Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

女将の御仕事

2009/10/26 00:46:46
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 小さな屋台で鼻歌交じりに八目鰻を焼くミスティア
 割烹着を着て料理を作る姿は既に女将の領域に達している
 
「ほ~ら~♪橋本をみ~てごらん~あれが~平成のはかい~おう~♪」

 そして、今日もその歌声に招き寄せられた人物がやってきた

「夜雀の丸焼き一つお願いできるかしら?」
「あのねぇ……焼き鳥反対のお店でそんな物騒な料理出せるわけ無いじゃない」
「あら?お客の冗談も通用しないようだと大変よ?」
「ちゅん、空気読まない御客さんは御代要らないから帰ってください」

 やってきた人物のいつもの口癖にため息をつきながら
 慣れた手つきで、いつものように御冷とおしぼり手渡すと
 手渡された人物も慣れた手つきでそれを受け取り微笑む

「それで?私は御客?それとも天敵かしら?」
「はあ…いらっしゃいませ西行寺幽々子さん」
「そうそう、初めからそう言えば良いのよ」

 ミスティアが敵わないと言う苦笑と共に
 焼きあがった八目鰻を手渡すと幽々子が美味しそうにそれを口に運んだ

「う~んやっぱり美味しいわ」
「あははっ…そう言って貰えるとうれしいなぁ」

 これも毎回のやり取りである
 ミスティアとしては毎回毎回全力で八目鰻を焼いているのだが
 お酒の当てがあればそれで良いと言う人物からの言葉よりも
 純粋に料理を評価してくれる人からの一言は余計にうれしい物である

「ちゅん、この一杯はこちらからのサービスです」
「あらあら?うれしいわね」

 故に評価を貰ってからこちらからの返信は
 そこそこの御酒をサービスする事であった




 そも、幽々子が宴会等で飲みに来る事などは珍しくはないが
 彼女が一人で飲みに来る事は珍しい事であった
 初めて幽々子が一人で屋台を訪れた時は
 永夜で出会った時の脅し文句があまりにも効果がありすぎた為
 ミスティアが肩を震わせて泣き出す始末であったが
 今では幽々子の煙に撒いたような言葉にも反論するまでになっていた

「ちゅんちゅん、どうぞ茄子田楽になります」
「ん~お味噌加減が絶妙ね!」
 
 幽々子が言葉をしゃべらなくとも
 ミスティアがそっと料理を出していく
 その一つ一つに舌鼓を打ちながら幽々子が満足する

 そして、ふっと料理を出す間隔が開く
 料理と少しの御酒で幽々子のお腹が少し膨れる頃

「ちゅん……今日はどんな話なんですか?」
 
 そのタイミングでミスティアが話を聞きだした
 幽々子が一人でお店にやって来る時
 それは決まってとある話をする時であった

「そうねぇ……何時になったら妖夢に手を出せるのかなぁ…ってね」

 自分の従事者についての惚気話
 なぜミスティアのお店で話すようになったのかは簡単
 此処なら話をややこしくしそうな人物が居ないからだ

 親友の八雲紫に話したら一騒動起きるだろうし
 博麗の巫女に話したら、一時間後には幻想郷中に広まる
 だが、此処ならあくまでお酒に酔った際の愚痴で済むし
 何より、御酒と料理が美味しいのだ

「この前も妖夢に対して『妖夢の花を開かせたい』って言ったのよ」
「ちゅん…それはまた随分直球な……」
「そしたら次の日に妖夢が泥だらけで向日葵持ってきたの」
「向日葵?」

 思いがけない花にミスティアも首を傾げると
 幽々子がため息交じりで理由を告げた

「笑顔で私に『幽々子様!妖怪が夢に見ていた花もってきました』って」

 つまり『妖』怪が『夢』に見た『花』である

「ちゅん……流石……」
「も~う…なんで判らないのかしら」

 そう呟きながら幽々子が目の前に突っ伏す
 そんな姿にミスティアが苦笑いしながら答える

「ちゅん……とやかく私が思うのは言葉が判り辛いかな」
「判り辛いかしら?」
「それに妖夢さんって、仕事一途な真面目さんだと聞いてるから
『花を咲かせる』って隠語判らないと思うんだけど…」
「あっ……」

 その言葉に幽々子が自分の手を叩いた
 言葉の意味が判らなければ意味が無い

「ちゅん……とりあえず、相手にもう少し判りやすく言わないとね」
「なるほど……確かにそうね」
「はい…それじゃあ、本日の締めの一品『朧豆腐さらさら』」

 幽々子がそれに気が付いたと同時にミスティアが
 特製の豆腐と出汁を使って作った雑炊を出す
 閉めの一品が出ると言う事は、相談も終わりと言う事
 それを知っている幽々子は何も言わずに暖かい雑炊を啜り
 
「ご馳走様……美味しかったわ~」

 両手を合わせて、女将であるミスティアに礼を言うと

「さあ、今度こそ妖夢を食べれるように頑張らないと!」
「あははっ……その意気なら大丈夫みたいね」

 来た時以上に元気そうに屋台から帰っていった

 

(さあ、次の御客さんの為にお皿洗わないと)

 食器を片付けながら夜雀の女将が歌を歌う
 次にその歌に釣られる人物がやって来まで
 





「あっ?いらっしゃい!」

 次はそこの貴方がお客さんです
 どうも、脇役です…

 たまには屋台でだべる女将ミスチーと御客幽々子のお話
 なに、これだけ広い創想話…
 たまには仲の良い幽々子とミスチーが居ても良いだろうと思います



 おまけ

「ちゅんちゅん、いらっしゃい……ってどうしたの?暗い表情で」
「ぐすっ…分かりやすく『妖夢が食べたい』って言ったら
『幽々子様…遂に人まで食べるように』って言われて逃げられた」
「ちゅん……(駄目だこりゃ)」
脇役
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
つかみで大爆笑しました。
ちゅんちゅん言ってるみすちーが珍しいなと思ってしまいました^^
2.名前が無い程度の能力削除
蝶野のように舞い、橋本のようにDDT。
武藤でファイナルカウントダウン。闘魂三銃士よ永遠に。

…腹のすくお話だ…
3.名前が無い程度の能力削除
おぉ、おかみすちーだ。
みょんが鈍感すぎる…いや幽々子様の普段の行いが悪いのか…
4.名前が無い程度の能力削除
なぜ珍しくちゅんちゅんみすちーなのかというと…
このプチ51がちゅっちゅだらけだからなんだよ!!!

マジみすちーの屋台で一杯やりたい…