並んで立とう
お姉様は生まれたときから、ずっと私の前を歩いている。
必死で走って追いついて、手が届くと思ったら、逃げるように走り出す。
息を切らしながら伸ばした手は、翻ったお姉様のドレスにすら届かない。
全身の疲労に耐えかねて座り込むと、お姉様は心配そうに私を見る。
手を伸ばして、「大丈夫?」と声を掛けてくれる。
でも、戻ってはこない。
伸ばしてもらった手は遠く、指を掠らせることすら出来ない。
立って、歯を食いしばってお姉様を追いかける。
遠い、遠いお姉様と話したくて。
手を握り合いたくて。
寄り添いたくて。
お姉様は私を励ましてくれる。
「大丈夫よ、フラン。あなたなら出来るわ」
「あなたはこの私の妹よ、フラン?」
「そうよ、フラン。あなたは自分で思っているよりもずっと凄いの」
「フラン」
「フラン」
「フラン」
お姉様が私の名前を呼ぶ。
その声が私の中で鳴り響く。
「お姉様、私の大事なお姉様」
「お姉様、私の愛しいお姉様」
「お姉様、私の自慢のお姉様」
「お姉様」
「お姉様」
「お姉様」
叫びながら、声が出なくなっても口を動かしながら、お姉様を追いかける。
私の存在を忘れないように。
追いかけて、追いついて、置いていかれて。
その繰り返し。
慈愛の声は、哀れみの声に。
愛しき名は、憎悪の名に。
それでも私は追いかける。
あいつを、お姉様を。
これは追いつけない追いかけっこ。
追いつけないでいる内に、どんなに頑張っても手の届かない所に往ってしまう。
そんなことは許さない。
愛しく、憎く、敬し、蔑みし私のお姉様。
勝手に逃げるなんて許さない。
だから私は追い続ける。
いつかこのかけっこが終わるまで。
いつか一緒に笑えるまで。
お姉様は生まれたときから、ずっと私の前を歩いている。
必死で走って追いついて、手が届くと思ったら、逃げるように走り出す。
息を切らしながら伸ばした手は、翻ったお姉様のドレスにすら届かない。
全身の疲労に耐えかねて座り込むと、お姉様は心配そうに私を見る。
手を伸ばして、「大丈夫?」と声を掛けてくれる。
でも、戻ってはこない。
伸ばしてもらった手は遠く、指を掠らせることすら出来ない。
立って、歯を食いしばってお姉様を追いかける。
遠い、遠いお姉様と話したくて。
手を握り合いたくて。
寄り添いたくて。
お姉様は私を励ましてくれる。
「大丈夫よ、フラン。あなたなら出来るわ」
「あなたはこの私の妹よ、フラン?」
「そうよ、フラン。あなたは自分で思っているよりもずっと凄いの」
「フラン」
「フラン」
「フラン」
お姉様が私の名前を呼ぶ。
その声が私の中で鳴り響く。
「お姉様、私の大事なお姉様」
「お姉様、私の愛しいお姉様」
「お姉様、私の自慢のお姉様」
「お姉様」
「お姉様」
「お姉様」
叫びながら、声が出なくなっても口を動かしながら、お姉様を追いかける。
私の存在を忘れないように。
追いかけて、追いついて、置いていかれて。
その繰り返し。
慈愛の声は、哀れみの声に。
愛しき名は、憎悪の名に。
それでも私は追いかける。
あいつを、お姉様を。
これは追いつけない追いかけっこ。
追いつけないでいる内に、どんなに頑張っても手の届かない所に往ってしまう。
そんなことは許さない。
愛しく、憎く、敬し、蔑みし私のお姉様。
勝手に逃げるなんて許さない。
だから私は追い続ける。
いつかこのかけっこが終わるまで。
いつか一緒に笑えるまで。
良いのに物足りない。
もっとと思うけれど、綺麗に終わっているのでこれ以上だと蛇足にも思える。
次回作楽しみにしています。