☆何をどう注意すればいいのかわからない☆
☆それでもよろしければ☆
「焼肉やろうぜ、アリスんちで」
さて、今度は何に影響されたのだろう。
魔理沙の一言がきっかけで『アリス邸焼肉パーティー』が開かれる運びとなった。
しかし、参加者はたったの二名。これでは普段と何も変わらない。
「あんたバカでしょ」
「なんだ、随分ご挨拶じゃないか。何か不満でもあるのか?」
「不満しか出てこない現状に不満だわ」
「そいつはとんでもない螺旋構造だな」
アリスのぼやきも通じない。
何が悲しくて、この胞子舞う自宅の庭先でバーベキューもどきなどしなければならないのか。
無駄に楽しそうな魔理沙を見ながら、アリスはこっそりと嘆息する。
「なら部屋で」「臭いが籠もるからイヤ」
ふたりの目前には、魔理沙が香霖堂から運んできたと思われるバーベキューセットが置かれている。
とりあえず、空気浄化の結界は張った。これで胞子でお腹いっぱいになることもないだろう。
「もういいわ、やるんならさっさと始めましょう」
人形に命じて、燃料をくべる。下ごしらえの済んだ食材達が、調理の時を待ちわびていた。
「処刑を作業化したらこんな感じなのかしら」
「その考えは、ちょっとネガティブすぎないか?」
「なんで理解してるのよ」
アリスが羞恥に頬を染めた。
※
※
※
じゅうじゅうと肉の焼ける音だけが響く。
「そういえば、他の人は誘わなかったの?」
「誘ったんだけどな。なんかみんな用事があるだのなんだのでさ」
「そう。私も人里で会った人には声掛けしてみたんだけど『邪魔するのも悪いから』とか言われたわ。何なのかしらね」
「わたしに聞かないでくれ」
「そこ、焦げちゃうわよ」
「ん」
じゅうじゅうと肉の焼ける音だけが響く。
「研究は進んでる?」
「まあ、ぼちぼち。ただ、いくつか引っかかるところがあるんで、今度図書館で参考文献借りてくる」
「実践も兼ねられていいわね」
「そうでもない、最近はトラップもえげつなくなってきててな。あれには引っかかりたくないもんだぜ」
「あんたがしっかり本を返せば、万事解決する問題よね」
「わたしの目が黒いうちはありえないな」
「……パチュリーの胃が黒くなる前になんとかしなさいよ」
「タレ、いるか?」
「もらうわ」
じゅうじゅうと肉の焼ける音だけが響く。
「この間、神社に行ったときな」
「霊夢が絶望のあまり膝から崩れ落ちた後、逆ギレして大暴走、紫に慰められた。でしょ」
「なんだ見てたのか?」
「その話、3回目よ」
「それが起こったのも3回目なんだ」
「懲りないわね、霊夢も紫も」
「ただ、今回はちょっとしたオマケがあってな」
「へえ」
「あまりに不憫だったんで、その場で財布の小銭を残らず入れたんだ」
「処世術に長けたあんたにしては、迂闊なことをしたわね」
「ああ、霊夢に抱きつかれてキスされた」
「嫉妬に狂った紫に、鬼の形相で睨まれる所まで想像できたわ」
「おい、鬼みたいな顔で睨むのはよせよ」
「睨んでない」
じゅうじゅうと肉の焼ける音だけが響く。
「あのね」
「どうした」
「例えばの話をするわ」
「まぁ、そういう気分の時もあるだろうな。それで?」
「もし、自分が大切にしているものにタレの付いた焼肉を押しつけている奴がいたとしたら、そいつに対してどんな報復をしてやるべきかしら」
「そいつは良くないな、復讐は何も産まないぜ。それに別段嫌がってる様子もないし」
「たとえ話だから。あんたが蓬莱にしてる事とは関係ないわ」
「ホラーイ」
「声真似は止めなさい、似てるから」
「シャンハーイ」
「なんでそっちは似せる努力を放棄するのよ」
「五月蠅い奴だな。そんなに文句言うならお前が食えよ。ほれ、あーん」
「あーん」
じゅうじゅうと肉の焼ける音だけが響く。
「しまった」
「どうしたの」
「ここで開けようと思ってた酒があったんだけどな」
「これのこと?」
「確かにそいつに間違い無いが、なんでお前が持ってるんだよ」
「決まってるじゃない。あんたが寝てる間にこっそりと」
「小兎姫さーん。コイツ捕まえて!」
「冗談よ。それにあんたが捕まってない時点で仕事する気ないわよ、あれ」
「それはそうかもしれないが、理由は聞きたいところだな」
「さあ? 乙女の勘ってことにしておきなさいな」
「霊夢に殴られるぞ」
「それなら奇跡でもいいわ」
「早苗に殴られちまえ」
じゅうじゅうと肉の焼ける音だけが響く。
「そろそろ聞きたいんだけど」
「スリーサイズか? 知ってるだろうに」
「よしなさい、卑猥に聞こえるから。服作る為に採寸しただけじゃないの」
「最近、胸が成長してきててなぁ」
「どうしても言わないつもり?」
「香霖のところで、外の世界の本を見たんだ」
「あっさり白状されてもそれはそれで」
「どうしたいんだお前は。んで、そこに書いてあったんだよ」
「……なにが?」
「『一緒に焼肉を食べるってのは、仲の良い証拠』なんだってさ」
「なによそれ」
「いや、でも分かる気がするぜ。こういうのもたまには悪くない」
魔理沙が満足げに頷く。
一方のアリスはと言えば、呆れきった顔でひとしきり魔理沙を見つめた後。
「私は、別にあんたと仲良くなりたい訳じゃないけどね」
と、至極真面目な顔でのたまった。
後日、アリスの家にやってきた魔理沙が一言。
「鍋やろうぜ、アリスんちで」
「いいわよ」
☆それでもよろしければ☆
「焼肉やろうぜ、アリスんちで」
さて、今度は何に影響されたのだろう。
魔理沙の一言がきっかけで『アリス邸焼肉パーティー』が開かれる運びとなった。
しかし、参加者はたったの二名。これでは普段と何も変わらない。
「あんたバカでしょ」
「なんだ、随分ご挨拶じゃないか。何か不満でもあるのか?」
「不満しか出てこない現状に不満だわ」
「そいつはとんでもない螺旋構造だな」
アリスのぼやきも通じない。
何が悲しくて、この胞子舞う自宅の庭先でバーベキューもどきなどしなければならないのか。
無駄に楽しそうな魔理沙を見ながら、アリスはこっそりと嘆息する。
「なら部屋で」「臭いが籠もるからイヤ」
ふたりの目前には、魔理沙が香霖堂から運んできたと思われるバーベキューセットが置かれている。
とりあえず、空気浄化の結界は張った。これで胞子でお腹いっぱいになることもないだろう。
「もういいわ、やるんならさっさと始めましょう」
人形に命じて、燃料をくべる。下ごしらえの済んだ食材達が、調理の時を待ちわびていた。
「処刑を作業化したらこんな感じなのかしら」
「その考えは、ちょっとネガティブすぎないか?」
「なんで理解してるのよ」
アリスが羞恥に頬を染めた。
※
※
※
じゅうじゅうと肉の焼ける音だけが響く。
「そういえば、他の人は誘わなかったの?」
「誘ったんだけどな。なんかみんな用事があるだのなんだのでさ」
「そう。私も人里で会った人には声掛けしてみたんだけど『邪魔するのも悪いから』とか言われたわ。何なのかしらね」
「わたしに聞かないでくれ」
「そこ、焦げちゃうわよ」
「ん」
じゅうじゅうと肉の焼ける音だけが響く。
「研究は進んでる?」
「まあ、ぼちぼち。ただ、いくつか引っかかるところがあるんで、今度図書館で参考文献借りてくる」
「実践も兼ねられていいわね」
「そうでもない、最近はトラップもえげつなくなってきててな。あれには引っかかりたくないもんだぜ」
「あんたがしっかり本を返せば、万事解決する問題よね」
「わたしの目が黒いうちはありえないな」
「……パチュリーの胃が黒くなる前になんとかしなさいよ」
「タレ、いるか?」
「もらうわ」
じゅうじゅうと肉の焼ける音だけが響く。
「この間、神社に行ったときな」
「霊夢が絶望のあまり膝から崩れ落ちた後、逆ギレして大暴走、紫に慰められた。でしょ」
「なんだ見てたのか?」
「その話、3回目よ」
「それが起こったのも3回目なんだ」
「懲りないわね、霊夢も紫も」
「ただ、今回はちょっとしたオマケがあってな」
「へえ」
「あまりに不憫だったんで、その場で財布の小銭を残らず入れたんだ」
「処世術に長けたあんたにしては、迂闊なことをしたわね」
「ああ、霊夢に抱きつかれてキスされた」
「嫉妬に狂った紫に、鬼の形相で睨まれる所まで想像できたわ」
「おい、鬼みたいな顔で睨むのはよせよ」
「睨んでない」
じゅうじゅうと肉の焼ける音だけが響く。
「あのね」
「どうした」
「例えばの話をするわ」
「まぁ、そういう気分の時もあるだろうな。それで?」
「もし、自分が大切にしているものにタレの付いた焼肉を押しつけている奴がいたとしたら、そいつに対してどんな報復をしてやるべきかしら」
「そいつは良くないな、復讐は何も産まないぜ。それに別段嫌がってる様子もないし」
「たとえ話だから。あんたが蓬莱にしてる事とは関係ないわ」
「ホラーイ」
「声真似は止めなさい、似てるから」
「シャンハーイ」
「なんでそっちは似せる努力を放棄するのよ」
「五月蠅い奴だな。そんなに文句言うならお前が食えよ。ほれ、あーん」
「あーん」
じゅうじゅうと肉の焼ける音だけが響く。
「しまった」
「どうしたの」
「ここで開けようと思ってた酒があったんだけどな」
「これのこと?」
「確かにそいつに間違い無いが、なんでお前が持ってるんだよ」
「決まってるじゃない。あんたが寝てる間にこっそりと」
「小兎姫さーん。コイツ捕まえて!」
「冗談よ。それにあんたが捕まってない時点で仕事する気ないわよ、あれ」
「それはそうかもしれないが、理由は聞きたいところだな」
「さあ? 乙女の勘ってことにしておきなさいな」
「霊夢に殴られるぞ」
「それなら奇跡でもいいわ」
「早苗に殴られちまえ」
じゅうじゅうと肉の焼ける音だけが響く。
「そろそろ聞きたいんだけど」
「スリーサイズか? 知ってるだろうに」
「よしなさい、卑猥に聞こえるから。服作る為に採寸しただけじゃないの」
「最近、胸が成長してきててなぁ」
「どうしても言わないつもり?」
「香霖のところで、外の世界の本を見たんだ」
「あっさり白状されてもそれはそれで」
「どうしたいんだお前は。んで、そこに書いてあったんだよ」
「……なにが?」
「『一緒に焼肉を食べるってのは、仲の良い証拠』なんだってさ」
「なによそれ」
「いや、でも分かる気がするぜ。こういうのもたまには悪くない」
魔理沙が満足げに頷く。
一方のアリスはと言えば、呆れきった顔でひとしきり魔理沙を見つめた後。
「私は、別にあんたと仲良くなりたい訳じゃないけどね」
と、至極真面目な顔でのたまった。
後日、アリスの家にやってきた魔理沙が一言。
「鍋やろうぜ、アリスんちで」
「いいわよ」
なるほど、みんな空気を読んだわけですね。
良い感じの二人でした
会話の諸処ににじみ出る仲の良さににやにや
ちなみにゆかりんの慰められる霊夢はいつ見られますか?
原作の掛け合いもこんな感じだし
もうなってるしね。