森の入り口で、リグルに出会った。
「おー、リグル。何してんだ?」
そう言って、チルノちゃんが大ちゃんと一緒に歩いてきた。
チルノちゃんが手を振ってきたので、こちらも振り返してこたえる。
大ちゃんは律儀に礼をしてくる。こちらも一礼。
「いや、特に何というわけでもないけど。強いて言えば、お散歩かな。」
「ふーん。……ということはさ、リグルは今、暇なのよね?」
なぜかチルノちゃんが不敵な笑みを浮かべている。何を企んでいるんだ。
「リグルはさ、ヒマワリのおねーさんと知り合いだよね?」
「幽香さんのこと?一応、そうだけど…」
そう答えると、それなら話は早いわと、喜び勇んで話し出した。
「もうすぐレティが帰ってくるからさ。何かお花用意してきてくれない?」
あぁ、もうそんな季節か。そういえば紅葉色の神様が最近普段よりもさらに必死に興行をしていたな、と余計なことを思い出す。
そんな事を考えている場合じゃない。それよりも、チルノちゃんが人に頼みごとなんて珍しい。絶対裏がある。
「チルノちゃんが直接行けば早いんじゃないの?」
「私、あの人に目をつけられてて…… 会うたびに『出たわね冷害女、これでも喰らいなさい!』って」
「そりゃあ行けないね」
どうやら回避不可能らしい。逃げられないと言うことを悟ったのをみてか、
「わかったらさっさと行ってきて頂戴!」
ごり押しである。チルノちゃんは何を企んでいる?
「いや、その、何でさっきから笑みを浮かべているのというか、怖いんですけどというか」
「何を言ってるの? あぁわかった。一人であの人へ行くのは怖いのね。」
分かってないぞ。それは分かったと言わないぞ。いや確かにそれも怖いが
「なら2人で行けばいいのよ。大ちゃんも行ってきて?」
「え? わ、私も…?」
「そうよ。それに大ちゃんなら適当にお花とかみつくろえるし。決まり!」
勝手に決定されてしまった。
そして、チルノちゃんに逆らえることもなく大ちゃんと花畑へ向かう。
「…だけどいきなりお花だなんて、チルノちゃんどういう風の吹き回しだろうね」
「本当です…。」
「そこら辺の野草を摘んできてみたりあった瞬間にスペカ投げてみたり、毎年毎年手荒い歓迎なんだよね。」
手荒い、という言葉がツボに入ったのか、大ちゃんはくすくす笑っている。
大ちゃんは私より背が低いのだけれど、笑うとさらに可憐に……
って、私は何を考えているんだ?
「リグルちゃん、どうかした?」
よっぽど変な顔をしていたのかもしれない。
私は、さっきなんでそのような思考に至ったのかを謎に思いつつ、
「……?いや、なんでもない。」
と答えることしかできなかった。
なんでもない普通の答えだったはずなのに、大ちゃんはまたくすくす笑っている
「やっぱりリグルちゃんはおもしろいね。」
なんてことない言葉のはずなのに…………私はなんでこんなに顔が火照ってるんだ?
マイナーってレベルじゃねーぞ!?