.
「お姉ちゃん、今日は白ね」
古明地さとりのお昼のティータイム、
幽雅に紅茶を味わっている時、スカートの中から聞こえてくる声、
ああ、またかとさとりは溜息をつき、スカートのふくらみを優しく撫でた。
「やっぱりお姉ちゃんにはピンクが似合うと思うのよ」
こいしは無意識に動き回り、その存在をつかめないため、
たまにとんでもないところにいることがある、
スカートの中は序の口であり、酷い時には布団と布団カバーの間にいることも。
「あ、お姉ちゃん、私にも紅茶を頂戴」
そういってこいしはさとりが手に持っているティーカップに顔を近づけると、
そのままくぴくぴと飲み始めた、はしたないとはこの事か。
「んー、白濁色の汁が入ってないよー?」
ぷぷぅと頬を膨らませて文句を言うこいしに対し、
さとりはにこりと微笑んでその膨らんだ頬を撫でてやる、
姉たるもの、妹をかわいがるのが筋というもの、
決して怒らず、その全てを受け入れて愛でるのが姉道なり。
「ねぇねぇお姉ちゃん」
こいしはすぐに機嫌を治し、さとりに擦り寄る、
さとりが何と聞き返すと、こいしは帽子の中から一つの箱を取り出した。
「はいこれ、プレゼント」
その小さくて細長い箱の中に入っていたのは、
まるで紳士のそれをそのまま持ってきたような付け髭、
さとりは少し噴き出しながらもそれを取り出すと、
自分の口元に運んで偏りが無い様に丁寧に装着する。
「あははっ! 似合ってるー!」
こいしのまぶしい笑顔、それだけでさとりは幸せだった。
.
さとりんは黒もいいと思うんだ。