☆輝夜と妹紅が結婚しています☆
☆それでもよろしければ☆
まさか、こんなことになるなんて思わなかった。
たまたま出てきた地上で、たまたま通りかかった竹林の上空で。
「さっさとくたばれや!!」
「貴女が墜ちなさい!!」
こんなに愛のあるコロシアイに出会えるなんて、今日の私はついている。
黒髪と銀髪のふたりの少女が、手に汗握るコロシアイを演じていた。
演じている、と言ってしまうと当人達に失礼かもしれない。なにせ、ふたりは本気なのだから。
黒髪のお姉さんが懐から枝のようなものを取り出し、そこから無数の弾幕を展開する。
銀髪のお姉さんが手のひらから炎を出して、それらを薙ぎ払う。
雨のように降り注ぐ弾幕と、渦を巻いて吹き荒れる炎の嵐。
それぞれの発生源が段々と近づいて……あ、今度は接近戦だ。
「おらぁ! 死ねやぁ!!」
「単調な攻撃を繰り返しても意味がないわよ!」
ひとつひとつが必殺の一撃。
それを怒濤の勢いで繰り出す銀髪さんも凄いけど、最小限の動きで見切って捌く黒髪さんも凄い。
急所に当たらない攻撃には、しっかりとカウンターを仕込んでる。
本当に、本当に。
『なんて楽しそうにコロシアイをする人たちなんだろう』
私がそう思った瞬間に、大きな爆発がふたりのいる辺りに巻き起こった。
※
※
※
ふたりが一緒に住んでいるのは、付いていったらすぐに分かった。
あれだけ愛し合っているんだから、一緒に住んでいるのは当然だよね。
沸き上がる興味を押さえきれずに、私はその家の扉を叩いていた。
「そう、こいしちゃんというの。よろしくね」
そう言ってにこりと微笑む黒髪さん、蓬莱山 輝夜さんと言うらしい。
思わず見とれてしまうほど綺麗な人だ。
とても、さっきまでグロく死んでいたとは思えないくらいに。
「ほら、熱いから気を付けな」
そう言ってお茶を出してくれた銀髪さんは藤原 妹紅と名乗った。
一見、粗野な感じだけど動作のそこかしこに気品が見え隠れしていて、それを鼻に掛けないすっきりとした物言いをする人。
とても、さっき輝夜さんを派手に爆殺した人と同一人物とは思えない。
お礼を言って、お茶を飲む。あ、美味しい、いいお茶っ葉使ってるなぁ。
自己紹介のついでに私が地底から来たこと、覚りの妖怪であることを明かしたが、ふたりはあんまり気にしていない風だった。
心の読めない私には本当の事はわからないけど、妹紅さんの「別に、覚りに会うのは初めてじゃないからなぁ」
という言葉に、なんだか凄くほっとした。
輝夜さんも「喋らなくても心が伝わるなんて便利ね」
なんて笑っていた。
ん? なんか、輝夜さんが妹紅さんの方をちらちら窺ってる。妹紅さんはあからさまに無視してるけど、顔が朱い。
輝夜さんのくすくす笑いが大きくなる。
「うっさい、死ね!」って怒鳴る妹紅さんの顔は朱いままで。
『ああ、やっぱり仲が良いんだな』って、無意識にそう思った。
「あれは愛の確認作業なのよ」
「ふざけんな。信じたらどうするんだ」
どうして殺し合ってたの? って聞いてみたらこんなやりとりが返ってきた。
そっか、生き返るならそういう確認の仕方もありだよね。
「照れなくてもいいじゃない」
「照れてない!」
どう考えても照れてる。きっと輝夜さんは妹紅さんのこういう反応が楽しいんだろうなぁ。
わかる気がする。私もお姉ちゃんが真っ赤になって怒ると、なんかゾクゾクするもん。
病み具合では、それを少し離れてニヤニヤ見てるお燐が一番だと思うけど。
「輝夜さんは、妹紅さんのどんなところが好きなの?」
私の問いかけに輝夜さんは少し息を飲み、妹紅さんは盛大に咽せている。
「そうね。いろいろあるけれど……こちらの都合もお構いなしに干渉してくるところかしら」
不思議なことを言われた。それは、どっちかというと欠点な気がする。
「私にとって遠慮がない、というのはとても心地良い事なの。度が過ぎれば『我儘』の一言で片付けられてしまうけれど、大抵の相手が私に踏み込んでくることは無いから」
寂しげに笑う輝夜さん。
何度でも、思う存分コロシアイ出来る相手がいるなんて、すごく幸せな事だと思ったんだけど。
もしかしたら、それほど単純じゃ無いのかもしれない。
私がそう考えた瞬間に。
「そんな顔しないの」
って頭を撫でられた。
「私が何を考えたか、分かるの?」
……お姉ちゃんでも分からないのに。
「そんなの、分からないわ。でも」
「今までも私の為に、そういう顔をしてくれた人はいたから」
経験則ね、と片目をつむる輝夜さん。そんな風に言われたら、なんて言っていいのか分からなくなる。
『ごめんなさい』も『がんばって』も、きっと違う。
ゴキャ!!
突然、輝夜さんがこちらに倒れ込んできた。
妹紅さんが、私に足の裏を見せている。
それが、踵落としの余韻だって理解したのは、輝夜さんが完全に倒れ伏してからのことだった。
びっくりして妹紅さんを見る。
ズボンのポケットに両手を突っ込んで脚を上げた姿勢のまま、妹紅さんが口を開く。
「おい、輝夜。しけた面してんなよ」
えーっと、もう多分聞こえてないと思う。だって、首が変な方向に曲がってるし。
驚きのあまり私はこの時、とても単純な事に気づけなかった。
なんで。
妹紅さんは輝夜さんの顔を見ずに、あの表情を知ることができたんだろう。
その答えは、今も出てない。
※
※
※
久しぶりに家に帰ったら、お姉ちゃんがいた。
当たり前なんだけどさ。
私とお姉ちゃんの場合は、あのふたりと違っていつか、いつの日にか死んじゃうから。
「お姉ちゃん、大好き」
自然と口から漏れていた。
少しだけ、ほんの少しだけお姉ちゃんの表情が固まった。
やっぱり、いきなり過ぎたかな。
「ええ、私もですよ」
「もう、そうじゃないよ。そこは『うっさい、死ね!』って言うところでしょ」
お姉ちゃんの目が大きく見開かれた。思いっきり泣かれた。
……なんでだろ?
☆それでもよろしければ☆
まさか、こんなことになるなんて思わなかった。
たまたま出てきた地上で、たまたま通りかかった竹林の上空で。
「さっさとくたばれや!!」
「貴女が墜ちなさい!!」
こんなに愛のあるコロシアイに出会えるなんて、今日の私はついている。
黒髪と銀髪のふたりの少女が、手に汗握るコロシアイを演じていた。
演じている、と言ってしまうと当人達に失礼かもしれない。なにせ、ふたりは本気なのだから。
黒髪のお姉さんが懐から枝のようなものを取り出し、そこから無数の弾幕を展開する。
銀髪のお姉さんが手のひらから炎を出して、それらを薙ぎ払う。
雨のように降り注ぐ弾幕と、渦を巻いて吹き荒れる炎の嵐。
それぞれの発生源が段々と近づいて……あ、今度は接近戦だ。
「おらぁ! 死ねやぁ!!」
「単調な攻撃を繰り返しても意味がないわよ!」
ひとつひとつが必殺の一撃。
それを怒濤の勢いで繰り出す銀髪さんも凄いけど、最小限の動きで見切って捌く黒髪さんも凄い。
急所に当たらない攻撃には、しっかりとカウンターを仕込んでる。
本当に、本当に。
『なんて楽しそうにコロシアイをする人たちなんだろう』
私がそう思った瞬間に、大きな爆発がふたりのいる辺りに巻き起こった。
※
※
※
ふたりが一緒に住んでいるのは、付いていったらすぐに分かった。
あれだけ愛し合っているんだから、一緒に住んでいるのは当然だよね。
沸き上がる興味を押さえきれずに、私はその家の扉を叩いていた。
「そう、こいしちゃんというの。よろしくね」
そう言ってにこりと微笑む黒髪さん、蓬莱山 輝夜さんと言うらしい。
思わず見とれてしまうほど綺麗な人だ。
とても、さっきまでグロく死んでいたとは思えないくらいに。
「ほら、熱いから気を付けな」
そう言ってお茶を出してくれた銀髪さんは藤原 妹紅と名乗った。
一見、粗野な感じだけど動作のそこかしこに気品が見え隠れしていて、それを鼻に掛けないすっきりとした物言いをする人。
とても、さっき輝夜さんを派手に爆殺した人と同一人物とは思えない。
お礼を言って、お茶を飲む。あ、美味しい、いいお茶っ葉使ってるなぁ。
自己紹介のついでに私が地底から来たこと、覚りの妖怪であることを明かしたが、ふたりはあんまり気にしていない風だった。
心の読めない私には本当の事はわからないけど、妹紅さんの「別に、覚りに会うのは初めてじゃないからなぁ」
という言葉に、なんだか凄くほっとした。
輝夜さんも「喋らなくても心が伝わるなんて便利ね」
なんて笑っていた。
ん? なんか、輝夜さんが妹紅さんの方をちらちら窺ってる。妹紅さんはあからさまに無視してるけど、顔が朱い。
輝夜さんのくすくす笑いが大きくなる。
「うっさい、死ね!」って怒鳴る妹紅さんの顔は朱いままで。
『ああ、やっぱり仲が良いんだな』って、無意識にそう思った。
「あれは愛の確認作業なのよ」
「ふざけんな。信じたらどうするんだ」
どうして殺し合ってたの? って聞いてみたらこんなやりとりが返ってきた。
そっか、生き返るならそういう確認の仕方もありだよね。
「照れなくてもいいじゃない」
「照れてない!」
どう考えても照れてる。きっと輝夜さんは妹紅さんのこういう反応が楽しいんだろうなぁ。
わかる気がする。私もお姉ちゃんが真っ赤になって怒ると、なんかゾクゾクするもん。
病み具合では、それを少し離れてニヤニヤ見てるお燐が一番だと思うけど。
「輝夜さんは、妹紅さんのどんなところが好きなの?」
私の問いかけに輝夜さんは少し息を飲み、妹紅さんは盛大に咽せている。
「そうね。いろいろあるけれど……こちらの都合もお構いなしに干渉してくるところかしら」
不思議なことを言われた。それは、どっちかというと欠点な気がする。
「私にとって遠慮がない、というのはとても心地良い事なの。度が過ぎれば『我儘』の一言で片付けられてしまうけれど、大抵の相手が私に踏み込んでくることは無いから」
寂しげに笑う輝夜さん。
何度でも、思う存分コロシアイ出来る相手がいるなんて、すごく幸せな事だと思ったんだけど。
もしかしたら、それほど単純じゃ無いのかもしれない。
私がそう考えた瞬間に。
「そんな顔しないの」
って頭を撫でられた。
「私が何を考えたか、分かるの?」
……お姉ちゃんでも分からないのに。
「そんなの、分からないわ。でも」
「今までも私の為に、そういう顔をしてくれた人はいたから」
経験則ね、と片目をつむる輝夜さん。そんな風に言われたら、なんて言っていいのか分からなくなる。
『ごめんなさい』も『がんばって』も、きっと違う。
ゴキャ!!
突然、輝夜さんがこちらに倒れ込んできた。
妹紅さんが、私に足の裏を見せている。
それが、踵落としの余韻だって理解したのは、輝夜さんが完全に倒れ伏してからのことだった。
びっくりして妹紅さんを見る。
ズボンのポケットに両手を突っ込んで脚を上げた姿勢のまま、妹紅さんが口を開く。
「おい、輝夜。しけた面してんなよ」
えーっと、もう多分聞こえてないと思う。だって、首が変な方向に曲がってるし。
驚きのあまり私はこの時、とても単純な事に気づけなかった。
なんで。
妹紅さんは輝夜さんの顔を見ずに、あの表情を知ることができたんだろう。
その答えは、今も出てない。
※
※
※
久しぶりに家に帰ったら、お姉ちゃんがいた。
当たり前なんだけどさ。
私とお姉ちゃんの場合は、あのふたりと違っていつか、いつの日にか死んじゃうから。
「お姉ちゃん、大好き」
自然と口から漏れていた。
少しだけ、ほんの少しだけお姉ちゃんの表情が固まった。
やっぱり、いきなり過ぎたかな。
「ええ、私もですよ」
「もう、そうじゃないよ。そこは『うっさい、死ね!』って言うところでしょ」
お姉ちゃんの目が大きく見開かれた。思いっきり泣かれた。
……なんでだろ?
おりんりん自重www
常識がまったく通用しない
こいしも輝夜と妹紅のようにさとりと大喧嘩をしてみるんだ!
新婚さんシリーズが楽しみで仕方ないw