フランは考えました。自分を閉じこめるような姉は悪い姉だと。
この世界にはきっと、自分に優しくしてくれる素晴らしい姉がいるのだと。
だから姉を埋めました。首だけは地上に残し、じょうろで水をかけるのです。
「ふふふ、早く素敵なお姉様になあれ!」
「私は植物か」
翌日、レミリアの木が生えました。
植物でした。
額に汗する労働というのは、何においても素晴らしきものである。日光を毛嫌いしていたフランドールも、今では太陽の下で黒々とした肌を覗かせる一人だ。
今年はレミリアが豊作で、里の需要も鰻登りとなっている。
特に人気だったのはカリスマがたっぷり詰まった大人のレミリア。ワイングラスを持たせれば、不敵な笑みを浮かべながら缶ジュースのプルタブに苦戦する。このギャップが大人気らしく、子供達の間でプルタブを開けられない遊びが流行った。
そんな子供達には、同年代ぐらいの子供のレミリアが人気だ。カリスマ成分は無いものの、その愛くるしさは筆舌に尽くしがたく、ドロワを履かせれば前転ばかりして泥だらけになって帰ってくる。
「ぎゃおー」
今年育ったばかりのレミリアが、もぎ取ってくれとばかりに鳴き声をあげた。台風に脅かされ、一時は全滅も有り得るかと思っていたのに。
フランドールの予想を裏切り、レミリア達は見事に育ってくれたのだ。
「精が出るわね、フラン」
「あれ、いつのまに落ちたのかな」
「オリジナルだ……」
顔面を掴もうと必死なフランドールを押さえ、レミリアは畑いっぱいに広がったレミリアの木を眺めた。
「それにしても壮観ね」
「うん。一生懸命頑張ったから!」
努力すればするほど、作物達は答えてくれる。
フランドールの愛情を受けたからこそ、レミリアは想像以上に実ってくれたのだ。
これは豊穣学の権威である静葉博士も、
「愛こそが最高の科学肥料なのです」
と妹をふん縛りながら語っていた。
フランドールはそんなことも露知らず、実に楽しげな顔で雑草を抜いていく。畑の広大さを思えば、その作業は単調という言葉で表せるはずもない。とてつもない労力と、肉体への負担がかかるのだ。
儲かるか、あるいは楽しくなければ誰だってやらないだろう。
レミリアは決して、儲かるようなものではない。
愛が無ければ、今頃は諦めてテラスでジュースを啜っていたはずだ。
「ぎゃすとりどりーむ」
「あれ、幽々子」
時として混じる幽々子をもぎとり、西行寺へ出荷する為の箱に詰めておく。あそこの主は楽をしたいらしく、分身要因として幽々子を欲していた。
本来は除去すべきものなのだが、幽々子にも需要がある。今度はレミリアだけでなく、幽々子も栽培しようかな。
フランドールはそんなことを思いながら、日が暮れるまで作業に没頭していった。
橙に染まる夕暮れの中。
畑をレミリアの木が埋め尽くしていた。
レミリアの木には天敵も多い。
夜ともなれば活動は活発になり、度々盗人が現れる。
「ち、違うんです妹様! これは美鈴がやれって!」
と、両手にレミリアを抱えた咲夜が語る。
「か、勘違いしないでください。これはパチュリー様が命じたことで……」
と、カリスマたっぷりのレミリアを抱えた美鈴が語る。
「へい、ドリブルドリブル、シュート!」
「パチュリー様、ナイッシュー!」
と、レミリアでドリブルをしていたパチュリーと小悪魔。翌日、無惨な姿で発見されたのは言うまでもない。
そして人災だけでなく、天災による被害も多かった。
雨にも弱く、雷にも弱く、日光にも弱く、雪にも弱い。かくもレミリアとは弱点が多いものであり、加えてカラスやイノシシによる被害も後を絶たない。
その度にフランドールは対策に追われ、寝る間も惜しんで鉄柵を立てていった。
いくら吸血鬼とはいえ、体力は無尽蔵ではない。
だが休むように言っても、フランドールは聞かないだろう。姉であるレミリアに出来ることといえば、ただ黙って妹を見つめるぐらいしかなかった。
働く妹を心配そうに眺めながら、レミリアは無言で出荷用の箱を漁った。
たまにはフォーオブアカインドをしたいお年頃なのだ。
そして、いよいよ出荷の時が訪れる。紅魔館総出で箱詰め作業をし、翌日の朝には里へ届けることができるようになった。
ふと箱を見れば、一つほどちゃんと梱包しきれていなかったものがある。隙間からレミリアの鳴き声が聞こえてきた。
フランドールは愛おしげに目を細め、そっとガムテープで封をした。
「あややや、一つだけ余ってますね」
全てのレミリアをトラックに載せたと思っていたのだが、どうやら一箱だけ余ってしまったようだ。文が申し訳なさそうな顔で、荷台にはもう載せられないと告げてくる。
だからといって、今更箱から出してしまうのも勿体ない。
後ろを見た。紅魔館の仲間達が、優しい微笑みでこちらを見ている。
フランドールは頷く。
そして、天高くその箱を投げ捨てた。
「天までとどけー!」
霜が降りる冬の朝。冷たい空に、レミリアの鳴き声が響き渡る。
褐色のフランか……アリだな。
それはさておき大人レミリアを1つ頼む、10万出そう。
これはだめだ
で、レミリアの木の種はどこで入手できますか?
僕の脳みそは壊れた
なんだこれは
今のわたしではこれがなんだったのか理解することはできませんでした
ぱっちぇさんは元気です、レミリアは植物です
おかしいな、庭の木にレミリアがなってないぞ?
その発想力に今日も驚愕。
ともすれば出落ちで終わりそうな話をここまで広げられる発想力に驚きました。
私は幽々子様を受注したいのだが…
とりあえず明日花屋でお嬢様の種を探すか。
ナンダコレ
いや、なんでだよwwどういうことだよww
フランの撒いた肥料には、レミリアへの愛と憎しみが合成してあるんですね、分かります