Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

Sの心理

2009/10/10 04:10:15
最終更新
サイズ
4.21KB
ページ数
1

分類タグ





「先生、こいしはよくやっていますか?」
 さとりは丁寧な物腰で、慧音に話しかけた。慧音は笑顔で対応する。
「そうですね。こいしちゃんはいい子ですよ。時々、寺小屋を勝手に出て行ったりもしますが、基本は良い子です」
「勝手に!?」さとりは眉をひそめる。「出て行くのですか?」
「ええ、しかしすぐに戻ってきますし」
「しかし、こいしは本当に自由すぎますね。あとできちんと叱っておきます」
「しばらく。しばらく」
「えと、どういうことです」
「私なりの教育方針がありますので、こいしちゃんを叱らないでください」
「こいしは迷惑をかけてばかりですし、先生はお忙しいでしょうし……」
「いや、私にもう少しお時間をください」
「先生を信じないわけではありません。けれど、先生は少し真面目すぎますからね……」



 そうして、少しばかり不機嫌そうにさとりは帰っていった。
 心穏やかで無いのは、さとりだけではない。
 当然のことながら、さとりが覚りであることを慧音は知っている。
 心の中を見透かされたような気分というのだろうか。『真面目』は堅物であり、『信じないわけではない』は安心するには足りないというふうに読み解ける。
 慧音は芯から教師である。
 教師は自省心が人よりも必要であると思っている。
 寺小屋の授業が終わったあと、一人部屋で慧音は沈思した。
 さとりの気持ちになって考えてみようと思ったのだ。



 まず、教え子を寺小屋に預ける者は往々にして重責にあることが多い。地底を治めたり、ひとつの館を治めたり、家の裏の畑を耕したりとやるべきことは多い。そういった重責にあるときに子どもは邪魔だ。他人のことを考えられず、迷惑で、いないほうが仕事がはかどる。子どもは寺小屋に預けたほうがいい。それなのに、この教師ときたら、よそさまの子どもをつかまえて、勝手に出て行くだの、勉強が遅れているだの、人に迷惑をかけるだの、平気で言う。
 アホじゃなかろうか。そもそも勝手にでていったり、迷惑をかけたり、勉強がてんでできない馬鹿だからこそ寺小屋に押し込んだのだ。自分の仕事をしろ。馬鹿教師と思ってしまう。
 ところが、この馬鹿教師は、自分の仕事が役に立たない知識やら倫理観やら道徳観を教えることだと本気で信じているらしく、時には両親や家族にまで職責が及ぶと信じているところがある。
 それで、家の中にまで押しかけて「あなたのお子さんは、これこれこういう理由でダメです」とか言うわけである。両親の教え方がダメだと暗に咎めているわけである。
 こちらには時間がないのである。自分の仕事をするのでせいいっぱいなのだ。そもそもそういった負担を軽くするために教師に預けたのではなかったか。家族のことを省りみられないとしても、しょうがないことである。
 子どもの成績が落ちたとき、この馬鹿教師は自分の責任だとは考えない。両親の教え方や、あるいは血筋や頭蓋骨の形が悪いのだと考えている場合が多い。自分はこれだけ知識を持っているのだ、知識人なのだと表だっては言わないが、心の裏側で考えていて、子どもがほんの些細なミスをするたびに、小さな自尊心を満足させる。それで、そういう自尊心を満足させるために、子どもがちょっと答えられないような難しい問題を出す。当然、子どもたちの成績は落ちる。両親は泣いてすがりつき、勉強を教えてくれと頼みこむ。教師はしかたないですねと溜息をつきながら、教鞭をとる。その裏側では、両親を屈服させたような錯覚に、心を躍らせているに違いない。
 そもそも成績が落ちたのなら、それはすべて教師の責任だ。こちらは時間がないから教育してくれと頼んでいるのだ。教師は子どもたちの勉強の進行具合に応じて、適切な難易度の問題を出すべきである。また、それでも勉強がかんばしくないのなら、私的な時間を割いてでも教えればよいではないか。それが仕事なんだろうから。
 限られた時間のなかで、重責の合間をぬって寺小屋を訪れたのに、教え子はたくさんいるのでと言って、まともに対応しないこともある。自分の子どもをないがしろにされたようで、おもしろくないから、つい「先生はお忙しいですから仕方ないですね」などと揶揄してしまう。すると臆面もなく「○○ちゃんは他の子より手がかかりませんので」などというのだ。腹だたしい限りである。
 教える内容も、まったくもって無意味な場合も多い。自分の仕事を将来的に助けてくれるような知識を教えてもらいたいのに、どう転んでも必要ない高等数学やら、自分が生きてもいないような古い時代の話や、会ったこともない偉人の言葉を教えたりする。それで実用的な知識を授けてほしいとこちらが下手に願いでれば、基礎が必要だの、無駄なことほど美徳だの言って、のらりくらりとかわす。こちらは忙しいのだ。時間がないのだ。だから必要な知識だけ与えてくれればそれで良いと言っているのに、こちらの意図を理解しようとしないばかりか、時間をかけて教育費をとれるだけとろうとしているのである。
 ほんと、教師というものは鼻もちならない聖人君子さまでございますね。

このあと、自省で落ちこんでいた慧音先生は「せんせー、だーいすき♪」とこいしに後ろから抱きつかれました。

追記
この作品は別に教師や親という関係にこだわってるわけではないです。
教師は書き手、親は読み手。その『関係』を書きたかった。
記載された事実に目を通すと、教師側の妄想としてつづられているのがわかると思う。
つまり、教師の想像に過ぎないわけであるが、そこで語られる親側の心理は過剰であるように読めたはずだ。
教師が妄想という形式で揶揄しているのは親である。
したがって、教師はこんなんじゃないという感想は意図された読まれかたではない。

じゃあ、単に上記のように教師=書き手、親=読み手だとすると、
読み手を揶揄したかったのかと言われればそれも少々異なる。
書き手にとっては、親=読み手はやはり強者である。よって、面と向かって対抗することはできない。
妄想という内的空間で立ち向かうというのは、普段よくやってることだし、そこに書き手側の滑稽さがある。

第三者の視点で見れば
読み手は『このキャラクターが貶められている。もっとキャラクター(子ども)を愛せよ』などと言っているのは過剰であり滑稽である。
書き手は『この人は時間がないなか、わざわざお叱りの言葉をかけてくださってるのだ。しかたないのだ。私を攻撃する意図などないのだ』と内心で思うのもまた滑稽である。

こいしに抱きつかれたあとがきの表記は、気楽にやろうぜ程度の意味である。
自分を慰謝しているように見えるかもしれないが。
超空気作家まるきゅー
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
キャラクターが必要ない類の話だ。
内容自体は好みだけれど。親ってのはこっちの仕事を勘違いしている人が多いんだ、本当。
2.名前が無い程度の能力削除
…これで終わり?
あなたの教育観をけーねに語らせたかったの?
3.名前が無い程度の能力削除
そうだね、けいねは堅物で物事を鬱に考える半獣なんだね
けいねの事好きな人もいることをちょっとは考えてくれ
一方的に落としてとってつけたような後書きも訳がわかりません
4.名前が無い程度の能力削除
マジ半獣
即刻処分すべき
5.名前が無い程度の能力削除
現実で嫌なことでもあったのか、読者に嫌な思いでもさせたいのか

正直、東方のキャラクターを使用する必要を作者が感じているとは思えません。
本当に、お願いですから、どこか他所でやって欲しいです。
6.名前が無い程度の能力削除
冗談じゃねぇ! 教育ってのは教師も家庭も両輪あってのことだ。
教師にばかり責任おしつけてんじゃねぇよ作者!
7.名前が無い程度の能力削除
意図が良く分からん。慧音の自虐ネタ? 目茶分かりにくい
んですけど。

うーん、あまりに実験作過ぎて何とも言えん。
8.名前が無い程度の能力削除
不愉快です。わざとなのか何なのか知りませんが、一方的な視点から教師という職業を語らないでいただきたい。
数学ならば論理的思考の組み立て方、古典ならば日本語の正しい使い方、歴史ならば過去の人々を見て同じ過ちを繰り返さないように、という戒め、理科系の教科は数学と現実を結び付ける。
以上に例を挙げたように無駄なものなどありません。それぞれの教科がそれぞれ意味を持って組み立てられています。

どうせこれ釣りなんだろうな、と思いながらもマジレスさせていただきました。あまりにも腹が立ったので。
9.名前が無い程度の能力削除
教育ってのは国の根幹に関わるものですよ
国を作るのは人であり、人を作るのは教育である
恩師の言葉の受け売りですがね
少なくとも私の恩師は人を作る為の教育をしてくれました
経営はいつも赤字でしたがそんな愚痴をこぼした事などありませんよ
>鼻もちならない聖人君子さまでございますね
ご自身の事でしょうか?
10.名前が溶解削除
ずいぶんと現実的な方向から物事を考える幻想郷の人ですね
幻想郷内で教育ったって、そこまで大層な物でもないだろうと
個人に全部任せて、なんでも出来るようにしてもらおうなんて親も普通いませんよ
11.名前が無い程度の能力削除
私もこの慧音先生と同じ意見なので特に気にせず読めました。
それにしても
こいし可愛いよこいし
12.名前が無い程度の能力削除
最近の日本の、教育についての迷走っぷりや日本という国そのものの質の低下が、ついに幻想郷にまで影響を及ぼしてしまったか。

と、解釈してしまった。
13.名前が無い程度の能力削除
けーねは考えすぎちゃう人だよってのを表したかった話では?
キャラの思考=作者の考えって考えるのは読み方としてどうかと
あとがきで救いもあることだし
キャラ好きの人はあれかもしれないけど、自分はそれほど酷い話だとは思わなかった。
ただ作者がキャラに思考させた内容が悪かった
二次創作の必要ってなんだろうか、多くの人が望む物と作者は思わないで欲しい
って長っ 送信っ
14.名前が無い程度の能力削除
追記で少し納得
何か貴方の手のひらの上で踊らされた気分だ

そのように解釈させるにはかなり分かりにくい
15.名前が無い程度の能力削除
 内容もあれだが、後が酷いな。取ってつけたかのような一文で納得して貰えないとわかると、仕方無しに追記を載せたり。しかもその内容が「分かるはず」「読めるはず」と、自分の意見をさあも正論かのように押し付けるあたりが最悪だ。

 あ、それと。
 >>13->>14 作者乙。
16.名前が無い程度の能力削除
本文は慧音にモンスターペアレンツ批判でもやらせたかったのかとでも思っていたが、
追記のあまりの上から目線に噴出した。
メモ帳か頭の中だけでどうぞ、としか言いようがない。
17.名前が無い程度の能力削除
タイトルのSって作者のことかww読み手に対する精神攻撃としか思えないぜ、このサド!
18.名前が無い程度の能力削除
性格捻くれてないと楽しめないかも?と思ったら案の定コメント欄が荒れてて二度面白い
本当に受け手様は鼻もちならない