Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

遊びも必要です

2009/09/19 20:03:19
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「ねぇねぇ星、あの子たち真面目すぎやしません?」
「いや、真面目は良いことじゃないですか」

 白蓮の言葉に、星は普通に返した。
 二人の視線の先には、真面目に働く水蜜と一輪。白蓮の封印が解かれてからというもの、水蜜も一輪も、白蓮へ尽くしてくれている。
 自動運航のため、手が空いている水蜜は、手料理を振る舞ったり掃除をしたりする。一輪は侵入者撃退に神経を集中させている。もっとも、侵入なんて愚かな考えは、一部の低レベルな賊くらいしかしない。一輪がわざわざ撃退に向かわなくても良いレベルだ。
 そんな二人を見た聖は、少しくらい休ませてあげたいと思っていた。

「たまにはあの子たち、遊ばせてあげたいと思うのだけど」
「聖がそう思うなら、好きなように。ただ、村紗も一輪も承諾しなさそうですけど」
「むみみ……なら」

 星の言うとおり、突然たまには遊べと言われても、二人はやんわりと断るだろう。
 そこで白蓮は考える。何か良い考えは無いだろうか、と。

「強制的に休ませちゃいましょう」
「……え?」
「村紗、一輪、ちょっと来て~」

 凄く良いアイディアを思い付いた、という表情の白蓮だが、星はぽかんとしている。
 呼ばれた水蜜と一輪が、やってきた。

「何ですか?」
「一輪、雲山を貸して」
「はい?」
「村紗は、錨と柄杓を貸して」
「え、え?」
「良いから良いから、私を信じて」

 水蜜は錨と柄杓を渡し、一輪は雲山に白蓮の方へ行くよう命令する。
 ニコニコと無邪気な笑顔を浮かべて、受け取る白蓮。

「はい、それじゃあ二人とも行ってらっしゃい」
「は?」
「え? 何処に……」
「んー地上?」

 無茶苦茶にアバウトだった。

「まぁ何処でも良いです。あなたたちは、少し休んだ方が良い。今日一日、思う存分遊んで来なさい」
「いや、別に大丈夫です」
「私も、いらないです」
「遊んで来なさい。さもないと、雲山と柄杓と錨がどうなってもしりませんよ?」
「はぃっ!?」
「えぇっ!?」

 水蜜も一輪も、驚きやらいろんな感情が混じった良く分からない声を上げた。
 そんな様子を見ていた星は、呆れていた。己の額に手をあてて、溜息を吐いている。もしもナズーリンがこの場に居たら、馬鹿だなぁと呟いているだろう。
 ただ一人、白蓮だけ凄い笑顔だ。

「ちょ、ちょっと待って下さい!」
「待ちません。行ってらっしゃい、気をつけてね」
「雲山ー!?」

 一輪が声を上げると、雲山は心配そうな目を向けていた。

「さぁさぁ、行ってらっしゃい。夕飯までには帰って来るのよ」
「ぅ……行って、きます」
「く、行ってきます」

 渋々と行った感じで、二人は一緒に出掛けた。

「どう? 最高のアイディアじゃなかった?」
「とりあえず、二人が帰ってきたら聖はちゃんと謝りましょうね」





◇◇◇





「何処へ向かえば良いのかしら」
「遊べって言われても……ねぇ」

 とりあえず、地上に来たは良いが、目的地が無い。
 空はまだお昼前だから明るく、太陽の光が少し眩しく感じられた。
 日光にあてられ、右目を軽く瞑る水蜜。一輪は、何処へ向かうか悩んでいる。

「うーん……人里行く?」
「そうね、無難かも」

 一輪の提案に乗る。
 人里へ向かえば、必ず店やらいろんなものがある。時間潰しには最適だと考えたのだった。
 ちなみに、二人一緒に動く必要は無いのだが、二人は一緒が当たり前かのように動いていた。

「ねぇ、一輪」
「ん?」
「人里の場所、分かる?」
「……」

 地上に遊びに来ることなど、全く無いため、何処に何があるかなんて二人には分からなかった。
 しばし、膠着。
 そして無言。
 少しすると、一輪が歩き出した。慌てて水蜜も一輪の後を追う。

「ちょ、一輪?」
「こっちよ」
「本当に?」
「……えぇ」
「根拠は?」
「女の勘」
「うわぁ……頼り無いんだけど」
「だったら村紗は別方向行けば? 私はこっち行くから」
「ゃ、ま、待ってよ! 私も一緒に行くからぁ!」

 水蜜は、わたわたと一輪の後を付いて行く。
 やはり慣れない土地で一人は少し心細いのだろう。
 おとなしく一輪の、女の勘とやらを信じてみることにした。



「ほらね、私の言ったとおり!」
「ほ、本当……凄い」

 十数分、歩いただけで人里は簡単に見つかった。
 素直に驚いている水蜜。一輪も、まさか本当に目的地へ着くなんて、と内心思っていたが、決して態度には出さなかった。
 人里へと足を踏み入れる二人。
 道行く人、皆騒がしげだ。

「あ、あそこにカフェがある」
「そういえば、お昼はまだだったね」
「それじゃあひとまず、何か食べようか」
「うん、そうしましょう」

 一応、金銭は持っている。多いわけでもないが、少ないわけでもないくらいを、持ち歩いていた。
 他の店よりも、少し小洒落だ店内へと足を踏み入れた。
 店員に案内され、店内の少し奥へと座る。
 メニューを置き、お勧めを紹介した後、店員はごゆっくりという言葉を残して居なくなった。

「う~ん、どれにしようか」
「私はー……苺パフェにしよう。一輪は決まった?」
「大盛りあんみつ」
「そっか、じゃあ店員さん呼ぶよ」

 水蜜が店員を呼び、注文を伝えた。

「ふぅ」
「ん? どうしたの?」
「いや、なんかねぇ……」
「んん?」
「慣れないことだから、少し気を張ってたのかも」

 少し苦笑い気味に一輪が言う。
 簡単に言えば、緊張していたのだろう。
 それは水蜜だって同じだった。一輪が一緒じゃなければ、こうやってカフェに入らなかったかもしれない。一人ぽつんと、ただ人里にも行かないでぶらつくだけだったかもしれないのだ。

「私もそう。でも、一輪が一緒で良かった」
「あぁ、それ私も同じ。村紗が一緒で良かった」

 なんとなく、恥ずかしくなって互いに目を逸らし、頬を赤くして小さく笑った。
 一輪は、ちょっと不思議なこの空気に、照れくさそうに人指し指で頬を掻く。水蜜も照れくさそうに、あははと笑っている。

「あ、あはは」
「へへ」
「お待たせしましたー!」

 そんな空気を壊してくれたのは、店員だった。注文の品と伝票を置いて、ごゆっくりという言葉を残し、去った。

「いただきます」
「いただきます」

 苺パフェのバニラアイスを、スプーンで少し運ぶ。あむっと口に含むと、甘くて冷たい美味しさを水蜜は感じた。
 よほど美味しかったのか、目を大きく見開いて、身体をぷるぷると震わせていた。

「ん~あまうまっ!」
「なにそれ?」
「甘くて美味しいってこと」
「そ、良かったね」

 幸せそうな笑みを浮かべる水蜜を見て、一輪も自然と頬が緩む。
 一輪もあんみつに手を掛ける。
 口に含んだ瞬間、ピタッと止まった。そして、しばらくして動きだし、叫ぶ。

「あ~……あんっみつぅっ!」
「ちょ、一輪なにそれ!?」
「え? あんみつ美味しいなぁってこと」
「……その叫びはどうかと思うよ」
「む、そっか……」

 続いて、水蜜が苺を口に運ぶ。

「うみゅー!」
「ちょ、村紗どうした!?」
「いや、苺食べたら言いたくならない? うみゅーって」
「ならないわよ、普通」
「えー……あむっ」

 そんな馬鹿みたいなやりとりを交わしながら、二人は食べていった。
 もちろん、周囲の客や店員から物凄く注目されていたのは言うまでもない。
 食べることに夢中になって、そのことに気付かなかった二人。
 甘いものが好きな辺り、立派な女の子である。
 食べ終わった後、少しだけ休憩をする。
 美味しかったねーとか、良い天気だなとか、そんな何気ない会話をした。
 その後、会計を済ませて店を出る。

「ふぃ~っと」

 一輪が、伸びをする。座っていたからか、少し鈍っていたらしい。身体から、小枝を踏み付けたような軽い音が鳴っていた。

「さぁ、まだ時間はあるけど、どうしようか」
「そうね……とりあえず」
「とりあえず?」
「歩きましょうか」
「ん、そうだね」

 ぶらぶらと、特に目的も無く歩く。
 相変わらず人は多く、慣れない人込みに、はぐれてしまいそうになる二人。

「わわっ!」
「ちょ、大丈夫村紗?」
「ん、ありがとう一輪」

 転びそうになった水蜜の手を掴んで、引き寄せる。それのお陰で、水蜜が転ぶことは無かった。

「一輪、もう良いよ」
「……いや、なんか村紗見てて危なかっしいから、このままね」
「む、子ども扱い?」
「さっきから、はぐれそうになるのも転びそうになるのも村紗ばっかりじゃん」
「うっ!?」
「だから、最初から予防線を付けておくことにするよ」
「うぅっ!?」

 事実だから反論出来ない水蜜は、おとなしく手を繋いで歩くことにした。
 柔らかくて温かい感触が、安心感と心地良さを与えてくれる。
 でもやっぱり、少し恥ずかしいから頬を赤く染めていた。
 一輪は平然としているが、水蜜は恥ずかしそうだった。

「んー? どったの村紗?」
「へ!? な、何が!?」
「急に黙り込んだから」
「あ、ううん! 何でもない!」
「そう、なら良いけど。あ、服でも見る?」
「そ、そうね!」

 その後、二人はいろんな所を回った。
 服屋では、二人にとっては珍しい和服を見たりもした。似合う和服を発見し、いざ値段を見たら所持金との桁の違いに慌てて店から飛び出した。
 乾物屋や、硝子細工屋など普段は絶対に行かないような場所まで見て回った。そこの乾物屋で、白蓮たち、仲間たちへのお土産を買った。



 そして、気が付けば空は茜に染まっていた。

「う~ん、なんだかんだで楽しかったかも」
「あはは、私も」

 予想外だったなぁ、と呟きながらも笑顔の一輪を見て、水蜜もえへっと笑う。

「そんじゃあ、帰ろっか。村紗」
「うん、そうね。一輪」

 未だに手は握ったまま。
 今回の休みをきっかけに、二人はより距離が縮まった感じがしていた。
 でもなんとなく照れるから、互いにそんなことは何も言わない。

 二人が戻る頃には、白蓮と星の温かい手料理が待っていることだろう。
 
某所で一輪と村紗の組み合わせのSSを読んだら、この組み合わせにハマってしまいました。喉飴です。村紗も一輪もみんな可愛いと思うのです。
雲山はドラ○エに出てもおかしくないと思います。

雲山が仲間になりたそうにこちらを見ている。
>>仲間にする。
>>仲間にしない。
→>>生理的に受け付けない。

みたいなイメージです。
そんなこんなではありますが、少しでも楽しんでもらえたら嬉しいです。

9月28日、大幅修正。
喉飴
http://amedamadaisuki.blog20.fc2.com/
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
今まで星ナズしか知らなかったがこれはアリだ。白蓮はもう天然キャラでいいよw
2.修行削除
まて雲山のその扱いはおかしい。
「私たちは二人で一人のボスキャラです」

とりあえずこいつらもっとくっつけ
3.名前が無い程度の能力削除
雲山はギ○モ……いや、何でもないです。

>むみみ……
聖のこれにやられました。可愛すぎるw
4.名前が無い程度の能力削除
命蓮寺一家の家族仲が深まってよかったですw
5.名前が無い程度の能力削除
白蓮さんの天然キャラ化が確実に進んでて俺大歓喜!
命蓮寺一家、いいですね!
6.名前が無い程度の能力削除
寺は地面固定かと勝手に思ってた。
白蓮お姉さん可愛いです。むみみ。
7.名前が無い程度の能力削除
船長可愛すぎ
たまらん
8.名前が無い程度の能力削除
船長かわいいなー。
天然で優しい白蓮さんが素敵。
9.名前が無い程度の能力削除
アレを読んだのですね、わかりますよウフフ
一輪さん姉御肌!
船長可愛い!
一ムラはもっと流行るべき
10.喉飴削除
>>1様
いちむらが流行ることを願います!

>>修行様
くっついて欲しいです。

>>3様
ギ○モに確かに見えますねw
私の中で、聖は言ってくれそうなイメージなのですw

>>4様
実際仲良さそうな気がします。

>>5様
今後、もっと増えそうですね。

>>6様
むみみ、と言ってる姿を想像出来ますw

>>7様
ありがとうございます。

>>8様
楽しんでもらえて嬉しいです。

>>9様
あなた様も読んだのですかウフフ
いちむら流行るべきですよね!
11.名前が無い程度の能力削除
>→>>生理的に受け付けない。

おい作者、お前ちょっとそこ座れや。
なに足崩してんだよ。正座だよ、正座。
最近ちょっと調子に乗りすぎじゃない?
雲山のオジキに失礼な事を書いてんじゃねーよ。
お前だって聖がいなくて一輪さんが辛いとき、いつも傍で支えになってたのは雲山のオジキだっての知らないわけじゃないだろ?
反省したなら雲山のオジキの淡く切ないSSを書けよ?
12.奇声を発する程度の能力削除
やばい、めちゃめちゃ可愛い!!!!