Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

レミリア伝記

2009/10/20 09:59:06
最終更新
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3.41KB
ページ数
1

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「・・・である、と。ふう、こんなところかしらね」
そう独り言を呟きながら、十六夜咲夜は、すっかり固くなった肩を回した。長時間座っていたために、腰にもかなり疲れがたまっている。
やっぱり、慣れないことをすると、体に障るな―。咲夜は、そんな感想を持った。
彼女は現在、執筆作業の真っ最中なのである。

「自らの伝記を出したい」と、レミリアが唐突に言い出したのは、一ヶ月ほど前までさかのぼる。
「私も結構長い間生きたし、色んな伝説を残してきたわ。そろそろ形にしてもいいと思うのよね」
だから、咲夜。まずは、貴女の目から見た、素顔のレミリア・スカーレットについて、書いて頂戴。
そういう命を受けた咲夜は、さっそく作業に取り掛かった。従者として、常日頃から垣間見える、レミリアのカリスマぶりについて綴っていったのだ。

「お嬢様、こんな感じでいかかがでしょうか」
「ふむ・・・面白いけど、文章が甘いわね」
咲夜は、午後のティータイムを利用して、自らの書き上げた文を、レミリアに見せていた。
彼女の文章は、やはり瀟洒の名に恥じぬ立派なものだった。しかし、レミリアは気がついた点を次々指摘していく。
「例えばここ。『彼女は、自らの敵を徹底的に取り除く』の部分。すごく分かりやすい書き方にはなってるけど『彼女は、嵐のように湧いて出る『赤い悪魔』を、まるで針に糸を通すような流麗な動きで避け、その歯牙にすらかけることはない」なんて書くと、カリスマっぽいと思わない?」
「なるほど、格好良いです。ですが、お嬢様も『赤い悪魔』ではないのですか?」
「私は『紅い悪魔』だもん。まるで別物よ。それからここね。『彼女はまた、運命を操る能力を持っている』。具体的な説明がないと、私のことを知らない者は、理解できないでしょうね」
確かに、それはその通りだった。彼女の能力は、ただでさえ抽象的と評判なのだ。
「どういたしましょう?」
「そうね。あの晩の宴について、書いてあげなさいな。私が圧倒的な力を見せつけてやった日よ。ふふ・・・色んな怒りや、悲しみが込められた、あの悲鳴・・・忘れられないわ」
そう言って、うっとりとした表情を浮かべるレミリア。今この瞬間の彼女は、まさにカリスマと呼ぶに相応しかった。
「かしこまりました。では、また手直ししてきます。しばらくお待ちくださいませ」

こうして、レミリアの伝記は、無事刊行に至った。
記念すべきその1ページ目は、以下の通りのものである。

「レミリア・スカーレットほど、カリスマと呼ぶに相応しい存在は他に無いだろう。彼女は、その場に存在するだけで、周りの者を畏怖させ、平伏させるだけの力を誇っている。
彼女は、自らの嫌うことに対しては、絶対に嫌だと言うことが出来る。中には実力行使で来る者もいるが、彼女の前には到底及ばない。
例えば、ハンバーグの人参だ。彼女は、嵐のように沸いて出る、微塵切りにされた『赤い悪魔』を、まるで針に糸を通すような流麗な動きで避け、その歯牙にすらかけることはない。これには、彼女の従者もただただ白旗を上げるしかない。それだけ、彼女の意思は強固なのだ。
彼女はまた、運命を操る能力を持っている。これは、迫り来る運命を、自らに都合のいいよう捻じ曲げるという、極めてカリスマ的な能力だ。
この力を用い、彼女は、私たちの住む『紅魔館』で開かれるトランプ大会で、毎回ぶっちぎりの成績トップを誇っている。
『お姉様、ずるーい!』『レミィ、汚いわよ』という、メンバーからの罵詈雑言に対しても、彼女は『自分の持ってる力を使って、何が悪いの?』とどこ吹く風である。
そして、このことは同時に、彼女がいかに優れた人望を持っているかをも証明する。彼女に負けた紅魔館の人々は、それでも尚、彼女をトランプに誘うことをやめないのだから。このことから、どれほど彼女が愛されている存在であるかが分かるだろう。

人々を平伏せさせる力と、人々に愛される力。2つの相反する力を持ち合わせた彼女は、まさしく本物のカリスマである」

「お嬢様。里から大勢の人が押し寄せています」
「ふふん。さっそく、私のカリスマぶりが伝わっているようね」
「いえ。『是非一度愛でたい』と」
「何で!?」
どうも。最近ちょこちょこ無印でお世話になっている、ワレモノ中尉です。

今朝見た夢で、おぜうさまに叱られました。「貴方の書く私には、カリスマが足りないのよ!こことかここをこうすりゃいいの!分かってるのこのタコ頭!」と。
タコ頭はひどいよなあ、と思いつつ、こんな話にしてみました。

平日の朝に、2時間かけて。

カリスマを感じてもらえれば幸いです。
それでは。

※10月20日 夜23時 追記
思いがけぬ数のコメントを頂き、非常に嬉しいです。皆さん本当にありがとうございます。
細かい言い回しなど、修正させていただきました。
ワレモノ中尉
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
内容はともかく文字の色の関係で見難いです。
2.ワレモノ中尉削除
>>1様
すみません。ちょっとした意図があったんですが、やっぱり読みやすさが大事ですね。
修正させていただきました。
3.名前が無い程度の能力削除
ちょっと紅魔館にお嬢様愛でに行ってくる。
4.名前が無い程度の能力削除
オチへの流れはお約束と言った感じで予想できたのですが、
自分はレミリアの伝記の記述がでてくる前に
>「私は『紅い悪魔』だもん。
ここでやられましたw
5.名前が無い程度の能力削除
文章の後半で吹いたwww
ちょっと紅魔館へ行ってくる
6.名前が無い程度の能力削除
咲夜さんまぢ瀟洒www
さて紅魔館に向かわねば
7.名前が無い程度の能力削除
おぜうさま最終チェックせんかったのかwwww
それとも見たうえで刊行許したのかwww
トランプ片手に紅魔館行ってくる
8.名前が無い程度の能力削除
トランプ持って紅魔館に赴く列の最後尾はここですか?
9.名前が無い程度の能力削除
咲夜さん…まさに瀟洒だ…
10.名前が無い程度の能力削除
カリスマという名の愛くるしさが溢れ出ていますな。
しかしカリスマがどうあれ、好き嫌いはいけないよおぜうさま。
11.名前が無い程度の能力削除
よし、行ってくる
12.名前が無い程度の能力削除
おのれ!ならばキャロットケーキでどうだぁ!!
13.名前が無い程度の能力削除
俺の焼そばのもやしを取り除く程度の能力ではおぜうさまにかなうわけがない・・・