Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

歪んで俯瞰で無意識で

2009/10/22 02:43:26
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☆輝夜と妹紅が結婚しています☆
☆それでもよろしければ☆



 まさか、こんなことになるなんて思わなかった。
 たまたま出てきた地上で、たまたま通りかかった竹林の上空で。

「さっさとくたばれや!!」
「貴女が墜ちなさい!!」

 こんなに愛のあるコロシアイに出会えるなんて、今日の私はついている。
 黒髪と銀髪のふたりの少女が、手に汗握るコロシアイを演じていた。
 演じている、と言ってしまうと当人達に失礼かもしれない。なにせ、ふたりは本気なのだから。   
 
 黒髪のお姉さんが懐から枝のようなものを取り出し、そこから無数の弾幕を展開する。
 銀髪のお姉さんが手のひらから炎を出して、それらを薙ぎ払う。
 雨のように降り注ぐ弾幕と、渦を巻いて吹き荒れる炎の嵐。
 それぞれの発生源が段々と近づいて……あ、今度は接近戦だ。
 
「おらぁ! 死ねやぁ!!」
「単調な攻撃を繰り返しても意味がないわよ!」

 ひとつひとつが必殺の一撃。
 それを怒濤の勢いで繰り出す銀髪さんも凄いけど、最小限の動きで見切って捌く黒髪さんも凄い。
 急所に当たらない攻撃には、しっかりとカウンターを仕込んでる。
 本当に、本当に。
 『なんて楽しそうにコロシアイをする人たちなんだろう』
 私がそう思った瞬間に、大きな爆発がふたりのいる辺りに巻き起こった。 

     ※
          ※
 ふたりが一緒に住んでいるのは、付いていったらすぐに分かった。
 あれだけ愛し合っているんだから、一緒に住んでいるのは当然だよね。
 沸き上がる興味を押さえきれずに、私はその家の扉を叩いていた。

「そう、こいしちゃんというの。よろしくね」
 そう言ってにこりと微笑む黒髪さん、蓬莱山 輝夜さんと言うらしい。
 思わず見とれてしまうほど綺麗な人だ。     
 とても、さっきまでグロく死んでいたとは思えないくらいに。
 
「ほら、熱いから気を付けな」
 そう言ってお茶を出してくれた銀髪さんは藤原 妹紅と名乗った。
 一見、粗野な感じだけど動作のそこかしこに気品が見え隠れしていて、それを鼻に掛けないすっきりとした物言いをする人。
 とても、さっき輝夜さんを派手に爆殺した人と同一人物とは思えない。

 お礼を言って、お茶を飲む。あ、美味しい、いいお茶っ葉使ってるなぁ。
 自己紹介のついでに私が地底から来たこと、覚りの妖怪であることを明かしたが、ふたりはあんまり気にしていない風だった。
 心の読めない私には本当の事はわからないけど、妹紅さんの「別に、覚りに会うのは初めてじゃないからなぁ」
 という言葉に、なんだか凄くほっとした。
 輝夜さんも「喋らなくても心が伝わるなんて便利ね」
 なんて笑っていた。
 ん? なんか、輝夜さんが妹紅さんの方をちらちら窺ってる。妹紅さんはあからさまに無視してるけど、顔が朱い。
 輝夜さんのくすくす笑いが大きくなる。
「うっさい、死ね!」って怒鳴る妹紅さんの顔は朱いままで。 

 『ああ、やっぱり仲が良いんだな』って、無意識にそう思った。  

 
「あれは愛の確認作業なのよ」
「ふざけんな。信じたらどうするんだ」
 どうして殺し合ってたの? って聞いてみたらこんなやりとりが返ってきた。 
 そっか、生き返るならそういう確認の仕方もありだよね。

「照れなくてもいいじゃない」
「照れてない!」
 どう考えても照れてる。きっと輝夜さんは妹紅さんのこういう反応が楽しいんだろうなぁ。
 わかる気がする。私もお姉ちゃんが真っ赤になって怒ると、なんかゾクゾクするもん。
 病み具合では、それを少し離れてニヤニヤ見てるお燐が一番だと思うけど。

「輝夜さんは、妹紅さんのどんなところが好きなの?」
 私の問いかけに輝夜さんは少し息を飲み、妹紅さんは盛大に咽せている。

「そうね。いろいろあるけれど……こちらの都合もお構いなしに干渉してくるところかしら」
 不思議なことを言われた。それは、どっちかというと欠点な気がする。

「私にとって遠慮がない、というのはとても心地良い事なの。度が過ぎれば『我儘』の一言で片付けられてしまうけれど、大抵の相手が私に踏み込んでくることは無いから」
 寂しげに笑う輝夜さん。
 
 何度でも、思う存分コロシアイ出来る相手がいるなんて、すごく幸せな事だと思ったんだけど。
 もしかしたら、それほど単純じゃ無いのかもしれない。

 私がそう考えた瞬間に。
「そんな顔しないの」
 って頭を撫でられた。

「私が何を考えたか、分かるの?」
 ……お姉ちゃんでも分からないのに。

「そんなの、分からないわ。でも」
 
「今までも私の為に、そういう顔をしてくれた人はいたから」
 経験則ね、と片目をつむる輝夜さん。そんな風に言われたら、なんて言っていいのか分からなくなる。
 『ごめんなさい』も『がんばって』も、きっと違う。 
 
 ゴキャ!!

 突然、輝夜さんがこちらに倒れ込んできた。
 妹紅さんが、私に足の裏を見せている。
 それが、踵落としの余韻だって理解したのは、輝夜さんが完全に倒れ伏してからのことだった。

 びっくりして妹紅さんを見る。
 ズボンのポケットに両手を突っ込んで脚を上げた姿勢のまま、妹紅さんが口を開く。

「おい、輝夜。しけた面してんなよ」
 えーっと、もう多分聞こえてないと思う。だって、首が変な方向に曲がってるし。
 驚きのあまり私はこの時、とても単純な事に気づけなかった。
 なんで。
 妹紅さんは輝夜さんの顔を見ずに、あの表情を知ることができたんだろう。
 その答えは、今も出てない。

     ※
          ※
 久しぶりに家に帰ったら、お姉ちゃんがいた。
 当たり前なんだけどさ。
 
 私とお姉ちゃんの場合は、あのふたりと違っていつか、いつの日にか死んじゃうから。

「お姉ちゃん、大好き」
 自然と口から漏れていた。
 少しだけ、ほんの少しだけお姉ちゃんの表情が固まった。
 やっぱり、いきなり過ぎたかな。

「ええ、私もですよ」
「もう、そうじゃないよ。そこは『うっさい、死ね!』って言うところでしょ」

 お姉ちゃんの目が大きく見開かれた。思いっきり泣かれた。 
 ……なんでだろ?
こいしちゃん! それは、あのふたり限定のコミュニケーションだから!
めたる
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
なんという見本にしてはいけないカップルww
2.名前が無い程度の能力削除
なんといういい夫婦…夫婦…?
おりんりん自重www
3.名前が無い程度の能力削除
流石幻想郷の夫婦
常識がまったく通用しない
4.名前が無い程度の能力削除
こいつはいいね
5.名前が無い程度の能力削除
結婚までいかなくてもいいけど、いつか二人がこんな関係になれますように。
6.名前が無い程度の能力削除
喧嘩するほど仲がいいと言うから
こいしも輝夜と妹紅のようにさとりと大喧嘩をしてみるんだ!
7.名前が無い程度の能力削除
よいなあきゅんきゅんきます
新婚さんシリーズが楽しみで仕方ないw