1.ナズーリンの二つ名。
「あれ、何だったかしら」
「どうしました、聖?」
「ナズーリンの二つ名って、何だったかしら?」
おや、ご主人と聖が何やら私のことを話している。
まぁいいか。とりあえず、私はご主人の監視をしなければ……よし、隠れて様子を窺おう。
幸い、私は小柄だから、隠れる場所はたくさんある。
「ナズーリンの二つ名?」
「えぇ、たしか何とかの小さな大将、だった気が……ど忘れしちゃって思い出せないのよ」
あぁ、私の二つ名の話か。
「あぁ、たしか……あれ? 何だったか……」
えー……ご主人まで忘れてる。
せめて、ご主人は覚えていて欲しかった。
「あぁ、もやもやするわ」
「たしかカタカナでしたよ、聖」
何故そこまで分かっていて、答えが出ない。
私の特技を知っているだろう。それが分かれば、出てくると思うのだが。
「サイズの小さな大将、かしら」
「微妙に違う気がします」
いやいや、全く違うだろ。
一文字も合っていないじゃないか。
「レーサーの小さな大将、とか」
ご主人、文字数は合っている。
だが、私がいつ乗り物に乗って競争していた?
「シーサーの小さな大将、じゃなかった?」
私は、伝説の獣の像になった覚えは無い。
「いやいや聖、ダウナーの小さな大将、でしょう」
いや、まぁテンション高くは無いけども。それってどんな大将なのか。
是非説明願いたいものだ。
「あぁ、『ダ』は付いていた気がする。それと、四文字だったと思うわ」
「でしょう!」
あぁ、ちょっと近付いてきてる。
頑張って思い出してくれ。
「ダニエルの小さな大将、よ!」
誰だよダニエル! だから、どんな大将なんだそれは。
そして見事に正解から遠ざかった。
聖にも、是非説明願いたいものだ。
「聖、さすがにそれは無いでしょう」
「じゃあ、あなたは思い出したの?」
「えぇ、もちろん」
お、ご主人が自信に満ちた表情をしている。
頼むぞ、ご主人。
「サウザーの小さな大将、です!」
「あぁ、それですね」
違うだろ。いや、文字は惜しいけど。
私は聖帝になった覚えは無い。
「あーすっきりしたわ。さすがナズーリンのご主人様ね」
「長年信頼関係を築いてきたのだから、当たり前です。最高のパートナーですから」
だとしたらパートナー解消した方が良い。
結局、聖たちが正しい二つ名を思い出すことは無かった。
とりあえず、ダウザーと印象付けるため、ご主人と聖が眠っている間に、二人の鼻にダウジングロッドをさしとくことにした。
2.小傘の驚かし方。
驚かし方が古いと言われた。
つまり、新しい驚かし方なら、いけるかもしれない。
「でも、新しい驚かし方って何だろう?」
私は考える。
今までに無い、驚かし方。
人は何をされたら驚くだろう。
「そうだ、早苗に訊いてみよう」
さりげなく訊いて、それで早苗を驚かそう。
「あら、小傘さんいらっしゃい」
というわけで、早苗の居る神社へやって来た。
にこっと笑顔で私を迎えてくれる早苗を見て、なんだか驚かすのがためらわれるが、心を鬼にする。
「早苗はさぁ、何か怖いもの無い?」
私の質問に、ぴくっと身体を震わせた後、止まる早苗。
「どったの早苗?」
「あぁ、いえいえ、何でもありませんよ。そうですねぇ、私は裸が怖いです」
「は、裸!?」
「えぇ、他人の裸を、特に小傘さんみたいな小さな女の子の裸を見るのが、怖いです」
裸が怖いなんて、変わってるなぁ。
「そっか。あ、私今日は帰るね」
「そうですか、分かりました」
手を振る早苗。
実は帰るふりをして、神社の裏へと回る。
人の気配も無い。よし、恥ずかしいけど、服を全て脱ぎさった。
これで、やっと人を驚かすことが出来るとなると、いっひっひ、と笑いたくなる。
「早苗ー! うらめしやはは~!」
「いただきます」
「ふぇ? きゃうっ!?」
全裸で、早苗の目の前に飛び出したら、目にも止まらぬ速さで布団へと連れてかれた。
何が何だか分からない。
「え? え?」
「あぁ、裸怖い裸怖い」
「ひゃぅあぅあ~!」
裸怖いと言いながら涎を垂らす早苗に、私は身動き一つ取れなかった。
そしてその後――これ以上は言えない。
3.一輪の遊び心。
「あ、村紗ー!」
「ん? どうかした、一輪」
「手袋を反対から読んでみて」
「袋手?」
「いや、違う違う。漢字じゃなくて、ひらがなで」
「てぶくろ、の反対……えっと、ろくぶて?」
水蜜が呟いたその言葉に、一輪が悪戯成功といった笑みを浮かべる。
「はい、じゃあ六回ぶつね」
「ぅ……そういうことね」
騙された、とため息をつく水蜜。
一輪は、雲山の拳を自らの拳に重ねる。
そして――
「一回、二回、三回」
「ちょ!? ぐっ、あっ、っ!」
あまりの威力に宙を舞う村紗。一回一回が、一輪のスペルカード並みの威力である。
浮き上った水蜜に、追撃。
「四回、五回、六回!」
「くぁっ!?」
今度は地面へと叩き付けられる。
明らかに、遊びのレベルを越えていた。
「っ……私じゃなかったら死んでるよ?」
だが、幽霊である水蜜は、そんな打撃で死ぬことも、大怪我することも無かった。
「あは、村紗だからやったのよ」
「もっとまともな遊びをしなよ」
一輪と唯一遊べる存在、村紗水蜜。
確かに裸で小傘ちゃん出てきたら驚くけどさwww
でも結局ご馳走様になるのには変わらないかwww
星ちゃんそれはうっかりすぎるwww
久しぶりに叫ぶ時がきた…っ!さなこがっ!さなこがっ!
ん?これはあれか?『にゃん』と同じ理屈が通ってくれますか?
さなこが!さなこが!通ってくれると信じてるよ喉飴さん!
……ん?おちゃだよ?
そんにゃこんにゃで、とっても面白かったでしたー。
したー。
たー。
御馳走さまでしたEND。
くつしただけ残すともっとこわくなる。
なんともまあ、愉快な星蓮船の人たちだww
さなこが!さなこが!
しかしさなこがのほうが自然だ
ならばこがさなを普及させるまで
・・・早奈子が?
蛇足ですが、こがさなで最初から問題ないですよ。
間に×を挟まない限りはカップリングそのものを指すので、どっちの意味も含みます。
つかない場合はあくまで語感優先なので、そっち方面の常識で考える必要はないです。
例えば、レイマリとか、かなすわとか、霊夢や神奈子が攻め側でない話でも使われるっしょ?
逆だと日本語として読んだ場合にやや変なので、×なしならそれでおkです。