いるもん!
と涙目のお嬢様が力説されたとなると、世の理の方が曲がるべきである。
いらっしゃる。いらっしゃるのだ。
オアチュリー・ノーレッジ様は実在する。英国出身、全盛期のハーマイオニーよりかわいい十一歳。なんでかなあ最近お胸がふくらんできたの、が悩みのブロンドちゃん。あ、どうしよう自分で妄想してて催してきた。
お嬢様のほっぺたを眺めて鎮めること数分、美鈴の泣き顔という援護射撃も加わり、現実の女の子も捨てたもんじゃないね! と帰ってこれた。架空の少女にトキメクのはモニター前で十分だ。
その、モニターのすぐ下には今回の悪役が鎮座している。Pのキーに隣接したOのキー……この配置が元凶なので咲夜は念入りにめっ! しときました褒めてお嬢様!
……綿ゴミへ向けるような視線を頂戴したが、ご褒美と思い込む気質でなくてはメイド長など務まらない。
「タイプミスと認めれば楽になるのに」
パチュリー様の指摘はいつだって冷たい。
――レミィ? その、オアチュリーさんってどこのどなたかしら。
――なに言ってんの貴方のこ……あれぇ?
――満足にタイピングも出来ないなんてロリータのお手本としか。
――違うもん! オアチュリー・ノーレッジって人の名前を打ったんだもん! 知り合いなの!
――じゃあ連れて来なさいよそいつ。
PCなるものを香霖堂で拝借し、脊髄反射でお嬢様に貢いだ。私は美少女の画像を収集するマシンと解釈したが、お嬢様はこれで日記をつけ始めた。器物にさえも名前をつけて可愛がる、ファンシー主義者のお嬢様により『咲夜』と呼ばれ、今では機械の分際で就寝前の話し相手だ。初めて拾った子猫にもこの名をつけたそうなので、もう拾い物全般はお嬢様の中で咲夜なのかもしれない。
子猫や機械と同列の名前……どうしよう粗末に扱われてると思ったら興奮する。
可愛い女の子にぞんざいな扱いを受けるのは、完全無欠にプレイである。
きっと美鈴も喜んでいるのだろう、泣くほど嬉しかったようなので私としても気分がいい。
全てはお嬢様のために。世界の全てより優先されるべきそのお方の前では、美鈴の人権など歯糞である。私のも歯糞なのできちんと平等だ。
――この世界にオアチュリー様がいないのなら。作ってしまえばいい。
ほらホムンクルスとかいうやつ? サクっと人造人間で万事解決。外見年齢は十三歳以上に作んなよゼッタイだぞ! と念押ししておいたので、ワクワクが止まらない。
『ええ……っ!? お、男の人のアレ……!?』
と、ホムンクルスのレシピに目を通した美鈴は、何故か虐めがいのある顔をしていた。百点だ。一体どんな禍々しい材料が必要なのか私は把握していないが、美鈴はこういうシチュエーションで光る気がしたので「採取してこい」と命じてやった。私をトリップ状態から引き戻すのにも一役買った泣き顔はマジ東洋の宝。
……退職届? 『無理です』と一行、美鈴のまるっこい字で書かれているが受理してやらない。どうせ歯の浮くセリフと甘いお菓子で考え直すんだあいつは。毎回そんな慰め方してると恋人みたいな錯覚を感じるが、美鈴は10cmほど身長が余計なので一線を越える願望が湧かない。
「咲夜。さっき美鈴が死にそうな顔でリグルに襲いかかったらしいけど、何でだか知ってる?」
「存じません」
「二人ともマジ泣きしてるんだけど……」
お嬢様を悩ますような揉め事起こして、何がしたいのか美鈴は。
「……やっぱり、自分の名前を間違えられたら怒る……わよね。パチェに謝ったほういいのかし」
「『は、はかれいれいむ! はき、はくれいれいむ! うー日本人の名前って発音しにくいわー練習しないとー』」
「――!」
「この噛み具合を聞いた霊夢が、紅魔郷の一件を全て許したのは伝説です。お嬢様のケアレスミスはツボに入るのが普通なのに、全くパチュリー様は心が狭い」
にぎゃーなんで咲夜が一字一句正確に知ってるのよー! と。元気の源(おぜう様のヒステリー)をたっぷり貰って体調がいい。
幾らでも時間を止められそうだ。最高にロリってヤツだ。時が静止した世界で、鼠捕りに励む日課もはかどる。
金髪巻き毛の鼠が一匹。小さいうちはかくまってやったりもしたが、時の流れで日々私のストライクゾーンから脱出しつつあるので、近頃は虐めるのがトレンド。
霧雨家の魔理沙ちゃんはどんな声で鳴きたい?
「は、はーどでぃすくどらいぶはどこだ」
セリフの全てがひらがな。白黒魔法使いの底力を見た。
「……つまみ食いしちゃおうかしら」
「本当、何がこいつを喜ばせるのか、把握出来ないのが恐ろしいぜ」
可愛いは正義とだけ言っておこう。
その不自然に膨らんだ胸元はなに詰めてるのかしらん? ほらほら触っちゃうわよー。やだ……この子泣いてるかわいい。
「うぐ……香霖がー香霖がー」
「イタズラされたの?」
「それはお前の担当だ。そうじゃなくって、咲夜が今つっついてるの、八卦炉フルカスタムとかで」
「そうよねパッドにしてはラインが幾何学的過ぎるし」
「香霖に『もしも僕のPCのHDDが覘かれそうになったら、周囲の全てごと、これで吹き飛ばしてくれ』とか言われた代物で」
「――――」
「私の任務は……お前がパクった機械の爆砕」
死亡フラグは突然に。
私がお胸のぽっちと思い込んで弄んでいた突起は、もちろん起爆スイッチである。
あなたを待っていた
なんでこう咲夜さんは変態かなぁ……w
本文から後書きまで、何もかもが素晴らしくおかしいww
紅魔館は悪魔の館、これくらいの精神構造でもないとやっていけませんわ
もう出所されたのですね。おつとめご苦労さまでした。
急にいなくなってしまうと寂しいので今度は気をつけてくださいね。
我々はあなたを待っていた。
相変わらずの病気ぶりで何よりです。
まさしく作者に相応しい
郷はショタコンで溢れてしまうぞ
同意しそうになってしまった。さすがお嬢様の破壊力はすごい。
ところで魔理沙は無事なのか?
いってくださればお迎えにあがりましたのに……
見舞いにいけなくてすいませんでした
パッチェさん殆ど関係ねぇw
お勤めご苦労様でした。お迎えにあがれず失礼いたしました。
絵板での復活もお待ちしております。
いぢめられて半泣きの魔理沙はおぜうさまに匹敵する愛らしさだと日々感じるしだいであります。
美鈴、俺のでもよかっt(ぴちゅーん)
するんかいw
またssを書いていただいて嬉しいです
今回も楽しませていただきました
マジこれだけは譲れねぇから!
久々に圧倒的敗北感ってやつを味わせてもらいました。
あなたの書くキャラがかわいすぎる。
最新作読んでからあなたの名前をよく目にします。