「レティに早く会いたいな」
秋の終わりが近くなるとチルノちゃんはいつも決まってこう言う。
「うん。もうすぐだね」
「うん。まさに諸刃の剣だね」
「うん。覚えた言葉をすぐ使う癖はやめようね」
「うん。チュパカブラだね」
「うん。友達の話は聞こうね」
ここから見える紅魔館の庭に秋の初めに元気に咲いていた桃色・白・赤と様々な色をした秋桜たちもだんだん元気がなくなっているようだった。
「去年はレティとなにして遊んだっけ?」
「雪合戦とか雪だるま作ったりしてたね」
「じゃあ今年は雪合戦と雪だるまはやめて他のことをしよう」
「じゃあ何するの?」
「……………」
「雪合戦とか雪だるまを作ろうね」
「名案だね大ちゃん」
「去年やったけどね」
秋の空と同じように紅く染まっていた木々も次第に葉を落とし徐々に冬の訪れを感じさせる。
「大ちゃんは春夏冬冬の中でどれがすき?」
「冬を二回いったよチルノちゃん」
「あっ。そっか。ごめん。じゃあ春冬冬冬の中でどれがすき?」
「怒濤の冬ラッシュだね」
「とにかくどれが好きなの?」
「うーん。私は春が好きかな」
「大ちゃん冗談きついよ」
「冗談じゃないよ」
「じゃあなんで?」
私は別に春が好きなわけじゃない。
冬が嫌いなのだ。
いつも私は冬が来るのが恐い。
それは彼女が現れるから。
彼女と遊んでいる冬のチルノちゃんは四季のなかで一番輝いている。
けど冬が終わりそうになるにつれて彼女の生気が衰えていくのと共にチルノちゃんの元気もなくなっていく。
そのまま彼女とチルノちゃんが一緒に消えちゃいそうな錯覚にいつも陥ってしまう。
そんなことはありえるはずがないのに毎年、毎年冬が来るたびに私はそう考えてしまうのだ。
そして春が来て彼女がいなくてチルノちゃんがいることに安堵する。
私は別に彼女のことが嫌いじゃない。
だけど私はいつも彼女がチルノちゃんを連れて行ってしまう死神にしか見えなかった。
「うそ。一番好きなのは冬」
「大ちゃんはすぐ嘘つくからな」
「うん。ごめんね」
「あたいも冬が一番好きだよ」
「うん。知ってる」
「一年中冬だったら良いのにね」
「それは困るね」
「なんで?」
彼女がずっといるから。
結局は私はチルノちゃんを彼女に取られるのが嫌なだけなのだ。
ただの彼女に対する嫉妬。
それが私の心を蝕んでいってあんな妄想ばかり考えてしまう。
「うそ。私も一年中冬だったらいいと思う」
「なんというフェイント」
「うん。ごめんね」
「そしたらずっとレティと一緒にいられるね」
「うん。そうだね……」
「レティに早く会いたいな」
秋姉妹「「ちょっと表出ろ」」
嫉妬する大ちゃんかわいいなぁ
・・・美しい
>1様
すっごい気になります。
>2様
秋姉妹に表に出ろと言われたら出ざるをえない。
>3様
あってます!
>4様
大ちゃんかわいいです大ちゃん