」
小首を傾げて尋ねる。ここでにやりと笑いの一つも浮かべれば可愛げのあろうものも、この従者と来たら真顔で尋ねるのだ。これが完璧と瀟洒の由縁かと戦く。
「え、ウケ、とか?」
四百年を越える時間をかなぐり捨ててのボケは、
「確かにあのときのお嬢様は受けでした」
もっともだ、と頷く咲夜の前にあまりに無力だった。
「じゃ無くて。どうしてパチュリーがちょっとはしゃいだせいで魔理沙の家を壊してごめんねのお詫びの品がそんな自虐案になるのよ?!」
「そうでもしないと、安物で済ませられませんので」
「うぁ、さらっと、今凄くさらっと酷いことを言ったね?」
言ったよね、と涙目になるフランに対し、咲夜は優しく微笑み、
「魔理沙に下手に出すぎると何を要求されるかわかりませんから、フランドール様に下手に出て頂こうと思いまして」
「畏まって言っても実態は変わらないよ! むしろ悪化してる!」
「試しに先日小悪魔を遣いに出したところ、昨日里で変わり果てた姿となっていたところを発見しまして」
「小悪魔に何が?!」
「ナニが、と申し上げたいところですが、半獣の歴史家の助手として寺子屋で働かされていたのですわ。小悪魔曰く『何が起こったのかわからない』とのことで」
「明らかに、お使い気分で行ける状況じゃないよね、それ」
フランの腰が引けた声に、溜息をつく咲夜。溜息をついてからの、額に右手を添えて左右に首を振る仕草などまさに一枚の絵になる様だった。
題は『苦悩』
「あれ? なんか今の流し方、まるで私があいつみたいにわがままを言ってるみたいじゃない!」
「そんな、滅相もない」
「じゃぁ、もう少しまともな案を考えてよ!」
フランの語気に押されて、咲夜はしょうがないと溜息をつくと
「全身に生クリームなど如何でしょう?」
――少女簀巻中――
「ですから、体にリボンを巻き付けて、『私を食べて』、というのは如何でしょうか?」
紅魔館が誇る洒脱なメイドの言葉をゆっくりと噛みしめると一言。
「却下」
「なぜです?!」
信じられないと驚く咲夜に、フランは心底驚いた。なぜこんなのが完璧だの瀟洒だのと呼ばれているのかと。とりあえずあの姉には基準をどこに置いているのかを問い詰める必要があるだろうとフランは心底思う。とりあえず妖精と比較していませんように、と祈りつつ、
「だいたい何よ、その案は?」
「お嬢様が霊夢の気を引くためにやった由緒ある方法ですわ」
「あいつが?」
お嬢様、の単語にフランは背中の七色の羽を揺らし口を引きつらせて警戒の色を露わにする。フランに言わせれば、レミリアの計画など杜撰が裸足で逃げ出すほどの欠陥だらけなのだ。紅霧の時とか、月旅行の時とか。
が、咲夜はそれに構うことなく続け、
「あのときのお嬢様は、それはそれは見事なお姿でした。花嫁かと見紛うばかりに白いドレスと、その純白を拘束するかのように巻かれた真紅のリボン。
『霊夢、私を、食べるなら、私を食べて』 うっすらと涙目でそう言いながら霊夢を見上げたお嬢様。その視線に込められた意味を理解し、ふっと微笑むと、お嬢様のおとがいに手を当て、ゆっくりと顔を引き寄せる霊夢。『痛くしないでね』、と囁いたお嬢様の頬に口づけを落とすと、そのまま首筋へと顔を寄せ接吻を。お嬢様は羞恥と快楽から思わず、『痛、いたたたたたた、痛い痛い痛い、霊夢ストップストップざ霊夢。だめだめだめだめ、噛んでる噛んでる、立ってる歯が立ってる歯が立っている、とい
「本来の意味で食べられてるよね、ソレ!」
フランの反応に、うっとりと回想していた咲夜の表情は一転、
「他にどんな意味があるというのですか、フラン様?」
小首を傾げて尋ねる。ここでにやりと笑いの一つも浮かべれば可愛げのあろうものも、この従者と来たら真顔で尋ねるのだ。これが完璧と瀟洒の由縁かと戦く。
「え、ウケ、とか?」
四百年を越える時間をかなぐり捨ててのボケは、
「確かにあのときのお嬢様は受けでした」
もっともだ、と頷く咲夜の前にあまりに無力だった。
「じゃ無くて。どうしてパチュリーがちょっとはしゃいだせいで魔理沙の家を壊してごめんねのお詫びの品がそんな自虐案になるのよ?!」
「そうでもしないと、安物で済ませられませんので」
「うぁ、さらっと、今凄くさらっと酷いことを言ったね?」
言ったよね、と涙目になるフランに対し、咲夜は優しく微笑み、
「魔理沙に下手に出すぎると何を要求されるかわかりませんから、フランドール様に下手に出て頂こうと思いまして」
「畏まって言っても実態は変わらないよ! むしろ悪化してる!」
「試しに先日小悪魔を遣いに出したところ、昨日里で変わり果てた姿となっていたところを発見しまして」
「小悪魔に何が?!」
「ナニが、と申し上げたいところですが、半獣の歴史家の助手として寺子屋で働かされていたのですわ。小悪魔曰く『何が起こったのかわからない』とのことで」
「明らかに、お使い気分で行ける状況じゃないよね、それ」
フランの腰が引けた声に、溜息をつく咲夜。溜息をついてからの、額に右手を添えて左右に首を振る仕草などまさに一枚の絵になる様だった。
題は『苦悩』
「あれ? なんか今の流し方、まるで私があいつみたいにわがままを言ってるみたいじゃない!」
「そんな、滅相もない」
「じゃぁ、もう少しまともな案を考えてよ!」
フランの語気に押されて、咲夜はしょうがないと溜息をつくと
「全身に生クリームなど如何でしょう?」
――少女簀巻中――
むしろかわってほしい
もうなんとかしろよこのメイドw