「インド!」
「インド!」
「インド!」
「インド!」
奇妙な挨拶で行進する妹達を、レミリアは唖然とした面持ちで見つめていた。
「あ、あれがフォーオブ赤インド……」
スカーレット姉妹は今日も平和だ。
紅魔館において最も大事なのは当主のレミリアだと誰もが答えるだろう。そして、最も重要なのはメイド長の十六夜咲夜と続けて言う。
咲夜の朝はまず、妖精メイド達の点呼から始まった。
「それじゃあ一人ずつ元気な声で。はい、あなたから」
「一!」
「二!」
「南無三!」
「誰よ、あんた」
見慣れたメイド妖精に混じって、明らかに一人だけ年齢の違う魔法使いが一人。
確か宝船騒動の記事に、その姿が写っていたような気がした。
「はじめまして。聖白蓮です」
「十六夜咲夜です。それで、あなたは此処で何をしているのかしら?」
「バイトを」
「バイトを?」
妖精メイドに給料出した覚えはないのだけれど、いつから紅魔館は時給制になったのだろう。
首を傾げる咲夜をよそに、白蓮は身の上を寂しげに語りはじめた。
「復活したのは良いのですけれど、先立つものが全く無くて。それで私がこうしてバイトをしているのです」
「へえ、あなたも大変なのね」
「いえいえ」
こうして出稼ぎに出ているということは、さして身分も高くないのだろう。
この幻想郷に自らが率先してバイトするようなリーダーがいるはずもない。
咲夜はそう決めつけていた。
「じゃあ、あなたには特別に給料を支払うことにしましょう。ただし、手を抜いたら一銭も支払わないので、そのつもりでいなさい」
「わかりました」
おっとりと笑顔を浮かべる白蓮を見ていると、こちらの気分も穏やかになれる。
ちょっと点呼が変わっているぐらいで、もう止めるつもりなんて微塵もなかった。
「それじゃあもう一度、点呼開始!」
「一!」
「二!」
「誠に寛容で、感謝感激であるッ! いざ、南無三――!」
「長い」
図書館の静寂が好きだ。それを理解してくれる者には好感を覚える。
だからパチュリーは小悪魔を重宝していた。
あれは助手として優秀なだけでなく、図書館に勤める者としての心得もしっかりと理解していたからである。
ただ好色なのが玉に瑕で、今日もタンスの中からブラジャーが四つほど消えていた。
しかしそんな事は気にせず、紅茶を飲みながら、いつものようにその名前を呼ぶ。
「小悪魔、そこの本を片づけて頂戴」
途端、図書館の中にスモークが充満していった。
どこぞから現れた照明が天井を照らし、燕尾服に身を包んだ楽士達が荘厳な曲を奏で始める。
天井には紫色の雲が渦を巻き、その中心部から優に五メートルはあろうかという大男が光臨しようとしていた。
「我が名は、魔王」
小悪魔は昇進していた。
普段はシエスタに興じる時間だけれど、今日は射命丸文のインタビューがあった。仕方なく眠い目を擦りながら、嫌々ながらに答えていく。
「それで美鈴さん。そこそこ優秀な割に侵入者を沢山通しているのは何故だと思いますか?」
実に聞きにくい質問を、遠慮無くこの天狗はぶつけてくる。
だが、ある意味では気持ちいい。
変に隠されるよりも、正面からぶつけて貰った方が美鈴としても答え甲斐があるというものだ。
「そうですね、強いて言うなら目が鈍ったからでしょう」
「目が鈍った?」
「ええ。門番というのは本来、妖しい奴を通さない為の職業なんですが……」
いきなり空が曇ったかと思えば、天高くに宝船と称された船が浮いているではないか。
空から暢気そうな会話が聞こえてくる。
「おおっ、ここが姐さんの職場かあ!」
「聖も頑張るねえ。ほら、手を振ってる」
「きっとあれは着陸しろっていう姐さんからの合図だね。隣のメイドも両手を振ってるし」
「じゃあ着陸しようか」
高度を下げる船に向かって「来んな!」と叫びながら咲夜が飛んでいくその向こうでは、紅魔館の屋根を突き破った大男の姿が見える。
「なんと。大魔王たるこの我に、本の片づけをしろと言うのか! 巫山戯るな!」
吠える大魔王の周りを、四人のフランドールが囲い込む。
「カレー!」「カレー!」「カレー!」「ボンカレー甘口!」
謎の呪文を唱えながら、暴れ回る大魔王を取り押さえにかかる四人のフランドール。それを見つめる影二つは、至って冷静であった。
「誰が勝つと思う?」
「咲夜が勝つにパチェのブラジャー四つ」
「そうか、盗んだのはお前か」
「ははは、細かい事は気にしちゃ駄目よパチェ。言うじゃない、おっぱいは一日にして成らず」
「五百年経ってそれしきの吸血鬼が何を言う」
こうして新たな火種が勃発したところで、美鈴は文に向き直る。
呆れた顔の文を見て、苦笑を浮かべながら言った。
「外から来る奴よりも、中の方がよっぽど妖しいですからね」
これ以上ないほどの説得力だった。
もうなんちゅうカオスや……wwww
最後のあとがきで吹いたじゃねぇかww
残像って何だよww
>大男が
これは見過ごせない、見過ごすわけにはいかない。
でもやっぱり南無三が凄いwww
後書きで惨敗したw
本編は笑うの耐えられたのに…
勝てる気がしない。
始終笑いっぱなしでお腹が痛いのです。
私の腹筋が完全崩壊wwww
※腹筋が満身創痍と同義語のようです。
リアルで椅子から転げ落ちると思わなかったwwww
これだけです…
すばらしい。
赤インドで既にヤラレタwwww