「(
「あの船を追っかけてるの。退くかついて来るか選びなさい」
「アレのことか?アレは宝船なんかじゃないよ」
「あんたなんかどうでもいいのよ。こうしている間にも船が……」
「そう邪険に扱わないでくれ。宝なんて空には無い、もっと別の場所さ」
「鬱陶しいわね。轢くわよ」
「私も宝を探しているんだがね。君に反応を示したのだが外れてしまったようだ」
「ん。あんた使えそうだと思ったら使えないわね」
「どうやら君の心が宝物のように煌くから私の小ネズミ達が間違えてしまったのかな」
「あんた使えそうね」
「ああ。私の優秀な小ネズミたちはチーズなんか食べない」
「それはエコでいいわ。何を食べて動いているのかしら」
「私のネズミは赤色の濃いものを好むんだ。人肉とか」
そんなこんなで立ち上がった博麗ナズーリン宝狩り隊!
以下は彼女らの初仕事ある。
「宝の反応がする」
「ほう。くんくん」
「甘い匂いだな」
「これは……ッ!イチゴ乗せ白菓子だ!」
「グッド」
反応をもとに紅魔館へやってきた二人は、厨房に忍び込んでいた。
冷蔵庫の中のショートケーキの匂いを嗅ぎ分ける辺りナズーリンの探知機はさほど必要ないような気もする。
「うまいうまい」
「うまい。私の小ネズミたちも大満足だ」
8カットされたショートケーキの半分が姿を消した。正確に言うと、消された。食された。
当の犯人達は口の横にクリームをつけて厨房のイスでくつろいでいた。
「あー流石紅魔館。味に妥協が無いわ」
「あんなもの初めて食べた」
「また来ようかしら」
「じゃあそろそろ撤退しようか」
「待ちなさい。立つ鳥あとを濁さず、よ」
「さんざん食い散らかして何を言うか」
「私流の礼儀よ。跡を残さない」
一枚の大皿に乗った八分の四のケーキを小皿に取り分けて冷蔵庫の中に戻す。
「パーペキ」
「パーフェクト完璧ってか。これで気付かないのならここのメイドは所謂ダメイドってところか」
「撤収だ!」
「私たちネズミよりこそ泥が板についてるんじゃないか……?」
ナズーリンが呆れながら霊夢の後を追う。
ナズーリンはこう思っていた。こいつ、長生きするな、と。
「さぁて、おやつも食べて小腹も満たされたことだし」
「家に帰るのか」
「宝船じゃない船なんて魔理沙たちに任せて……本格的な宝探しと行きましょうか」
「ほう。それはどんな宝だ?」
「別に拘らなくてもいいの」
「ふむ。まあ宝なんてどんなところにでもあるものだ。台所の隙間なんかね」
「宝の山といえば……そうね。ちょっと思い当たるところがあるわ」
「楽しみだな」
「小ネズミたちはしまいなさい。必要ないわ」
私たちの出番は無いんでチュかそうでチュか。そんな声が聞こえた。
厨房を出、正門から外へ出る。妖精メイド達は霊夢の顔を見てもまったく変だと思わない。まるで霊夢の庭である。
門前へ赴き、紅魔館の宝の山、紅美鈴と相見える。
「あら、霊夢さん。いつの間にいらしてたんですか」
「ちょっと前。で、少しバンザイしてくれる?」
「え?あ、はい。ばんざーい」
むぎゅっ。
霊夢が紅魔館の主砲であり宝の双山を鷲掴みにする。
「ひゃああ!?」
「紅魔館の宝は伊達じゃないわね。また大きくなったんじゃない?」
「おお。私のロッドもビンビンに反応しているぞ」
その長い棒で双山をつんつんと突付く。突く度に、美鈴がぴくんぴくんっと身体をよじらせる。
美鈴はいつまで万歳をキープしているのだろうか。
「ええのうええのう。持つ者と持たざる者の間に走る峡谷は深いのう」
「何言ってるんですか、霊夢さんはまだ若い癖に。咲夜さんは、」
「美鈴。何を戯れているの?」
「あッ、咲夜さん!これはそのっ、霊夢さんが……って居ない!?」
「あー、紅魔館は宝の山ね」
「あそこの台所は興味深い」
「さてと、もう空が赤いわ。秋の日は釣瓶落とし、なんてよく言ったものねぇ」
「ああ」
「……あ。いいこと思いついた」
「なんだ?」
「今日最後に探す宝。思いついたわ」
「ほう。それは一体?」
「秘密。夜にならないと探せないのよ。勿論、あなたの協力も必要だからね」
「いいだろう。私は米粒から金塊まで探し出す生粋のダウザーだからな」
「決まり。それじゃあ日が落ちるまで私の家で昼寝でもして英気を養うのよ」
彼女らは神社へと歩を進める。霊夢の顔がにやついていたのは、彼女自身しか知らない。
◇◇◇
「じゃあ、私は少し昼寝するわ」
「そうか」
妖怪の前で昼寝をするだなんて、馬鹿か、この巫女は。ついさっき人肉を食べると言ったばかりなのに。
私は今腹が膨れているからそんなことは露にも思わないし、そこら辺の人間をホイホイ食べてたら身動きができなくなってしまうからそんなことはしないが。
それにしても、なんだこの人間は……。美形すぎる。性格さえまともだったら、嫁の貰い手なんて引く手数多だろうに。
あの大きな黒い目でまっすぐ見つめられたときはやばかった。私のロッドが勝手にスタンドアップするから抑えるのに必死だった。
……もうこの巫女は寝入っただろうか?
そこはかとなくというか、かなりのイケメン(イケてるウーメンズ)の霊夢はネズミ一匹顔でオトすことなど造作も無いことだった。落ちないのはせいぜい同じイケメンポウェル(イケてるウーメンズポウェル)をもつ魔理沙くらいなものだ。
ナズーリンが、座布団を枕にして横になっている霊夢の二の腕に手をかける。そしてそのまましばし思案して、手を離す。
「(所詮ネズミの心臓といったところか)」
ナズーリンは霊夢に手を出す度胸は持ち合わせていなかった。
そして彼女も、硬い座布団と畳に引っ掴まれるようにして眠りに落ちていった。
◇◇◇
「起きなさい。夜よ」
「ふわぁ……寝たのに逆に疲れが溜まっているようだ」
はい、と霊夢が出したのは酒瓶。どんっ、とちゃぶ台の上に乗せて、ぽんっと栓を抜く。
「寝起きで酒か。また眠ってしまいそうだ」
「眠っちゃダメよ。ていうか、寝かせないんだから」
「ああ」
「……空を見て」
「秋の星々が輝いているな」
「きれいね?」
「ああ。まさかとは思うが、最後の宝ってのは星狩りじゃあないだろうな」
「まさか」
「ほっとしたよ。そんなロマンティックなやつだとは思ってなかったから」
「とんだ失礼ね。私だって茶柱を見て物思いに耽ることだってあるのよ」
「それは違うと思う」
ちびちびと酒を飲み、言葉を交わす。
ナズーリンの顔はすでに赤い。
「~♪」
「もう酔っちゃったの?」
「わらひは酔いやしゅいんだ、へへ」
「呂律が回ってないじゃない。それはそれで好都合なんだけど」
「飲めよー」
「本日最後の宝探し」
「おお、待ってましたあ」
「子宝探しよ!!」
「子宝~いいねぇ子宝、はいぃ!?」
「そう、子宝」
くいっ、と顎を指で押し上げて、顔の前で囁く。
「あなた中々可愛い顔してるじゃないの」
「まっれれいむ、まだ心のじゅんびが!」
「よいではないかよいではいか」
「いやぁあ、そこはらめぇぇ」
「感度良好ッ、反応有り!!」
「わらひのロッドがビンビンだよぉぉ!」
──優秀な小ネズミが増えちゃう~!
)」
「どうしたんだ?急に黙り込んだりして」
「えっ?あっ、子宝」
「はぁ!?」
ちょっと妄想ラストについて詳しく。
妄想なげぇwww
最初の何だろうと思っていたらまさかのオチw
妄想は良いねぇ。
妄想ラストは大人の情事もとい事情により詳細をお伝えすることはできませんっ。
>2番目の名無しさん
おれは深い喜びに包まれた。
>喉飴さん
そう、妄想ですよ妄想。全ての創作の起源にして少女達の桃色。わかってらっしゃる!w
>4番目の名無しさん
計画通り。フフッ。
御読了ありがとうございました。
>5番目の名無しさん
きっちり地の文入れて妄想する霊夢さん。妄想かよ。
>6番目の名無しさん
良い話…!?泣く要素が自分自身じゃ見つけられないのですが(モニター前で堪え笑い
>7番目の名無しさん
計画通り。フフッ。
二人が同時に妄想してて実は両想いとかだったらもう貴女達は『心魂初夜(さくばんはおたのしみでしたね)』とかしてると私が嬉しいです。
>謳魚さん
実は両思いなのにお互い妄想どまりってすげぇいいですね。すげぇいいです。
それにしても熱そうな夜…咲夜もお楽しみ、いや何も言うまい。
∟(^Д^)」 <バッファローゲームッ!!
を想起したのは・・・オレだけですか。そうですか。
「ば、ばっふぁろぉ(はぁと」
なぜバッファローゲームを想起されたし。やったなぁ、僕も。……男同士で(涙
バッファローゲームで一本書きたい気分です。ネタ帳にこっそり加えておこう。
もしかして小傘相手の時もたくましい妄想を働かせてたのかな?そっちも相当に気になりますw
俺も同じく